銀河英雄伝説~流血と硝煙と運命の日々~   作:雪の師走

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副司令長官就任と再編

宇宙暦792年 ハイネセン 統合作戦本部 自室

 

 

シトレ本部長との話し合いから2日後、我々は引っ越しの準備をしている。正規艦隊司令官の部屋から副司令長官室に移動である。本棚から本を段ボールに詰める作業の真っ最中である。副官のラップ大尉、参謀長のチュン准将も一緒に荷造りをしてくれている。

そんな最中、1人来客が現れた。

「この度、副司令長官の作戦参謀に任命されました。

マルコム・ワイドボーン少佐です。よろしくお願いいたします。」

「よろしく頼む。チュン参謀長と協力して任務にあたってくれ。」

「ハッ。チュン参謀長、よろしくお願いいたします。」

「ああ、こちらこそよろしく頼む。とりあえず片付けを手伝ってくれ。引っ越しの準備をしている。」

「分かりました。」

そう言って各々手を動かした。

 

片付け終わったので最後の休憩をしているとワイドボーンが話題を出した。

「副司令長官が戦闘の自由化を与えられたという話がありますが事実でしょうか?」

「事実だが事実ではない。」

ワイドボーンが怪訝な表情をしている。

「私をからかっているのですか?」

「そうじゃない。反対側にある帝国ではないんだ。オールオーケー、オールフリーな許可なんて出すわけないだろう。」

「では自由とは?」

「まだシトレ本部長と国防委員会、ロボスの豚と折衝中だろうが出兵計画の立案、出兵希望の優先権、戦場での戦術行動の制約の無し位になると思うよ。」

「それって自由といっていいのですか?」

「文民統制が基本の民主主義国家の軍隊の在り方からすればここら辺がギリギリのラインだろうね。」

更に困惑の色を深めているようだ。

「副司令長官はそれでよろしいのですか?」

「一向に構わない。そもそも戦争に積極的ではないからね。出兵計画の立案等は毛頭する気もない。となると優先権と戦場での自由だがロボス派は負け続きだからね。国防委員会も不安に思っているだろうから私に手伝わしたいのだろうな。」

「それはどういう意味です?」

「若き英雄と見られているから取り込みたいという国防委員会の思惑もある。シトレ本部長と最近は上手くいっていないと悟られたかもしれないし。」

「上手くいっていないのですか?」

肩を竦めて苦笑してしまった。

「ああ、色々とお互いに思うことがあるからな。」

「思うことですか?」

「今回の昇進に不満がある。何故私を昇進に持っていったのか。そもそも作戦にも反対していたからな。」

「エル・ファシルに移動になったのは?」

「前のエル・ファシルのような事は起きないというパフォーマンス、いざというときにその対応を私にさせて失敗したら私の責任問題にする、ハイネセンに居られると邪魔だと思ったロボスの差し金、純粋に前線の警護を任せれる有能な艦隊が居て欲しかった。どれだと思う?」

顔を顰めて悩んでいる。

「もしかすると全部ですか?」

微かに笑いながら頷く。

「ついでに伝えておく。君がここに来たのもロボスの意向が有ると思う。」

びっくりしている。予想外なのだろうな。

「短い間だったが私の教え子だったのが気になったのだろう。私の事を恩師のように言っていたしな。宇宙艦隊司令部に居ると目障りに思ったのだろうな。」

「厄介払いですか?」

笑ってしまった。ラップもチュン参謀長も笑っている。

「ようこそ、左遷先に。これから出世出来ないかもしれないがよろしく頼むよ。」

「わ、分かりました。出世の機会が無いのは残念ですが。」

そんなこんなで私の艦隊に1人仲間が増えた。

 

副司令長官室に引っ越しを終え各司令官に挨拶をしに行っている。ロボス派のやつはろくな挨拶を出来なかった。これからビュコック提督を訪ねるが年下の上司は今までにも居ただろうから問題はないだろうが私に個人的好き嫌いがあるかが問題になるだろう。

部屋をノックして返事を貰ってから入室する。

「今回、副司令長官に就任しました。若輩者ですがよろしくお願いします。」

柔らかく笑って対応してくれた。

「お前さんの力量も性格も知っている。だから構わんよ。」

「ありがとうございます。ご協力をお願いする事もあるでしょうがその時はよろしくお願いします。」

「うむ、挨拶は受けた。ウランフ、ボロディン提督には挨拶をしたかな?」

「いえ、これからです。」

「あの2人とは話してある。君に協力してくれるだろう。」

「そこまで話をしてくれているとは。ありがとうございます。」

「君の事を高く評価していた。驕らずに職務に専心することだな。」

「ご助言ありがとうございます。ではここで失礼します。次の方に行かなければならないので。」

敬礼をしてビュコック提督への挨拶回りを終えた。

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