宇宙歴785年 テルヌーゼン 士官学校
今日は卒業式と終業式だ。私も退任になる。2年と言う短い期間の教官生活だったが仕事としては頑張ったと思う。
式が進み、私から卒業生への訓辞になった。必要な事を端的に言うことを決めていた。
「卒業生諸君、君達は今まで死ぬことがなかった場所から死ぬ確率が高い職場も混ざった所へバラバラに配属されることになった。毎年老若男女問わず多くの軍人が死んでいる。無能な上官に当たり死ぬこともあれば運に恵まれ出世することもあるだろう。実力があっても流れ弾1発で死ぬこともある。」
「どんな人間にも命は1つしかない。無駄な命の使い方はしないよう切に願う次第だ。君たちの武運長久と幸運を祈る。」
敬礼をして壇上を降りた。内容が過激かつ事実をリアリティーに伝えた為か拍手はなく、ざわつきが止まらない。進行の教官が重い空気を振り払うように次々と式を進めていき、何事もなく終わった。
宇宙歴785年 ゴールデンブリッジ 自宅
式が終わり自宅にキャゼルヌ大尉を連れて帰ってきた。独り身同士の夕食だ。デリバリーを頼んでいたのが届いたのでテーブルに広げて夕食の準備をする。
そこにヤンとラップがやってきた。ヤンがムスッとしている。先日にシトレ校長から聞いたあの事だろう。
「失礼します!教官、シトレ校長から聞きました。来年度で戦史研究科が廃止になるそうですね。私は戦史を研究したくて士官学校に入学したのです。学生を募集しておいて、卒業前に学部を廃止するのはおかしいと思いませんか?」
フッと笑ってしまった。
「確かにヤンの言う通りだろう。しかし軍上層部の決定である以上は候補生の君達は従わなければならない。しかしその事を上申するのは問題ないだろう。今年の決定はひっくり返えらないが未来の候補生の為にするのは良いと思う。」
「ついでに言っておくが私は退任した身だから手伝わないし、特段アドバイスもしないからな。自分達の力で動くんだな。大変さが良く分かるだろう。」
そう私の考えを伝えると不貞腐れたのかハイピッチで飲んでいる。ヤンとラップは酔い潰れて寝ている。キャゼルヌとサシで飲んでいる。
「私も来年度で後方勤務に移ることが決まりました。補給担当の責任者で派遣されるようです。」
「おめでとうございます。次の遠征の時はよろしく頼むよ。」
「はい。私に出来ることはしますよ。その時はよろしくお願いします。」
「私は補給等の準備は万全にしたいタイプなんだ。疎か、軽視する司令官がいるが私からすると早死にしたいようにしか見えない。そういった意味では後方に信頼できるキャゼルヌ大尉がいてくれるのは助かるよ。」
「後方支援を軽んじる人が多いのはずっと気になっていたのですがクーロ准将がそういってくれると少しは変わりますね。」
そんなことを話ながら、しばらくはお酒を楽しみながら飲んでいるとキャゼルヌ大尉が思い出したかのように言ってきた。
「私の事はアレックスと呼んでください。」
そんなことを言い出した。
「いいのか?」
「はい。仲良くさせていただいているので。」
「分かった。私の事はユーリと読んでくれ。」
「流石に呼び捨てはまずいのでユーリさんと呼びますね。」
そんなことを言いながら親睦を深めて夜も更けていった。