禁断師弟がベル君の先輩なのは間違っているだろうか   作:ナカタカナ

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 宣言通り、本日二話目です。というのも、明日投稿できるかわからなかったからです。もしかしたら、明日は投稿できないかもしれません。


あとちょっとの頑張りで・・・

 

 ティオナとのデートも終わりが見えてきた。

 

 アースはティオナを黄昏の館に送り届ける前に、一度ホームへと戻っていた。

 

 「アースさん!」

 

 ホームについたアースにベルが話しかけた。

 

 「おう、ベル。また出かけるのか?」

 

 「はい、リリとヴェルフと飲みに行くんです。アースさんもどうですか?」

 

 「悪い。これからちょっと勉強しに行くんだ。」

 

 「勉強!? あっ、もしかして、あのノートに書いてあった・・・」

 

 するとベルはボロボロの本棚に並べられている何冊ものノートを指差した。

 

 「ベルの役に立ったか?」

 

 「はい! どのページも綿密に書かれていたんですけど、とっても分かりやすく纏められていて、しかも終わりの方は応用編として、様々な場面での立ち回り方なんかも書いてあって、エイナさんも絶賛してましたよ。」

 

 ピョコピョコと跳ねるウサギの様に嬉しそうなベルはアースを癒した。

 

 「役に立ったなら、良かったぜ。それじゃあな。」

 

 「はい、頑張ってください。」

 

 そういってアースはホームを出て行った。

 

 「・・・アースさんは本当にすごいな。強くて、かっこよくて、優しくて、しかも勉強もできるだなんて・・・僕もいつか、アースさんみたいに慣れるかな。」

 

 誰もいなくなった教会の中心にてベルは呟く。

 

 静かで、お化けでも出てきそうな雰囲気の教会にベルの呟きが解けていくかのように吸い込まれた。

 

 しかし、それに反してベルの表情はどこか誇らしげだった。まるで、自分の兄貴分はとっても、素敵な人なんだぞ。とでもいいたげだ。

 

 

 

 

 

 

 

 「悪い。待たせたな。」

 

 「ううん、大丈夫だよ。ところで思ったんだけど・・・」

 

 「どうしたんだ?」

 

 二人で並んで歩いているとティオナが急にアースの前に回り込んだ。

 

 身長はアースの方が上と言うこともあって、自然に下からのぞき込むようにしてアースの顔を見つめるティオナにアースは少々、ドキッとした。

 

 「アースって実は良いところのお坊ちゃまだったりする?」

 

 「なっ!? ちげぇよ。なんでだよ。」

 

 「だって、ふとした時の仕草とか、リヴェリアに似てるんだもん。」

 

 どうしてこうも女性というのは勘が鋭いのだろうか。ティオナにしろ、リューにしろ、リヴェリアにしろ、オラリオの女性は何かスキルでもあるのだろうか?

 

 いや、思えば元の世界でもシノブ、クロンなんかも勘が鋭かったなとアースは思い返す。

 

 「た、多分、先生の講義を受けているからだと思うぞ。うん、きっとそうだ。」

 

 「えぇ~でも、私もリヴェリアの授業は受けたよ。」

 

 「いや、お前の場合は寝てただろ。」

 

 「あっ・・・アハハ、し、仕方ないよね。眠たくなるんだから。」

 

 痛い所を突かれたといわんばかりに、話を逸らそうと頑張るティオナ。

 

 「はぁ~多少は勉強しとけよ。将来どうなるかわからないんだからな。もしダンジョンで再起不能の怪我を負ったときとかどうするんだ? ファミリアに負担をかける訳にもいかないし、最低限どこでも働けるように勉強しとけよ。」

 

 するとアースの口から出た正論にティオナは黙ってしまうのを通り越して、関心すらしていた。

 

 「いや、まぁ、イシュタル・ファミリアが経営する娼館なんてものでアマゾネスの多くが働いてるって聞いたことあるけどよ、絶対に、俺はお前をそんなとこで働かせたりなんかさせないからな! いや、別に娼館で働くことが悪いっていうつもりはないけどよ・・・その、なんだ。あぁ! もう、だからな、つまり・・・わ、分からないことがあったら、俺が分かるまで教えてやるから、少しは勉強しろってことだ!」

