目が覚めたら宇宙世紀…だよね?〜ジオンが独立に至るまで〜 作:妄想零炎
戦場でアルマがときおり見せる、低く重い、だが確信を持った言葉にミアとヘレナは気圧される。
「アルマちゃんの言う通り。ほら、よくみて」
エターナがリモコンを使って、対戦者の位置を鳥瞰図でみたマップを表示させる。
ゼクス少佐はダミーを潰しながら、徐々にフィンゴ中尉の狙撃ポイントに近づいていた。
「居場所を特定してる?」
不意に飛んでくる弾丸を足を止めないことでかわし、迷いなくザクの隠れている場所に向かって走っていく。
さらには、撃たれる前に牽制を叩き込み、相手を近距離にとらえ始めた。
「すごい! なんでスナイパーの場所がわかるんですか? センサー範囲外ですよね?」
MSの装備しているUGSはそこまで精度は高くない。
音源の凡その方向と距離を示すだけであり、詳細に解析するには足を止めねばならないし、有効範囲はせいぜい3、4kmだ。熱源センサーはさらに索敵可能範囲は狭い。
通信索敵に特化したマゼラ・フラッグならば、10km先の音でも拾えるが、それはノイズを区別できる耳の良い訓練されたオペレーターが搭乗したうえでの話だ。
「たぶんだけど、ダミーの配置から位置を割り出してる」
アルマが言った。
「アルマ、わかるのか?」
「癖を読んでるのかもだけど、隠れて撃つなら、相手も自分の位置を把握しないと撃てない。だからその行動に適した場所を瞬時に判断して、予測してるんだ。だから反応が早い」
「大変だぞミア! アルマが頭良く見える」
「ヘレナそれどーいう意味!? 私だって毎回考えて戦ってるよ! 少佐ほどたくさんは処理できてないけど」
「実際できんのかよそんなこと? マップ見ると、まるで吸い寄せられるみたいに中尉のとこに迫ってるぜ」
「理論上は不可能ではないと思いますよ。でも、それにしても処理するべき情報、取捨選択する状況が多すぎます。いくらなんでも――」
そう言ったミアとヘレナの頭には、『ニュータイプ』という言葉が浮かんだ。
戦場でまことしやかに語られる噂。
類まれな直感力を持ったパイロットたち。
ゼクス少佐もそうなのだろうか、と考えた。
「少佐は違うわ」
彼女たちの思考を読んだかのように、エターナは言った。
「少佐は私たちとは違うのは確かよ」
「
暗に自分とアルマをそうだと認める発言に、ヘレナとミアは鼻白む。
「それよりほら、始まるわよ」
ドムの前に姿を現したザクが、スナイパーライフルを撃つ。
胸部に直撃する瞬間、ドムは機体を回転させ、弾丸を弾いた。
「ウソッ!? 弾丸を逸らした? 狙ってできるものじゃないですよねあれ!」
「いや、できるんだろ。アタシもさっきキリシマ曹長にやられた」
体勢を戻したドムは、マシンガンを乱射する。だがダミーと牽制に弾を消費していたため、数発がザクのショルダースパイクを砕いただけで弾切れとなった。
予備弾倉に切り替えようにも、右腕はすでに喪失しており、弾倉交換するためには足を止めねばならなかった。そして、止まればそこをスナイパーライフルで狙われる。
ドムは弾切れとなったマシンガンを投げ捨てた。
「これで残りの武装はヒートサーベル一本のみですね」
だが少佐は諦めていないらしく、機体を高速で動かし続ける。
中尉は距離を取って射界を取ろうとするが、少佐はランダム回避を行いつつも、機体の速度差を利用して距離をジリジリと詰めていく。
痺れを切らしたのか、中尉がライフルを構えて撃った。
正面からの射撃を機体を横に流しながら少佐は躱す――はずだった。
放たれた弾丸はドムのすぐ背後にあった後方のビルを貫き、爆発した。
「えっ? なんで爆発したの?」
「たぶん、爆薬を置いてたんだ」
試合の序盤、中尉のザクはフィールドのあちこちを飛び回り、ダミーを設置していた。その時だろうか。
「でも、なんでそこに少佐が来るってわかるんです?」
「カンなんかじゃない。中尉は最初から
言いながら、ヘレナはゾッとした。
対戦後に中尉に言われた、自分のしてることは中途半端だという指摘は、彼にとって正しく当然の指摘だったのだ。