目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

252 / 260
第227話 Side『マインド・エデュケーション』

 

 

 ども、オルド・フィンゴです。

 

 このやり取り何回目だっけかな?

 

 もう少しだけ続くので、お付き合い願いたい。

 

 戦後のごたごたを解決するために、僕ら『閃光の伯爵』隊は地球のあちこちを飛び回った。

 

 気がつけばもうUC81年も暮れを迎えようとしてる。

 

 この1年は本当に忙しかった。

 

 マ・クベ大佐に呼ばれてククルス・ドアンの島に赴き、現地に残ってた弾道弾の処理したり、連邦正規軍(ホワイト・ディンゴ)と組んでオーストラリアの連邦残党とドンパチしたりと色々あったんだよね。

 

 その間にもキャリフォルニアベースのオリバー中尉や、グラナダのギニアス少将からの依頼でMSの設計に携わったり、カスミ女史を手伝って『黒箱』からのテクノロジーをサルベージししてた。

 

 部隊の人間も地球や宇宙問わず、あっちにこっちに異動で、本拠地である北米にはほとんど居なかった。

 

 ゼクス大佐はカナダの連邦残党掃討戦の指揮を取ったし、ノイン大尉とニムバス大尉、マリオン少尉はオデッサの新兵教練からの中東への兵員支援と大忙しである。

 

 あ、お嬢ことキリシマ曹長は妊娠したので本国に帰還。そのまま退役して実家に戻ったようだ。

 

 女の子を出産したらしいけど、まあ僕の子だろうね。連絡とって確認してないからわからんけど。時期的にね。

 

 この辺りの話はいずれ語るとして、今僕は宇宙船の中にいる。

 

 SC3−L5宙域。

 

 聞き慣れない名称だが、サイド3コロニーから見た、ラグランジュポイント5番目ってことだ。

 

 通称フィフス・ルナ。

 

 原作、『逆襲のシャア』でシャアの率いるネオ・ジオンが地球連邦本部に落としたものと同じ名前を冠した小惑星だ。

 

 んで、実際の正体は、ジオンが保有している惑星アクシズから切り離したモウサ。

 

『ZZ』でハマーンが地球に落としたやつである。

 

 この世界では、ジオンが資源衛星として引っ張ってきたアクシズから、試験的に切り離してサイド3付近に配置、採掘をしたのがモウサ。採掘後は内部改造を進め、ザビ家の保養地として別荘が建てられたと言われる。

 

 なんでそんなややこしい由来――原作知識がある者からしたらだが――の惑星に向かってるかと言うと、我が軍の御大に呼ばれたからです。

 

 そう、ギレン・ザビだ。

 

 先だって、デギン・ソド・ザビが公王の座を退いて、正式にギレンを次の公王へと指名した。

 

 これで彼は名実ともに国軍だけでなく、政治権力のトップとなったわけだ。

 

 自国民やサイド2、サイド5の人間からは好意的に受け入れられているけど、他サイドは警戒の意志が強い。

 

 特にソロモン要塞宙域と隣接しているサイド4は気が気でないだろう。

 

 なにせ人類発祥の地である地球に隕石を落とすという凶行を、歴史上初めてしでかした独裁者だ。

 

 彼の機嫌を損ねることで、次は核でも使ってコロニーを吹き飛ばされかねん、なんてネット界隈では怯え混じりの呟きが飛び交っている。

 

 それを知ってか、ギレン・ザビはそうした反ジオン、ひいては反ザビ家に傾きかねない世論を慰撫するため、グラナダ条約にて、連邦とジオン、双方の軍縮案を出している。

 

 他にも、各サイドが自治を行なう際必要な軍備の保有を、ジオン、連邦ともに認めた。

 

 ジオンとしても、製造した輸出用の兵器を他サイドに売りつけることができる。その金で、コロニー建設用の建材を連邦から買うという算段だ。

 

 すでにサイド2、サイド5には輸出用MSゲーツや、汎用宇宙艇でもあるモビルポッド・オッゴが輸出されている。

 

 サイド4にはモビルワーカーのライセンス生産が許可された。

 

 今回の大戦で、双方ともに兵器を大量に生産しすぎた。特に連邦はダブついており、多大な戦争賠償金を支払うのに国庫を圧迫している。解体して資材にするのにも金はかかるんだ。

 

 なにより戦時中に発行していた、臨時手形最初の償還期限が迫っており、連邦はとにかく金がなかった。

 

 そこで航宙艦艇機や、戦艦などを売却しそれらへ充てることになる。

 

 グラナダ条約で、もっとも()をしたのは、ジオン以外のサイドだろうね。

 

 比較的安全な宇宙で傍観してただけで、自治権と経済的自由(おかね)が懐に飛び込んできたのだから。

 

 ギレン・ザビが提唱していたサイド共栄圏は決して嘘ではなかったということを証明したことになる。

 

 そのため、彼のことを『歴史上もっとも寛容な独裁者』などと報じるメディアもあるくらいだ。

 

 そんな御大からの直々のお呼び出し。

 

 重力の井戸の底で這いずり回っている僕に何の用があるのかはわからないが、わざわざ親衛隊の護衛までつけての召喚である。

 

 まあ、十中八九は例の『黒箱』についてだろう。この1年で、サルベージした技術を使い、抱き込んだカスミ女史を筆頭に立てて、再現実験をやっていたからね。

 

 それなりに成果物も出てきている。

 

 さて、そろそろ目的地につく。どんな歓待をしてくれるのか、楽しみだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告