銀河英雄伝説~流血と硝煙と運命の日々~   作:雪の師走

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大変遅くなりました。

いや、推敲し過ぎて何書いてるか自分でも分かんなくなりました。
次はもう少し早く出せたらいいな。


捕虜交換

宇宙暦797年 イゼルローン要塞 会議室 ヤン・ウェンリー

 

 

新年早々に帝国軍よりある議題がイゼルローン要塞を襲来した。とある商会をつてに同盟軍へ持ち込まれたそうだ。

それを新たな役職者として軍政、軍事の両輪を司る教官が、いや大元帥閣下が、最高評議会議長になったペテン師トリューニヒトと取り計らい、捕虜交換を帝国軍、同盟軍の総意によって執り行われることになった。

そしてその交換の場はイゼルローン要塞で行われることになった。

捕虜交換における帝国軍のトップは宇宙艦隊副司令長官ジークフリード・キルヒアイス上級大将、同盟軍のトップはまさかまさかの私、ヤン・ウェンリー大将が務めることになった。

教官からも雑務はキャゼルヌ少将に任せてもいいが大まかな所の把握と責任を取るのはお前がやれと言われ、渋々大量の書類を確認し、決済印を押して処理している。

今回、捕虜交換に骨を折ってくれた商会の方が同盟軍、帝国軍両方の移送も担当してくれるようでかなり助かっている部分はある。先の帝国領遠征で輸送艦の大多数が失われ、今は旧艦や退役戦艦も使って行われている現状だ。

教官も一番嫌な時期、状況で権力を握ってもな………はぁあと溜め息を吐いておられた。

「それにしても両軍合わせて300万人近い捕虜がいるとは……思いもしなかったな。」

アッテンボローが嘆息交じりに漏らす。

「基本的に宇宙空間での戦争です。空気がなければ人は簡単に死んでしまいます。それを思えばかなりの数が捕虜になっていたんだな。」

ラオ大佐も捕虜の多さに驚いている。

「同盟軍の捕虜は帝国領遠征の捕虜が200万人くらいだ。後は近年のローエングラム伯との戦争での捕虜で50万人程だ。それ以前のはあまり生き残っていない。」

キャゼルヌ少将の厳しい言葉に驚いた顔をした人が何人かいる。私は情報として確認しているから分かっているが、あまり気持ちのいい情報ではない。

「帝国での捕虜の扱いは良くないからな。よく50万人も生き残ってくれたと言うべきだよ。」

実務担当者として様々なデータを閲覧することになったキャゼルヌ先輩は憂鬱で暗い表情をしながら述べ、それに釣られて皆の顔が沈んだように陰を落とした。

「それで後10日もすれば捕虜がここ、イゼルローン要塞に来るのでしょう?何か問題はありますかな?責任者殿、実務担当者殿?」

この沈んだように暗い空気を払う様に、斜に構えた態度、口調で要塞防御指揮官、ローゼンリッター隊長のシェーンコップ少将が尋ねる。キャゼルヌ先輩が此方を見るので頷いた。

「特に問題はない。商会の担当者が帝国、同盟双方の捕虜のデータを確認し、両方に送付してきた。それを本部のデータとも確認し、問題がないことを確認している。」

「それは結構なことですな。」

他人事のような言葉にムライ参謀長は厳しい視線を送るも、まあシェーンコップ少将は関係ないから肩を竦めていなす。

「統合作戦本部長も恙無くこの件は処理するようにと、言葉も受け取っている。シェーンコップ少将、ポプラン中佐、くれぐれも問題を起こすなよ?俺は今手一杯なんだ。何かあれば軍のトップに問題を送って対処するからな?」

2人が顔を強張らせた。今、イゼルローンでも話題になっている同盟での大掃除。軍人、政治家、企業のトップと立場関係なく引っ張られ吊るし上げられている。その数は千人を優に超え、万人になったとの報道もある。

アッテンボローの父親がジャーナリストをしている関係で色々な情報が入ってくるが、陸戦隊、警官隊などの陸上戦力に宇宙艦隊もが総動員で当たっているそうだ。

連日の逮捕、事情聴取、強制捜査等でどれを放送すればいいのか、トップのニュースに持ってきていいのか分からないそうだ。

今一番ピリピリしているであろう所に問題を起こした士官として書類を送られるなど私も真っ平御免だ。

「ハイネセンも此方の事は此方にいるメンツで決めてくれと言ってきた。なので粛々と進めよう。」

私が溜め息を漏らしながら言うと皆が頷いた。これで教官が来るような展開になったら、どうなるかは理解しているのか皆黙って頷いた。

 

