禁断師弟がベル君の先輩なのは間違っているだろうか 作:ナカタカナ
だいたい、アースがオラリオに来たのが原作の始まる二年前ほどです。
アースが過去へ飛んで、エスピたちと別れてから現代に戻る際に、色々あって、オラリオに迷い込みます。始めは、アストレア・ファミリアがジャガーノートと戦っているところへ、迷い込み、ジャガーノートと戦います。それに勝利し、一安心したところで、再びアースは飛ばされて原作開始二年前にたどり着きます。
ヘスティア様はそのとき下界に来ていないのでは?という点は、既に下界に来ていたということになります。
ちなみにアースのレベルは5です。
ゴライアスを討伐したアースたちは、目的の十八階層へと向かうために、穴から十八階層へと降りた。
「いたた・・・」
ヘスティアは案の定ゴロゴロと転がり落ちた。
「神様?」
「ベル君ッ!! ベル君ベル君ベル君ッ!」
ヘスティアが十八階層へ到達すると、探していた人物ベル・クラネルがいた。
嬉しさのあまりヘスティアはベルに抱き着く。
そんなヘスティアに対し、ベルは苦笑する。
「本物かい? よかったぁ~。」
自身の子供の無事を確認したヘスティアは涙を浮かべる。
「心配かけて、ごめんなさい。」
感動の再会・・・と思いきや。
一人の小人族の少女リリルカ・アーデがヘスティアを離れさせる。
「もう、感動の再開に水を差さないでくれよ・・・ヴァレン何某!?」
ベルを追いかけてきたと思われるロキ・ファミリア所属のレベル6 「剣姫」アイズ・ヴァレンシュタインも現れた。
そして、ベルのもう一人のパーティメンバーであるヘファイストス・ファミリア所属のヴェルフもベルの心配をして、追いかけてきていた。
「君がベル・クラネルかい?」
そこへ、ヘルメスが話しかける。
「はい。」
「そうか、君が・・・俺の名はヘルメス。どうかお見知りおき。」
「どうも、ありがとうございます。」
ヘスティアがここにいることから、事情をなんとなく察したベルは、ヘルメスに礼を告げる。
「あぁ、感謝なら俺じゃなくて、俺以外の子達にいってくれよ。彼らのおかげで、ここまで来れたんだ。」
ベル、リリ、ヴェルフは視線を穴のほうへと向ける。そこに立つ人物たちを見た瞬間、殺気だった。
そう、彼らが、命の危機に陥る原因となったタケミカヅチ・ファミリアの三人がいたからだ。
「あれ、なんか俺、空気?」
『童・・・カクレテールであった魔極真流の決勝戦といい・・・泣くな。』
「な、泣いてねぇし!!」
場所は移り、ベルたちが休んでいたテントへと変わっていた。
「本当に申し訳ありませんでした。」
黒髪を後ろに束ねた美少女、命がベルたちに向かって土下座をしていた。
「そんな、頭をあげてください。」
「いくら謝られても、簡単には許せません。リリたちは死にかけたのですから。」
「あぁ、そうすっぱり割り切れるものじゃない。」
ベル以外の二人は、許せないといっている。それも当然だろう。
「本当にごめんなさい。」
千草も命に続き、謝る。
「リリ殿たちの御怒りはごもっともです。」
「責めるなら俺を責めろ。あれは、俺の出した指示だ。」
そして、先ほどまで目を瞑り黙っていた桜花がそういった。
「俺は今でも、あの指示は間違っていないと思っている。」
「それをよく、俺達の前でいえるな・・・」
桜花の言葉にヴェルフは目を細める。
「・・・僕も、リリやヴェルフ・・・仲間の命がかかっていたら同じことをしていたかもしれません。」
その言葉を聞いてリリとヴェルフは黙りこむ。
「ベル様がそうおっしゃるなら・・・」
「・・・ちっ、割り切ってはやる。だが、納得はしないからな!」
「それで十分だ。」
こうして、両者は和解できた・・・
「ところで、あなたは?」
ベルがアースに尋ねた。
「ぐすっ・・・よく、聞いてくれたな。」
先ほどからずっと空気だったため、アースは心で泣いていた。そんなアースをトレイナは慰めていた。
「俺はアース。アース・ラガンだ。簡単にいうと、お前の兄貴分ってやつだな。」
「は、はぁ?」
「ヘスティア・ファミリアの冒険者だってことだ。」
「えっ?・・・・・・・えぇぇぇぇぇぇ!?」
アースの告げた事実にベルは戸惑う。
「ハハハ、お前可愛いな。良い奴だ。良かった、ヘスティア様の新しい眷族がどんな奴か気になってたんだが・・・うん、さっきのやり取りといい、良い奴で安心したよ。」
