目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第46話 Side『オルド・フィンゴⅡ』

 

「こいつ! 好き勝手やりやがって!」

 

「ちょっとキリシマ曹長! 立ち上がるなって言ってるでしょうが!」

 

 キリシマ曹長のドムを上に載せたまま、機体を右に旋回させる。

 

 うむ。旋回性はなかなかスムーズ。

 

「はっ! 女に乗っかられてはずかしくねぇのかガキンちょ君よ!」

 

 ゾッドのパイロットが通信でめっちゃ煽ってくる。

 

「あら、はしたない。ぶっ殺してさしあげますわ!」

 

 どっちもどっちだよ。

 

 正面から向かってくるゾッドに向かって、ドムがMMP-80をぶっ放すが、相手は華麗なロールをかまして難なく避けていく。

 

 くそう。やはりゾッド相手じゃ分が悪すぎるか。

 

「舐めんなぁ!」

 

 キリシマ曹長が吠えて、腰のヒートホークを引き抜き、投擲しようと身構えた。

 

 ちょっと! 近接武器の使用は禁止といっただろうに!

 

 気を取られた瞬間、背後からのロックオンアラートに咄嗟に機体を横に流す。

 

「あ、テメェ! オルド中尉! 勝手に動かないでくださるッ

!?」

 

「近接武器の使用も投擲武器も禁止だと言ってるでしょ! 当てたらどうすんの! それと、今ので撃墜7回目!」

 

 僕の目の前のコンソールには、撃墜判定のシグナルが点灯している。

 

 今は実機による実働試験の真っ最中。

 

 内容は、MSと機動兵器運搬用航空機の連携試験。

 

 上層部は、地球攻略において航空機の重要性を痛感したらしい。つい最近も、VZ-33という航空輸送機を開発、異例の速さで現場投入を決定したぐらいだ。

 

 MSは陸上において圧倒的な展開速度を持つが、ジオンが占領した地域に対していかんせん数が足りない。

 

 ドムの仕様変更と増産は急ピッチ行われているが、前線全てに行き渡るにはまだ時間がかかるし、戦場が広くなれば補給線も伸びる。

 

 そして地上のMSにとって、連邦の航空爆撃機は天敵と呼べるものだった。

 

 この点から、飛行用MSの開発がなされたのだが、これがすこぶる評価が悪い。

 

 MS-09H グフ飛行試験型。

 

 原作世界ではドムのものであった型式09番を与えられた機体。こっちでは、ドムのほうが先に作られてる。

 

 このグフ、新型の熱核ジェットエンジンを積んだものなのだが、ドム並みにでかいくせに、飛行させるために軽量化を行った結果、装甲はザクより薄い。おまけに大量のプロペラントを積載するので、被弾に弱いときた。

 

 航続距離も伸びなかったので、キャリフォルニア・ベースにて数回の試験の後に開発研究凍結となった。

 

 それを知ったので、ならば、と原作知識を利用してドダイを作ってみたのである。

 

 この世界、地球での物資の空中輸送はガウとゾッドがあれば事足りると上は考えてたみたいで、実は貨物輸送用のドダイは開発されていなかった。

 

 設計を行ってキャリフォルニアに頼んだら、試作機が送られてきたので、ニューヤークでの試験とあいなったわけだ。

 

 実働試験なので、使ってる武装は空砲。レーザー通信で撃墜判定を決めるというものだ。

 

 ヒートホークなんて投擲して、万が一当てたらとんでもないことになるし、外れた武器が落下しても問題だ。

 

 今回はMSを乗せた状態で、どれだけ戦闘機動が取れるかを

試験するものだから、そこまで相手の撃墜に拘らなくていい。

 

 と言いたいところだが、今のところ30分間でアグレッサーであるゾッドの撃墜は0。一方こちらは7回とかなり水をあけられている。

 

 うーんこりゃ駄目かなぁ。

 

 MSを乗せたデータをコンピューターに覚えさせて、訓練なしでもMS、もしくはこちらのドダイ側から操縦できるようにしたい。最終的にはドダイのパイロットは無人にしたいのだ。

 

 現状、到達点は遥か彼方だ。

 

 たった1機の戦闘機相手に、こうもやりこめられるとは。

 

「MSを乗せる以上、アクロバティックな動きはなぁ。それ以前に速度がやはり足りないか」

 

「これ以上何が足りないと言うんだ中尉」

 

 通信機から、低くこもった女性の声が響く。

 

 これ、ノイン大尉だ。

 

 しかも、めっちゃ怒ってる時のやつ!

 

「中尉、大佐がお呼びだ。何を言われるかはわかってるな? 鬼ごっこはやめにしてさっさと来い! 二度は言わん!」

 

「い、イエス・マム!」

 

 あ、ノイン女史は「サー」呼びでないと殴ってくるんだった。

 

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