目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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 勢いありきで書いてますので、整合性は二の次となっております。


第7話 Side『ゼクス・マーキス』

 

 煩悶を抱えた学生時代を終え、私は新たに設営された宇宙攻撃軍に配属された。

 

 軍は新兵器であるMS(モビルスーツ)を主力と定め、全兵に適性試験を行わせた。結果、私はその試験で高い適正を示すことに成功する。

 

 暗礁宙域にて密かに行われた高機動型ザクⅡの実働試験において、偶然遭遇した連邦のセイバーフィッシュ小隊を全機撃墜し、その功を持って大尉となった。

 

 そしてついにジオンは決起する。

 

 連邦への宣戦布告。私は第3機動大隊に配属され、MS小隊の隊長を務めるはずであったのだが……。

 

 異例の二階級特進を受けた私を上官は好まなかったようだ。

 

 私が拝領していたザクⅡRは本来ならどこも問題がないというのに整備不良ということにされ、出撃を中止された。

 

 30倍の戦力を持つ相手に戦争を仕掛けようという中で、同胞の足を引っ張るなど、我が故国は随分と余裕があるものだ。

 

 私はいったい何のために軍人になったのか。

 

 求めていた真実も得られず、復讐することも叶わず、軍の中で理不尽な軋轢に晒されている。

 

 軍人として故国を守るのだ、という使い古されたスローガンが虚しく頭の中で響く。

 

 私にとって故国とはなんなのか?

 

 父と母と、生まれたばかりの妹をくだらない政争のために奪っておきながら、それを守れなど。

 

 独立という、一見甘美な果実を前に皆、狂乱奔走しているだけではないのか。

 

 戦う意味を見いだせないまま作戦遂行時間だけが過ぎていく。

 

 暗澹たる気持ちのまま、デッキに佇む私に声をかけてくれたのは我が部隊員と整備士たちであった。

 

 MSに乗れない私にせめて、と航宙戦闘機であるゾッドを用意してくれていたのだ。

 

 足りないMSの数を満たすための間に合わせの機体であるのだが、設計母体は連邦の最新機であるセイバーフィッシュだ。一度対峙した身であるから知っているが、件の機体は戦闘機として高い性能を有している。

 

 共に戦線に立つ仲間たちが用意してくれたものだ、これで戦えなければそれこそ私は人でなしだ。

 

 折れかける気持ちを奮い立たせ、私は閃光舞い散る前線へと飛び出した。

 

 そして、そこで奇妙な少年と出会う。

 

 いや、少年と呼ぶには語弊がある。

 

 補給のために最寄りの艦に寄った際に出会った彼は、見た目こそ少年ではあったが、階級は中尉であり、聞けば私よりも年上であった。

 

 気だるげな雰囲気を纏った彼は、私の顔を見るなり息を呑んで目を大きく開いた。

 

 ここにいるはずない存在に出会ってしまった、という驚きに満ちた表情である。

 

 どこかで会ったか? それとも……私がピースクラフト家の生き残りだと知っているのか?

 

 強く警戒する私の心中とは対象的に、彼は素早く表情を消すと軍人というより、若い学生のような斜に構えた態度でこちらに接してきた。観察するかぎり、彼がこの艦の整備責任者であるようだ。

 

 悪気がないのもわかる。おそらくそれが普段の仕草として染みついているのだろう。見た目とは裏腹に、彼の目はどこか遠くを見ていて、老成したような光を湛えていた。

 

 不思議な男だ。

 

 戦場へ出るために小破したザクを強請る私に、彼は上官に対して向けるものではない、露骨に迷惑した顔を見せる。だが私が折れないと知ると、ため息をつき、驚く言葉を吐いた。

 

「後の世の兵士のためですか」

 

 後の世の兵士――その言葉が、まるで閃光のごとく私の全身を貫いた気がした。

 

 この戦いが勝つにせよ負けるにせよ、人が集い暮らす時代が続くのならばそこに必ず戦いが生まれる。その中で、数多の兵士たちが散っていくだろう。そうしたまだ見ぬ後輩たちに、軍人としての道標として戦いぬく。国や思想のためではなく、続く同胞たちのために。

 

 守るものもなく、私と同じような鬱屈した思いを抱いたまま戦場へ立つ兵士たちは少なからずいることだろう。そんな彼らのために、仲間のために戦うものが居てもいいはずだ。

 

 そんな光明を得た気がしたのだ。

 

 冷めたような口調で熱い言葉を告げた彼は即座に準備に走り始めた。優秀な整備士である。

 

 だがザクに問題があった。

 

 内装しているプロペラントタンクが機能しておらず、燃料が通常の半分以下でしかないと告げられた。

 

「片道で良ければお連れしますよ」

 

 どういうことか聞けば、私が乗ってきたゾッドに彼が搭乗し、前線まで牽引するという。

 

「それでも戦闘するにはプロペラントは足りないと思いますがね。止めても行くんでしょう」

 

 現場の責任者が独断で持ち場を離れるなどあってはならないことだが、彼もまた後の世の何か(・・・・・・)のために賭けているのだろう。

 

 こうして私はゾッドに牽引され、出撃することになる。

 

 そこでようやく名を聞いていないことに気づき問うと、相変わらずのつまらなさそうな返答があった。

 

「第4機動大隊所属、オルド・フィンゴ中尉であります」

 

 私は、後に一年戦争とも呼ばれる戦いの中で、一人の盟友と出会ったのだ。





 またヒロイン書けなかった。

 いっそゼクスがヒロインでもいい気がしてきた……。
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