禁断師弟がベル君の先輩なのは間違っているだろうか 作:ナカタカナ
今回で温泉回は終わりです。
なんだかんだとありつつも、ようやく温泉を堪能できると一行が楽しみにしていると・・・
「皆さん、着替えはよろしいですね。」
温泉ガチ勢の命によって温泉に入る前の作法を習っていた。
「自分がその作法の一部をお教えしたいと思います。」
「なぁ、トレイナ。温泉に入る前に作法なんかいるのか?」
『余に聞くな。だがまぁ、ここは異世界だからのう。あっても不思議ではない。』
「それもそうか。」
「まず二礼。二拍手。一礼。そしてお賽銭もいれます。」
「ちょっと待てッ!!」
「なんだいお賽銭って!?」
「おッしッずッかッにッ!! 正式な作法です。」
とまぁ、雲行きが怪しくなってきたところで、すかさずヴェルフとヘスティアが止めにかかる。
だが、温泉ガチ勢の命に強制的に黙らされてしまう。このときの命はミノタウロスの放つ咆哮にも負けていなかった。素晴らしい咆哮だ。
そしてなんやらお祓いをしだした・・・
「おいおい、本当にこんな作法があるのか?」
『・・・余も少し心配になってきたぞ童。』
異世界の作法に対してアースたちも不安になってきたようだ。かの大魔王トレイナも頭を痛めている。
「極東ならではの風習か。面白いね。」
ヘルメスはというと、こんな状況であっても興味深そうにしていた。流石は旅の神ヘルメスだ。
「すみません。極東とか関係なく、あいつだけの風習でして・・・」
桜花までもがすまなそうに肩幅を狭くしている。
千草も苦笑している。
「それではぁ~手首足首を回してぇ・・・いざッ温泉へッ・・・ぴょおおおおおん。」
そしてようやく入れる・・・
「いや、掛け湯はしないのかよッ!!」とアースが突っ込む。
たとえ別世界であっても、掛け湯の概念は変わらずあるようだ。
桜花と千草がただひたすらに頭を下げ続ける。
「「すみませんすみません。」」
「ふぅ~たまにはこういうのも良いものですね。あとはヘルメス様さえ大人しくしてくれていれば・・・」
「やっぱり温泉は最高だねぇ。長年続いていたなぞの肩こりが解けていくようだよ。」
「それは謎じゃありません。」
アスフィとヘスティアの持つ胸を見て千草が落ち込む。ぷかぷかと温泉に浮かぶ胸は男性陣の劣情を誘うであろう。
命とリリは温泉でお湯を掛け合って遊んでいる・・・おい命さんや。プールじゃあるまいし、お湯を掛け合う方が無作法なのではないのかい?
しかし、楽しそうなのも事実。この尊い空間を眺めていたいという男性陣のことを考慮し、多めに見てあげましょう。
そんなアヴァロンの片隅で男性陣は仲良く四人並んで温泉を楽しんでいた。
「終わったんだなぁ~俺達は生きている・・・」
「元はと言えば、お前のせいだからな。大男・・・」
「分かっている。だが後悔はしていない。」
ヴェルフと桜花が感慨深げに話していた。
この様子を見たら、十八階層でベルたちに謝罪していたときから大分関係が改善されたように思われる。
「アースさんはさっきから何をしているんですか?」
「ん?あぁ、ストレッチだ。温泉で暖まった筋肉を解してるんだよ。ベルもやってみたらどうだ?怪我しにくくなったりといいこと尽くしだぞ。」
アースはというと、トレイナの指導の下、ストレッチを行っていた。
アースにとってゴライアスとの戦いは、そこまで疲労にはなっていないものの、こういったときに体の調子を整えるということも、大事なのはトレイナから学んでいた。
「い、いてててて。」
アースに指導されながらストレッチを行うベルは、普段からあまりやっていなかったのか痛そうに顔を歪ませていた。
「よし、痛いところまで伸ばしたら、ゆっくり深呼吸するんだ。限界まで伸ばしてから、吐き出す際にゆっくりと、更に前に体を倒す。」
「いてて、すぅ~、はぁ~。」
「そうそう、それで伸びた所でまた、止まっておく。痛みに慣れろ。」
「は、はい。」
十分ほどストレッチを行ったところで、アースは体を起こす。
「ふぅ、こんなもんだろ。どうだベル?最初に比べて大分柔らかくなっただろ。」
「はい、すごいです。」
「これを毎日続けることだ。出来れば風呂上りとかがいいらしい。」
「わかりました。やってみます。」
元気よく返事する弟分に対してアースは微笑んだ。
「ベルは確か十四歳だったよな?」
「そうですけど、アースさんはいくつなんですか?」
「俺は十五だ。そうだな、俺のことは兄ちゃんとでも呼んでくれていいぞ。」
そしてアースは思い出す。自分のことを兄と慕ってくれる三人と弟と妹の姿を・・・
「お兄ちゃんですか・・・アース兄ちゃん?」
