禁断師弟がベル君の先輩なのは間違っているだろうか   作:ナカタカナ

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 今回はアースの先生が出てきます。


お久しぶりです先生!

 

 無事に地上へと帰ってくることができたアースたちは、しばしの休息をとることになっていた。

 

 アースも久しぶりに過ごす教会での生活に安らぎを感じていた。

 

 だがしかーし、アース・ラガンの朝は早い。

 

 太陽が昇るよりも早く起床したアースは、オラリオの街中を走り出した。

 

 『この風景も懐かしく感じるな、童よ。』

 

 「そうだな。空気も綺麗だ。走り込みするのも気持ちいぜ。」

 

 『ペースを上げるか童。』

 

 「あぁ。」

 

 オラリオにいた頃もこうして、毎朝走り込みをしていたアースの姿は、街の住人からは名物として親しまれていた。

 

 「おっ!? 坊主じゃねぇか。久しぶりだな。帰ってきてたのか。」

 

 走り込みをしていたアースに声を掛けたのは、これからダンジョンに潜るであろう冒険者だった。

 

 この冒険者はアースとは、何度か酒場で飲んだ(アースは果実水〉仲であり、毎朝走るアースとも交流があった。

 

 「おう、また飲みに行こうぜ。」

 

 アースも嬉しそうに走り続けた。

 

 『意識しろよ。これまでは人型を意識していたが、ダンジョンに潜る際には人型よりも異形のモンスターが多い。一匹一匹、イメージを大切にシャドーをするんだ。』

 

 「押忍ッ!」

 

 かなりのハイペースで走り続けるアースは額に汗を浮かばせ始めた。そこへ更に追い打ちをかけるかのようにシャドーを行う。

 

 トレイナのアドバイスを的確に反映し、人型のモンスターは勿論、インファイト・ドラゴンや、ハードアーマード、アルミラージといった人型ではないモンスターとの戦闘も意識して、拳を振るう。

 

 空を切った拳は汗を飛ばす。

 

 そこへ爽やかな風が吹きつけた。

 

 「ふぅ、更にペースを上げるか。」

 

 これまでも十分ハイペースだったアースは、更にペースを上げた。

 

 「水抜きのときに比べたら、大分楽だな。」

 

 『ならば、また水抜きをやってみるか?といっても、あそこまで命がけでやるわけではなく、体をリセットするという目的でやっても、いいかもしれないぞ。』

 

 「そうなのか? 俺としては、もうやりたくないんだけどな。」

 

 水抜きとは、アースがかつて、消費した魔力を回復する技法である魔呼吸を習得する際に行ったトレーニングである。その内容は文字通り、トレーニング中は一切の水分を取らないというものだ。その過酷なトレーニングのせいで、アースの頬は骨が浮かび、目は死人のようだったと、見ていた者は語る。なにより、アースは、そのときずっと走り込みをしていたのだ。時には人々の行き交う街中を、時には足場の悪い砂浜を・・・結果として、トレイナ以外は誰も習得することの出来なかった魔呼吸を習得することができたアースだったが、一歩間違えると死んでいたかもしれない。

 

 二時間にわたる走り込みを終えたアースは冒険者たちが利用する公衆浴場にて汗を流し、ホームへと帰ってきていた。

 

 「おはようございますアース兄ちゃん! どこか行ってたんですか?」

 

 ホームには既に身支度を終えたベルが朝食の準備をしてた。

 

 「ちょっと走り込みをな。ヘスティア様は?」

 

 「バイトに行きました。なんでも、ダンジョンに潜るために休暇を取っていたみたいで・・・」

 

 「なるほどな。あとで顔出すかな。」

 

 「アース兄ちゃんはこのあと何かするんですか?」

 

 新しくお兄ちゃん呼びをしてくれるベルにアースは癒された。

 

 「まぁな。ちょっとロキ・ファミリアのホームへ顔を出そうと思って。」

 

 「アイズさんたちのとこへですか?」

 

 「ベルも着いてくるか?」

 

 アースに誘われたベルは考えるが、断った。どうやら先約があるらしい。

 

 「そうなのか? なら仕方ないな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ヘスティア様。」

 

 「あれ、アース君。どうしたんだい?」

 

 朝食を終えたアースはヘスティアの働くじゃが丸くんの屋台へと顔を出していた。

 

 「あら、アース君じゃない!」

 

 更にそこへ、じゃが丸くんの屋台で働くおばさんがやって来た。

 

 「うちの神様をあまりいじめないでやってくれよ。」

 

