FAIRYTALE 旅人の軌跡   作:亡者

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ちょっと文量多め。
ローバウルさんのなぶらの意味を知りたい今日この頃。
意味無さそうでも、あるかなぁって考えてしまう。


第漆話 束の間の平穏

「魔法……ですか」

「うん、明日から俺とウェンディは一時的に離れないといけない……だから基礎だけでも教えておいて、居ない間にローバウルさんと一緒に魔法に慣れておいて貰おうと思ってね……嫌だったかい?」

 

 ここはギルドからそこそこ離れてるし、実害は及ばない筈だ。

「いえ……そう言う訳ではありません……けど、これからだって思うと、少し……」

 

 姉を取り戻す為の覚悟、かなぁ……うーむ。

 

「せい」

「!?……ど、どうかしましたか?アルン様……」

 

 ユキノの頬を突っつく、うん、柔らかい……って感想が変態みたいだな。

 

「……リラックスしようか、ユキノ」

「……リラックス、ですか……?」

「今のユキノにとって、魔法はどんな物かな」

「?……えっと……姉さんを、取り戻す為の……方法、です」

 

 そりゃそうだ、その為にギルドに入りたいんだしね。

 

「ふむ……じゃあ仮に、ユキノの姉を取り戻した、と仮定した後、魔法はユキノにとってどんな物になるかな?」

「取り戻した後……ですか?」

「うん、辛い今の時間が終わって、ユキノの姉と共に楽しく暮らしている時、だよ」

「……えっと……」

 

 ちょっと意地の悪い質問だったかな……でも、これはちゃんと言っておきたいかな。

 

「……わからない、です」

「そりゃどうして?」

「……姉さんを取り戻す為に身に付けた魔法を……その後、何の為に使うのか、今の私には、わかりません」

「うん、一般的に考えていくなら、お金……まぁ生きていく為、ユキノは優しい性格をしているし、将来出来る友達の為に……助ける為に使うかもしれない」

「……はい」

「だからねユキノ、今やりたい何かの為に、今頑張る……なんて思いながら覚えない方が良いよ、魔法は」

「……え?」

「結論から言うと、魔法自体に深い意味は無い、そりゃあ個人個人で誇りや信念はあるだろうけど……人が魔法を覚える事に意味は要らない」

 

 生きる為、楽しく過ごす為、興味があったから、etc……そんな感じで魔法を覚える人だって居る、そんな中で復讐や戦いなんかを理由に魔法を覚えるのは……ねぇ。

 

「長い人生、意味を持つ必要もあるかも知れないけど……"きっかけ"に意味を持たせると、その後が大変だよ」

「後、がですか?」

「うん、わかりやすく例えをするとね……」

 

 うーむ、自分から振っておいてだけど、言語化が難しい。

 だから、ちょっとした例え話をしようか。

 

「……とある少年はね、戦いの為に生まれて、戦いの為に魔法を覚えさせられたんだ」

「戦い、ですか?」

「そう、戦い……まぁ自分のイメージしやすい何かを想像すると良い、戦争とか……辛いだろうけど、略奪、だとかね」

「!……はい」

「ごめんね……まぁ戦いの間、そう言う事の為に生きさせられた少年は……ある人間達と出会ったんだ」

「ある人間達……」

「その人達は、敵側だったんだけどね……何というか、その少年からしたら眩しい生き方をしてたんだ、とても」

「眩しい、ですか?」

 

 うん……じゃなくて、話したいのはこっちじゃ無いね、危ない危ない。

 

「……まぁ、違う生き方をしていた、って感じで良いよ……その人達……これからは"彼等"とでも呼ぼうか、彼等と少年は、なんやかんやあってね、少年が裏切る形で一緒に戦う事になったんだ」

「……」

「それから少し経って、戦いが終わり……皆が、今の様な暮らしを始めて……それから、だったんだ」

「それから……」

「少年の中の歯車、みたいな物が狂い始めたんだ……元々戦いの為に生まれて、その為だけに魔法を覚えた……簡単に言えば道具だったんだよ、少年は」

「ッ……」

「皆が生活の為に、魔法を使う中、少年だけは魔法をそうやって使う事に違和感があって……段々と、その歪みが酷くなって行ったんだ」

 

 他人が決めたか自分で決めたか、とか色々違うけど大まかには自分と似ている感じだからか、深刻そうなユキノ……うーん、そこまで深く考えて欲しい訳じゃなかったんだけれど、話題が悪かったかな。

 

「そして、歪みが限界にまで達した少年は、1人で暮らし始めましたとさ……って話」

「……」

「……そこまで深く考えなくて良いよ、ユキノは戦いの為って訳じゃ「その、少年様は」……ん?」

「その、少年様は……どうなった、のですか」

 

 あー……予想以上に感情移入してる感じかな、話題が完全に悪かったなぁこれ。

 

「んー……まぁ、その後"彼等"の1人である少女と再会して……彼女にとある言葉を言われたお陰で幸せに……だよ」

「どんな言葉だったんですか?」

「あー……それは……」

 

 確か彼女が、言ったのは……、

 

『貴方は、生きて……ください……■■■(アルン)

 

「ッ……」

「アルン、様?」

「……ああ、ごめんね……生きて、その意味を探し続けよう、みたいな事だよ……それから、歪みを抱えながらも彼女に支えられながら……その一生を終えたとさ、めでたしめでたし……まぁ何が言いたいかと言えば……」

 

 結局、言いたい事より他の事が伝わっちゃったなぁ……人に教えると言うのは難しい物だね。

 

「少年は、与えられた目的のために魔法を覚えて、それ以外の使い方に疑問を覚えてしまった……勿論、そうなるとは限らないけど、そうならない為に、魔法を覚える事に意味は要らない……って感じかな」

