禁断師弟がベル君の先輩なのは間違っているだろうか 作:ナカタカナ
久しぶりです。夏休みが明けてから、色々と忙しかったので、投稿するのが遅れました。
また、ぼちぼちと投稿できたらなと考えております。
アースが久しぶりにリヴェリアの授業を受けた夜、ヘスティア・ファミリアのホームでは怪我をしたベルたちがヘスティアに治療されていた。
怪我を負った原因は、ベルたちが飲みに行っていた店でアポロン・ファミリアの団員がヘスティアを馬鹿にしたことがきっかけで、ベルがブちぎれた。ヘスティアを馬鹿にした団員はベルやヴェルフが痛い目を見させたが、同じくアポロン・ファミリア所属で、団長を務めているのレベル3の冒険者ヒュアキントスにボコられたというわけだ。
「やるじゃないかベル君! ベル君がやんちゃで、僕は嬉しいような悲しいような・・・」
「最近ベル様は性格が乱暴になっています! きっとヴェルフ様の影響を受けているんだと思います。」
「いいがかりだろリリ助。それによ、乱暴というか、喧嘩みたいのなら、俺よりアースの方が好きそうだろ。」
「確かに、アース様の影響もあるのかもしれません。」
「いや、俺のせいかよ。」
ヘスティアと一緒にベルたちの治療を手伝っていたアースにも飛び火が移る。
『確かに、童は喧嘩や真向勝負が大好きだな。』
「誰のせいだ!」
かくいうアースも喧嘩やタイマン勝負が大好物である。拳には拳を、額には額を・・・といった感じで、かなり荒っぽく熱い性格と言ってよいだろう。
つまり何がいいたいかというと、アースはベルたちを褒めた。
自身の尊敬する主神ヘスティアを馬鹿にしたゴミに立ち向かったと。
「君が僕のために怒ってくれるのは嬉しいよ。でも、それで君が危険な目に遭うことの方が僕は悲しいよ。だからね、今度は笑い飛ばしてくれよ。『僕の神様は、そんなことで怒るほど器の小さな神様じゃないって。』」
ロり巨乳という幼い見た目でありながらも、慈愛に満ちた母の様な表情を浮かべて、ベルの心配をする様子はやはり、女神。しかも、とびっきりの善神である。
「はい・・・次は我慢します。神様、ごめんなさい。」
「よし、じゃあ俺は出かけてくるわ。」
怪我の治療も終えて、ひと段落かと思ったところに、アースが外へ出ようとする。
「どこへ行くんだい?」
「ちょっと俺の弟分と主神を悲しませた野郎どもにカチコミに行こうかと思ってな。」
「「やめてください!やめてくれ!」」
翌日、ベルはギルドへ赴きアポロン・ファミリアと揉めたことを、アドバイザーであるエイナ・チュールへと報告していた。
ハーフエルフの彼女の母は、かのロキ・ファミリアに所属し、アースの先生でもあるリヴェリア・リヨス・アールヴの従者だったという、当時お転婆だったリヴェリアと共にエルフの森を飛び出して、こうしてオラリオの地にて、彼女を産んだのだ。
ギルドへの報告を終えたベルの元へ、アポロン・ファミリア所属のダフネとカサンドラが招待状を渡す。
その招待状はアポロンからのもので、神の宴への誘いであった・・・
神の宴へはベルとヘスティアが参加することになり、アースは何をしているかというと・・・
「っかあああッ。やっぱ走った後の果実水はうめぇな。」
豊穣の女主人へと足を運んでいた。
「ミアさぁ~ん、香草詰めチキンと、アクアパッツァ。」
「あいよ。ったく、久しぶりに帰ってきたってリューから聞いたけど、また随分強くなったみたいじゃないか。」
「へへ、まぁな。一日一日の積み重ねが、俺にとっては強くなるための道だからな。」
「あんたみたいな元気のいい若者は、あたしも嫌いじゃないよ。」
豊穣の女主人とは、リューが働く店の名であり店主は元フレイヤ・ファミリアの団長でレベル6の冒険者であったミア・グランド。オラリオにおいて、料理も酒もうまく、店員も綺麗どころしかいない、まさに冒険者にとって楽園のような店である。
「にゃにゃ、元気にしてたかアース。」
「おう、アーニャも元気そうだな。相変わらずドジ踏んでミアさんに怒られてんのか?」
「にゃにおぉ~、アースの癖に生意気にゃ!」
そういってアースの元へ料理を運んできた猫人の少女の名はアーニャ・フローメル。お馬鹿でドジなところが目立つ少女である。
「ひっそり近づいて来ても、俺の尻は触らせないからな。」
「にゃっ、バレたか。」
そして、もう一人、アースの背後からアースの尻に手を持って行った黒い猫人の女性はクロエ・ロロ。
昔は依頼達成率100%を誇る凄腕の暗殺者だったが、ひょんなことから、今はこうして豊穣の女主人で働いている。
「アーニャも、クロエも、アースさんを困らせては駄目ですよ。」
そして更に現れた銀髪の美少女はシル・フローヴァといい、謎が多い少女である。
彼女もまた、アースが以前ここに通っていたときからの付き合いであり、リューの大切な友人でもある。
「ふふふ、リューが帰ってきて嬉しそうな顔をしていたから、何があったのか不思議でしたけど、アースさんが帰ってきていたのでしたら、納得です。」
そういって微笑むシルに、アースも嬉し気に笑う。
「みんな元気そうで良かったよ。それで、リューさんは?」
「リューなら、もう少しで皿洗いが終わると思います。」
「そっか、じゃあ、俺はまだまだ料理を楽しませてもらおうかな。」
「お待たせしましたアース。」
「よう、仕事は終わったのか?」
「はい、ミア母さんから休憩をいただきました。」
料理を完食したところで、リューはウエイトレス姿でアースの前に現れた。
「ダンジョンでは弟分が世話になったな。」
「いえ、クラネルさんはシルと仲がいいので、クラネルさんの身に何かあっては、シルが悲しみますから。」
「相変わらずだな。」
「えぇ、そういうあなたも相変わらずです。」
果実水を手に持った二人は、竹馬の友と再会したかのように話をつづけた。
周りの目を忘れて話続ける二人に、赤い髪の少女が割って入る。
「珍しくリューが誰かと話してるかと思ったら、あなたアースじゃない!!」
そう、この赤い髪の少女こそ、リューの所属するアストレア・ファミリアの団長にして、レベル5。二つ名は《|紅の正花(スカーレット・ハーネル)》ことアリーゼ・ローヴェルだった。
次回、再会アストレア・ファミリア