禁断師弟がベル君の先輩なのは間違っているだろうか   作:ナカタカナ

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 今回も過去編です。といってもアースとヘスティアの出会いだけなんですが・・・


ヘスティア「僕とアース君の出会いはね・・・」

 

 黒いゴライアスの討伐に成功したアースたちは、傷を癒すために、十八階層に留まっていた。

 

 「ふふふ、よくやったね。二人共・・・」

 

 そういってヘスティアは疲れて寝ているアースとベルの頭を撫でる。

 

 「う、うぅう・・・あ、れ、神様?」

 

 「起きたのかい?」

 

 「はい。」

 

 包帯でグルグルにまかれたベルは体を起こすのにも一苦労だ。

 

 「まだ、無理をしちゃいけないよ。」

 

 「大丈夫ですよ。僕達・・・かったんですよね。」

 

 「あぁ、かっこよかったぜ。二人共。流石は僕の子供だ。」

 

 誇らしげに自身の胸にそびえたつ山を主張して、ヘスティアはそういった。

 

 「アースさん、すごく強かったです。」

 

 「そうだね、僕も久しぶりに会ったけど、こんなに強くなってるなんて・・・ふふ、やっぱり子供たちの成長は早いね。」

 

 ヘスティアとベルが視線を向ける先には、戦闘のときの獰猛な姿からは想像できないほどに、かわいらしく眠っているアースの姿だった。

 

 この姿を、アースの初恋の相手であり、アースに仕えているメイドであるサディスが見ていたら、アースの貞操が危なかったかもしれない・・・いや、大丈夫なはずだ・・・うん、多分・・・きっと。

 

 「僕も、アースさんみたいに強くなれますか?」

 

 「勿論さ!! なんたってアース君の強さの秘密はね、地道な努力の成果なんだから!!」

 

 自分の好きな物について話すときの子供のように無邪気な笑顔を浮かべたヘスティアは、包帯で巻かれたベルの手を握る。

 

 「努力ですか?」

 

 「そうだよ。ふふん、アース君は常に自分を鍛えてる。たとえどんなに苦しくても、強くなるためにひたむきに、地道な鍛錬を続けるんだ・・・」

 

 自分の知らないヘスティアの姿にベルは驚く。それと同時に、もっとヘスティアとアースについて知りたくなったようだ。

 

 「神様とアースさんの話を聞かせてもらえませんか?」

 

 「勿論だよ!!」

 

 こうして、ベルは自分がファミリアに加入するまでのヘスティア・ファミリアについて知ることになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 ヘスティアがアースと初めて出会ったのは今から二年程前だ。

 

 アースからすると、アストレア・ファミリアを襲ったジャガーノートを討伐してからのことだった。

 

 なんの前触れもなく、再び光に包まれたと思ったアースは気が付くと、現在ヘスティア・ファミリアが使ている教会にいたのだ。

 

 全身血だらけとなったアースは、ヘスティアに発見された。

 

 「おい君ッ!! 酷い怪我じゃないか。え、えっと、ミアハを呼んでくるから、おとなしくしてるんだよ。」

 

 ヘスティアは神友であるミアハの協力を得て、アースの治療を行った。

 

 「それにしても、この子は一体どうしたんだいヘスティア?」

 

 「僕にも分からないんだ。地下に居たんだけど、急に音がしたから、見に行ったら、この子が血まみれの状態で倒れているから・・・」

 

 「ふむ、見た所、冒険者なんだろうか? 私はファミリアの仕事があるから、戻るが、何かあればまた呼んでくれ。」

 

 「あぁ、ありがとうミアハ。」

 

 ミアハが自分の子供たちの元へ帰ってからも、ヘスティアはアースの傍で目が覚めるのを待っていた。

 

 「う、うぅ。」

 

 ヘスティアがアースを見守る中、アースは僅かに声を漏らした。

 

 「こ、こは?」

 

 「気が付いたのかいッ!!」

 

 目を開けたアースにヘスティアは声を掛ける。

 

 「あんたは?」

 

 「僕はヘスティア。こう見えて、炉の神様なんだぜ!!」

 

 己を神となのる少女にアースは戸惑いを見せるが、すぐに自分の名前を告げた。

 

 「アース。アース・ラガンだ。世話になったみたいだな。助かった。」

 

 「いいんだよ。それよりも一体、何があったんだい?」

 

 そしてアースはヘスティアに何があったかを説明した。

 

 「うぅ~ん、なるほどね。君は違う世界の住人で、その世界で色々あって、過去に飛ばされた。それから過去の時代で、元の時代に帰るために色々やって、ようやく元の時代へ帰れるようになって、帰ろうとしたら、神を名乗る人影によって、飛ばされてきたと・・・」

 

 「信じるのか? 自分でいうのもあれだが、ありえない話だろ。」

 

 「信じるよ!! なにせ僕は神だからね。君は知らないだろうが、神は嘘を見抜くことができるんだ。」

 

 アースはその言葉に精神的に救われたのだ。

 

 過去に行ったときも大変だったが、そのときは歴史を知っていたため、なんとかなった。ところが、今回は異世界に飛ばされたのだ。自身の常識では分からないことだらけの世界において、ヘスティアのような神物に出会えたことは幸運だったと感じる。

 

 「君の方こそ、僕のことを簡単に信じちゃって大丈夫なのかい?」

 

 「あ、あぁ、あんたっていったら失礼だな。ヘスティア様は悪い神様には見えないし・・・トレイナも大丈夫だって。」

 

 「最後なんていったんだい?」

 

 ヘスティアは最後にアースが呟いた言葉を聞き逃したため、もう一度聞くと。

 

 「いや、なんでもない。それじゃあ、俺は出て行かせてもらうぜ。あまりヘスティア様にも迷惑はかけられないし・・・治療までしてくれて、本当にありがとうございました。」

 

 起き上がって、体の調子を確認したアースは、そういって教会から出て行こうとする。

 

 「で、出て行くって君。行く当てもないんだろ?」

 

 「まぁ、旅のときは基本野宿だったし、大丈夫だろ。」

 

 「で、でも・・・」

 

 「自分の世界の子供ならまだしも、別の世界の人間である俺に、そこまでしてくれるなんて、本当にいい神様なんだな。」

 

 「当り前さ!! どんな世界であろうと、子供たちは子供たちだよ。そうだ!! なぁ、君。僕の家族(ファミリア)になってくれないかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「とまぁ、こうして、僕とアース君は家族(ファミリア)になったんだ。」

 

 「別の世界の住人って・・・話して大丈夫なんですか神様?」

 

 ヘスティアが語った内容があまりにも衝撃的だったため、ベルは聞きながら頭が混乱していた。

 

 「あぁ、アース君の許可も貰っている。僕が信用した子になら話してもいいって、だからね、彼はずっとオラリオにいれるわけじゃないんだ。」

 

 そう聞いて、ベルは先日の会話を思い出す。

 

 『ヘスティア様のことを頼むぜ。俺自身ちょっと訳ありでな。ずっとオラリオにいるわけじゃないんだ。』

 

 「僕は幸せだよ。君たちみたいな子供に出会えて・・・」

 

 

 

 





 こんな感じで、少しずつアースの過去編をやっていきたいと思います。
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