銀河英雄伝説~流血と硝煙と運命の日々~   作:雪の師走

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戦後の対応

宇宙暦794年 エル・ファシル 補給基地 自室

 

先の戦闘の被害状況が上がってきた。ビュコック提督が6000隻、ボロディン提督が5000隻、ムーア提督が1万隻、私が3000隻で計2万隻に近い数の被害を出したらしい。

それに対して帝国はざっと1万隻に満たない数のようなので今回の戦いに関しては同盟の敗北と言うしかない惨状だ。衛星ヴァンフリート4=2に建設中だった基地も破壊されたし、そこの司令官だったセレブレッゼ中将も生死不明だそうだ。恐らくは死んだのだろう。

後方の練達者がいなくなるのは痛すぎる。只の階級が高い将校ではなく本当の後方勤務が練達な将校だったので残念だ。アレックスも頭を抱えていることだろう。

そんな事を思いながらボーーッとしていると通信が入った。両腕を怪我しているので若干の苦労をしてボタンを押すと件のアレックスが映った。

「思ったよりもお元気そうで何よりです。」

「両腕を怪我している以外は問題ないよ。何をするにも不便だがな。それで何の用だ?そちらは忙しいだろう。セレブレッゼ中将がいなくなって前線の補給担当者が消えたのだから。」

だいぶ他の所から色々と言われているのだろう。渋い顔をしている。その様子につい笑ってしまった。

「この補給関連が終わったら昇進させてくれるそうです。」

「ほう、そうか。おめでとう。」

大体の先が見えたので笑いながら告げたら恨めしそうに視線を向けてきた。

「キリがありません。4個艦隊の補給、修理、陸戦隊のもあります。」

「愚痴を言いたいのか?聞いてくれと言うなら先輩ではあるが聞いてやるが?」

チラリと此方に視線をやり、下を向いて大きな溜め息を吐いた。

「シトレ本部長から伝言で閣下にハイネセンに帰還命令が出るそうです。ビュコック提督達と同じタイミングで帰ってくるようにだそうです。」

「分かった。艦隊はどうしたらいい?そこら辺も聞いているか?」

「ウランフ提督が閣下の代わりに臨時で赴任するそうです。閣下は自分と少数で此方に。」

「分かった。参謀長とクブルスリー副司令官は待機させる。ラップとワイドボーンに随伴を頼むことにするよ。輸送艦か巡洋艦でそちらに行くことにする。」

「分かりました。伝えておきます。帰還した日は今回の戦いの式典があるので参加をお願いします。」

「分かった。仕事だからな。」

「夜も懇親会があるそうですが?」

「パスだ。こんな体で勘弁してくれ。」

アレックスは笑いながら答えてくれる。

「分かりました。夜のは不参加と伝えておきます。」

「次の日の夜に私の家に来ませんか?オルタンスと通信で遣り取りはしたことありますが顔合わせはしてないでしょう?此方も結婚祝いに色々と贈ったりしてくれたので御返しにと。閣下の結婚の祝いもしたいですし。」

私の顔が渋くなったのを見たのだろう。聞いてきた。

「何かご不満でも?」

「いや、アレックス達ではない。笑わないと約束出来るか?」

頷いたのを見てから話し出した。

「私が両腕を怪我しているから食事や身支度に不便でな。ジェシカが色々と甲斐甲斐しく世話をしてくれる。嬉しそうにな。」

「両腕を怪我しているので仕方ないのでは?」

「ア~ンや着替え、入浴等の生活全般をするから困ったよ。」

アレックスがモニターから外れた。口を押さえながら外れたから笑うのを我慢しているのだろう。

「失礼しました。今はどうなのです?」

「左肩はほぼ治った。右手はまだ一月かかるそうだ。」

「そうですか。」

「ジェシカも非常勤なので付いてくるだろうな。お邪魔させてもらうよ。」

「分かりました。御馳走を用意して、お待ちしてます。」

約束をしてから、ふぅ~と一息吐いて話題を変えた。

「それで今回の戦いはそっちではどう報道されている?」

アレックスの眉間が険しくなった。面白い話ではないらしい。

「4提督は奮戦したが残念な結果になったと。ムーア提督は大損害、閣下は運悪く負傷したことにしたいようです。」

「あのアホのせいだと流れてないのか?」

「はい。ミュッケンベルガー元帥の攻撃が不運にも当たったという流れにしたいようです。」

「そうか。国防委員長はそうしたいのだろうな。面白くないが仕方ない。」

「はい。トリューニヒト国防委員長はそのような筋書きを書いています。」

「軍も内憂外患だな。中のロボス派閥、外のトリューニヒト。一癖も二癖もあるな。友人付き合いはごめんな奴らだ。」

私の物言いが面白かったのかアレックスが笑っている。

「此方はそんな感じです。では他に用がなければ失礼します。ハイネセンでお待ちしてますので。」

敬礼をしてから通信が切られた。私から切らないとダメなのだが察して向こうから切ったのだろう。相変わらず気の効く奴だと思った。

やはり出来る男は違うなと笑ってしまった。

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