銀河英雄伝説~流血と硝煙と運命の日々~   作:雪の師走

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艦隊運動の講義

宇宙歴784年 テルヌーゼン 士官学校

 

今日は艦隊運動の講義をしている。私が正規艦隊司令官の部隊に配属されることが噂として本格的に流れ出した為か候補生達の聞く態度が少し変わったようだ。

「稀に艦隊戦で敵に後方を取られることがある。その際の自艦隊の取るべき行動について話そう。」

「我が艦隊は前方に向けて航行している。そこを敵が後方に現れたと想定する。その際にその場で反転するのは最大の悪手だ。デメリットが多すぎるからだ。それを説明していく。」

モニターに自艦隊と敵艦隊を映しながら説明していく。

「先ず自艦隊は前方に移動しているので、その場で反転するなら一旦停止させてすることになる。その際に距離を詰められて先制される。そして横腹を見せながら攻撃を受ける事にになる。そもそも反転するスピードが違うから艦隊として攻撃をするのに時間も掛かるからメリットがあるのか分からない。」

「では次に前方に移動しながら小回りでの反転の場合を説明する。艦隊には色々な種類の艦がある。反転するのに必要な距離、速度、周りとの距離もある。ぶつかったりしたら一大事だからな。なので一斉に反転など出来ない。なので此れも危険なので止めた方がいいだろう。」

「ここでの対処法としては前方に進みながら大きく円を描いて敵の後方に食らいつくが無難だろう。互いに尻尾を噛みつく形だ。」

候補生達がざわついている。

「何か質問があるか?疑問があるなら聞きなさい。自分の命がかかっている。」

1人の候補生が質問してきた。

「それで勝てるのでしょうか?互いに尻尾を噛んで円を形成する。消耗戦になるのでは?」

候補生の質問に頷きながら答えた。

「敵に先手を取られている。しかも後方を取られている。ここから逆転など不可能だよ。よほどのバカが敵の司令官でもない限りね。」

「消耗戦に持ち込んで相手と息を合わせて互いに撤退をするのがベストになる。」

「こういった敵に後方を取られた時に慌てて全艦反転を出す司令官がいる。正常な思考が出来ていない訳だ。戦場が人を追い込むということがよく分かる事例だな。」

講堂を見回してから講義を締める。

「キリがいいからここらで終わろう。お疲れ様。」

そう言ってから部屋を出た。

 

宇宙歴784年 テルヌーゼン 音楽学校

 

今日はジェシカに誘われて音楽学校に来ている。クリスマスの為、音楽学校の中で様々なイベントが行われている。学校内の教会で讃美歌を歌っていたり、ホールで発表会をしていたり、飲食店をしている所もある。

ジェシカはホールでピアノの演奏をしていた。色々と見学した。ジェシカはクラスでクレープを作っている。発表会の後2時間はクラスの方に参加する予定らしい。

目当てのクラスに入ると直ぐにジェシカが見つかった。エプロンをして綺麗にクレープの皮を焼いている。

「やぁ、今日はお招きありがとう。」

挨拶をすると笑顔になった。

「もう少しだけ待って。時間まで少しあるから。」

「ああ、少し早く着きすぎたな。」

「いいわよ、ただそこだと邪魔になってるから廊下で待ってて。」

後ろに並んでる人がいるので取り敢えず注文をした。

「クレープを1つ、クリームとバナナとチョコので頼むよ。」

「あら、本当に頼むの?分かったわ、少し待ってて。」

そう言って手際よく作っていく。出来上がったのを紙で巻いて差し出してきた。

「はい、出来上がり。どうぞ。」

ジェシカから受け取ると彼女はそのままエプロンを外して店の子に声を掛けた。

「時間だから上がるわね。後はよろしく。」

そう伝えてから私の手を取って引っ張っていく。

様々な催し物を見て楽しんだ。少し疲れたので少し人通りの少ない場所でコーヒーを飲みながら会話をした。

「来年早々に戦争があるそうね。貴方は参加しないのよね?」

「ああ、士官学校の任期中だからな。私は再来年になる。要塞攻略戦か艦隊決戦かは分からないが、その予定だ。」

「勝ってとも帰ってきてとも言わないわ。1つだけ約束して。最期まで生きることを諦めない、命を粗末にしないって。」

縋るような視線を向けてくる。

「来年の話だ。気が早いな。」

茶化そうとしたが首を横に振っている。

「貴方が出来る人だということは知っているけど心配で。」

「大丈夫だ。私は無茶も無謀も冒険もしない。必ず生きて帰ってくるさ。ずっとね。」

そうジェシカに伝えてから唇にキスをした。

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