 苦笑しながらアースがそういうと、おばさんは豪快に笑った。

 

 「大丈夫よ。私は神様だろうと、子供だろうとビシバシ働かせるから。」

 

 「全く、下界の子は怖いモノ知らずなんだから。それでどうだいアース君。じゃが丸くんはいるかい?」

 

 おばさんの態度にヘスティアは呆れるが、アースへじゃが丸くんをすすめた。

 

 「これからロキ・ファミリアに顔を出そうと思ってたところなんだ。プレーンと小豆クリームと抹茶クリームをそれぞれ三十個ずつくらい貰えるか?」

 

 「そ、そんなにかい!? 持って行けるのかい?」

 

 「いいトレーニングになるだろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 大量のじゃが丸くんを抱えたアースはロキ・ファミリアのホーム。黄昏の館の前に着いた。

 

 「アースさん! 久しぶりです。」

 

 アースの姿を見た門番の冒険者はすぐに頭を下げた。

 

 「あれ、ロットじゃねぇか。お前、門番係は卒業したんじゃなかったのか?」

 

 この門番をしている冒険者はロットといい、過去にアースにダンジョンで命を救われているのだ。

 

 アースが元の世界に戻る前には門番係を卒業し、ロキ・ファミリアの二軍の下っ端として活動するという話を聞いていた。

 

 「実は、前まで門番をしていた奴が、ファミリアに入団希望でやって来た人たちを勝手に追い返してたみたいで・・・今日はたまたま俺の番ということになってるんですよ。」

 

 「なるほどな。」

 

 アースは知らないが、実はベルもオラリオに来て、ヘスティアと出会う前に様々な探索系のファミリアへ顔を出していたのだ。その中には当然、ロキ・ファミリアも存在しており、それを知ったフィンたちによって門番をしていた男性は・・・これ以上考えるのはやめておこう。フィンではないが、アースの親指が震えた。

 

 「これ、差し入れのじゃが丸くんなんだが、どれがいい?」

 

 「いいんですか? じゃあ、プレーンをください。」

 

 「あい、じゃあちょっとお邪魔するな。」

 

 「はい!」

 

 本来なら、他派閥のホームへ入るのはタブーなのだが、アースは色々あって黄昏の館へ入ることを許可されている。

 

 その理由の一端にロットも関わっている。

 

 「アース!!」

 

 広いホームを進んでいると真っ先にアースの元へやってきたのはティオナだ。

 

 「よう、ティオナ。先生はいつものとこへいるか?」

 

 「うん、いると思うよ。それってじゃが丸くんだよね?」

 

 アースの質問に答えたティオナはアースの持つじゃが丸君を見て引いていた。

 

 「ばっかお前!! 流石に一人でこんなに食えるわけないだろ。差し入れだよ差し入れ。みんなで食ってくれ。」

 

 アースがそういうと、ティオナはなるほどと首を振る。

 

 「仲良く分けて食えよ。」

 

 するとティオナは成長した弟を見る姉の様な眼差しを見せた。

 

 「な、なんだよ・・・」

 

 「ううん、アースも成長したんだなって。」

 

 「うるさいなッ!!」

 

 持っていたじゃが丸くんをティオナに渡し、アースは目的の人物へ会うために黄昏の館の中を歩く。

 

 「ねぇ、アース。このあと時間ある?」

 

 そこへティオナが忘れていたとばかりに、アースに尋ねた。

 

 「まぁ、先生への挨拶が終わったら帰ろうと思ってたけど。」

 

 「その、さ、良かったら、デートしない?」

 

 「デ、デート!? まぁ、いいけど。」

 

 「ほんと!? やった。」

 

 嬉しそうにはしゃぐティオナを尻目に、アースは今度こそ、先生に会うために進んだ。

 

 

 

 

 

 

 コンコン

 

 「入ってもいいぞ。」

 

 「おはようございます先生!!」

 

 「ふっ、そうか。お前が来たか。久しぶりだなアース。」

 

 「久しぶりです先生。」

 

 「十八階層では、私も仕事があって顔を合わせることは出来なかったが・・・更に漢らしくなったんじゃないか?」

 

 そういってニヤリと笑う人物はロキ・ファミリアの幹部にしてレベル6の冒険者。二つ名は「九魔姫(ナインヘル)」。エルフの王族であるハイエルフのリヴェリア・リヨス・アールヴだ。

 

 この人物がアースが先生と呼ぶ人物だった・・・

 

 

 





 アースが何故リヴェリアを先生と呼ぶのかは・・・次回のお楽しみです。
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