 

 

 

 

自室に戻るとグリーンヒル少佐がやって来た。タブレットを差し出してきた。彼女には珍しく無言でだ。顔も背けている。

タブレットに表示されている内容を見ると苦笑してしまった。

「少佐は不満かな?」

「個人的感情で言ってよろしいなら、面白くない感情です。」

「これは高度な政治的判断によるものだよ。」

顔を顰めている。私がそんな事に配慮するのが面白くないのかもしれないな。

「少佐は知らないのか………これを。」

タブレットを数分操作して問題のページを表示させてから少佐に渡した。

「これが真相だよ。将官から閲覧可能になる内容だ。そして将官の皆がこれを読むようなことは基本的にはない。」

ずいっと差し出すと、彼女は渋々受け取り内容を読み出した。そこまで大した量ではないから彼女程の才媛なら直ぐに読み終わるだろう。

「これは……事実…なのでしょうか?」

身体を震わせながら呟くように尋ねる彼女に、私は頷いて肯定した。

「あの時、ああするしか助かる道はなかった。彼らに玉砕しろと命令するのは簡単だ。だが戦力差があり過ぎる。それでは大した時間稼ぎにはならないし、犬死にを強いることになる。なので囮として敵の艦隊を引きつけてもらい、その隙に私が住民を全員率いて逃げるという苦肉の策を用いた。」

「知り…ませんでした。」

「この真実を知っているのはごく僅かな軍人だけだ。これはエル・ファシルの英雄の陰に埋もれた日陰者の事だ。後ろめたい事をしているの理解しているから高官の皆が口を噤み、目を逸らした事実だからね。」

私はあの事で称賛される度に、心の底に黒く濁った水滴が溜まるのを感じるようになった嫌な出来事だ。

「この措置は教官と私と今まで見て見ぬ振りをしてきた当事者達の詫びと懺悔のようなものなんだ。それで、済むとは思っていないけど………。」

「閣下………分かりました。諸事万端に整えておきます。」

いつも通りピシリとした敬礼をしてくれた。

「ありがとう少佐。」

ずぼらな私には手配することしかできないから、対応してくれる少佐には感謝しかない。

 

 

 

 

 

 

宇宙暦797年 イゼルローン要塞 貴賓室 ヤン・ウェンリー

 

 

たった今、捕虜交換が無事に終わった。キルヒアイス提督があの場にいるには幼いユリアンに目を付け、話しかけるというハプニングがあったものの、問題はすべからくクリアされた。

そしてこれから個人的な問題の解消、解決をする。

暫くしてブザーが鳴った。出るとグリーンヒル少佐が映っている。

「閣下、お連れしました。」

「入ってもらってくれ。」

入室の許可を出すと扉が開き、1人の男性が入ってきた。長きに渡る捕虜という過酷な生活にいたせいだろう。年齢よりも老けて見える。

「この度は捕虜交換で同盟に帰ることができ、皆を代表して感謝いたします。」

「止めてください。本当ならば、もっと早くに取り組まなければならない事です。叱責の言葉ならまだしも感謝の言葉など………。」

首を横に振りながらそのような言葉は不要と態度に示す。座ってくださいとソファに着席を促すと、素直に座ってくれた。

「それと遅ればせながら大将任官、正規艦隊司令官、イゼルローン要塞司令官への着任おめでとうございます。」

「ありがとうございます、リンチ少将。此方教官からの手紙です。」

懐から取り出した手紙を渡すと、開けて読み出した。直ぐに手が震え、肩が震え、目に涙が溜まり、そして零れた。

「奥の部屋にお二方が少将をお待ちです。私はここで失礼しますので、ご家族でゆっくりなさってください。諸事ご家族の方に伝えております。では失礼します。」

そう言って立ち上がり、退室した。

ここからは家族水入らずの時間だ。色々とあるだろうから。それにしても教官は粋な事をする。

 

 

 

 

 

宇宙暦797年 ハイネセン 統合作戦本部ビル 本部長室 ユーリ・クーロ

 

 

 

