目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第55話 『オルド・フィンゴという男』

 

 ああはい、秘匿義務ってやつですね。

 

 先輩と会って飲んでたときに、ぽろっと教えてくれたんですが。

 

 あ、聞きます? 大尉も意外とゴシップ好き……すいません。睨まないでください。なんかゾクゾクするなぁ。

 

 は、はい。その、当時はMS開発チームが2つあって、同じ部署内でコンペティションをしてたようなんです。

 

 まあ、その結果ザクⅠが正式採用となるんですがね。

 

 その、ザクⅠと主力兵器の座を争ってたMSに対して、中尉はあまりよく思ってなかったらしいんです。

 

 再三にわたって設計上の欠点を指摘していたとか。

 

 その機体はフィンゴ中尉のご両親が開発チームとして関わっていたらしくてですね。不仲説も出てましたね。

 

 で、件の機体なんですけども、どうも試験中に暴走して爆破消失してしまったらしいんです。ただその暴走に管制機が巻き込まれて、フィンゴ中尉のご両親も亡くなってしまったとか。

 

 ですが、中尉は家族の訃報に「だから言ったのに」と告げただけなんだそうです。

 

 情が薄いというより、どこまでも達観したその様子に寒気がした、と先輩は言ってました。

 

 それもあって、中尉は開発局から移動になった。なんて物騒な話でして。

 

 そうですね。彼が何かを仕掛けたという証拠もあるわけではないですし。

 

 交友関係ですか?

 

 あー……開発局時代に彼女いたそうで――のわっ!? キリシマ曹長? いや、今は大尉と話してる途中……あ、はい。そうですね。仰せのままに。

 

 おかしいな。階級は僕の方が上なんですがね。

 

 は、はい! なんでも、なんでもないです。

 

 あーゾクゾクするぅ。

 

 先輩の話だと、ホシオカから出向してきた人といい仲になったとか。

 

 え? 誰かって? あー名前なんだったかな、ケイさんとか言ってたかなぁ。

 

 ぐぇっ! ゲホっ! なんで私の首を締めるんですか! 癖になったらどうするんです。

 

 ……知りませんよ。ただ、ホシオカ重工って言ったら、ジオ・マッドの下請け工場です。ザクを開発したとこだっていえば、整備士ならみんな知ってます。

 

 さあ? どこまでの関係かは知りませんって。本人にお聞きになられたらよろしいかと。

  

 あの人、あれであんまり表裏ない人間ですから、後ろめたいことないなら答えてくれるんじゃないですかね。

 

 整備班の大半とは仲いいですよ。なんでパイロットやってるのかわからないぐらい技術と知識もありますし、なによりうちら現場の声を上に届けてくれる窓口として便利……失言でした、忘れてください。

 

 これ、いったい何を調べているのでしょうか? わざわざ勤務中に呼び出してまで。

 

 ええ、結構いまはどの小隊の整備班もてんてこ舞いですよ。

 

 大尉殿も知っておられると思いますが、大佐が例のシミュレーターを認可、増産決定したじゃないですか。それで設営チーム作って各小隊で使えるようにすることになりまして。

 

 それと、中尉がキリシマ嬢のために組み上げた例のシステム「EWAC(イーワック)」でしたか。あれをMSに組み込む作業も並行してます。

 

 え? もっかい? 何を? イーワックですか?

 

 あー、中尉がキリシマ嬢のために作ったシステム、ですかね。

 

 はいはい。羨ましいことですねぇ。爆発すりゃいいんですよ、もう。

 

 とにかくそれ以外にも通常のMSや各部署の整備点検まで請け負ってるんですから、猫の手も借りたいって、やつです。

 

 あ、この言い回し中尉のものです。これも東洋の言葉なんだとか。とっても忙しいってことです。

 

 彼、やたらその島国のことだけは詳しいんですよね。もしかしたら、前世ではその国に住んでたことがあるのかもしれませんね。

 

 





 水星の魔女を観ました。

 毎週MS戦があるなら、観てもいいかなぁ。
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