目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第81話 Side『灼熱の抗戦』

 

 前方に見える丘の向こう側から、ドムが3機現れる。

 

 完全な待ち伏せだ。

 

 無人の小型哨戒機にでも捉えられていたのだろうか。

 

 さらに伍長の切迫した声が思考を切り裂く。

 

「さらに駆動音!? 砲撃きます!」

 

 同時に衝撃がハルト達のコックピットを揺さぶる。近くに着弾した砲弾の爆発によるものだ。これが直撃していたらと思うと背筋が冷える。

 

「伍長!」

 

「っ! すいません! 丘の向こう、これはMTです!」

 

「くそっ!」

 

 ハルトは毒づいた。

 

 MT――間違いなく、北アフリカで投入されたという新型だ。この砂漠で姿が見えないのに砲撃されたということは、今の砲撃は電磁投射砲によって丘を越えて撃たれたものだろう。

 

「ブルー2! 上のゾッドを狙え!」

 

「わかってるさ!」

 

 フィリップ少尉がビームライフルを上空に向けて放つ。ビームライフルはMSとともに届けられた新兵器だ。メガ粒子砲を携行可能にした武器であり、スペック通りの性能ならば、ジオンの兵器群に対して圧倒的な戦果が期待できるはずであった。

 

 しかし彼のジムは射撃の反動を殺しきれず、仰向けに倒れ込んだ。

 

 放たれた赤い光線は辛くもゾッドを貫き、撃墜せしめる。

 

「くっそ! 反動制御値どうなってんだ!」

 

「早く起きてください少尉!」

 

「わかってる! ああクソ! 右腕がイカれやがった! ライフルはもう撃てねぇ!」

 

 フィリップが機体のエラーを告げてくる。

 

 ビームライフルの反動で、ジムの右腕にあるパワーユニットが故障したのだろう。

 

 これだから試作品は信用できないと、ハルトは舌打ちした。

 

「ブルー3、ライフルは使うな! 100mmとミサイルランチャーを使え!」

 

「了解!」

 

 サマナ准尉がゾッドに向けてミサイルを発射する。

 

 ミノフスキー粒子下でも使えるレーザー誘導装置を積んだミサイルだが、それほど誘導効果は高くない。

 

 ましてや運動性にすぐれたゾッドだ。容易に振り切られ、ミサイルを回避する。だが、機首にハルトの放った100mmが当たり、空中で爆発した。

 

「ブルー2、行けるか?」

 

「ああ。右腕は死んだが、左だけならなんとかなる」

 

「よし。ブルー3はブルー2を援護しろ。オアシスはMTの位置を徹底的にマークだ」

 

 指示を飛ばし、ハルトは向かってくるドムたちを視界に捉えた。

 

 彼らは単純にも、こちらに直進してくる。

 

 肩が赤く塗られ、頭部にブレード型のアンテナをつけた指揮官タイプと、両肩にキャノン砲を積んだ砲撃タイプが2体だ。

 

 勢いはあるが、動きに熟練は感じない。

 

 特に装備重量の影響か指揮官機が突出しており、後続の2機は散慢に砲撃を行うだけだ。

 

 相互が動き続けている状況で、弾速の遅い大口径砲にそうそう当たるものではない。

 

 ジオンの悪癖を表した小隊といえた。

 

 部隊内で練度が一定しておらず、それぞれが連携をとれないのだ。

 

 サマナが撃ったミサイルを避けるため、後続の機体が大きく迂回したことで、指揮官機が孤立する。

 

 そこをハルトは狙い撃った。

 

 100mmが命中し、肩の装甲が弾け飛ぶ。そのまま連射により致命傷を与えるはずだったが、突如射撃が止まった。

 

 機器がエラーを伝えてくる。

 

 見れば、排莢部に薬莢が挟まっている。

 

 空薬莢が煙突のように見えるため、ストーブパイプと呼ばれる動作不良(ジャム)だ。

 

「くそ! こんな時に!」

 

 本来MS用の小銃は、電動で強引にスライドを引くために、スライドの後退量が足りなくなるということは、まず起こり得ない。

 

 考えられるのは、先程の砲撃の衝撃と、対空砲火を行ったときにフレームに歪みが出たか、制御基部が損傷したかだ。

 

 ドムがマシンガンで反撃してくる。最近普及した新型の小銃だ。連射力があり弾速も早い。

 

 辛うじて防いだシールドが半ば砕け散った。

 

 怒りを込めて、使えなくなったマシンガンを相手に投げつけるが、それはドムの腕で払われてしまった。

 

 接近してきたドムがサーベルを抜く。

 

「やらせるか!」

 

 ガンダムには格闘用武装として、ビームサーベルが装備されている。しかし装備箇所は脚部、人間でいうところの脹脛側面であり、咄嗟の防御には使えない。

 

 ハルトは瞬時に判断し、腰部背面に予備として装備してきていたヒートホークを左腕で引き抜いた。

 

 テスト機であったザクのものである。

 

 ドムのサーベルを受け止め、薙ぎ払う。

 

 その間に、本命であるビームサーベルを右腕に持った。

 

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