 

 「・・・ぷっ、アハハハハッ!」

 

 長々と話すアースだったが、内容が内容だったため、ティオナは噴き出してしまう。

 

 「そっかそっか、アースは私が娼館で働いてほしくないんだ。」

 

 髪の毛の先をクルクルといじりながら、笑う。その耳が若干、朱に染まっているのは街灯の光によるものなのか、別の物なのかは・・・

 

 

 

 

 

 

 黄昏の館へ着き、アースはリヴェリアが講義を行う部屋に向かった。

 

 まだ誰もいない部屋で、アースは持ってきていたノートを開く。そのノートはアースが最後にリヴェリアの講義を受けた際の物で、懐かしいなとアースは思い返す。

 

 『余の部下にもリヴェリアの様な人材がいれば、余のストレスも軽くて済んだのだろうに。』

 

 「やめてやれよ。先生が死ぬだろ。」

 

 大魔王トレイナの元へ仕える六人の幹部。

 

 トレイナのことを神と崇め、この世界でいうとヘラに似た性格をしている天空族の暗黒の戦乙女ヤミディレ。

 

 魔界でも最低、最悪、最凶と名高い魔族からも嫌われている闇の賢人パリピ。

 

 人望はあったが、その、性癖が・・・非常に残念な、のじゃロリババアの幼女闘将ノジャ。

 

 アースもその漢気には魅せられた熱く固い魂を宿した魔巨神ゴウダ。

 

 トレイナの亡くなったあと、魔族を率いる気高き士官のライファント。

 

 そして、何度も殺されかけた、魔界最強の鬼・・・ハクキ。

 

 これらの個性的な人材を纏めたのはトレイナだからこそ出来たものだ。トレイナがいなければ、きっと魔界は混沌としており、人類との戦いも停戦がなく、どちらかが絶滅するまで続いてたいかもしれない。

 

 「もう来ていたのか。」

 

 「あっ、先生。」

 

 すると部屋にリヴェリアが入ってきた。

 

 「うむ、始まる五分前だというのに、他の連中は何をやっているんだか・・・」

 

 自分のファミリの団員に対して頭痛がする。

 

 『どうしてアースは、ロキ・ファミリアに来なかったのだろうか。はぁ~。』

 

 アースが居れば、周りの連中もやる気を出すと考えているリヴェリアからすると、アースほど仲間の着火剤になる存在はいないと確信している。

 

 「あれ、まだアースしかいないの?」

 

 そんな二人しかいない部屋に現れたのは、先ほどまでアースとデートをしていた少女ティオナだ。

 

 「ティオナが来るだなんて、明日はバベルの塔が崩れるかもしれないな。」

 

 冗談抜きで、大の勉強嫌いのティオナが自分が無理やり連れてくるわけでもなく、自分の意志でやってきたことに、リヴェリアは割とガチで心配した。

 

 「ひっどいリヴェリア!!」

 

 どうやら先ほどアースに言われた言葉が身に染みたようだ。ノートと筆記用具を抱えて、アースの隣の席へ座った。

 

 「アースが何かやったのか?」

 

 「まぁ、ちょっとな。」

 

 「私、ちょっとずつだけど勉強頑張るよ。アースもわからないところがあったら教えてくれるっていってるし・・・ね!」

 

 「おう、任せろ。」

 

 いつの間にか成長している自らの生徒にリヴェリアは感動する。

 

 「はぁ、本当にお前がロキ・ファミリアに来てくれていれば・・・」

 

 「どうしたのリヴェリア?」

 

 「ちょ、調子が悪いなら、今日の講義は休みでもいいぞ。な、なんなら、俺の学んだとこだったら、代わりに教えとくから。」

 

 普段から書類作業の大半を任せられているリヴェリアの体調を心配して二人が声をかける。

 

