目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

55 / 260
第50話 Side『オルド・フィンゴⅡ』

 

「大佐、撃たれたからって意味もなく銃を乱射しない。ドムの装甲は厚いから、61式の主砲くらってもぶち抜かれはしませんよ」

 

 戦闘が始まり、大佐は見事に苦戦していた。

 

 先鋒として出てきた61式戦車に囲まれ、我を失っている。

 

「ロックオンカーソールが二重になってから撃てばAIが予測射撃をフォローしてくれます。突出しない! 左右から挟撃されるでしょ!」

 

「ええい! 横からごちゃごちゃと!」

 

「戦車の戦法と代わりません。ドムなら戦車の背後を取れます」

 

「言われんでも!」

 

 ようやくコツを掴み始めたのか、大佐は旋回機動で戦車群の後背を取ると、120mmをぶっ放す。

 

 実際の部隊には、統合再整備計画で開発されたMMP-80がすでに配備されている。

 

 統合再整備計画とは、地球攻略において、初期には想定していなかった現場環境に、現兵器を対応させるための計画だ。

 

 MMP-80は、これまでの120mmが抱えていた問題――弾速が遅い、航空機以外への貫徹能力に欠ける、空気抵抗で弾道が一致しないといった点を改善したMS用機関銃だ。

 

 各部がユニット化されており、自由に改造が可能な設計裕度を持っている。なので、北米ではさっそく改造して小型軽量化したMMP-80Sを開発、採用した。

 

 まだシミュレーターに反映してないんだよね。

 

「やったぞ!」

 

 ガルマ大佐は61式戦車を全て撃破して喝采を叫ぶ。

 

 いいね。夢中になってくれているようだ。

 

「そのままトーチカもやってしまいましょう。固定目標ですから、バズーカが有効です」

 

 指示通り武器を持ち替えて大佐はトーチカを破壊していく。

 

 モニターに映るコックピットの中では、喜々とした表情を浮かべる大佐の姿があった。

 

 ふふ。そりゃあ楽しいだろう。今までMSを操縦することが叶わなかったんだからね。人型の兵器を思うように動かすということは、万能感のようなものを操縦者に与えてくれるものだ。

 

 全ての目標を破壊したところで、瓦礫の奥から一体のMSが現れる。

 

「この反応は……ザニーか?」

 

 ミッションの隠しボス、連邦のザニーだ。

 

「追加ミッションです。大佐、連邦のMSを撃破してください」

 

「しかし弾がないぞ」

 

 無駄撃ちしまくったからでしょうが。

 

「ヒートサーベルがあるでしょう」

 

「白兵戦か」

 

 ガルマ大佐はにやり、と笑うとドムの背中からヒートサーベルを引き抜く。

 

「一度やってみたかったのだ!」

 

 そういって真正面から突っ込む大佐。

 

 アンタもキリシマ(イノシシ)か!? なんでジオン軍人は格闘戦好きばっかなんだよ。

 

 ザニーが120mmキャノン砲を撃ち出すが、ガルマ大佐のドムは旋回機動で躱す。事前に読んでいたようだ。

 

 その後は、トーチカの残骸や窪地を利用して射線を外し、相手の背後を取るように動いていく。敵機を中心に円を描くように動いていき、徐々に彼我の距離を詰めていく。クレバーな作戦だ。

 

 意外に考えてるなぁ。若さゆえの順応性ってやつかな。

 

「もらった!」

 

 間合い内で背後をとった大佐のドムが、フェンシングのようにヒートサーベルを突きだす。

 

 プラズマ化された刀身はザニーのバックパックからコックピットブロックまでを容易に貫いた。

 

 機能停止したザニーは数度各部から小爆発を繰り返して、地面に倒れ伏す。アニメと違って爆散するのってそこまで起きないんだよね。

 

「お見事です、大佐。完璧にものにしてましたね」

 

「当然だ。私とて日頃の練磨は怠っていない」

 

 いや、MSの練習なんてそうそうできんでしょう。なにかな? 自分の体ひとつでフェンシングの突きとかイメトレしてたのかな?

 

 なんて考えていたら、「テレレテレテッテレー」と趣味で入れたス○Ⅱの効果音とともに、モニターに「HERE COMES A NEW CHALLENGER!」と表示が浮かびあがった。

 

「これはなんだ中尉?」

 

 乱入者です。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告