目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第31話 Side『アフリカ戦線』

 

 ノーラン・ミリガンはサイド2で生まれた。

 

 父はコロニー建設公社の下請け会社に勤める建設員で、母は専業主婦。兄弟はいない。

 

 裕福というほどでもないが、ことさら貧乏でもない。実に一般的な、特筆することもない家庭だった。

 

 すべてが狂ったのは、8歳の時だ。

 

 いつものように他バンチの商業施設へ買い物に行くため、母と連絡艇に乗った。

 

 その連絡艇が連邦の輸送船と衝突してしまったのだ。

 

 艦艇に穴が空き、添乗員が大慌てで客席にある緊急用防護服の着用をうながす。コンパクトだが、ヘルメットと緊急用酸素ボンベがついた代物だ。

 

 母はまず我が子に、とノーランに防護服を着せ、ついで自分も、となったときにさらなる衝撃が船体を襲った。

 

 ぶつかった拍子に剥がれた破片か何かが、ノーランの座るのとは反対側の客席の窓をぶち抜いたのだ。

 

 大きく空いた穴に、物凄い勢いで空気が吸い出され、まだシートベルトをしていなかった者と母を飲み込んでいった。

 

 全て一瞬のこと。

 

 母の、絶望を湛えた顔だけがノーランの目にこびりついた。

 

 事故の原因は連邦艦の管制無視だったが、いつの間にかコロニー出身の管制官がミスを犯したことになり、連絡艇を運行しているサイド側の責任ということにされた。

 

 父との二人暮らしは特に会話もない静かなものだった。

 

 もともと仕事人間であり、家庭に対してルーズな人間であった父は、娘に積極的に会話を行うようなことはできず、いつも二人は二言三言短いやり取りだけで、どこかよそよそしいものだった。

 

 それでも、父はハイスクールまでノーランを進学させた。

 

 サイド共栄経済圏構想を発表したサイド3にて、広く他サイドの留学生受け入れがはじまり、ノーランも機械工学を学ぶためにその意志を父に告げると、短く「やってみればいい」とだけ返ってきた。

 

 こうして留学した矢先、忌まわしい事件が再び彼女の身に起きる。

 

 サイド共栄経済圏構想を発表した後、連邦とサイドの間で艦艇の衝突事故が頻発した。

 

 その日、管制を無視した連邦艦がサイド3のコロニーと衝突し、外壁に穴を開けた。

 

 そこはノーランたちが滞在する学生寮が存在する区画であり、1000人規模の若者が死んだ。

 

 ノーランは、たまたま他のバンチへ建設作業のバイトへと出ていたため、難を逃れた。しかし、同室であった友人はそうはいかなかった。

 

 多くの級友を失い、ノーランは強い義憤に駆られる。

 

 家族も、友人も理不尽に奪われた。それでも連邦政府は謝罪を告げるどころか、コロニー駐留軍の増員を行い、さらにはコロニー民の世論を突っぱね、その神経を逆撫でるかのように観艦式を強行する。

 

 高まった不満を持つ若い学生たちの常として、彼女も反連邦運動へと傾倒していった。

 

 ノーランが19歳を迎えた年、サイド3ジオン公国は、連邦政府に対して独立戦争を仕掛ける。

 

 その戦いに、ノーランは志願兵として参加することを決意した。

 

 母と、失った級友の仇を討つために。

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