体調を気遣いながらになるので不定期ですが頑張ります。
宇宙暦796年 クラインゲルト子爵領 チュン・ウー・チェン参謀長
我々がクラインゲルト子爵領に到着して1日が経った。地上降下部隊は今日から本格的に拠点造り、大規模農場作りに着手する。各艦の地上兵並びに補給担当の兵が集められ、地上の作戦に従事する。
クーロ元帥は、クラインゲルト子爵の領民との問題は厳正に処分、処罰すると厳命し、其処には身分、階級は一切関係なく第一艦隊、クラインゲルト子爵領民、元帥、子爵関係なく両国の法で協議し、対処することが明記なされた。その成果はクラインゲルト子爵領民の自発的に協力を幾らか引き出す事も出来た。
同盟軍がサクサクと進める開発区とクラインゲルト子爵領民と協力しながら機械の取り扱いを教えながら進める開発区の2種類場所を分け、ハイネセン記念スタジアム30個分の農場を作る予定だ。
クラインゲルト子爵領は綺麗な水と豊かな土壌が豊富にあり、農場を作るのに苦労しないだろう。人海戦術で広げていく計画だが半月もしたら殆ど完成しているだろう。
クラインゲルト子爵は大規模農場を作られても我々が去った後は持て余すし、採取した農作物をどうしたらいいか分からないと困っていたが元帥がCR商会を紹介し、質の良い農作物を高値で首都星オーディンやフェザーンで売る事を提案した。農機具等の機械もCR商会が同盟領から定価に近い価格で提供する契約を結んだ。
そんな事をツラツラと考えていると旗艦アトラスに通信が入った。元帥がクラインゲルト子爵のお孫さんとその母親が基地に到着し、艦に乗り込むようだ。
ジャン・ロベール・ラップ大佐
クーロ元帥閣下とカール君、フィーアさん達と艦橋に入ると艦橋要員が一斉に此方に対して敬礼を行ってきた。
それに対して私と元帥閣下は答礼を行ったがカール君とフィーアさんはびっくりしたように立ち止まり、固まってしまった。
それを苦笑しながら閣下が話しかけ、司令部要員の席まで案内した。
ここが私の席だよと言い、カール君を座らせた。フィーアさんが居心地悪そうにソワソワ、キョロキョロとしている。
フィーアさんにもワイドボーンの席に座る様に促した。恐る恐る座る様子につい小さく笑ってしまった。
閣下がカール君に命令を出してみるかい?と問い掛けていた。
「いいの!?」
と子供特有の好奇心剥き出しの口調に微笑ましい気分を感じる。
「構わないよ、ここから南の海に補給部隊が採った海産物を回収しに行かないといけないからね。」
そう言って、カール君に発進準備と言ってご覧と言っている。
「発進準備!」
「アトラス、発進準備!」
そう言うカール君の号令を合図に元帥が復唱し、一斉に動き出した。
「機関部に通達。出港フェイズ3に移行。」
「航路管制情報、周辺に対象のオブジェクト無し。」
「ダメージコントロール要員は主要区画にて待機。警戒レベル2に移行。」
「動力炉及びその制御に関する艦船機関運用基準の出航項目を全てクリア。」
「アトラス、出力上昇……50……60……70……80……90……100。出力全開、何時でも発進出来ます。」
クーロ元帥がカール君を見て、一つ頷いた。
「発進!」
「アトラス、発進!」
カール君の声、クーロ元帥の復唱に皆が応えて動き出した。
「アトラス、発進。離陸上昇!」
「上昇後、上空高度1000を維持し、移動する。」
アトラスが動き出したのが分かるとカール君が興奮の声を上げた。
「このまま南下して30分程で目的地に着きます。其処で補給部隊が採った海産物を収容し、また元の湖に戻る事になります。」
そう私がカール君、フィーアさんに説明する。
暫くはこんな日常が続くのか………嵐の前の静けさだと思わざるを得ない。
