禁断師弟がベル君の先輩なのは間違っているだろうか   作:ナカタカナ

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 今回はリューとアースの出会いについて書いています。

 つまりアースが初めてオラリオに飛ばされたときの話です。


リュー「私と彼の出会い」

 

 リューside

 

 私はリュー・リオン。アストレア・ファミリア所属のレベル4の冒険者です。二つ名は「疾風」。

 

 そんな、私が彼、アース・ラガンと出会ったのは今から七年ほど前に遡ります。当時のオラリオは、ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアが黒竜の討伐に失敗し、暗黒期を迎えていました。

 

 闇派閥と呼ばれる彼らは、各地で冒険者や市民を殺して行ったのです。

 

 私が初めて彼に出会ったのは闇派閥により、私たちのファミリアが壊滅の危機にまで追いやられたときのことです。

 

 ルドラ・ファミリアによって私たちは、ダンジョンに呼び出されました。勿論、それは彼らの罠で、恐ろしいモンスターを出現させたのです。そのモンスターの名は、ジャガーノート。このモンスターが私たちを絶望の淵に追い込んだのです。

 

 見た目は骨の怪物。

 

 出現した瞬間に仲間のノインが切り裂かれ、次にネーゼが、更に盾を構えていたアスタが殺されました。

 

 私は激昂し、ジャガーノートを攻撃しようとしましたが、返り討ちにあい、「もう駄目だと」思ったときでした。

 

 私の前に輝夜が現れ、私を庇ったのです。右腕が飛び、鮮血が彼女の着物を汚しました。

 

 そのときです。目の前に光が現れ、彼がその場に立っていたのです。

 

 「えっ? 何、ここ。」

 

 彼は何がなんだかわからない状態でその場に立ち尽くしていました。

 

 「逃げてくださいッ!!」

 

 私が彼にそういうと・・・

 

 「えっ?」

 

 そして、ジャガーノートの凶刃が彼を襲い掛かったのです。

 

 「うわっ!?」

 

 その場にいた、私を含め、全員が彼の死を確信したところで、彼はなんとジャガーノートの攻撃を避けたのです。

 

 「あっぶねぇ、なんなんだよあの化け物!!」

 

 「早く逃げて!!」

 

 アリーぜが彼にそういった。

 

 「グルオオオオオオオオ」とジャガーノートが雄叫びをあげる。

 

 「あぁっ!! もうッ! うるせぇなッ!」

 

 そして彼はジャガーノートに突撃したのです。

 

 私たち全員が、自暴自棄になったのか!?と思いましたが、違いました。襲い掛かってくるすべての攻撃を避ける。更に、反撃までしていたのです。それもなんの武器も持ってない素手の状態でだ。

 

 「てめぇなんか、ゴウダに比べればパワーもスピードも、固さもどうってことないぜ!」

 

 彼の拳はジャガーノートを確実に捉えます。

 

 彼がジャガーノートを引き付けてくれているうちに、輝夜の治療を行い、なんとか腕がくっつきました。

 

 「彼は一体何者なの?」

 

 アリーぜが深刻そうな表情を浮かべています。

 

 「これで、止めだ。大魔螺旋!!」

 

 ようやく彼の足が止まったと思うと、今度は彼は拳を天に突きあげました。

 

 「一体何を・・・」

 

 すると、巨大な魔力の塊を感じ、その塊は螺旋となって彼の腕の周りで回転しだしたのです。

 

 「アァァァスッ!スパイラルッ!ブレイクゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

 

 そして螺旋は、一直線にジャガーノートの顔へと迫り、突き刺さったのです。

 

 「俺はッ! 俺はッ! 突き進む・・・この世の果てまでええええええええ!」

 

 こうして、ジャガーノートは灰へと変わった。彼の拳が、彼の叫びが、かの怪物を貫いたのです。

 

 そのとき、私の体は震えていました。しかし、その震えというのは、恐怖から来るものではなく、彼の勇ましい姿から来る震えでした。

 