無事に捕虜交換が終わり、ホッとする間もなくハイネセンにいる信頼する将官を招集した。

と言っても捕虜交換当日はパーティーに参加しなければならず、翌日になった。下士官や兵卒の帰還者は政府からは何も無かったがそれを不満に思った私が個人の特殊なポケットマネーで手配し、ミリィが差配した立食形式の食事会を楽しんでいるだろう。あちらこちらのホテルや飲食店で楽しんでいることだろう。

そんな中開かれる会議の参加者は私、クブルスリー統合作戦本部長代理、チュン総参謀長、ビュコック副司令長官、ヤンイゼルローン要塞司令官兼駐留艦隊司令官、ボロディン大将、ウィルコック後方勤務本部長だ。

第十一艦隊ルグランジュ提督はウルヴァシーで艦隊の訓練中だ。いても彼はとある事情で外したが。

私が手元にある冊子をテーブルに放り投げた。顎をしゃくりクブルスリーに読む様に促す。彼が読み進めるにつれ顔が強張らせるのを皆が不安気に見ている。この場にいる全員に読んでもらうから安心しろ。

順に読むと、皆が一様に顔を強張らせた。まあ書いてある内容が内容だから仕方ないが。

暫くの沈黙の後、ボロディン大将が深刻な表情と沈鬱な声音で発言した。

「これは……早急に取り押さえたほうがよろしいのでは?」

「「「「「…………………。」」」」」

確かに一案ではある。だが………。

「誰を、どこまでなのかは一切分かっていない。」

私の言に皆が押し黙った。おい、誰か意見言えよ。

「これを提出した方以外は将官全員を抑えるべきかと。」

ウィルコックが強硬論を言う。こいつ最近手荒にドサ回り、鎮圧、強制捜査をしてるからか気性も対応も荒いな。

「教官に案があるのですか?」

ふむ………、ヤンが恐る恐る聞いてきた。恐らくコイツは俺の考えを察しているか手段の一つとして思いついているのだろうな。

「ここは彼らの手腕に期待しようかと思っている。」

「「「「っ!!?」」」」

ヤン以外は全員驚いた顔をしている。

「彼らの決起をゆるすと?」

ビュコック副司令長官が険しい顔をして尋ねてきた。

「ああ、不平不満のある分子はまだまだいる。ここで一掃したい。」

「まだ足りぬと?」

クブルスリーの問いに大きく頷いた。そして私がずっと思っていた事を述べた。

「私は同盟市民の打倒帝国と云うお題目を、少しでも薄めたいのだ。この国では、何か不祥事があると“戦争だ!”、政治的問題が起こると“打倒帝国だ!”になる。そして国は借金をしながら戦争をする。次の代、未来に負担を押し付けてだ。これが正しい国家のあり様か?ここらで主戦派、好戦派を綺麗さっぱりにしたいし、同盟市民の戦争賛美を圧し折りたいのだ。面倒な問題の解消にな。」

ウィルコックが俺に賛同してくれた。

「まあ俺も戦争するしないで言ったらしない方に一票だ。前線部隊に人員を持っていかれたせいで後方支援はギリギリか堤から水漏れしている。それで此方からの戦争が暫くでも無くなるなら万々歳だ。」

つまり同盟市民から好戦的思考を折り、厭戦感をもたらそうとする案だ。

「あのペテン師トリューニヒトはどうします?彼が戦争をするように命じてきたら?」

ヤンが心配そうな表情で尋ねる。

「私が命懸けで止める。それでもダメなら非情な手段を使ってでもな。」

軍事力を背景とした政府恫喝も一つの手段だ。

「儂は今直ぐに取り押さえて内憂を取り除くのに一票じゃ。」

ビュコック老は俺の考えに反対か。

「決起を許せば何処まで被害が大きくなるのか分からん。危ない橋を渡りすぎだと儂は思う。」

「佐官や将官が会っているだけで取り押さえるのは無理では?彼らがクーデターをしようとしている証拠はないのですよね?」

「ええ、残念ながら。それもあってビュコック副司令長官の案を取り上げなかったのです。最近まで捕虜だった人達と久闊を叙していると言われたら、今の立場の愚痴を互いに言い合っているだけと言われれば………。」

「ううむ……ならやむなしか。」

ビュコック副司令長官が事を起こさせてからの鎮圧に了承し、皆も賛同してくれた。

「何時始まるか分からないから皆身辺には十分気をつけてくれよ。ヤン、お前は早々にイゼルローン要塞に戻れ。ビュコック提督はウルヴァシーに、ルグランジュ提督はハイネセンに戻す。」

