目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜   作:妄想零炎

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第82話 Side『灼熱の抗戦』

 

 振り上げたビームサーベルは、ドムのヒートサーベルで防がれる。それぞれの磁場がぶつかる硬質な音が響く。

 

 切り結んだまま、胸部バルカン砲を撃つが、ドムの分厚い装甲に阻まれ致命打は与えられない。

 

 思ったよりも手強い。

 

 ハルトに焦りの感情が生まれた。

 

 少しでも早く指揮官を抑え、戦術的有利を取ろうとした目論見はすでに崩れている。

 

「ブルー2、ドム1機撃破!」

 

 伍長からの報告。

 

 炎上した砲撃型ドムが、仰向けに崩れ落ちるのが見えた。胸部ハッチが開き、パイロットは脱出したようだ。

 

 機体にエラーが出ているフィリップだったが、ベテランの意地を見せた。相手小隊の連携が取れておらず、サマナ機が援護しやすい状況であったのも功を奏した。

 

 仲間がやられるのを見た指揮官は焦れたのだろう。マシンガンを投げ捨てたのを見て、ハルトはさらに自分たちに状況が有利になったことを確信した。

 

 もっとも恐れていたのは、ドムの機動力で延々と牽制射撃を行われることだったからだ。

 

 MSは人間ではないから、弾が一発当たった程度では致命傷にならないし、相手の装甲は厚い。自分ならそこを利用して、付かず離れずの距離で射撃戦を行い、味方機の砲撃も絡めて攻める。

 

 想定外の不運が重なったが、敵の指揮官が未熟で助かった。

 

「隊長! MTが出てきます!」

 

 レーダーに新たな機影が表示される。

 

 距離は10kmもない。

 

「もう合流されたか。ブルー3! ライフルで狙撃はできるか!?」

 

「射程圏内です。やってみせます!」

 

「撃破はいらん! 足を狙え! 擱座させればいい!」

 

「ハルト、撤退するのか?」

 

 フィリップが意図を察知して問いかけてくる。

 

「そうだ」

 

 MTの足を止めれば、数の不利を押し通してまでMSも追っては来ないはずだ。

 

 こちらも、フィリップの機体トラブルは解決していない。このまま強行するのは無謀だろう。

 

 切り込んでくるドムのヒートサーベルを、ビームサーベルで切り払う。

 

 出力が高い方が、相手のプラズマ粒子の磁場を侵食する以上、本体のあるヒートサーベルは切断される。

 

 勢いで凪いだ一撃は、浅く相手の胸部と頭部モノアイスリットを損傷せしめただけに終わった。

 

 さらに武装を切り替え、2連装ロケットランチャーを叩き込む。

 

 陣地攻略用の武装であり、対MS用途としては破壊力に欠けるが、それでも相手は堪らずに後ろに下がった。

 

「サマナ!」

 

「はい!」

 

 准尉のジムが、ビームライフルを両手で構え、姿を現したMTを狙撃する。

 

 赤い光条は相手の左下部、キャタピラ部分を貫き、炎上させた。

 

「撤退する!」

 

 ホバートラックが煙幕を張り、それに合わせて後退する。

 

 追撃として砲弾が飛んでくるが、狙いは定まっていない。

 

「ハルト、レッドチームはどうするんだ? 俺たちの支援がないままじゃまずかろう」

 

 撤退しながら、フィリップが聞いてくる。

 

「俺たちは完全に待ち伏せされていた。こちらの情報が漏れている可能性がある。おそらくレッドチームも同じく待ち伏せを受けているだろう」

 

「スパイがいるっていうのか?」

 

「わからん。だが隊長として、この状態で作戦続行は不可能と判断した」

 

 そう告げつつも苦いものが込み上げてくるハルトだった。

 

 

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