 己の身だけで恐ろしい怪物を討伐する姿は、まるで神々が下界へ降りてくる前の、古代の、恩恵などという力が無かった、英雄たちを彷彿とさせました。

 

 心が震えたのです。その震えが体にまで現れたのでしょう。

 

 「って、なんだこりゃ、灰になりやがった。」

 

 「異世界っていうのは、本当なんだろうな・・・」

 

 彼が何か呟いたように聞こえましたが、当時の私には聞きとることは出来ませんでした。

 

 「えぇと、大丈夫か?」

 

 そして、彼は私たちの方へと歩いてきました。

 

 「あなたとっても強いのね!! 何者なの!?」

 

 アリーぜが興奮気味に話しかけます。

 

 「何者って」

 

 彼がアリーぜの質問に答えようとしたときでした、再び彼は光に包まれたのです。

 

 そして、光が収まるとそこには既に彼の姿は無かった。

 

 闇派閥の事件が解決してから、私たちは、ジャガーノートを討伐してくれた彼を探すために、ギルドや様々なファミリアに訪ねました。

 

 しかし、どこにもそのような人物はいないというのです。

 

 拳が武器という点と、ジャガーノートを討伐できるくらいの実力を持つ冒険者で探すと何人か候補はでてきました。

 

 中でも最有力だったのが黒拳と呼ばれていたバウンティハンターでしたが、その黒拳も違いました。

 

 なぜなら、黒拳は女性だったのです。あのとき、私たちを助けてくれたのは十五歳くらいの少年でした。

 

 そのため、彼の存在は幻だったのかと、私を含めて、あの場所にいた全員が思ってしまう始末です。

 

 

 

 

 

 

 それから五年の月日が流れました。今から遡るとおよそ二年前です。

 

 私は冒険者活動を少し休むことにしました。理由は色々ありますが、己の正義について考えたいと思ったからです。

 

 だからといって、働かなければ生きていけないので、私はとある店でバイトを始めました。

 

 その店というのが「豊穣の女主人」という店で、冒険者たちの間でも有名な店でした。

 

 働き始めて一年が経ち、仕事にも慣れてきたなと思ったときに、私は再び彼に会ったのです。

 

 そう、あのとき、私たちを救ってくれた少年に・・・

 

 「あ、あなたは・・・」

 

 「どうかしたか? 俺の顔になんかついてるか?」

 

 私が初めて会ったときと、ほとんど変わらない姿だったため、もしかして、彼の血縁者なのかと思い、思い切って尋ねました。

 

 「あなたは、五年前に、ジャガーノートを討伐した方と何か関係があるのでしょうか?」

 

 「ジャガーノート?・・・もしかして、骨の怪物みてぇなモンスターか?」

 

 「そうです!!」

 

 「あぁ、もしかして、あのときいたエルフさんか? 髪の毛切ったせいで、気づかなかったっぜ。」

 

 「え?」

 

 帰ってきた返答が私の予想していた物とは違っていたため、私は少し戸惑ってしまいました。

 

 「いやぁ、あのときは無我夢中だったから周りのこと見えてなくてさ、そういえば片腕がなくなった人とかいただろ? 大丈夫だったか?」

 

 おちゃらけた様子でそう話す彼に、私は何もいえませんでした。

 

 「俺は、アース。アース・ラガン。エルフさんはなんていうんだ?」

 

 「・・・リュー・リオンと申します。」

 

 「そうか、よろしくなリューさん!」

 

 獰猛な野生動物を連想させる笑みを浮かべる彼、アースさんでしたが、その体から漂うオーラは強者の風格を感じさせながらも、優しい暖かい人でした。

 

 

 

 





 豊穣の女主人でリューと再会したアースは既にヘスティア・ファミリアに所属しています。

 アストレア・ファミリアは一応、現在のオラリオではガネーシャ・ファミリアとともに街の警備をしたりしています。

 どちらかというと、街の警備が主な仕事で、たまにダンジョンに潜るようになっています。

 アストレア様もオラリオにいます。
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