銀河英雄伝説~流血と硝煙と運命の日々~   作:雪の師走

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朝の一時とイゼルローン要塞の講義

宇宙歴783年 テルヌーゼン

 

シェーンコップが襲来してから3週間、ジェシカと喫茶店で朝食を取っている。

「凄いニュースになっているわね。逮捕者続出で。」

「あぁ、この際に膿を出しきろうとしているのだろうな。それが近隣惑星にまで拡がるとは思ってもみなかったが。」

「貴方は今回の事に関係しているの?この間来ていたシェーンコップさんが関わっているのは映っていたから知っているけど。」

チラリと視線をジェシカにやる。すると心配そうな顔をした。聞いてはいけないことを聞いたのかと思ったのだろう。

「今回は私の名前が入った命令書で強制捜査に入った。本来なら更に上官の司令長官か本部長、もしくは正規艦隊司令官などの中将以上の階級を持つ人の命令で動くべき事案だ。」

「それを私が責任を取るから好きにやって良しの命令を准将の私が出したから少し問題になっている。」

「それって大丈夫なの?」

フゥーと息を吐いた。

「多分問題にはならないだろう。やり方はまずかったが結果が大きく出ている。色々と不満だろうが上としては認めざるを得ない。」

「私は最近昇進したから勲章だろうね。現場で動いてる奴らは問題がなければ昇進だろう。色々と忙しいだろうから報われるかな。」

「そろそろ行きましょうか?コンサート、付き合ってくれるのでしょう?」

ジェシカが笑っている。この日常をずっと過ごせていけたらと思った。

 

 

宇宙歴783年 テルヌーゼン 士官学校

 

今日はイゼルローン要塞の話を初年生候補生にしている。ワイドボーンやジャン・ロベールの姿もある。

「イゼルローン要塞は銀河帝国軍が自由惑星同盟と帝国を繋ぐ回廊の一つ、イゼルローン回廊に建設した軍事用人工天体である。」

「イゼルローン回廊における戦略補給基地、および帝国の同盟に対する抑止力として建設されたもので、多くの同盟軍人を消滅させてきた難攻不落の要塞だ。」

要塞の映像を見せながら説明する。流体金属に覆われたシャボン玉のような美しい外観をした要塞は美しい見た目とは裏腹にその戦闘能力は凶悪の一言である。

「500万人の人員と2万隻の宇宙艦艇を収容でき、多数の強力な兵器を内蔵しているため抜群の防御能力を誇っている。」

「特に要塞主砲は下手な艦隊なら丸ごと消し飛ばす事も出来る威力を誇っており大変危険だ。」

イゼルローン要塞の基本的なスペックを説明する。溜め息を吐いている者ばかりだ。

「同盟軍は要塞主砲トゥールハンマーの射程の境界をD線(デッド・ライン)と称し、同盟軍本隊がそのD線を出入りして帝国軍を挑発する『D線上のワルツ・ダンス』を生み出したがこれで何が変わったということでもない。負け続けている。」

「帝国は何度も敗れる同盟軍の様を見てこういっている。イゼルローン回廊は叛乱軍兵士の死屍をもって舗装されたりと。ここから考えると作戦も無しに挑むべき物ではないということが分かる。」

「イゼルローン回廊内に帝国の手によって膨大な費用を費やして建設された。予算と運用の関係で完成までに数十年の時を費やしたが、兎にも角にも完成してからはその凶悪な攻撃力を持ってイゼルローン回廊を支配している。」

「その甲斐あって大小関係なく同盟軍の軍事行動を文字通り消し飛ばしてきた。なので考えなしに攻めて落とせることはないと肝に銘じておいてくれ。」

ちょうどチャイムがなったので切り上げた。

「ここまでだ。解散!」

少しはイゼルローン要塞の怖さが伝わっていればいいのだが。少しでも学び、将来の役に立ってくれたらと思わずにはいられない。

1人でも多くの人が生き永らえることを祈って。

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