閣下の予想が当たるなら。そしてそのことに関して卓越した才覚を示してきた事を知っているから最悪の事態になるのだと半ば確信している自分がいる。
マルコム・ワイドボーン准将
日が赤くなり始めた頃に大型の移動車に満載された大量の海産物をクラインゲルト子爵領民と炊事班が調理していく。
といっても魚の鱗取りや串打ち、火の準備とそこまでの大掛かりな準備ではないので次々と行っていく。領民が多いので沢山の場所で同盟軍、帝国人関係なく協力して行っている。
中央の場所ではクーロ元帥と子爵の亡き御子息の奥方が協力して魚の調理をしている。
次々と捌いていくクーロ元帥に皆が初めは驚愕の視線を向けていた。
まあ、分からんでもないが。
飲み物は井戸水や私達が整備した簡易水道管から出る水、それを使った紅茶や珈琲なんかになる。アルコールの入った飲み物は子爵、元帥両名から禁止のお達しが出た。
両陣営の交流の場とは云え、アルコールによって場が荒れることは避けたい両陣営の考えからと皆が酒に酔って互いに険悪になる事による影響を慮って自主的に自粛する流れになった。
暫くは何ともいえない空気があったがクーロ元帥とクラインゲルト子爵が仲良く談笑し、そこに嫡孫のカール君、母親のフィーアさんが会話に入ることで和気藹々と言ってもいい感じに少しずつなってきた。
俺もチェスを領民とするなどして交流を行い、和やかな空気の醸成に貢献出来ていると思う。クーロ元帥は一人で目隠しチェスを行い、領民の方々をドン引かせていた。(盤を見ずにやれるとは思わなかった。)
お腹も膨れてきた時に有志の軍人が私物の楽器を用いて演奏を始めた。領民も手拍子や物を打楽器代わりにして、楽しく歌って踊って場が華やかになった。
宴も終演に向かいつつある時にクーロ元帥がフィーアさんをダンスに誘っていた。ワルツを踊り、皆がそれに魅入る形になり、終わると同時に軍人、領民関係なく拍手を送って宴を終えた。
このラストでクラインゲルト子爵領民との関係はそう簡単には崩れないと思ったのは私達だけではない筈だ。
宇宙暦796年 クラインゲルト子爵領 戦艦アトラス
イゼルローン要塞に第二便の補給部隊が今日の朝に到着した。1日、燃料の補給や乗組員に休息を与え、明日の昼にはイゼルローンを経つ事になる。
その後の行程を話し合う為に、これから各セクションの代表者が出席して会議を行う。
参加者は司令長官ロボス元帥、グリーンヒル総参謀長、私クーロ副司令長官、作戦参謀からコーネフ中将、情報参謀からビロライネン少将、後方参謀からキャゼルヌ少将、そして各正規艦隊司令官が参加する。
時間前に皆の顔がモニター上に映った。それを確認したグリーンヒル総参謀長が声を発した。
『皆が揃ったようなので定刻前だが始める事にしよう。』
それに対して皆が頷いた。
『第二便補給部隊の状況を後方参謀キャゼルヌ少将より説明してもらう。』
『ハッ、現在各補給部隊は燃料の補給と艦の最終チェックを行っております。それが明日の朝には終了予定となるので遅くとも昼、ないし完了次第出港する予定です。』
険しい表情を各艦隊司令官は浮かべている。補給部隊の持ってきた食糧は各艦隊で分けると3ヶ月分位にしか節約してもならない事を知っているのだから当然か。
『イゼルローン回廊を出港し、1週間程でビュコック提督が駐留する惑星に到達できると思います。そこからの航路は未定となっております。』
アレックスの説明を聞いて皆が頷く。ここまでは誰が説明しても同じ内容になる。そこから先が問題なのだ。
『そこから先、各艦隊へ向けてバラバラに進むのか纏まって順番に回っていくのかが問題になっている。』
グリーンヒル総参謀長が問題を提議した。が皆が皆、周りの様子を窺って答えない。案としては大きく分けて二つある。どちらも一長一短の案のために、周りの反応を見ている。
