目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
戦闘は30分続いた。
勢いを取り戻したジオン軍は徹底した旋回機動でヒトモドキを翻弄し、全車輌を駆逐した。
特に戦果著しかったのは、投下された2両の巨大戦車だ。
ヒルドルブと呼ばれたその
ノーランの機動小隊は、ヒトモドキを1体、61式戦車を4輌撃破した。
トライデント&ジャベリン作戦は大成功に終わる。
わずか2日でアレクサンドリアを占領し、地中海を侵攻してきた海戦部隊と合流、そのままの勢いでさらに2日後にはエルサレムを落とした。
従来の戦争では考えられないほどの進軍速度であり、ジオンは地上においてもMSが最強であると連邦に知らしめたのだった。
だがすべてが快進撃となった訳ではない。
前衛部隊の速度に支援部隊が追いつけず、進行が滞った一面がある。
連邦の空挺部隊によって投下された新型兵器による分断作戦が成功していたら、戦況はもっと悲惨なことになっていたかもしれない。
ジャベリン作戦がうまくいったのは、北米から供与された新型の輸送機と、それに牽引された新型MTヒルドルブによる功績が大きかった。
事実、後続支援部隊はその中核を成すマゼラアタック中隊の3分の1が撃破され、事実上の全滅とみなされた。
ノーランが所属する第2混成部隊に至っては、中隊長であるウッヒ・ミュラー中尉が戦死している。
他の部隊員も連邦の待ち伏せにより戦死や重傷による本国移送となり、部隊維持は不可能と判断され解散となる。
ノーランたちは戦場に残ることを選択し、デメジエール・ソンネン少佐率いるアフリカ機甲戦師団に編入されることとなった。
ノーランは戦時特例もあり曹長へと昇進。第4MS機動分隊長として正式に任命。
トニー・ジーンは伍長へ。
ドク・ダームは兵長となる。
昇進に伴い正規兵と見做され、MSも最新のものを支給された。
トニーとドクは喜んでいたが、ノーランは気を引き締めていた。
アフリカ大陸南方はいまだに連邦の勢力下にあり、化石、鉱物資源の奪還のためにその牙を研いでいる。
なによりまだ未完成であったとはいえど、すでにMSに似た兵器を前線に投入してきているのだ。油断はできない。
自分を気にかけてくれていたウッヒも死んだ。
この先、見知った顔を何人も失っていくのだろう。
自身が選んだこととはいえ、そう思うと、男どものように楽観してはいられないのだった。
正式に小隊長となり、これからの戦い方を考えなくてはならない。教えてもらい、頼れる
やるべきこと、覚悟するべきことが山積していた。しかもそれら全ての解決策を、一から手探りで見つけていかなければならない。
だが、それでも今だけは、生き延びたことを素直に喜んでもいいのかもしれなかった。
戦場で生きているということは、自分がここにいていいと、世界に許された証明だと思うから。
これで第二部は終わりです。
三部は再び北米に視点が移ります。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。