目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第73話 Side『灼熱の抗戦』

 

 0079.04――。

 

 そして今、ハルト・ランガーはエルサレムにいた。

 

 ダストコロニーの悪夢から一週間も経ず、ジオンは連邦からの独立を一方的に宣言し、宣戦布告を行った。

 

 突然の焦眉の事態に、友の救助――状況から、生存は絶望的なものではあったが――は打ち切られ、ハルトの所属する艦はルウム艦隊と合流する。

 

 その間、地球はジオンが落とした隕石群によって壊滅的な打撃を受けていた。

 

 そして、故郷であるドイツのアンハウゼンは地図から消失した。

 

 父母と、婚約者と共に。

 

 

 怒りと雪辱に燃えて挑んだ戦線。

 

 そこではじめて、あの場所で仲間が見たであろう、一つ目の巨人に自らも相対することになる。

 

 モビルスーツ・ザク。

 

 初めて目にする兵器を前に、自分は何もできなかった。

 

 FF-3セイバーフィッシュは決して粗悪な性能の戦闘機ではない。だが、機動性も運動性もあの巨大な人型のほうが圧倒的に上であった。

 

 仲間が一矢報いようとザクに体当たりを敢行したが、肩の装甲板をひしゃげさせただけで、それはまったくの無駄死にであった。

 

 ハルト自身も攻撃をかわされ、上方からの蹴りを受けて機体が爆散した。

 

 巻き込まれる前に運良く脱出できたが、あの漆黒の空間で自らの無力さに打ち震えるしかできなかった。

 

 ダストコロニーの時も、ルウムの時も、自分には何一つ抗うことができなかった。

 

 生き残り、友軍の救助艇に収容されたのは、運が良かっただけだ。

 

 ミノフスキー粒子下でのMSの有用性を認めた上層部は、早急なMSの開発とパイロットの育成を始める。

 

 陸軍、空軍、海軍、宇宙軍それぞれがMSを開発すること。それがG4計画であった。

 

 計画の中で、新兵器であるMSの運用方法を模索するため、実戦にてデータを収集する部隊として、独立機械化混成部隊が設立される。

 

 第07独立機械化混成部隊。

 

 MS2個小隊の、およそ130名からなる試験部隊。

 

 通称モルモット部隊。

 

 この部隊の話を耳にしたとき、ハルトは即座に転属を希望した。

 

 ジオンに勝つにはMS()がいる。

 

 たとえ実験台だろうとも、それを手にすることができるのならば構わない。

 

 北米での訓練を経て、今はこのエルサレムへと派遣された。

 

 目的は、旧ロシア領と北アフリカのジオン軍が連携しようとしている動きを止めることだ。

 

 ここで食い止めねば、連邦中東軍は壊滅してしまうことだろう。

 

 そうなれば北アフリカのほとんどを占領しているジオンアフリカ方面軍と、広大な土地を支配下に置いたジオン旧ロシア方面軍の連携網が完成してしまい、戦局に、より深刻な損傷を被ることになる。

 

 中東への援軍として、ハルトを含む部隊はここまでやってきたのだ。

 

「――以上で最終チェック終わります。お疲れ様です少尉」

 

 オペレーターの声をコックピットで聞いて、ハルトは我に返った。

 

 整備後機体各部の動作チェック。わざわざパイロットが同乗しなくてもよいと思えるが、MSの操縦に慣れた人間は連邦にはまだ一握りしかいない。

 

 整備士も急ごしらえでしかなく、未だ作業がおぼつかない程であった。

 

 コックピットを降り、ハンガーに立つ自分の機体を見上げる。

 

 MS-06 ザクⅡ。

 

 ジオン製のモビルスーツ。

 

 鹵獲したものを試験運用のために改造した機体だ。

 

 ――自国にはまだ、モビルスーツ()はない。

 

 今は、まだ。

 

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