目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第77話 Side『灼熱の抗戦』

 

 モニターには硝煙煙る戦場が映る。

 

「いやー暑かったぜぇ! 作戦前に干からびるんじゃないかとヒヤヒヤしたさ」

 

「肝が冷えたなら丁度良かったじゃないですか」

 

 フィリップの軽口にサマナが日頃の皮肉を込めて応酬した。

 

 そんななか、ハルトは冷静に戦況を確認する。

 

 マゼラアタックの戦列が見える。都合よく彼らの脇腹を捉えたようだ。

 

 自分たちと同じように砂地に潜んでいた61式の戦車隊が、雨のように砲撃を始める。

 

「こちらブルー1。ブルーオアシス、攻撃目標をMSではなく、マゼラアタックに変更だ」

 

「え? MSはいいんですか?」 

 

「復唱はどうした!」

 

「は、はい! 各機、敵車輌を攻撃してください!」

 

 伍長のホバートラックからの相互通信で、戦場に展開するマゼラアタックの凡その配置が送られてくる。

 

「サマナ准尉は予定通り、61式の援護とブルーオアシスの直掩だ」

 

「了解です!」

 

「おうハルト、お人形さんは撃たなくていいのか?」

 

「思ったよりも奴らの足が早い。後のことを考えるとマゼラの数を減らす方が合理的だ」

 

「了解さん」

 

 フィリップとハルトは同時にマゼラアタックの戦列、中央に飛び込んでいく。

 

 ザクに乗っているためか、味方と誤認した様子の相手に、100mmマシンガンをこれでもかと食わせてやる。

 

 MS用携行火器として開発されたヤシマ重工製の100mmマシンガンは未だに量産試作型ではあるが、有効射程内であればザクの装甲を容易に貫徹し、重装甲のドムにも有効打を与えることが可能だった。

 

 これまでの兵器であれば重砲といってよい大口径の銃弾を無数に浴びせられ、マゼラアタックは爆発炎上した。

 

 ようやくこちらを敵と認識した車輌が、大きく距離を取るように迂回するが、そう簡単に砲撃適正距離を取らせてやるつもりはない。

 

 MSの機動性に物を言わせ、強引に戦車の後背を奪う。

 

 後は簡単だ。

 

 たった数発の弾丸をプレゼントしてやればいい。

 

 マゼラの装甲など、まるで缶詰の蓋だ。

 

 次々と車輌を撃破していくなかで、ハルトの前に見慣れないMSが現れた。

 

 姿はザクに似ている。

 

 だが、ところどころ関節のフレームが剥き出しになっており、ザクよりも曲面の少ないフォルムだ。

 

「新型か?」

 

 思わずつぶやくが、同時に違うと直感的に判断した。

 

 相手の動きが悪く見える。

 

 どこが悪い、とはうまく判別できないが、全体の動きがどこか安っぽいような、洗練されていない感じがした。

 

 先日、ジオンが自国に友好な他サイドに向けてMSを輸出したという情報を耳にしたのを思い出す。

 

 (モンキーモデルか? なら乗っているのは志願兵か)

 

 相手の動きが悪いのは、搭乗している機体が廉価版であることと、パイロットが未熟なせいであろう。

 

 ようやく向こうが動き始める。

 

 特に回避行動すらみせない、単調な突進だ。

 

 ハルトは機体を素早く動かし、相手の射線の間にマゼラアタックを挟むように立ち回る。それだけで銃撃に鈍りが出た。やはり乗っているのは素人だろう。

 

 遠慮をすることはない。

 

 敵MSに向けて100mmを撃ち放つ。

 

 相手の反応が意外にもいい。銃口を向けた瞬間、機体を素早く移動させて銃撃を避けた。

 

「意外にやる!」

 

 相手の瞬発力はザクよりも上のようだ。おそらく機体が軽いのだろう。

 

 100mmはジオンが使っている120mmマシンガンよりも弾速と発射サイクルに優れた武装だ。初速があるために近距離での集弾率は悪くない。

 

 それでも相手に致命打を与えるに至らない。

 

 動きが巧みということではなく、敵陣の真っ只中で複数の戦車を相手にしながらMSとも戦闘するというのはいささか荷が勝ちすぎていた。

 

 とは言え、背中を見せればマゼラかMSどちらかにやられるだろう。

 

 相手がなかなか決着がつかないことに苛立ったのか、銃を捨て、ツルハシのような近接武器を手に取った。

 

 ハルトにはそれは悪手に思えた。

 

 MSの機動戦では、相互の速度から近接武器を扱う時間は一瞬でしかない。かわされてしまえば反撃が確定するほどに大きな隙を晒すことになる。

 

 こちらの牽制射撃をものともせず猛然と突っ込んでくる相手に、ハルトは決着をつけることを決めた。

 

 動かなくなったマゼラアタックを間にはさみ、わざと見せつけるように100mmの弾倉を交換する。

 

 案の定、敵は好機とばかりに突進してきた。

 

 ツルハシを振り上げたところで、体当たりをぶち当てる。

 

 さすがにそれで破壊とはならなかったが、搭乗しているパイロットにはすさまじいまでの衝撃が襲うことになる。まともな操作もできなくなるほどだ。

 

 こちらのザクよりも軽い機体は、仰向けに倒れた。

 

 ハルトは素早くヒートホークを抜き、相手にとどめを刺すべく振りかぶる。

 

「悪く思うな」

 

 瞬間、衝撃が走った。

 

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