こういうときは下が意見を出しやすくする為に、上の者は最初は聞き手に回るのだが………
『クーロ副司令長官は如何お考えでしょう?』
グリーンヒル総参謀長が私に尋ねてきた。
「私は順に回る案が良いと考えます。それを行うにあたって、各艦隊より一個分艦隊をビュコック提督に派遣し、2個艦隊分の兵力にし、補給部隊の護衛に当たるべきと考えます。」
私の案にざわめきが起きた。護衛を付けるべきと考えていた人も、まさか前線の戦力を抽出してまで後方のビュコック提督に集めるとは思っていなかったのだろう。精々ビュコック提督を駐留地より離して護衛させるといった意見だろう。
『クーロ副司令長官は、そこまで後方を警戒する必要があると?』
進行役を務めるグリーンヒル総参謀長が疑問を呈した。
「我々遠征軍は、全部で9個艦隊です。後方の出入口付近の抑えにビュコック提督を充てたので前線で警戒するのは8個艦隊。各々が担当宙域を偵察部隊などを派遣し、索敵監視を行っていますが、ここは帝国領です。我々が知らない航路がある可能性は多分にあります。」
『イゼルローン要塞にあった帝国の航路情報を手に入れたので、そこから今回の作戦案は立案されたのだが。』
「それは私も存じています。しかし、それは軍用、民間用、兼用の主だった航路のみです。所謂、脇道や獣道のような航路があれば、我々に気付かれずに後方に出ることもできるでしょう。」
『当代無双と評されるクーロ元帥が見えぬ帝国軍をこうも怯えるとは。』
そう私を嘲笑うような口調で貶す内容が聞こえてきた。私には心当たりがある。あの碌でもない男が出しゃばってきたのだろう。
他の艦隊司令官達も察しがついたのか顔を皆一様に顰めている。
『フォーク准将、無礼であろう!上官に対して礼を失しておる!』
『どこがでしょうか?』
フォーク准将の言動にビュコック提督が叱責の声を上げるも堪えた様子がない。
『クーロ副司令長官は、現状を鑑みて慎重論を唱えられた。それを怯えたなどとは言葉が過ぎる。』
「そもそも今回の作戦会議は中将以上の階級、各セクションのトップの集まりだ。一作戦参謀の出る幕ではない。失せろ。」
ビュコック提督、私の言葉に顔を歪ませている。
『わ、私は一人の作戦参謀として……こ、この作戦を成功に、み、導こうと………』
しどろもどろになりながら言葉を紡ぐフォーク准将に憐憫の視線を向ける。余りに無様な醜態を上層部が揃うこの場で晒すとは。
「そういった事は会議前に作戦参謀コーネフ中将に話を通すべきだ。下がれ。」
私の冷たい言葉にロボス元帥が口を挟んできた。
『まあ、クーロ元帥もそこまで言わずとも。准将も今回の遠征を成功に導こうと職務に精励しての行動なのだ。多少の寛容は上官の度量の内だ。』
「私達の階級、権限は規則やルールを遵守させる為で破るためのものでは無いと考えますが?」
『戦場では臨機応変や現場での即断即決が必要になるケースもある。今回も特に問題にならないなら良いではないか。』
これでロボス元帥の言質は取れた。いざ撤退になった時の口実にさせてもらう。
「司令長官がそう仰られるなら。但し、発言は此方が許可した時のみということにさせていただく。最高幕僚会議のように熱弁を振るわれると決まるものも決まらなくなる。」
個人的にはそうは思わないのだが、私の辛辣な言葉に艦隊司令官達は失笑している。言われた当人は頬を引き攣らせて、ヒクヒクしている。
「では続けよう。補給部隊が敵によって叩かれた時、第3便は何時頃には此方に来れるのか後方参謀キャゼルヌ少将、お答え頂きたい。」
画面に表示されるアレックスが手元に一瞬目を移し、資料を確認する。
『第3便に関しては、未定となっております。』
