それでは、どうぞ。
いつからだったか。コイツ──中須かすみに付きまとわれるようになったのは。確か4月中旬くらいだったな。昼休みに廊下でばったり会ってからだ。
「……ぱい?みな……!」
なんで付きまとわれてんの?ってなると思う。それは俺が一番知りたい。特にこれといった関わりは無かった……はず。だって学年も学科も違うし。……あ、オープンスクールのときに迷子になってたのを見て、体育館まで連れて行ったな。でもそr───
「先輩!!!聞いてますか!!!」
「うるっさ!耳元で叫ぶな!」
思わず耳を塞ぎ、ベンチに上を横滑りして距離を取る。なんで耳元で叫ぶんだよ。体揺さぶるとかあったじゃん。
当の本人はというと、むすー、と頬を膨らませ如何にも私怒ってますよアピールをしている。正直全然怖くない。寧ろハムスターとかリスみたいな感じになってる。おもろ。
「かすみんの話きいてましたか?あとなんで離れるんですか!」
「なんでって中須さんが耳元で叫ぶからだろ。あとなんでそんな近くに行かなきゃならん、ソーシャルディスタンスを保て」
「かすみんですっ!」
中須さんは自分の隣をポンポンと叩き、こっちへ来るように示す。
絶対行かんぞ。というか行けない。女子の真隣なんて対人スキルのレベル足りなくて無理。ぼっち舐めんな。レベルの低さには自信あるぞ。……自分で言って何だけど悲しくなってきた。
それより今どういう状況?って言う人いると思うので、ここまでの流れを簡単に説明すると、4限が終わって幼馴染二人(男)と昼飯食いに行こうと思っていたら、中須さんがうちのクラスに凸って来て、手を引かれ屋上に連行され、今に至る。アイツら連れていかれる俺を見てニヤニヤしやがって。後で覚えとけよ。
「それで?何の話だっけ?」
「話題を逸らさないでくださいっ!はぁ……まぁいいです。ところでどこまで聞いてました?」
「え?あれだろ?今度同好会でライブするから、俺の意見が欲しいって話だろ?」
「全部聞いてたじゃないですか!なんで無視したんですか?!」
「だって興味無いし」
「ヒドくないですか?可愛い後輩のお願いくらい聞いてくださいよ!先輩はかすみんのファン第1号なんですから」
「おい待ていつから俺は中須さんのファンになった。あとドサクサに紛れて近寄るな」
「初めからですよ?」
ふざけんな俺はお前のファンになった覚えはねぇ。なんで?なんで俺強制的にファンになってんの?ファンって任意でなるんじゃないの?俺がおかしいの?あと詰め寄って来んな離れろ。
「というか、なんで昼休みになったら度々教室に凸って来んの?もうそろそろ俺1人でゆっくり食べたいんだけど。もしかして友達いないの?」
「いますぅ!しず子とかりな子とか同好会の人たちがいますぅ~!」
「じゃあその同好会のメンバーと食えよ。その方が意見とか聞きやすいだろ」
教室に凸って来るのはマジでやめて欲しい。さて屋上でゆっくり飯食うかって時に「せんぱ~い♡一緒にお昼食べましょ~♡」とか甘えた声で来るからな。あ、お前今可愛い後輩と飯食えて羨ましいとか思ったろ。こっちは全然嬉しくないんだよ。考えてみろ?あれやられたあとのクラスの視線。クッソ痛たいんだよ。
第一、俺はぼっち飯がいいんだよ。ぼっちはいいぞ。誰にも邪魔されない空間で1人静かに食う飯は美味い(個人差あり)。俺ワイワイする騒がしい空間苦手なんだよね。あと女子も。これに関しては色々あるんだよ……。色々ね……。
「かすみんは先輩の意見が聞きたいんですよ!やっぱりファンのみんなを可愛いで魅了できるライブがいいですよね♡」
「それでいいんじゃないすかね(投げやり)」
「もっとちゃんと答えてくださいよ!」
「悪いけど俺は興味のあることしかアドバイスできないんだ。許してくれ」
「えぇ……」
軽く頭を下げる。俺の返答に中須さんは困惑した様子。
だって仕方ないじゃん。俺アニオタだけどアイドルは専門外だもん。もっといいアドバイスができたら良かったんだが、中須さんには申し訳ない気持ちでいっぱいだ(大嘘)
キーンコーンカーンコーン
「それじゃ俺はこれで」
「あっ、待ってくださいよぉ!」
「次は同好会のメンバーと食べろよー!」
予鈴がなったので、残っていた焼きそばパンを口突っ込み、逃げるように教室へ向かう。逃げるが勝ちだ。ハッハッハ!
そういえば自己紹介がまだだった。俺の名前は
どうでしょうか。良かったと思えていただけたら幸いです。
今度はうまくいきますように。
それでは、また。