銀河英雄伝説~流血と硝煙と運命の日々~   作:雪の師走

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スミマセン、サボりました。



束の間の一時 その3

宇宙暦795年 ハイネセン 士官学校

 

今日は用事があって昼前に士官学校を訪ねた。ヤン、ラップ、ワイドボーン達の卒業以来なので中々に久し振りだ。門の警備員に声を掛ける。

「失礼、人と会う約束があるのですが。」

私の声掛けに下で何かをしながら返答してきた。

「所属と官姓名を。」

驚かれるなと思った。

「自由惑星同盟軍宇宙艦隊副司令長官ユーリ・クーロ大将です。」

私の答えに勢いよく顔を上げ、私の顔を凝視する。そして本物と分かったのか急いで立ち上がって敬礼をした。

「し、失礼いたしました。副司令長官閣下。」

あまりの慌てように苦笑してしまった。

「確認が取れたなら中に入っても?」

「はっ、案内をお付けいたしましょうか?」

緊張している警備員に無用と伝える。

「私はここの卒業生だし、数年前まで教鞭も取っていた。大丈夫だ。」

「畏まりました。お気を付けて。」

警備員の変な答えに又も苦笑しながら中に入ることにした。

入り口に向かっていると講義の無い候補生だろう。私が分かったのかヒソヒソと話している。

玄関まで後少しというところで1人の候補生が駆け寄ってきた。

「お待たせしました、クーロ副司令長官閣下。フレデリカ・グリーンヒル候補生、参りました。」

「御苦労。忙しい中に呼び出してすまない。」

「いえ。それで御用件は?」

御父君のグリーンヒル総参謀長によく似て生真面目さが出ている。

「そこまで難しい事では無い。とある場所で道案内をして欲しいのだ。これ以上は向かいながら話す。前に車を止めてるので行こうか?」

「はっ。」

歩きだした私の後ろを敬礼してから追ってきた。

「その、目的地は何処なのでしょうか?」

「ああ、ハイネセン中央墓地だ。君の母上の墓参りをとね。亡くなられたときはエル・ファシルに赴任中だったからね。君も士官学校に入学してしまっていたから。」

「確かにそうでしたね。」

「うん、行こう行こうと思ってはいたのだけど両方の都合が折り合わずにズルズルと延びてしまったから強権を使わしてもらった。」

「母も喜ぶと思います。」

「そうだと良いが。士官学校はどうかな?今は上位にいると聞いたが?」

「訓練が大変ですが頑張っています。成績も次席です。このまま行けるかなと思っています。」

「そうか。」

「閣下が一度も首席から落ちたことが無いことも聞きました。閣下の様に頑張れと言われています。」

「そうか、何か気恥ずかしいな。」

照れながら苦笑する私が可笑しいのかフレデリカさんも笑っている。

暫く車を走らせて墓地に到着した。後部座席に置いてあった花を抱えてフレデリカさんの先導で歩いていく。1つの墓の前で立ち止まり此方に振り返った。

「此方です。」

「ありがとう。」

礼を言い、花を墓前に置き黙礼をする。1分程してから隣を見るとフレデリカさんもしていた。私が動いたのを察したのか顔を上げて此方の顔を見てくる。

「御父上のグリーンヒル総参謀長も最近来られたようだね。」

私の言葉に驚いている。

「父がですか?どうしてそれを?」

「墓前の草が踏まれている。恐らく手入れをしたのだろう。」

周りの墓と比べてそうかなと思っただけだが。

「全く分かりませんでした。」

「多分だ。違う人かもしれないし、ご両親かもしれない。さて、もう1人ついでに墓参りしてもいいかな?」

私のお願いに快く了承してくれたので今度は私が先導して向かう。それほど遠くはなく2、3分もかからずに着いた。先程と同じように花を墓前に置き黙礼をする。1分程で止めて振り返るとフレデリカさんもしてくれていた。

「さぁ、行こうか?」

「分かりました。」

そう言って車に向かっているとフレデリカさんが質問をしてきた。好奇心からだろう。

「あの、先程のお墓は誰の何ですか?御名前はアレン・ヘンダーソンとありましたが?」

「士官学校時代からの友人だ。付き合いは長くないが親友だった。一番のね。」

「そうだったんですか。」

「士官学校では何かと間に入ってくれてね。成績は普通だったが良い奴だったよ。事あるごとに私の副官になりたいと言っていたよ。お前が偉くなったら俺を高級副官にしてくれと。」

「その、それで何時その…」

立ち止まって話した。

「私の初任務の時だ。多くの者が不正に関わっていた。私が所属していた補給基地司令官、司令部がやっていた。その取り押さえを私達が向かったんだ。反抗されて銃撃戦になったよ。ローゼンリッターが来るまで適当に応戦していたのだが1発の銃弾が頭に当たった。」

「目の前で崩れ落ちたよ。そして死にたくないと2回声が出た。そして2回は声が出なかった。天才でも平凡でも死ぬ時は一瞬だと理解した出来事だった。」

振る切る様に歩きだしてから声を掛けた。

「昼食を食べてから送るよ。」

彼女がどうなるか分からないが少しでも長生きしてくれたらと思うだけだ。

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