アースは野性味あふれる笑みを浮かべてベルの頭を撫でた。
「パーティメンバーの二人も、えっと、リリとヴェルフでいいよな? 俺からもベルのことを守ってくれてありがとうな。」
撫でていた手を退かして、二人の前に拳を突き付ける。
「俺の弟分は主神だけじゃなく、仲間にも恵まれたようだ。」
「そんな、ベル様を守るだなんて、いつもリリはベル様に守ってもらってばかりで・・・」
リリはあたふたしながら、アースにそう答えた。それに対しヴェルフは・・・
「そうか、あんたがヘスティア様の最初の眷族か・・・俺も主神様から噂は聞いてたぜ。それに、ベルは俺の仲間だ。守るのは当然だ。」
ハッとした表情を浮かべるが、すぐに堂々とした表情へ変わる。
「アースさんも、僕達のことを探しにきてくれたんですよね? 本当に、ありがとうございます!」
「気にするな。俺の方こそ、ヘスティア様のことを頼むぜ。俺自身ちょっと訳ありでな。ずっとオラリオにいるわけじゃないんだ。」
「はいッ。」
と会話も一区切りしたところで、ヘルメスがこれからの予定について説明する。
「地上への帰還はロキ・ファミリアが先に出発し、ゴライアスを討伐してからとのことです。ですが、先ほどアースさんが単独でゴライアスを討伐したため、予定変更をしなければならないそうです。」
「なので、ロキ・ファミリアが出発するのは早くても二日後とのことです。」
「つまり、一日の休みがある。明日はゆっくりしようか。」
アスフィの説明を聞いてヘルメスがそう提案する。
話し合いを終えたあと、ベルはアイズとどこかへ行った。
「しまった、アイズにティオナのこと聞いとけば良かった・・・」
『あのアマゾネスの妹か。確かレベル5で上級冒険者だったな。ならば、遠征にも参加しているはずだ。
どこかのテントにはいるだろうが・・・』
「久々に会いたかったんだけどなぁ、まあ、明日でいいか。」
『童・・・あの娘のことが好きなのか?』
「す、好きッ!? ち、ちげぇよ、アイツは親友だよ。まぁ、確かに可愛いと思うけど・・・」
『フィアンセ、サディス、シノブ、クロン、アミクス、ノジャ・・・』
「う、五月蠅いなッ! それにノジャまで入れるなよ!」
『にしてもだ童よ。この階層は、いつ来ても美しいな。』
そういったトレイナはアースの隣でダンジョンの天井を見る。
そこには魔石たちが星々のように輝いていた。
「これがダンジョンの中なんて信じられないよな。」
『あぁ、様々な経験をしてきた余だが、異世界とは余の知らない未知で溢れてるな。』
「そうだな・・・それで、さっきからどうしたんだヘスティア様。」
マジカルレーダーに反応があったのか、アースは背中のほうにあった茂みに話しかけた。
「な、なんだい気づいていたのかい?」
「まぁな。」
アースが笑みを浮かべて、その場に座り込んだ。すると、ヘスティアもスタスタと歩み寄ってアースの横に腰かけた。
「なんか一年も経ってないのに懐かしいな。」
「そうなのかい? 君が元の世界に帰ってから、この世界では一年以上経ってるよ。」
「やっぱり世界が違うと時間の流れも違うのか?」
「寂しかったんだよ。今はベル君がいるから、そうでもないけど、君がいなくなってからというもの、あの教会はやけに広く感じたんだ。」
「・・・悪い。」
「うんうん、気にしないでくれ。君には帰るべき場所があるんだ。だけど、この世界での帰る場所っていったら、僕達のホームなんだからねッ!」
悲し気な表情を浮かべていたと思ったら、急に元気な声でそういった。
「あぁ、わかってるよ。義母さん。」
「ベル君といい、君といい、どうしてこんなに可愛んだッ!」
アースが「義母さん」と言った瞬間に、ヘスティアはアースに抱き着く。
「や、やめろよ。」
「ふふふ、だからね、もっと頻繁に帰ってきていんだよ。」
「あぁ、わかった。これからはそうする。面倒ごとも色々片付いたし、これからは、ひと月に一度は顔を出せると思う。」
「本当かい!? 嬉しいなぁ。」
幼い容姿のせいか、どこまでも無邪気な少女に見えるヘスティアの姿を見てアースも思わず微笑んだ。
アースの性格が原作よりも落ち着いているのは、様々な経験を得たからという設定です。しかし、強敵と戦う時のアースは原作同様! めちゃくちゃ熱いので、楽しみにしておいてください。あと、ヘスティア様はヒロインではないです。