銀河英雄伝説~流血と硝煙と運命の日々~   作:雪の師走

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イゼルローン要塞を語る

宇宙歴783年 テルヌーゼン 音楽学校校門前

 

「遅いわよ、准将閣下。レディーを待たせるなんてマナーがなってないわよ。」

眦を上げて怒っている。やはり走っても間に合わなかったようだ。

「すまない。少し喫緊で話さないといけないことが出来てしまったんだ。しかし遅れたのは事実だ。謝罪しよう。」

頭を深く下げると困惑した声が聞こえた。

「えっ、あの、そこまでしなくても。こちらが悪いことしたみたいな気持ちになるわ。」

「予約の時間もある。案内を頼んでもいいかな。ジェシカ。」

私のお願いに気を取り直したのが分かった。腕を取り引っ張りながら歩きだした。

「こっちよ。案内するわ。」

笑顔を見せながら腕を引っ張るジェシカに笑ってしまった。

 

店に入ると個室に通された。

そこで日本酒というお酒が注がれ乾杯をした。料理も1度に運ばれるようで机の上が色とりどりの料理で埋め尽くされた。

「綺麗ね。シンプルなのにそこになんともいえない美しさがあるわ。」

ジェシカの感想に頷き、箸を持ち食べ始めた。

特殊な箸でピンセットみたいな形をしている。難しいからという配慮なのだろう。苦労することなく食事を楽しめた。

半分位食べ進めるとジェシカが質問をしてきた。

「イゼルローン要塞を何度も攻めては負けてるけど、そこまで落とせない難攻不落の要塞なの?」

軍事に疎い人ならではの質問に笑ってしまった。

「まず、要塞の外壁が流体金属で覆われている。これはレーザーやミサイルに大きな防御力を発揮する。そしてそこに浮かぶ浮遊砲台が艦隊やスパルタニアン、ミサイルを迎撃する。1番の難問は防御不可能の神の雷、トールハンマーだ。一撃で艦隊の多くを吹き飛ばす威力を持っているため迂闊に近寄ることが出来ない。」

ここまでの説明で分からない所はあるか聞くと続けてと言ってきたので続けることにした。

「要塞は動くことが出来ないので射角などに制限があるし、トールハンマーも連射は出来ない。そこを補助するのが機動力を擁する駐留艦隊の1万5000隻だ。この2つが有機的に連携されることであの要塞が難攻不落を足らしめているのだ。」

ウンウンと頷いているが難攻不落を更に補強するのがそれだけではない事も説明した。

「ジェシカ、こちらが3個艦隊4万5000隻で攻めようとする。そうするとフェザーンが此方の陣容を帝国に伝えて援軍を派遣するだろう。つまり我々は敵の援軍を排除し、駐留艦隊を排除して、初めて要塞攻略に取り組めることになる。そんなことを悠長にしていられると思うかい?」

首を横にふりながら答えた。

「無理ね。手間取っていると更に援軍が来るかもしれないし。」

頷き答えた。

「俺はそもそも要塞攻略には消極的だ。労多くして益なしになる可能性が高い。要塞を落とせなければ何のための攻撃なのかといった疑問も出てくるだろうからな。」

真剣に答えたのにジェシカはクスクスと笑っている。何か可笑しな事を言ったのか発言を振り返り考えたが分からなかったので眉をひそめると謝ってきた。

「ごめんなさい、やっぱり最年少将官は伊達じゃないな~って思って。見事な見識ね。説得力があったわ。」

「あまり血生臭い話は止めよう。美味しい料理に悪影響が出ると困る。構わないかな、ジェシカ。」

そう言い彼女との初めての食事を続けるのだった。

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