目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
「よせ、二人とも」
たちこめた空気を、怜悧な声が断ち切る。
「あ、兄貴。すまん」
「申し訳ありません、兄上」
性格上、水と油のように合わない二人だが、長兄であるギレンの言うことには素直に従う。
ドズルにとっては、幼少の頃から気弱であった自分を常に庇い、励ましてくれた頼れる兄であり、キシリアにとっては、未だに旧態依然とした男尊女卑の蔓延るサイド3において、女である身の才覚を認め、政治の世界に導いてくれた兄だ。
「ドズルよ、キシリアとてガルマには期待している。それはお前も知っていることだろう。だからこそ、苦言を呈しているだけだ。末弟は若い分、甘えが抜けきれていないからな」
「それは……そうだな、すまぬキシリア」
「いえ、私も強く出過ぎたようです。申し訳ない」
長兄のとりなしで、すぐに沈静化する二人。そもそも憎み合うほどに兄妹仲が悪いというわけではないのだ。
「キシリアよ、これまでの献策は、確かにガルマの頭で考えたものではないだろう。だが、進言を聞き入れ、有用だと判断してそれを採用したのはガルマ自身の器量だ。そこは認めてやれ」
「はい」
「キシリア、お前はガルマが送ってきた筐体が、MSパイロットの醸成を早めると考えているのだな?」
「はい、そのとおりです。地上では欧州を攻略しなくてよい分、新兵の錬度を上げるための時間と余剰戦力を捻出することができました。そこにこのMS訓練用筐体が採用されれば、これまでMSを取り扱うことのできなかった兵でも、乗りこなすまで育つかもしれませぬ。そうしてさらに浮いた戦力の一部をオデッサとアフリカに回し、残りは数の激減している宇宙攻撃軍に割り当てたらどうかと考えております」
「それは助かる! 数だけでなく、兵の質も落ちているからな。地上を制圧しても、ソロモンを抜かれたのでは話にならん」
「ふむ。つまり、地上限定で兵にMS転科を許可し、元々宇宙軍に配属されていたパイロットを宇宙に戻すというのだな?」
新型の筐体は、宇宙でMSを運用するためのプログラムを持っていない。だが、地上での仮想訓練プログラムとしては秀逸といえた。
「他にも、慣れない環境で体調を崩す兵も多く、貴重なMSパイロットは交代要員も少ないため、一時的にでも宇宙に帰らせることがなかなかできないのです」
「戦争は数。数は力――先にドズルが言った通りだな。よかろう。地上への訓練用筐体の配備と、配属の見直しを行う。ドズルは連邦をルナ2にとどめておけ。ストレスを与えるのは構わんが、つつきすぎるな」
「落とさないのか?」
「勝てばよいというものではない。いまルナ2を取れば、地球での連邦の攻勢が強まるかもしれん。まだ他サイドとの連携も密ではない。いましばらく時間が必要だ。ゲルググの製造ラインも急ピッチで進めているが、まだ数は揃えられん」
ドズルはやや不満げな顔を浮かべたが、うなずいて承諾した。
「兄上、もう一つ懸案がございます」
「なんだキシリア?」
「連邦が、MSに携行可能なビーム兵器の開発に成功したとの情報がもたらされました」
水星の魔女、お話的に大規模戦闘はないのかな?
メカモノのオールドスクールは、メガトン級ムサシで補填するしかないかのう。