「……」

「まぁ少年は環境が悪過ぎただけかも知れないけどね……更に纏めるなら、楽しめって事さ」

「楽しむ……?」

「ただでさえ、姉を取り戻す為とは言え茨の道を進むんだ……それ以外は、少しでも楽しんだ方が、頑張る気力は出来ると思うよ」

「……わかり、ました」

「わかったならよし……はい!じゃあ辛気臭い話はここまでにして……ウェンディ?そこでずっと聴いてるのはわかってるよ?」

「!」

「……ウェンディ様?」

「あぅ……ごめんなさい」

「謝られる事じゃないよ……丁度良いし見てると良いよ、ユキノに教える魔法」

 

 まぁ気になったのは仕方ないしね。

 と言うか鍵は……あったあった。

 

「ユキノに教えるのは、これだよ」

「……()()の……鍵、ですか?」

「うん、精霊魔法という魔法でね、条件さえ満たせば、多分誰にでも使える可能性がある魔法で、自分は呼び出す魔力があれば良いから、即戦力にもなる」

 

 所有(ホルダー)系は魔力にもよるけど……精霊魔法はその代名詞みたいなものかな、多分。

 

「条件は精霊によるけれど……その分、精霊との絆や相性……時にはその物量が決め手になったりする……けど、特に重要なのは、黄道12門と言われる、世界にそれぞれ1本……全部で12本しか無い金色の鍵だね」

「え……じゃあそれって……」

「うん、多分その内の1つ……だと思うんだけど、俺は実物を見た事が無いのと、精霊に詳しく無いのと……黒い部分があるけど大丈夫なのかがわからないんだよね……」

 

 黒ってあってるのかね、後蛇遣い座なんだけども。

 旅の途中に受け取った代物だけど、俺は使う気にならなくて使わなかった……戦闘に手を借りる程困ってないし。

 俺が使ったのは1本だけだし……それは銀色だし……うーむ。

 

「こんな得体の知れない鍵を渡すのは気が乗らないんだけど……急な事で鍵が用意出来なくてね……ごめん、危なかったら俺が責任持って対処するから、一旦話を進めるね……はい、どうぞ」

「あ、ありがとうございます?」

「お礼はまだ早いかな……それで、精霊に力を貸してもらう為に、彼等との契約をしていくんだけど……ああ、そんな重く考えなくて良いよ、契約って言っても要は予定合わせみたいな物だから」

「予定合わせですか?」

「どの日が大丈夫なのか、とかの事、精霊にも生活があるからね」

「アルンさんは、精霊と契約してたりするんですか?」

「一応、1体だけね」

 

 完全に移動用としてだけどね……戦闘は俺1人で事足りるし。

 

「見てみたいです!」

「……私も……です」

「良いよ、今日は予定とも合う日だったしね」

 

 使い古した銀の鍵……どんな材質で出来てるのかな……全然錆びないんだけど。

 

「開け、鷲座の扉……アクイラ」

 

 そうして俺が呼び出した精霊は……大きな鷲、いやいつ見ても大きなぁ。

 

「お、大きい……」

「大きいです……」

「だってさ、少し小さくなれるかい?」

「ピィ」

 

 そう鳴くと、俺の肩に乗れるサイズになっ……と言うか乗ったね、うん。

 いや乗せるけど……行動が早くないかな。

 

「わぁ……!」

「小さくなりました……?」

「この子……勝手にアークって呼んでるけど、自身の大きさを自由に操る魔法を使うんだ、時々背中に乗せてもらうんだけど、中々爽快だよ」

 

 考えれば、この子とも長い付き合いだねぇ……相方だと勝手に思ってるもう1人は元気にしてるのかな。

 

「アルンさん……な、撫でてみても良いですか……?」

「大丈夫だと思うよ、この子、乱暴にしなきゃ基本的に温厚だから」

「そうなんですね……えっと、よしよし?」

「ピィ……ピィ!」

「わ、くすぐったい……」

「喜んでるんだよ、珍しく人懐っこいから、撫でられたりして嬉しくなるとくっ付いて来るんだよ……とと、この子はさておき」

 

 脱線してたけど、今はユキノだ。

 その鍵の主と契約しなきゃだね。

 

「文言は俺と同じ感じで大丈夫だから……あ、その鍵の名前は蛇遣い座……オフィウクスって名前だと、受け取った時に聞いたよ」

「わかりました……開け、蛇遣い座の扉……オフィウクス!……きゃあっ!?」

「!?」

「……これはこれは……」

 

 出て来たのは巨大な黒蛇……巨大所じゃ無いな、兎に角大きい蛇……って言うかユキノが蛇に拐われ……まぁ危害を加える気は無さそうだね。

 

「貴方は……」

「……」

「そうなのですね……では……」

「……」

「アルンさん、ゆ、ユキノちゃんは、大丈夫なんですか?」

「うん、会話は出来てるしね……上空に連れてったのは個人的な会話を聞かれたくなかったんじゃないかな」

「ピィ」

「わわわ……!?」

「怖がらなくて大丈夫だってさ、一応同じ精霊だからわかるんじゃないかな」

「あ、ありがとう?」

「ピィ!」

 

 人懐っこいとは言え、アークがここまで初対面で心を開くとは……彼女の気質かな、とても優しい子だし、動物に懐かれるのも当然なのかな?

 

「……とりあえず、ギルドから離れてて良かったのと……なんとかなりそうで良かった、かな」




オフィウクス出しちゃったけど大丈夫かな。
自分が知ってる原作がコミックだけだから、精霊出すの地味に怖かったり。
オフィウクスとかアニメオリジナルだと凄い変化してるっぽいから余計に。
コミックだと瞬殺されてたんだけどなぁ……。
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