目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第42話 Side『アフリカ戦線』

 

 突如現れた戦車はサンドカラーで統一された車体に、大きくジオンの紋章が描かれていた。

 

 あまりにも巨大な砲塔には、ドムの頭部に似たモノアイカメラが装備されている。

 

「慌てることはねぇ。戦車の弱点は背後と側面だ。教練で習った通りにやんな。お前たちは最強の兵器に乗ってるんだからよ!」

 

 ミノフスキー粒子下でも、高濃度でない限りは半径10kmから20km圏内はなんとか通信が可能である。そして大気のある地球では、どんなにミノフスキーを散布しても拡散してしまって、高濃度を長時間維持することはできない。

 

 戦車を操るパイロットからの檄に、恐慌になりかけていた友軍の士気が持ち直す。

 

「見せつけてやるぜ、新しく生まれ変わった、陸の王者の戦いってやつをな」

 

 巨大戦車は、その巨体からは信じられないほどの速度で、敵の前衛に突っ込む。

 

 61式の群れが機関砲を放つが、分厚い装甲がそのことごとくを弾き返した。

 

「釣りをくれてやるよ!」

 

 61式とすれ違う寸前、戦車の砲塔側面にあった装甲が開いた。

 

 車体前面と側面をカバーしていたそれは、3本の鉄の爪を持つ剛腕であり、61式を軽々と掴み上げるとヒトモドキに向けて放り投げる。

 

 鉄塊をぶつけられ停車したヒトモドキに、副砲から散弾が放たれ、61式ごとその装甲を貫く。

 

 61式は炎上爆発し、ヒトモドキはびくり、と一瞬震えたあと微動だにしなくなった。

 

 突然現れた新型戦車を脅威と判断した敵は、四方から囲むように動く。

 

 だが、またも遠方から飛来した砲弾が、ヒトモドキを吹き飛ばす。

 

 もう一機の輸送機から投下された戦車からのものだ。

 

「デメジエール、悪い癖だ。ベテランが反面教師となってどうする」

 

「遅いぞマイク。俺一人で全部平らげちまうところだったじゃねぇか」

 

 カラカラと笑う男の声。

 

 通信から聞こえてくる彼らのやり取りに、ノーランは呆気に取られた。

 

 戦争を愉しんでるのか?

 

 しかし部隊にいたヤク中とも違う。この戦いそのものを、まるでスポーツのような感覚で堪能している。そう感じた。

 

「おいMS(ヒヨッコ)共! ぼさっとしてないで動け! 戦場じゃあ足を止めるなと教わっただろう!」

 

 その言葉にノーランは我に返り、ようやく状況を把握する。

 

 先程までとは逆転して、今は敵のほうが浮足立っている。叩くなら今しかない。

 

「トニー! ドク! 隊長から教わった対戦車戦の教科書(マニュアル)は頭入ってるね! ヒトモドキをやるよ!」

 

「おう。任せろ!」

 

「わかったぜぇ姉御!」

 

「あたしが正面から引き付ける! トニーとドクはサイドだ!」

 

 何度も演習で繰り返した戦術だ。

 

 狙いをつけた一体にノーランは肉薄。ヒトモドキが砲撃してくるのを、ランダムに回避し距離を詰める。

 

 左右に挟むように展開したトニーとドクが、マシンガンで牽制する。

 

 敵の正面装甲は分厚く、120mmでも抜けないのだが、それでも敵はどの相手に対処するべきか迷いを見せた。

 

 その隙を突いて、ノーランはスロットルペダルを踏む。

 

 ブースター加速でまだ開いていた距離を一気に0にする。

 

「いっちまいな!」

 

 敵のザクを逃してしまった鬱憤も籠めて、ノーランは手にしていたマトックを振り下ろした。

 

 ヒトモドキの頭部、そこにキャノピーで覆われた操縦席があった。

 

 恐怖に染まった連邦兵の顔が目についたのは一瞬。

 

 振り下ろされた鉄塊は防弾ガラスを打ち砕き、見事に突き刺さる。

 

 ヒトモドキは力を失って、両腕を地面に向け垂らすと、その後は二度と動かなかった。

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