銀河英雄伝説~流血と硝煙と運命の日々~   作:雪の師走

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ヴァンフリート4=2宙域会戦

宇宙暦794年 ヴァンフリート星域 旗艦

 

戦闘を一時中断し、同盟と帝国は距離を取って補給をしている。

「補給完了までどれくらい掛かる?」

ラップが此方に近付いて書類を見せ、報告してくれる。

「あと3時間で終わる見込みです。気象環境が悪いために想定より時間がかかっています。」

「分かった。仕方ないだろうな。総司令部が甘く見積もったのだから。」

チュン参謀長が今後の動きを聞いてきた。

「この後、ロボス司令長官はどうするのでしょうか?」

「この状況では色々な手があるがどれも欠点がある。どれを取るかで司令官の能力がある程度分かるだろう。」

そんな事を言い合って暫しの休息をとった。

 

 

 

補給が終わって戦闘が始まっている。総司令部より命令がきた。ヴァンフリート星域特有の気象を利用して各々の分艦隊を敵の後方に出るように命令が出た。

相手の後背を狙って渦を巻くように移動したために敵味方が入り乱れて膠着した。

我々は後方に待機せよと命令が下ったためにヴァンフリート星域から少し離れた場所で待機している。

どうやら酷い混戦になっている。戦況は各分艦隊からの僅かな連絡のみだが混乱しているようだ。

現在地不明、連絡がつかない等が多いみたいだ。

 

そんな時にある場所から救援要請があった。ヴァンフリート4=2には既に同盟軍が駐屯しており基地を建設しており、グリンメルスハウゼン艦隊が基地を発見し、攻撃をしてきたようだ。帝国軍の攻撃を受けた同盟軍基地司令セレブレッゼ中将は総司令部、艦隊司令官に救援要請を行い、グリンメルスハウゼン艦隊の迎撃を行うようだ。それに対してビュコック提督の第五艦隊が最初に救援に向かった。

そこにミュッケンベルガー元帥が率いる帝国軍が呼応して、ヴァンフリート4=2に急行、衛星上空にて艦隊戦が展開した。

艦艇数では帝国軍が上であったが航行可能空間の狭いヴァンフリート4=2宙域では数の利を生かせず、第5艦隊は単独でも互角に戦ったが、物量差を覆すことはできず、膠着状態に陥った。

そこに私の艦隊が2番目に駆けつけた。ビュコック提督とミュッケンベルガー元帥の帝国軍本隊は互いに向かい合っている所に帝国軍の左翼側から半包囲を取ることが出来た。

 

 

 

宇宙暦794年 ヴァンフリート4=2宙域 旗艦

 

「良いタイミングでミュッケンベルガー元帥の横を突けましたね。」

ラップが興奮しながら言ってきた。その様に笑ってしまった。

「部隊を展開させろ。艦列は大変だろうが崩さないように注意しろ。」

部隊をミュッケンベルガー元帥の横に展開し終えた時に後方からレーダーに反応があった。ボロディン提督は帝国のグライフス提督と睨み合っているそうだ。と言うことはムーア提督の艦隊のようだ。

「ムーア提督に通信を送れ。現在の場所に艦隊を展開させる余白はない。この上は後方に出て包囲殲滅をするべきだと。」

オペレーターが内容をムーア提督に送ると直ぐに返信があった。

「我、ここにいたって回り道をする面倒な事はせん。このまま突入し、敵の横腹に風穴を空ける。以上です。」

チュン参謀長、ワイドボーン参謀、ラップ大尉の3人は驚いて周りの顔を見ている。

「ムーア艦隊、突っ込んできます!」

「馬鹿な、こんな所を2個艦隊が展開できるか!敵の一撃を貰うと混乱するぞ」

オペレーターの声に正気を取り戻し、命令を出す。

「艦隊を後退させる。全艦に通達しろ。」

ムーア艦隊が突っ込んできた。狭い中で2個艦隊が展開するスペース等なく、部隊を下げる様に命令した。

「直撃来ます!!」

オペレーターが青い顔をしながら報告し、その瞬間1発の射撃が艦を襲った。

私は前方に飛ばされモニターに肘を着き、右手を骨折し、爆発したモニターの破片が左肩に刺さった。激痛を感じながら慌てる艦橋要員に声をかける。

「隊列は適当でいい、兎に角下がるんだ!」

そういってから椅子に深く腰かけた。軍医が駆けつけて私の怪我を見ていく。医師の見立てでは右手の骨折、左肩の破片が刺さった負傷で命に別状はないそうだ。

医者に怪我をしたのを見て貰っているとムーア提督にフツフツと怒りが湧いてきた。

「脳ミソまで筋肉で出来たバカか!いやサメよりも小さい脳しか持たないマヌケか。」

そうムーア提督の事を罵っているとチュン参謀長、ワイドボーン参謀、ラップ大尉が近くに寄ってきた。チュン参謀長は手首を痛めたのか逆の手で押さえている。ワイドボーンは無傷のようだ。ラップは頭を切ったのか打ったのか包帯を巻いている。血が滲んでいることから深手なようだ。

私は負傷を理由に大きく艦隊を下げる様に命令した。これ以上は付き合いきれないので。

今回の戦争も終わりが見えてきた。ここからどうやって終わりに持っていくか総司令官の腕を遠巻きから見物することにした。

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