目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第64話 Side『オルド・フィンゴⅡ』

 

 ディライア少尉のザクは、左足をビームで吹き飛ばされた。

 

 狙われたというより、撹乱膜によって偏向したものに当たってしまったのだろう。

 

 バランスを崩したザクは前のめりに倒れる。

 

 これが改装前のJ型だったら、各パーツのブロック化が完全にはできておらず、ビームの熱でプロペラントが誘爆していたかもしれない。

 

「ああくそ! 最悪!」

 

 悪態をつくディライア少尉。

 

 足のもげた地上用MSなんて、ただの的だ。

 

「ドナ1! ドナ2のフォローを――」

 

 ノイン大尉の指示はさすがに聞けないな。

 

 あれ、足手まといでしょ。

 

「寝ててね」

 

 素早く照準をディライア少尉のザクに合わせ、引き金を引いた。

 

 頭部が吹き飛び、何とか四肢を動かそうともがいていたザクは、完全に動きを止めた。

 

「ライトニング2!? どういうつもり――」

 

「前方10時方向! 新手! 数は4!」

 

 エターナ少尉の張り詰めた声。

 

 モニターにピックアップで映し出された映像には、ジム3機と、似てはいるがところどころがグレーのモザイクがかかった機体。

 

 頭部にV字が見える。

 

 間違いない、ガンダムだ!

 

 新手は散開しつつこちらに迫ってくる。先の部隊よりも動きが滑らかだ。

 

 ガンキャノンやガンタンクと連携されると厄介だな。

 

「指揮官機、携行型ビーム砲を持ってる模様。各機は注意願います!」

 

 タンブルウィードからの解析画像が送られてくる。

 

「げ」

 

 思わずつぶやいてしまった。

 

 指揮官機――白じゃなくて、黒い悪魔(ヘビーガンダム)だった。

 

 ジ・オリジン版のヘビーガンダムだ。

 

 右肩部にビームキャノン、専用のシールドとビームライフルを持っている。

 

 特徴的なフレームランチャーは持っていないようだ。

 

「各機は取り巻きを! 指揮官機は私がやる」

 

 ゼクス少佐が相変わらず突撃する。

 

 キリシマ嬢のような考えなしの突貫ではなく、敢えて自分に攻撃を集中させるつもりのようだ。

 

 ジムの放つマシンガンを、うまくダミーに誘導して、濃いビーム撹乱膜を展開させる。

 

 少佐が増援を分断している隙に、先方部隊を潰すのが大事だ。

 

「坊主! なぜ撃った?」

 

 バーツ中尉の質問が飛んでくる。

 

 まあ聞いてくるのは当然だけど、くどくど説明する余裕はない。

 

「無駄死にさせないため」

 

「オーケー。納得だ」

 

 納得するんだ。

 

 ディライア少尉のザクを撃ったのは、誤射で撃破されたよう偽装するためだ。

 

 足をやられたMSでも、固定砲台の代わりはできる。そんな脅威を敵が見逃すはずがない。なにせビーム一発放てば確実に落とせる。

 

 死んだふりをしておいてもらったほうが、仲間としても楽だ。

 

 事実意図を悟ってくれたようで、ディライア少尉のザクは主動力を落として、熱反応を下げている。

 

「さて、俺の女を撃ってくれた礼をしなきゃな!」

 

 そう言ってバーツ中尉はガンキャノンに向けてマシンガンを乱射する。

 

 俺の女って……ディライア少尉は別に彼氏いたはずだけどね。通信も切ってるからって言いたい放題だなこの人。

 

「オイオイ! 直撃してんのに無傷かよ! 頑丈ってレベルじゃねぇぞ」

 

 ガンキャノンはルナチタニウム合金製で、ガンダムより装甲厚いからな。動きを止めるなら大口径の砲弾で衝撃を与えるか、関節を狙うしかない。

 

「ドナ1! 引きつけろ!」

 

 ノイン大尉の指示に従い、バーツ中尉は弾幕を張りつつ距離を詰める。

 

 横からノイン大尉のドムが急接近し、ヒートサーベルを薙いだ。

 

 ガンキャノンは体を捻って、真っ二つにされるのを避けはしたが、代わりに左腕を斬り落とされる。

 

 反撃としてビームライフルを撃つが、そんな攻撃に大尉が当たるはずもない。そのままガンタンクに向けて走っていき、バズーカを履帯に向けて撃ち込み動きを止める。

 

「いただきました!」

 

 動けなくなったガンタンクを、キリシマ嬢がヒートホークで始末する。

 

 その間僕は無傷のガンキャノンをライフルで牽制だ。

 

 ルナチタニウム合金を弾芯に使った貫徹弾を胴体にぶち込んでやると、相手の反応は思ったよりも悪かった。避けるかと思ったのに、腹に直撃を受けて沈黙する。

 

 コックピット撃ち抜いちゃった。

 

 バーツ少尉は2丁のマシンガンを交互に使って、片腕だけのガンキャノンを釘付けにしている。

 

 いくら装甲が固くても、運動エネルギーの全てを殺しきれるわけじゃない。被弾の衝撃は想像よりもパイロットを消耗させ、判断を鈍らせる。

 

 撃たれたまま、むりやりビームライフルを撃とうとしたところに、バーツ中尉は弾が尽きたマシンガンをメインカメラに向けて投げつけた。

 

 バランスを崩したガンキャノンに体当たりをかましてひっくり返すと、足で踏みつけ動けなくしてから予備のマシンガンのフルオート射撃を胴体に叩き込む。

 

 超至近距離で90mmの雨を受けた機体は、痙攣するような動作ののち、完全に沈黙した。

 

 さて、これでノルマをひとつクリアだ。

 

 問題は黒いヤツ(ガンダム)である。

 





 水星の魔女、3話を遅ればせながら視聴。グエルの乗ってる機体、かっこよー。
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