目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

246 / 260
終章
第221話 Side『もうひとつの明日へ』


 

 UC.0080.4月。地球連邦とジオン公国の戦争はジオンが連邦軍本拠地であるジャブローを制圧したことで完全に終結した。

 

 ジオン軍総帥であるギレン・ザビは、連邦軍総指揮官に就任したゴップ大将の無条件降伏を受け入れたこと、そして同時に完全勝利宣言を各サイド向けに明言した。

 

 戦争の終結とともに、両陣営は政治の季節へと入る。

 

 月面都市グラナダ。

 

 この地で和平に向けた、ジオンと連邦政府、そして各サイド代表の会談が行われた。

 

 ジオンが連邦に要求した内容は多岐に渡るが、大きく分けて以下のものである。

 

 ジオン公国を独立国家として認めること。

 

 戦争賠償金の支払い。

 

 各サイドに課している、出生統制の緩和。

 

 各サイドへ課している、理不尽な税金の即時撤廃。

 

 UC100年までに、地球人口の約50%を宇宙へと上げること。

 

 それに伴い、新コロニー、新サイドの建造をジオンと共同で行うこと。

 

 地球を人類共通の資源とする。ジオンに優先的資源採掘権を与えること。また、ジオンは地球環境改善のための技術提供を行なう。

 

 他サイドの主張もあったために多少の紛糾こそあったが、連邦は上記の要求を飲み、新たな秩序(ニュー・オーダー)時代に向けて各種条項のガイドラインの作成も進む。

 

 ジオンにおいて外交折衝役として選ばれたのは、ガルマ・ザビ准将であった。

 

 このことは、連邦を含めて会談に参加した他サイド代表団も驚きを隠せなかった。

 

 ガルマはジオン本国にて智将と称され、大戦の英雄としてカリスマ的人気を博している。国民の中には、彼に最高栄誉たる十字勲章を与えよ、と声高に叫ぶ熱狂的なファンすら少なからずいるほど。

 

 しかし彼は本来、一地方前線の――ジャブロー攻略時の要衝を抑えてはいたが――司令官でしかなく、地球攻略突撃機動軍の総司令官はキシリア・ザビ少将であった。

 

 まだ若く、政治的舞台に立ったことのない若者に重役を課すなど、ジオンは正気なのか? と各外交官は訝しんだほどである。

 

 だが蓋を開けてみれば彼は剛柔使い分け、またたく間に連邦に各種条項を飲ますことに成功した。

 

 なにより条項の中には、ジオンだけでなく各サイドの権益保護の明確化も含まれており、そのことから他サイドからの評価も上振れることになる。

 

 そして彼が連邦に囚われていた(・・・・・・・・・)故ダイクンの娘、アルテイシア・ソム・ダイクンを保護しているという事実が明かされたことで、ジオン本国のみならず、コロニー民の間で彼の人気は爆発的なものとなった。

 

 コロニー圏において、コロニー独立の父とも秘かに言わしめたジオン・ズム ・ダイクンの遺児を救助しているのである。

 

 いわば、コロニー独立の象徴たるべきものを所持した彼は、宇宙で暮らす全ての者たちにとって、英雄として名実ともなった存在として迎え入れられたのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告