 「大丈夫だ。少し嬉しくてな。あれだけ嫌がっていたティオナが講義を受けにくるなんて。」

 

 「私も成長するんだよぉ~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、今日の講義に集まったのはアースとティオナを除いて六人。その全員がレベル1の下級冒険者だ。

 

 アースのことは講義が始まる前に、リヴェリアが説明していたため、気にしていないようだ。

 

 逆にティオナが来ていることの方がおかしいとすら思われている。

 

 「じゃあまずは復習だ。大分前にやったダンジョンで休憩をとるときは、どのような場所で、どのようにして休憩を取るのか。分かる奴・・・ティオナは流石に分かっているはずだが?」

 

 「え、えっとぉ~確か、小さい部屋で壁を壊す?」

 

 「そうだ。そうすれば、大量のモンスターに襲われることはない。更に、壁を壊すとダンジョンは壁の修復に時間を掛ける為、モンスターが生まれることもない。」

 

 「えへへ。」

 

 問題にして初級の初級。だが、これをティオナに答えさせたのは正解することの楽しさを知るためであった。

 

 「では、講義を始める。」

 

 

 

 

 

 

 リヴェリアの講義は一時間ほどであるが、進むスピードが速く内容が濃い。必要な知識だけをぎゅっと詰め込んだ質のある講義内容のため、残り五分のときには他の冒険者たちはぐったりしていた。

 

 「であるからに、ダンジョン内にて・・・はぁ。」

 

 アースを除いた全員が精神枯渇(マインドダウン)のときのようにぐったりしているため、リヴェリアは再び額に手を当てる。

 

 「情けないぞお前たち。あと五分だから気張って見せろ。」

 

 普段は理論的なことを述べるリヴェリアだが、たまに精神論てきな意見も出す。それは彼女がお転婆だった時期があることも関係している。

 

 「おいティオナ。頑張れ、あと五分だ。」

 

 「うぅ~頑張ったよ。私、いつもなら始まって一分で寝てるけど・・・」

 

 確かに、今日のティオナはノートもしっかりとっており、普段の講義とは比べ物にならないほど頑張っているといえよう。

 

 「はぁ、なぁアース。こういうとき、お前はどうやってやる気を出すんだ?」

 

 そこでリヴェリアはアースに助けを求めた。自分がいうよりも、同じく講義を受けているアースの意見の方がティオナたちには共感できるものがあると考えたからだ。

 

 「そうだな・・・昔は、ただ認められたいって思ってた。親父に、お袋に、メイドに、『頑張ったな!』って褒めてもらいたい一心で頑張ってたな。」

 

 これにはリヴェリアも驚いた。あの真っすぐな少年が、心の底ではこのようなことを考えていたのかという思いと、少し悲し気に語る少年を見て、地雷を踏んだのかと後悔したからだ。

 

 「今でもな、やっぱり認めてもらうと嬉しいけどよ。なにより、自分の力になるのが楽しくて楽しくて仕方がないんだ。トレーニングだってそうだ。昨日は10キロしか走れなかったのに、今日は10,1キロ走れたって、そのわずかな成長が俺は楽しくて楽しくて、仕方がないんだ。」

 

 だが、悲し気な表情から一転して、いつも通り、力強い眼力を放つアースにリヴェリアは勿論、他の冒険者たちでさえ眩しく感じる。

 

 「だからな、今苦しくても、いつかその苦しみのおかげで、助かることがあるって考えたら、もうちょっとくらいなら頑張れる気がしないか? あとちょっと頑張れば、ダンジョンで生き残る可能性が増える。それだけで頑張るには充分だろ?」

 

 それを聞いた冒険者たちは、再びノートと教材に向き合った。顔はまだ疲れているが、それでも目は輝いていた。

 

 「ふっ・・・では、最後だ。今日はこれで終わるから頑張れよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 アースのすごいところは、周りの人も鼓舞できる所ですよね。鼓舞するという点では、フィンさんにも負けていないと思います。

 リヴェリア先生に教えてもらえるなら、もっと勉強できる気がする・・・
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