目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
前方に見える丘の向こう側から、ドムが3機現れる。
完全な待ち伏せだ。
無人の小型哨戒機にでも捉えられていたのだろうか。
さらに伍長の切迫した声が思考を切り裂く。
「さらに駆動音!? 砲撃きます!」
同時に衝撃がハルト達のコックピットを揺さぶる。近くに着弾した砲弾の爆発によるものだ。これが直撃していたらと思うと背筋が冷える。
「伍長!」
「っ! すいません! 丘の向こう、これはMTです!」
「くそっ!」
ハルトは毒づいた。
MT――間違いなく、北アフリカで投入されたという新型だ。この砂漠で姿が見えないのに砲撃されたということは、今の砲撃は電磁投射砲によって丘を越えて撃たれたものだろう。
「ブルー2! 上のゾッドを狙え!」
「わかってるさ!」
フィリップ少尉がビームライフルを上空に向けて放つ。ビームライフルはMSとともに届けられた新兵器だ。メガ粒子砲を携行可能にした武器であり、スペック通りの性能ならば、ジオンの兵器群に対して圧倒的な戦果が期待できるはずであった。
しかし彼のジムは射撃の反動を殺しきれず、仰向けに倒れ込んだ。
放たれた赤い光線は辛くもゾッドを貫き、撃墜せしめる。
「くっそ! 反動制御値どうなってんだ!」
「早く起きてください少尉!」
「わかってる! ああクソ! 右腕がイカれやがった! ライフルはもう撃てねぇ!」
フィリップが機体のエラーを告げてくる。
ビームライフルの反動で、ジムの右腕にあるパワーユニットが故障したのだろう。
これだから試作品は信用できないと、ハルトは舌打ちした。
「ブルー3、ライフルは使うな! 100mmとミサイルランチャーを使え!」
「了解!」
サマナ准尉がゾッドに向けてミサイルを発射する。
ミノフスキー粒子下でも使えるレーザー誘導装置を積んだミサイルだが、それほど誘導効果は高くない。
ましてや運動性にすぐれたゾッドだ。容易に振り切られ、ミサイルを回避する。だが、機首にハルトの放った100mmが当たり、空中で爆発した。
「ブルー2、行けるか?」
「ああ。右腕は死んだが、左だけならなんとかなる」
「よし。ブルー3はブルー2を援護しろ。オアシスはMTの位置を徹底的にマークだ」
指示を飛ばし、ハルトは向かってくるドムたちを視界に捉えた。
彼らは単純にも、こちらに直進してくる。
肩が赤く塗られ、頭部にブレード型のアンテナをつけた指揮官タイプと、両肩にキャノン砲を積んだ砲撃タイプが2体だ。
勢いはあるが、動きに熟練は感じない。
特に装備重量の影響か指揮官機が突出しており、後続の2機は散慢に砲撃を行うだけだ。
相互が動き続けている状況で、弾速の遅い大口径砲にそうそう当たるものではない。
ジオンの悪癖を表した小隊といえた。
部隊内で練度が一定しておらず、それぞれが連携をとれないのだ。
サマナが撃ったミサイルを避けるため、後続の機体が大きく迂回したことで、指揮官機が孤立する。
そこをハルトは狙い撃った。
100mmが命中し、肩の装甲が弾け飛ぶ。そのまま連射により致命傷を与えるはずだったが、突如射撃が止まった。
機器がエラーを伝えてくる。
見れば、排莢部に薬莢が挟まっている。
空薬莢が煙突のように見えるため、ストーブパイプと呼ばれる
「くそ! こんな時に!」
本来MS用の小銃は、電動で強引にスライドを引くために、スライドの後退量が足りなくなるということは、まず起こり得ない。
考えられるのは、先程の砲撃の衝撃と、対空砲火を行ったときにフレームに歪みが出たか、制御基部が損傷したかだ。
ドムがマシンガンで反撃してくる。最近普及した新型の小銃だ。連射力があり弾速も早い。
辛うじて防いだシールドが半ば砕け散った。
怒りを込めて、使えなくなったマシンガンを相手に投げつけるが、それはドムの腕で払われてしまった。
接近してきたドムがサーベルを抜く。
「やらせるか!」
ガンダムには格闘用武装として、ビームサーベルが装備されている。しかし装備箇所は脚部、人間でいうところの脹脛側面であり、咄嗟の防御には使えない。
ハルトは瞬時に判断し、腰部背面に予備として装備してきていたヒートホークを左腕で引き抜いた。
テスト機であったザクのものである。
ドムのサーベルを受け止め、薙ぎ払う。
その間に、本命であるビームサーベルを右腕に持った。