「グハッ・・・お、おうベルよ。俺が兄ちゃんだぞ。」
「僕もアース兄ちゃんみたいに強くなれますか?」
「勿論だ!! 帰ったら一緒にトレーニングするか。」
異世界に来て、新しい弟が出来たアースは誰から見ても上機嫌に見える。
とある世界の弟と妹たち・・・
「なんか今、お兄ちゃんを誑かす何かを感じた。」
「奇遇だねエスピ。僕もお兄さんがよからぬことをしているように感じた。」
「ぷんっぷんっ!!」
「ベル君、アース君! この奥にまだ進めそうなところがあるんだ。一緒に云ってみよう!」
するとヘスティアが岩の向こうから顔を覗かせて、二人にそういった。
「はい、神様。」
「探検か。おもしれぇ。」
そういって、二人はすぐにヘスティアのところへと向かった。
「役得か・・・」
「仕方ねぇ。リトル・ルーキーだからな。」
あとに残された二人はアースたちのことを羨ましそうにしながら、腕を組んだ。
「お、桜花、命が温泉の噴き出し口を見つけたの。そこに居た方が怪我の治りも早いかもって・・・一緒に行こ?」
ちょこんと首をかしげる仕草を見せた少女。髪の間からは普段隠れている瞳が露わになり、表情も温泉に浸かっているせいか頬も紅潮している。ヘルメスお墨付きの可憐なくびれは男が抱きしめると折れてしまいそうに儚く、美しかった。
「お、おう。」
思わぬ誘いに桜花も気恥しそうにしながら、答えた。
「・・・ちくしょう。」
女っ気のない鍛冶師の男はリア充を恨む。
「一人の時間もときには必要です。」
そこへ現れたのは我らの疾風であった。
葉っぱの上に乗りながら釣り糸を垂らす姿は、なかなかシュールである。その上に載っているリューの表情も真顔のため、更にシュールさに力が加わる。
「孤独はいい。何かを見つめなおすことができる・・・」
「何かを見つめなおす・・・うっ。」
そしてヴェルフはリューのブルマ姿に何かを見出したようだ。
「神様、ここダンジョンの中なんですよね。すごいな。」
「そうだね。」
「にしてもなんでもありだな。」
三人が進む先には洞窟が広がっており、壁から見える鉱石が光源の光を受けて、煌めき神秘的な空間を創り出していた。
『ふむふむ、やはりダンジョンというものは素晴らしいな。』
「あぁ、そうだな。」
アースがトレイナと会話していると、突然ベルが進んできた道を折り返していった。
「あれ、ベル?」
「もうっ! ベル君の馬鹿ああああ。」
ヘスティアの叫びが洞窟に響いた。
「・・・元気だせよ。」
「うぅ、ありがとうアース君。」
「なんだこれ・・・まさかっ!?」
「皆さん、温泉から上がってください!!」
アースのマジカルレーダーに何かが反応した。その正体に気付くと同時にリューが、全員に声を掛ける。
温泉がたちまち赤く染まると、それに伴い女性陣の水着が解けていく。
「おうおう、なんだいこれは?」
「「「「・・・・・・」」」」
「がはっ。」
何かを感じ取ったのかヘルメスが現れて、肌をあらわにした女性陣を見つめるが、即刻リューとアスフィたちに絞められた。哀れ。
「モンスターだ。」
「クラネルさんと神ヘスティアが危ない!?」
アースはレーダーを使って、二人の位置を調べる。
「こっちだ。」
アースが全員を誘導して、二人の元まで進んだ。
「見つけたっ!」
案の定、二人はモンスターに囲まれていたが、リューが疾風の名に恥じぬ動きで、殲滅した。
「ご無事でしたか。」
「間に合った。」
間一髪のところで二人の救出に成功する。
だがしかし、モンスターの親玉と思われる存在が姿を現した。
『これはあんこうに似ているな。』
「なんだそれ?」
『深海魚に分類されるそれは、頭についた
「なるほど。」
アースも戦いに参加するために、ファイティングポーズをとるが・・・
「大丈夫です。僕がやります。」
そういってベルが突き進む。
襲い来る触手たちを躱して、本体に走り寄る。
跳躍し、攻撃をしようとしたところで、モンスターは口を広げて落ちてくるベルを食べようとした。
しかし、その口にベルが収まることはない。何故なら・・・
「ファイアボルトオオオオオオオ。」
雷の如き炎が炸裂し、モンスターを消し飛ばした。
『ふむ、今まで発見されなかったのは、発見した冒険者たちはあのモンスターに襲われたためか。』
「やっぱりダンジョンは危険に溢れているってことか。」
『これもいい経験になっただろう。』
「そうだな。」
こうして、一行は地上へ向けて進むだした。
アース君の戦闘を早く書きたいです!!
次回はおそらく、ロキ・ファミリアに訪問します。
まさかのあのキャラが・・・次回もお楽しみに