『未定とはどういう事か?』
アレックスの答えにボロディン提督が疑問を訊ねた。
『予算がありません。この遠征は軍事費の多くを使いました。予備費も含めてです。第3便を仕立てる為の予算等、全くありません。』
『そこをどうにかするのが君の仕事だろう。』
ロボス元帥の無茶な要求に良識派は一様に眉を顰めた。
『議員連中に要求するしかないな。議員連中も現状を知れば、金を出さざるを得まい。』
更に続けたロボス元帥の言葉に顔まで顰めた。
『予算の問題はそれでどうにかなっても、前線まで運ぶ船がありません。補給物資は膨大な量になります。軍には、それを処理する補給船がありません。』
アレックスの口から、第二の問題が出た。
『民間に依頼すれば良かろう。何の問題がある?』
ロボス元帥の簡単に解決する問題だろうの口調にアレックスは眉を顰めた。
『先程も言いましたが金がありません。民間企業に依頼すれば輸送費は莫大な額に膨れ上がります。それにイゼルローン要塞から先の帝国領は全社に断られています。安全面で不安があると。イゼルローン要塞で積荷を降ろして、軍の輸送部隊に積み直すと多大な時間が掛かります。』
『なら軍の第1便の帰還を待って、編成すれば良かろう?なんの問題がある?』
『第1便は最前線を経ったばかりです。帰還には2ヶ月はかかります。そこから積み込んで輸送となると半年は掛かりませんが少なくともそれくらい先は見てもらわなければ。』
現場の窮状を知る艦隊司令官は皆一様には渋面になった。
「第2便が此方に着いたとして、各艦隊にどれ程の物資が補給されることになるかな?」
私の疑問に、アレックスは手元の資料を確認した。
『第2便を全艦隊に均等に分けると誤差はありますが2ヶ月分になる予定です。これは艦隊乗組員のみで、占領地の領民への配布を引き続き行うと短くなるでしょう。』
「私の艦隊では半月保たない計算になるな。」
ウンザリな口調で言葉を溢すと、各艦隊司令官も俺も私も儂もといった声があがった。
「もう今ある食糧を全部渡して、総撤退した方がいいのでは?後方支援なき戦争でよかった例は戦史を見てもないだろう?ヤン提督。」
『はい。悲惨な目に遭った例で枚挙にいとまがないです。』
『それは杞憂というものです。敵の姿など、一つもないではないですか。そこまで行くと心配性を通り越して臆病と言うものではないかと、此方が心配になります。』
フォーク准将が皮肉たっぷりに私を侮辱する様な言葉を言い放つと、バンッという強い音が響いた。
『フォーク准将!口が過ぎる!当代無双の名将であられるクーロ元帥の意見を貶すなど、立場をわきまえられよ。』
「ビュコック提督、落ち着いてください。フォーク准将、君はさっきから私の問題、不安を少しも解決、改善してくれないが作戦参謀としてどうなのかな?補給をどうにかしてくれと命じているのだが?」
熱くなっているビュコック提督を抑え、冷静に問題を指摘し、作戦参謀として解決してくれないかと言ってみた。さて、この阿呆はどう返してくるのやら。
『小官としては、帝国領を今より奥へ侵攻し、占領地を広げ、そこから物資の供出をし、補給を行うのが最善の作戦と考えます。』
案の定の答えに内心ガクッと来るものがある。
「君は今の状況を理解できていないのか?君達の作戦通りに侵攻作戦を行い、焦土作戦を取られ、我々は食糧不足に喘いでいる。この上で更に侵攻し、占領地を増やすなど領民が更に増え更に食糧不足が深刻になると何故考えないのか?」
暗にお前達のせいでこんな状況になっているのに反省どころか、それを推し進めるなど馬鹿じゃないのかと言ったに等しい。
ロボス司令長官、フォーク准将は顔を強張らせている。グリーンヒル総参謀長は渋面になっている。各艦隊司令官は頷いている。