これでハイネセンは第一と第十一。つまり私をどうにかすればハイネセンは空になる。後は時が来るのを待つだけか…………。

さて、次の議題は。これもこれで大きな議題だ。

「帝国でブラウンシュバイク、リッテンハイム両家が中核となり反乱が起こるそうだ。」

私が告げると集まった皆が一様に緊張し、緊迫した空気になった。

「確か両家は先帝の娘を奥方にしていたはずでは?」

チュン総参謀長の質問に頷いた。

「両家には先帝フリードリヒの孫娘がいる。生前から自分の娘を皇帝にしようと躍起になっていたからな。リヒテンラーデ公に梯子を外され、頭にきたらしい。」

「…それで………、反乱…ですか?」

ボロディン大将が困惑しながら尋ねてくる。

「幼帝を抱えるリヒテンラーデ公、ローエングラム伯陣営からすれば両家は目の上のたん瘤だ。機会があれば排除にかかるのは分かっていた。置いておくより取り除いた方がメリットが多いからな。」

淡々と調べてくれた事を順に喋る。それにしてもここまで詳細な情報を上げてくれるとは、ミリィもやるな。商人だけじゃなく、こちらの才能もあったのか。

「戦力はどの程度になりそうなので?」

ビュコック老も不安気だな。

「帝国貴族4000家の中から3000ほどは参加するようだ。兵力は3000万人を優に越え、4000万人に近いそうだ。艦隊戦力も18個艦隊分はあるそうだ。正規軍からも離脱者が少なくない数出ているそうだ。」

「つまり帝国正規軍と同等の戦力を有していると?」

「数の上ではそうなるな。」

ヤンの質問にあっさりと答えた。

「数の上ではですか?」

クブルスリーが疑問に思ったらしい。

「帝国貴族3000家、この兵力を戦力にするのにどれ程の時間を要するか。数も艦種も違えば練度も違う。これで戦うなど………俺がローエングラム伯なら烏合の衆、艦隊の練兵に役立ってもらおうと思うな。」

不敵な笑みが漏れたのか、皆が引いている。

「問題は誰が反乱軍の総司令官になるかですが………?」

「ブラウンシュバイク、リッテンハイム両家の当主では?」

「いや、両家とも軍人ではないし専門家に任せるのでは?」

「では誰がいる?」

「「「「「……………。」」」」」

全員がとある男の名前を頭に思い浮かべただろう。だがそれはない。

「前宇宙艦隊司令長官ミュッケンベルガー元帥は参加せんそうだ。自身は退官した身、病身の身ゆえ軍務に携わることは出来ぬと断ったそうだ。」

とある女性から聞いた情報を伝えると一瞬沈黙が流れた。

「では誰が指揮を執られるのです?」

クブルスリーの質問に肩をすくめた。

「さあな、私は帝国の人間じゃないからな。順当な所で元帥、上級大将、大将から適任者を選ぶのだろうよ。」

軍の高位にいる人間から選出されるだろうと言うと、皆が口々に名を上げ始めた。

「元帥は誰がいる?軍務尚書と統帥本部総長は?」

「エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥か?参加するかな?今の地位を捨て、反乱に与するなど?」

「そもそも勝ち目があるのか?貴族側に?」

喧々諤々、騒がしくなってきた。

「他は?………確か幕僚総監クラーゼン元帥は?」

「もういい歳だろう?ここで最後に一花か徒花かを咲かせようとするか?それに能力的にもミュッケンベルガー元帥より大きく下回ると評価をされ幕僚総監になったのではなかったか?」

「ああ、そういう話もあったな?」

「次は上級大将か?オフレッサーか?」

ボロディン大将の挙げた名前に皆が顔を顰めた。2メートルの身長を誇り、類稀なる白兵戦能力を誇る大男。宇宙空間での戦闘が主な現在の戦争で白兵戦のみで上級大将など並の武功ではなることなど出来ない。それを達成したのだ。同盟で彼をミンチメーカーと呼ぶのは理解出来る。だが今回は………。

「奴は装甲擲弾兵だろ?艦隊戦は無理では?」

「なら他の上級大将は?」

「………いないな。グライフス、クライスト、ヴァルテンベルク大将はどうだろうか?グライフスは総参謀長を、クライスト、ヴァルテンベンクはイゼルローン要塞を守っていた。」

