銀河英雄伝説~流血と硝煙と運命の日々~   作:雪の師走

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帝国の談合

宇宙暦796年 軍務省 軍務尚書室

 

エーレンベルク元帥

 

私の執務室に統帥本部総長シュタインホフ元帥、宇宙艦隊司令長官ミュッケンベルガー元帥の2人が集まった。

議題は先頃ローエングラム伯爵家を継いだラインハルト・フォン・ミューゼル上級大将。いやローエングラム伯爵か。が総司令官としての軍事行動の詳細を詰める為の会議だ。

「国務尚書と共に皇帝陛下よりローエングラム伯の遠征を計画するように仰せつかった。国務尚書からは兵数は2万隻程と言われた。それと委細は任せると。」

「それとローエングラム伯爵家は武門の名家、帝国騎士。それを継ぐに相応しい試練を科すべきとブラウンシュバイク公爵からの進言があり、陛下が尤もであると仰せになった。」

シュタインホフ元帥、ミュッケンベルガー元帥は顔を見合わせている。

「今回の目的はローエングラム伯の力量を視るのが最大の目的だ。あやつ個人のな。」

私の言葉にシュタインホフ元帥が一つ頷いてから言葉を継いだ。

「では、分艦隊司令官のロイエンタール、ミッターマイヤーの両名、参謀長のメックリンガー、旗艦艦長のシュタインメッツを外そう。」

ミュッケンベルガー元帥も納得したのか頷いている。

「そういえば副官も勤めている赤毛の小僧はどうする?幼馴染みだったかな?」

シュタインホフ元帥がどうでもよさそうに鼻を鳴らした。

「副官と云うことは階級は低いのであろう?ならどうでもよかろう。影響はないだろうからな。」

ミュッケンベルガー元帥に視線を向けると同意してくれた。本題に入るとしよう。

「では代わりに誰を入れて編成するかだ。余りに露骨な編成をすると軍への非難、不信感が増そう。それをブラウンシュバイク公爵の為だけにそんな事を引き起こす訳にはいかん。」

シュタインホフ元帥が口元に手をやった。

「つまりはそこそこの編成にしなければならんと云うことか?候補者は?」

「一応リストアップしてある。」

「メルカッツ大将にシュターデン中将か。」

「それにフォーゲル中将、エルラッハ少将、ファーレンハイト少将。」

「良いのではないか?ローエングラム伯が7000隻、メルカッツが4000隻。シュターデンとフォーゲルが各々3000隻、エルラッハ、ファーレンハイトが各々1500隻でどうかな?」

2人に視線を向けると同意の意思を示してくれた。

「では国務尚書に報告しておく。次は叛乱軍がどうするかだな?」

「その事で2人に報告がある。統帥本部の管轄にある情報部から報告があった。叛乱軍の迎撃の司令官はあの男のようだ。」

直接相対したことがあるミュッケンベルガー元帥が唸りながら話した。

「ユーリ・クーロか。」

シュタインホフ元帥が唸りながら続きを話した。

「どうやらロボスと交互に総司令官を務めているそうだ。あの2人は仲があまり良くないらしい。ロボスが国防委員長派閥、クーロが統合作戦本部長派閥らしい。」

「ローエングラム伯にとっては好機かな?」

「どうかな?叛乱軍にとっても好機だ。ローエングラム伯を警戒しているクーロ大将が2万隻という敵にどう対応すると思われる?」

「ふむ。あやつなら2個艦隊は動員するだろうな。万全の態勢にするなら3個艦隊4万隻になるだろう。」

「ローエングラム伯の真価が問われる事になるだろう。」

 

 

宇宙暦796年 オーディン 酒場

 

オスカー・フォン・ロイエンタール

 

ミッターマイヤー、メックリンガーの3人で飲みに来ていた。色々と話したいことがあるからだ。メックリンガーはピアノを演奏している。

「あの方の部隊編成も決まったな。」

「「融通の利かない」メルカッツ、「扱いづらい」ファーレンハイト、「実戦には向かん」シュターデン、「足手まといにしかならん」エルラッハにフォーゲルか。」

「使える者と使えない者が半々か。手足を縛られた上に、重石までつけられた状態だな。」

「あの方は無事に帰ってこられるだろうか?」

「最早我々がどうこうすることは出来ないのだ。大神オーディンに祈るしかない。」

そんな話をしながらメックリンガー参謀長に近寄りながら話かける。

「卿は何か知っているか?」

ピアノを弾きながら視線を此方に向けた。

「情報部にいる知り合いから聞いた情報ではクーロ大将が迎撃にでてくるそうだ。」

「何っ、それは確定情報か?」

「ああ、そうらしい。規模や司令官等の詳細はまだだが。」

「厳しい戦いになりそうだな。」

「ああ、あの方の運と実力を信じよう。」

「そうだな。」

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