『クーロ副司令長官。君の意見は一々もっともなものと私も思う。しかし、過去を振り返ってもどうにもならない。今は第2便の事を建設的に話し合うべきだろう。クーロ元帥の意見を聞こう。』
話を元に戻したか。ここらへんは冷静沈着と云われるグリーンヒル総参謀長か……流石だな。
「私は第2便の確実な到着を期す為に護衛の艦隊を送り、各艦隊に食糧を配分し、占領地に幾ばくかの食糧を残して総撤退が最善と考えます。これ以上の戦争の継続は同盟の財政、同盟軍の財政に深刻なダメージになります。」
『ふむ、妥当な意見だと私は思う。』
私の意見にグリーンヒル総参謀長と各艦隊司令官も頷いた。
『ロボス元帥。ここは第2便のの補給部隊が各艦隊に無事到着した時に、今一度将官会議を行うことにしましょう。』
グリーンヒル総参謀長が問題を先送りにし、会議を纏めにかかっている。
『ふむ、総参謀長がそう言うならそうするべきだろう。』
会議を終えようとする二人に待ったをかけた。
「補給部隊の護衛の件はどうなります?まだ結論が出ておりません。」
二人が顔を見合わせた。ロボス元帥は顔を顰め、グリーンヒル総参謀長が一つ深く頷いた。
『護衛に関してはハイネセンからの300とイゼルローンからの500を付ける。各艦隊が警戒している宙域の中心を通り、ビュコック提督の所まで輸送する。そこからはビュコック提督の第五艦隊が護衛を引き継ぐというのでどうだろうか?』
私の顔が険しくなっているのが分かったのだろう。宥めるような口調で更に言葉を続ける。
『ビュコック提督の所まで1週間で到着する。それに半分はイゼルローン回廊内だ。ビュコック提督から先が航路が複数あり、敵襲の危険がある。クーロ元帥の心配は最もなことだ。其処は警戒が必要だろう。』
両者の意見の間、折衷案を出してきた。これ以上粘っても仕方ないだろうと了承すると会議が終わった。
ロボス元帥、グリーンヒル総参謀長、フォーク准将を中心とするイゼルローン要塞残留組が通信画面から姿を消した。キャゼルヌ少将だけが残っている。後方主任参謀の割り当てられた自室で受けているので他者に聞かれる心配がない。
「予想通りになったな。ここまで行くと何か困るな。」
私の呆れた口調での呟きに画面の向こうにいる全員苦笑、失笑している。
『クーロ元帥の予想通り過ぎて怖いですよ。』
アップルトン提督が笑いながら言うと、他の提督達も頷いた。
「ロボス元帥は後がないですからね。更迭されるか勇退という形を取るか、どちらにしろ辞めさせられる状況をそうなる前に出兵して先送りにしました。だからといってその話が無くなったわけではありませんからね。確固たる地位を築く為に燦々たる結果が求められている立場です。グリーンヒル総参謀長にしても、彼は物事を裁断するに強いタイプではない。総司令部と現場組が対立したら折衷案を出すのは目に見えていた。」
私の考察に皆が一様に頷いた。
『総司令部も最近の戦争は負け続きですし、教官がトップに立てば一掃するともっぱらの噂です。参謀連中は首筋が寒いでしょうね。』
ヤンの言葉に、又もや笑いが起きた。
「キャゼルヌ少将、補給部隊への命令は伝えているな?」
『はい、敵襲の時は積荷を置いて逃げるように伝えておきました。間に合わなければ無駄死にせずに降伏しろとも。』
「ありがとう。こんなくだらない戦争で無為に死ぬことはない。少しでも多くの者が生きて帰れれば…………」
私の思いの丈が詰まった独白に皆が沈黙した。
「愚痴ってばかりいても仕方ないな。では皆、予定通りに頼む。またイゼルローン要塞で酒でも飲もう。いいな?」
そう言って締めにかかると、皆が一斉に敬礼し、それで会議が終わった。
「終わりの始まりか………」
この遠征軍も結末が定まってきたようだ。