禁断師弟がベル君の先輩なのは間違っているだろうか   作:ナカタカナ

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教えて!! せんせー!!

 

 黄昏の館の一室で、書類作業を行るリヴェリアの元を訪れたアース。

 

 「お前がオラリオを離れて二年が経つが、中身はあまり変わってないようだな。」

 

 「まぁな。先生も相変わらず美人だと思うぜ。」

 

 「女性の褒め方は勉強してきたようだな。」

 

 「あぁ、旅先で色々な人に世話になったからな。」

 

 アースがリヴェリアを先生と呼ぶのには深い理由がある。

 

 オラリオに来たばかりのアースはダンジョンに潜って過ごしていた。それからおよそ、一ヵ月が経過したころ、アースは中層にまで進出していた。

 

 中層からは、厄介なモンスターが出てくる上に、ダンジョン内でのギミックなどもある。例を挙げると、霧などだ。

 

 マジカルレーダーもあったアースは、たとえ霧の中でも視界に困ることはなかった。ところが、アースはマジカルレーダーに冒険者を捉えた。ダンジョン内なら冒険者と遭遇して、そのまま先頭に発展することもあるそうだが、そのときのアースは、冒険者たちの動きがおかしい事に気づき、向かったのだ。

 

 そのときに出会ったのが先ほど会ったロットを含めた五人ほどのパーティだった。

 

 ロットたちはインファイト・ドラゴンの強化種と遭遇し、命からがら逃げてきたというのだ。

 

 ポーションなども切らしていた彼等は、困り果てていた。それをアースが助けたのだ。

 

 アースが先頭に立って、地上まで向かう。しかし、そこへ現れたのがインファイト・ドラゴンの強化種だった。

 

 強化種ということもあり、アースも苦戦したが、それまでに六覇やジャガーノートなどのモンスターと戦ってきたアースだ、多少のかすり傷はあったが、一人でインファイト・ドラゴンに勝利し、ロットたちを地上へ送り届けたのだ。

 

 その際に、レベルアップを果たしレベル2となった。

 

 後日、アースの元へ、ロキやフィンとリヴェリア、ガレスを含めたロットたちが、あの教会にやってきて感謝したのだ。

 

 「うちの子たちが世話になったお礼に、うちらに出来ることやったら、なんでもしたるで。」

 

 ロキの提案で、なんでもしてくれるといわれたアースとヘスティアは話し合った。

 

 「お金がいいかい?」

 

 「いや、お金は大事だが、それよりも大切な物がある。」

 

 「なんだいそれは?」

 

 「知識だ。俺はこの世界に来てから、ダンジョンの恐ろしさというものを嫌ってほど、思い知らされた。」

 

 「なら、アース君の望むようにお願いしたらいいと思うよ。」

 

 ヘスティアも了承してくれたため、アースはロキにこう頼んだ。

 

 「誰か、俺にダンジョンについての知識を授けて欲しい。」

 

 「ほう、なんでや?」

 

 「ヘスティア・ファミリアには眷族が俺しかいない。他に教えてくれる先達もいなければ、知識がなければ、ダンジョンで生き残ることもできない。」

 

 アースが淡々と述べるとロキは勿論、フィンたち幹部や、助けたロットたちでさえも驚いていた。

 

 「なんや自分。てっきりなんでもかんでも突っ込んでいく猪みたいな奴やと思ったら、めっちゃ頭もキレるやん。」

 

 「それって俺のこと馬鹿にしてますよねロキ様?」

 

 「アッハッハッハ、悪い悪い。ええよ。勿論や。自分はこれから、うちの下級冒険者たちと一緒にリヴェリアたんの講義を受けることを許可したる。」

 

 こうして、アースはリヴェリアが行っているというダンジョンに関しての講義に参加することを許可されたのだ。

 

 元の世界で通っていたアカデミーでは、常に上位の成績を収めていたアース。実は戦闘だけではなく、勉強面に関しても努力を怠らなかった秀才なのだ。

 

 その点に関しては六覇のハクキも舌を巻くもので、数々の強敵と戦う中で、更に磨かれてきたのだ。

 

 リヴェリアの講義を受ける冒険者たちの中でもアースはトップを勝ち取った。

 

 リヴェリアの教えがいいということもあるが、勿論それだけではない。復習、予習は当たり前。それどころか、ダンジョン内で、自身がもしもこのような場面に陥ったときのパターンを数百種類も考えて、自分で解決法を考える。それでも分からない場合、普段ならばトレイナに頼ればいいのだろうが、トレイナも流石に異世界の知識は知らないようで、リヴェリアに質問していたのだ。