「う〜〜〜む。グライフスは凡庸、クライスト、ヴァルテンベンクは味方殺しをして評価が良くない。艦隊司令官としてはメルカッツ大将も帝国、同盟問わず評価が高い。戦術家としてミュッケンベルガー元帥以上ではと言われている。」

色々と上がるが今現在では確定には至らない話題だ。ここまででいいだろう。

「帝国の内乱が起こるのは間違いないでしょう。ですが今の状況では誰がどちらに与するか分かりません。なのでこの話はここまでにしましょう。我々軍も情報部並びにフェザーン高等弁務官府に調査の依頼を出しておきます。各人の伝手からの情報収集もお願いします。」

皆が頷いて会議は終わった。色々と話したから2時間を過ぎていた。

夕方から自室で私に面会を申し込んできていた人と会うことになった。

部屋に入ると見事な敬礼をしてくれた。私も答礼を返し手を下ろした。そして席を勧め、私も着席した。

「ご家族とはもうよろしいので?」

「はい。イゼルローン要塞から帰る道中、昨日、今日と団欒を楽しみました。そこで家族と相談したのですが、これからは閣下の下で働かせていただきたいと思い、こうしてお願いに参った次第で。これは私と共にエル・ファシルを離れた者たちの総意です。」

「ご家族の事で恩など感じる必要などありません。貴方方は私の無情な命令を遂行するために命を懸けられた。それに対する罪滅ぼしにもなりません。」

首を重々しく振り、そう答えた。私に感謝など無用だ。ロボスの愚かな行動のせいだが、私にも責任がないとは言えない。

「私に従い離れた者の家族、親族まで貴方は助けて下さった。」

「それも当然の事だ。と言ってもCR商会で商人として働いてもらうということしか思い浮かばなかった。それに彼らの面倒も社長のミリアム・ローザスに丸投げだ。」

「その誰もが高額な報酬を貰っている。」

「それも皆が一生懸命働いてくれ、事業が大規模なほどに拡大した結果だ。貴方方の頑張りの結果だ。」

「その環境を用意してもらえたことに感謝しているのです。皆敵前逃亡者の家族、親族として同盟の片隅で怯えて暮らす事になると思っていたのです。その怖さ、恐ろしさを拭い去ってくれた貴方に。」

目に大粒の涙を蓄え、今にも溢れ出さんばかりだ。顔もくしゃくしゃになっている。ここまで覚悟を決められれば袖にすることもできないな。

「全く。そこまでいうなら貴方に私の直卒部隊2500の指揮を任せます。貴方達1500隻に2万隻の内、浮いている1000隻を加えて。」

「ありがとうございます。」

深く頭を下げ、感謝の言葉を述べられた。全く地球時代の中世の忠義じゃあるまいに。面会を終え、彼が退室した。この後皆に伝えに行くそうだ。

私の艦隊の編成を考え直すか。私が6000隻(うちリンチ少将2500隻)、クブルスリー、ボロディンが5000隻、カールセン、ワイドボーンが2000隻。これで2万隻か。ま、これでいいか。

明日の会議で伝達しよう。そしてハイネセン近郊で訓練をさせよう。リンチ少将達に私の戦術を叩き込まなければ。

 

 

 

 

カーテローゼ・フォン・クロイツェル兵長待遇と家に帰り、夕食を取り、就寝するために寝室に入る。

横になり、今日の事を色々と考えている。

「まさかあの男が私に頭を下げ頼み事をすると思わなかった。」

リンチ少将の後にもう帰る時間になる時に訪れてきた一人の男に驚きながら迎え入れ、話の内容に更に驚いた。まあ使えるなら使うだけだ。

彼はもう暫く様子を見ながら処遇を決めよう。

ウトウトしてきた。もう寝よう。数日後にはエル・ファシルに帰っていたジェシカ達がハイネセンに戻ってくる。

カーテローゼ・フォン・クロイツェルを紹介しない…とな。深い闇に沈んでいった。




この段階でルグランジュ提督がクーデターに加わるであろうことはクーロは察していました。とある理由で。
さあ、それは何故でしょう?

エル・ファシルから離脱した艦数を書き換えました。
最前線の警備艦隊なら分艦隊位あるかなと。1500から3000隻あってもおかしくないだろうと。(流石に数十ということはなかろうと)

クーロ艦隊に1人の新メンバー加入。そしてもう一人誰かが加入することに。
これは後々出すのでお楽しみに。

更新予定は、SEED、アオのハコ、銀英伝です。
SEEDとアオのハコは逆になるかもですが。
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