目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第229話 Side『マインド・エデュケーション』

 

 初めに疑惑を持ったのは、大戦時、地球降下作戦時にドムが配備されたことだ。

 

 ジオン司令部は全てを宇宙で片付けるはずだった。よって、地上攻略用のMSを用意する必要はない。するにしても仕様を変更させたザクで十分だろうと考えていた。

 

 そうした見通しに風穴を開けたのがギレン・ザビの強硬的ともいえる指示だ。

 

 航宙艦艇のエンジンに定評の有った元ツィマッドの技術者を中心に陸上用のMS開発を命令。史実よりも数段早くドムは量産され実戦投入された。

 

 兵の少ないジオンにとって、広い地上を占領し続けるのは容易じゃないが、ホバーによる高機動で広範囲の作戦域を少人数でカバーできるようになったのは戦況維持にかなり役立った。

 

 さらに宙空両用の戦闘機ゾッド。

 

 制空権を奪取するためにかなりの数が地球に投入されたが、これも地球が主戦場になるとわかっていなければ、そもそも宙空両用で数を揃えるなんてことなかっただろうね。

 

 ドップ?

 

 あんな空力も考えられてない兵器など出る幕もない。

 

 ゾッドは宙空両用と言いながら、その設計思考は明らかに重力下での空戦を意識したものだ。

 

 お次に、ジャブロー攻略に使われた大型レールキャノンと、専用のバンカー型ハイパーナパーム。これらは事前に時間をかけて基礎技術を集積していかないと完成しなかった兵器だ。でなければ、どこかから引き出した(・・・・・)ものであるということ。

 

 そしてサイド共栄経済圏の主張。

 

 戦前から、「宇宙世紀にて最悪の独裁者」と呼ばれながら、各サイドとの外交を積極的に続けた。

 

 技術と利益の供与も行った。

 

 ヘリウム3採掘を手掛ける木星公社との提携は特にでかい。

 

 コロニー生活に必要なエネルギー資源であるヘリウム3を、連邦を抜きに手にする算段を立て、さらにそれを経済圏に参画するサイドに格安で配ることを約束する。

 

 優性人類生存説などという選民思想を口にした人間がだ。

 

 とどめは僕への待遇。

 

 自分で言うのもなんだけど、僕は軍というか組織の中で生きるには、かなり問題のある人間だ。

 

 命令違反、書類の偽造、命令不服従、上官への不敬罪、兵器の無断開発、予算の横領。

 

 ザビ家の御曹子であるガルマくんがバックについてるとはいえ、やらかしたモロモロ(・・・・)を振り返ると、いつ銃殺……までいかないとしても、更迭ついでに最前線の特攻送りにされていてもおかしくなかった。

 

 なのにいつからか、こちらの要望が割とすんなり通るようになる。

 

 資材やデータは、求めれば最速で届けられたし、必要予算もあっさりおりた。

 

 オデッサで顔を合わせたマ・クベ大佐など、「軍費を財布代わりにしている者がいると思ったが、貴様がそうか」とめっちゃ敵意をつもらせた視線を飛ばしてきたからね。

 

 労うために彼には、日本で手に入れた三大陶磁器として名高い、美濃、瀬戸、有田の焼き物を持っていったら、酒の席に誘われ旧世紀の古美術品を見せられながらその蘊蓄を拝聴することになった。

 

 

 そのとき零した言葉から推測すると、どうも僕関連の物事は、すべてマ・クベ大佐が上から指示を受けて裏で細工していたようだ。

 

 もちろん、指示はキシリア・ザビなんだろうなぁ。

 

 そして、紫おばさんに指示を出していたのは、この眉無しおっさんなのだろう。

 

 原作と異なり、裏ではこの二人の仲が良いことはガルマくんから聞いている。

 

 なぜギレン・ザビが僕を気にかけ、便宜を図ったのか。

 

 予め、歴史の流れを知らなければ成し得ない事柄を、すべて先回りしてやり通している。

 

 僕のように前世の記憶を持つか、黒歴史に触れなければ知ることはできないだろう。

 

 そして、僕の言葉にギレン・ザビは動揺を見せない。

 

 つまりそういうことだ。

 

 ここにあるのだ。もうひとつの黒箱(・・・・・・・・)が。

 

「その前に、貴様が私に送りつけてきたものについてだ」

 

 そう言って彼は、執務机の上に置かれた黒いプレートを取り上げた。

 

 

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