 

 その普段の姿からは考えられない、隠れた所での努力を欠かさないアースにリヴェリアは好感を持つどころか、ある種の好意まで抱くようになっていた。

 

 アースが現れるまで、自分の講義を真面目に聞いていた冒険者は、わずかしかいなかった。レフィーヤですら、質問に来ることはあまりなかった。

 

 (レフィーヤがあまり質問に行かなかったのは、気まずかったから。)

 だが、アースは質問を講義が始まる前と終わったあとに必ず一個か二個はするのだ。

 

 何がいいたいのかというと、リヴェリアから見てアースは可愛くて可愛くて仕方がないのだ。

 

 

 

 

 

 「それでどうしたんだ? また質問でもあるのか?」

 

 リヴェリアは手に着けていた書類作業を一度やめて、アースにお茶を出しながらそういった。

 

 「お茶なんて出してくれなくても良かったんだぞ先生。」

 

 「気にするな。久々に会った生徒に、お茶を出すくらい当然だ。」

 

 「質問は・・・特にないな。でも強いて、いえば俺がオラリオから出て行ったあとに、何か新しく学ぶべきことを増えたか?」

 

 「・・・あぁ、先日の遠征で、私たちは新種のモンスターと遭遇した。詳細はまだあまり分かっていないが、そのモンスターは芋虫のような姿をしており、体液が腐食作用を持つということだ。」

 

 すると先ほどまで生徒との再会に嬉しそうにしていたリヴェリアの表情は一転し、深刻そうな表情へと変わった。

 

 「そのモンスターは十八階層にまで登ってきた。」

 

 「それってヤバくないか?」

 

 「あぁ、私はそのモンスターは何か人工的に造られたのではないのか?と考えている。」

 

 紅茶を口に含み、背もたれに背を預けたリヴェリアはため息を吐いた。

 

 「闇派閥が何かを企んでいるかもしれん。」

 

 「それって・・・」

 

 「あぁ、七年前にオラリオを襲った連中だ。お前はそのとき、オラリオにはいなかったのだろう。」

 

 アースは頷く。

 

 「奴らは残虐非道の限りを尽くす。人の命を弄ぶ。自爆なんて当然かのように戦う。」

 

 「・・・」

 

 リヴェリアの表情が怒りで歪む。

 

 「あっ、すまない。せっかくの再開だというのに、このような話になってしまって・・・」

 

 「先生は悪くねぇよ。お茶、ごちそうさまでした。美味しかったです。それじゃあ、俺はもう行くぜ。差し入れにじゃが丸くんも買ってきてるから、あとで食べてくれ。」

 

 「あぁ、いただくとしよう。」

 

 「先生。次の講義はいつだ?」

 

 「今日の夜だ。来るなら歓迎する。」

 

 アースが去り際にリヴェリアに向けて放った言葉は、先ほどまで暗い表情を浮かばせていた彼女の表情をあっという間に明るく、美しいモノへと変えてしまった。

 

 「あぁ、じゃあ今日もたっぷり教えてもらうことにするぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 黄昏の館を出たアースは、ティオナと合流する。

 

 「アースったら遅いよ!」

 

 アースが出てくるのをホームで待っていたらいいものを、ティオナはアースと出かけるのが楽しみで仕方なかったのか、外で待っていたようだ。

 

 「悪い悪い、先生と長話しちまった。」

 

 アースとリヴェリアの仲を知っているティオナは仕方ないなぁ~とでもいいたげに、こういった。

 

 「お詫びに何か奢ってよね。」

 

 「さっきじゃが丸くんあげたじゃねぇか!!」

 

 「それはそれ、これはこれ。」

 

 アースと出会うまでは、かなりざっくばらんとした性格だったティオナだが、アースと出会ってからは小悪魔属性を習得しつつあった。

 

 「仕方ねぇな・・・いっとくが、今はあまりお金ないぞ。」

 

 「大丈夫大丈夫。アースは私のことをどんな風に思ってるの!」

 

 「姉に全てを奪われた者。」

 

 「殺すッ!!」

 

 「うわああああやめろやめろ。悪かった。」

 

 「処すから。」

 

 このやり取りを見ていた周りの冒険者たちからは・・・

 

 「久しぶりに見たと思ったが、相変わらず大切断(アマゾン)熱血鉄拳(ハート・パンチャー)は夫婦仲がよろしいことで・・・」と思われているとかいないとか・・・

 

 「「誰が夫婦だ!!」」

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