呪術にて黒き太陽闇を照らす   作:千夜一夜

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出会い

 

 

 

 

 

 

 

「この能無しの猿めが!何故お前のような者が生まれてきたのだ!」

 

 

その言葉と同時に衝撃、ぬるりと生暖かいものが頭から頬へと伝う不快感、同時に燃えるような痛みが広がった。チラリと手元を盗み見ると、どうやら今日は木刀で殴られたらしい。

脳が揺れたからか身体の感覚が鈍り少しよろけるが、そんな事を気に止めるものなど誰1人として居るはずも無く。

 

怒鳴る声、止まない罵倒と嘲笑。

 

聞き飽きたそれらに特に反応することも無く、ただ黙っているのが気に入らなかったのか、再び木刀が振り上げられる。

いつも通りやり過ごそうと、更なる衝撃に備え身を固めたその時だった。

 

 

 

 

_______さっきからうっせぇんだよジジイ共

 

 

 

突如として現れた気配に驚き目を向けた先には、真っ黒な長髪に血のように赤い瞳をした幼い子供が佇んでいた。…誰だコイツは?そんな疑問は焦った周りの大人たちの会話ですぐに解消された。

 

 

「な、何故貴方様がこんな離に…ジュダル様!」

 

 

ジュダル____その名をここ禪院家で知らない奴は居ないだろう。

分家で生まれたらしいソイツは異国の地が混じってるらしく、初めは見向きもされない存在だったがしかし、術式の目覚めと同時にたちまち注目の的となった。

 

 

 

____曰く、水、風、炎、森羅万象を操ることが出来る。

 

____曰く、歴代最も多くの呪力を持っている。

 

____曰く、どんな攻撃をも防ぐ結界術にも長けている。

 

 

なんて本当か怪しい‪噂も多々ある為、挙げだしたらキリがないが…。

相伝では無いものの、その異端の術式と呪力、そして才能を買われ本家に来た天才児。一部の者など正しく神のように崇め畏怖するその人こそ、今目の前にいる子供らしかった。

 

 

 

「別に何処居ようが俺の勝手だろーが」

 

 

しかし、ですが、と食い下がる大人達に構わず、ソイツは辺りを見回しながら一歩、二歩と歩みを進める。そのゆっくりとした足取りでついに俺の目の前にまで来ると________

 

 

 

「やっぱり居た!探したんだぜ?」

 

 

____お前強いんだろ?俺と一緒に来いよ!

 

 

 

「…何言ってやがる。お前も知ってんだろ…俺に」

 

呪力が無いことくらい。

 

周りの声が、罵倒がより激しくなる。身の程を弁えろと、お前如きが口を聞いて良い方では無いと、勿論そんな事言われずとも理解していたが。呪力も術式も持っていない俺は、この家でなんの価値も無いただの屑だって事は。恵まれたこいつとは生まれた瞬間から違う人種だ。

だからもう帰れよ、構うな。こいつの関心の先に居る時間が長いほど、後で殴られる回数が増えるんだろうなと容易に想像できた。

 

 

「俺が強いだと?こんなザマ見て良く言えるな」

 

弱いからこうなってんだろ。

そう俺が拒絶してもこいつは引かなかった。

 

「いや、お前強いだろ。少なくともこの家では一番じゃねーの」

 

あ、もちろん俺を抜いてだけどな!

そう言って勢いよく手を差し出してきた。

……コイツの言葉を聞くと何故か頭の中がズキズキと痛み、息苦しさすら感じてきた。何なんだ、何故俺なんかに構う。

 

 

「お止め下さいジュダル様!こんな下賎な者と関わってはいけません!」

 

うるさい

 

「そうですぞ!何の価値もありません、さあ早く本殿にお帰り下さい!」

 

うるさい

 

 

「この無能が調子に乗らんよう、後で我等がキツい仕置を___」

 

 

 

「ハハッ!だからさぁ…人が話してんのに邪魔しやがって」

 

____お前らうるせえって

そう言い懐から取り出した棒状の…先端に赤い宝石が付いた杖だ。ソレを一振すると、たちまち辺りに悲鳴が響き渡る。

 

____氷魔法(サルグ)

それもその筈、喚いてた奴ら全員の顔、腕、腹、足…体の一部が分厚い氷で覆われていた。

 

「得意なんだぜ、2型()は特にな…そういや、このまま氷砕いたらどうなるんだろーな」

 

やった事ねーな、お前らで試してもいいか?

まるで虫けらを見る様な無機質な瞳に見つめられ、大人達はひっ、ひっと喉を引き攣らせ我先にと逃げ出した。

 

残ったのは俺一人。

 

 

「あー…つまんねー…お前もそう思うだろ?」

 

くるりと此方に振り向き真紅の双眸と視線が合う。

 

「この世界はよ…呪力や術式ってのに縛られ過ぎなんだよな。初めは良かった…ジュレイってのをめちゃくちゃ殺してさあ…俺はココでもすげーから、大暴れしてやったぜ…初めのうちはそれで良かった」

 

それで楽しかった。

けど、すぐ飽きたんだよな。お前ならその理由が分かる筈だぜ、と愉快げに笑いかける。

 

「この家のヤツらを見ろよ!弱え癖に強えお前を虐げてる。自分たちの手に負えないジュレイはより強い奴に頼んで代わりに倒してもらう。そんな弱者共が集まって偉そうにしてんだぜ?」

 

許せねーよなあ!

人に命令すんのも、虐げるのも、殺す事だって!

全部許されんのは強い奴だけのはずだろ!?

強けりゃ何しても正義なんだよ。

 

 

「だからさぁ…俺考えたんだよ。どうすりゃこの世界は面白くなる?こんなつまんねーのが終わるかってさ。そしたら簡単な話だった、何処も一緒だよ。今がクソなら、全部全部何もかも!ぶっ壊してさ!また作り直せば良いんだ!楽しくなる様に!」

 

 

だからさ、お前俺と一緒に来いよ!

俺がお前をもっと強くしてやるから、一緒に色んなもんぶっ壊そうぜ!そんで、一番強くて一番偉い奴……そうだ…!俺の王様にしてやるよ!

 

 

「なあ良いだろ?甚爾!」

 

 

…いきなり現れてペラペラと意味不明な事ばっか喋る。

つまらねぇからぶっ壊す?作りかえる?正直、コイツの言ってる事はガキの戯言だと思った。俺とお前のたった2人で何が出来るっていうんだよ、馬鹿じゃねえかコイツ。そう思った。

 

 

「はは…良いぜ。丁度ここにも嫌気が差してたとこだしな」

 

 

思ったんだが____この馬鹿があんまり楽しそうに語るもんだから、ほんの少しだけ…生まれて初めて〝期待〟してしまった。

 

 

「なってやるよ、お前のオウサマにでも何でも」

 

 

だからガッカリさせるんじゃねえぞ。

そうして俺は、ジュダルの手を取った。

 

 

 

 

 

 

 






ジュダルを呪術廻戦に入れたくて衝動的に書きました。

一応マギ→呪術の順で転生したと考えてるんですが、導入で長くなるとつまんないので、その話は後で入れれば良いかなと考えてます。
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