灰被りのアンモビウム   作:麦茶漬け

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―ニゲラの花言葉は、未来―


ニゲラ

星乃霞side

 

「……はぁ。何とかなったのかな。それにしても、ほんとめんどくさいヤツ」

「ま~ま~。でも、よかった。えななんも、そう思うでしょ?」

「……さあね」

 

あれから、張り詰めた空気はすっかりなくなり、

えななんとAmiaの表情も柔らかくなっている。

 

「これで、一件落着かな。ねえミク?」

「うん。これでやっと、一緒に歌えるね」

「…え?」

「本当の想いから、歌が生まれようとしている。ほら……」

 

ミクがそう言うと、どこからか音楽が流れてきた。

 

「…何か聞こえる……?」

「もしかして、これがミクが言ってた…?」

「この歌が、私の本当の想い…?でも私はまだ、何も見つけられてないのに…」

 

確かにまふゆさんは、もう少し頑張ると言っただけで、

何かを見つけ出したわけじゃない。

それでも、歌が生まれたということは…

 

「ううん、まふゆは見つけられたんだよ」

「こうして歌が生まれたことが、何よりの証拠ですよ。まふゆさん」

「ここに…私の想いが……」

 

「うん。…だから、一緒に歌おう」

「……ミク」

「?」

「……ありがとう」

 

まふゆさんからの感謝にミクは小さく微笑んだ。

そしてそのまま俺たちの方を向いて、

 

「さあ、6人で歌おう」

「…?俺たちも?」

「そうよ。なんで私たちまで…」

「本当の想いは、あなた達がいなければ見つけることができなかった」

「4人とも、ここに来てくれて、ありがとう」

 

えななんも、ミクから感謝されて、まんざらでもない様子。

 

「さあ、歌おう。雪」

「……うん」

 

奏からの誘いにまふゆさんはうなずき、そのまま俺たちは

まふゆさんの想いの歌を歌った。

 

 

(○˘▿˘)

 

 

「…あれ、いつの間にか戻ってきてる」

 

歌い終わった後、気付くと自分の部屋に戻っていた。

他のみんなも戻ってきているみたいで、声が聞こえてきた。

 

「あー!みんな、共有フォルダ見てよ!」

「うるさっ!共有フォルダがどうかした…って」

「『Untitled』のファイル名が変わってる…?」

 

俺も見てみると、確かに名前が変わっていた。

『悔やむと書いてミライ』

これが、まふゆさんの想いからできた曲のようだ。

改めてまふゆさんの一件が解決して、みんな息をついた。

もう日が昇るころだし、今日はお開きにしようとしてたところに、

Amiaが発言をした。

 

「ボクから提案があるんだけど…」

 

 

瑞希からの提案を受けた後、小一時間くらい仮眠をとった。

頭が少し痛いけど、寝てないよりかはまだましだ。

 

「…霞、何かいいことあった?」

 

朝食を食べてると、一歌に声をかけられた。

 

「ん?どうして?」

「最近ずっと難しい顔してたけど、なんだか今日は嬉しそうだから」

「うーん、まあそんなとこかな。最近の悩み事を解決できたからね」

 

確かに以前は、ずっとまふゆさんの問題について考えてたから、

そんな風に見えたかもしれない。

これは、杏もいろいろ言ってきそうだな。

 

「一歌の方はどう?幼馴染とは話せてる?」

「う…あんまり話せてないかな……」

 

俺は直接会ったことはないらしいが、一歌には3人の幼馴染がいるらしい。

昔は4人仲良しでいつも一緒にいたそうだったが、

訳あってあまりしゃべらなくなったという。

 

「まあ、すぐにまた元通りになるよ。何かあったら相談に乗るから、

 いつでも言ってね」

「…うん。ありがとう」

「姉弟だからね。これぐらいは当然だよ」

 

 

授業も順調に過ぎて、放課後になった。

今日は用事があるので、杏に捕まる前にさっさと教室を出よう。

そう思った俺は、カバンをもって立ち上がると、腕をつかまれてしまった。

 

「…離してくれないかな、杏」

「そんなに急いでどこ行くの?そろそろこっちに来てくれてもいいんじゃない?」

 

振り返ると、ジト目でこちらを見据えてくる杏がいた。

やはり隣の席なせいで、逃げることはできなかったか。

 

「今日は人に会う約束があるんだ。明日はそっちに行くからさ」

「ふーん。約束だからね!」

 

明日行くことで許してもらい、足早に教室を出る。

目的地はそこまで遠くないけど、ほとんどそろってるかもしれない。

―今日は、ニーゴの初オフ会だ。

 

 

(゜▼゜*)

 

 

宵崎奏side

 

お父さんのお見舞いを済ませてわたしは、ファミレスに入った。

待ち合わせしている人を探していると聞きなれた声が聞こえた。

 

「あ!おーい、こっちだよー!」

 

すでに瑞希と絵名が来てたみたいだ。

 

「…遅れてごめん」

「大丈夫。雪とMistearがまだ来てないし」

 

確かに、雪とMistearはまだ来ていない。

ふたりは、それぞれ全日制の学校に通っているから、

まだ来てなくて当然だ。

わたしは、瑞希達の向かいの席に座る。

 

「さっきまで何か話してた?」

「うん。Mistear…霞について話してたよ」

 

わたしが来るまで、霞の話題が出ていたらしい。

瑞希は、もともと霞をニーゴに誘った本人だし、

リアルで知り合いなのはわかるけど、どうやら絵名も霞と知り合いみたいだ。

 

「そういえば、奏も霞のこと知ってたの?」

「うん。小学校の時に仲が良かったよ。中学から会わなくなったけど」

「へえ~!幼馴染だったんだ!」

 

「そうだね。ふたりも霞のこと知ってたの?」

「ボクは高校からかなー。クラスが同じなんだ」

「私は、弟が霞と友達なの。だからその関係でちょっと顔を合わせたくらい」

 

確か雪も霞と知り合いだったみたいだし、

これでニーゴメンバー全員が霞と面識があることになる。

…二人とも霞のことを知ってるし、聴いてみようかな。

 

「ねえ、ふたりとも。中学生の頃の霞について知らない?」

「中学の頃の霞…確かあいつが中三の頃に初めて会ったけど、

 今と変わらない感じよ」

「ボクが初めて会ったのが高校からだから、あんまりわからないなあ」

 

絵名も瑞希もあまり中学の頃の霞を知らないらしい。

やっぱり直接聞いた方がいいのかな。

 

「急にどうしたの奏?」

 

突然の質問に違和感を覚えたのか、絵名が聞いてくる。

…言ってもいいのかな。いや、霞も何か抱えているのは確かだ。

ここは二人に共有しよう。

 

「えっと、小学校の時の霞と苗字が変わってるから、何かあったのかなって。」

「え、そうなの!?」

「うん、あの時の霞は、『立花』ってい苗字だったんだ」

 

この様子だと、ふたりとも知らないみたいだ。

 

「うーん、ちょっとよくわからないなあ…あ、そうだ!」

 

少し悩んだ瑞希だったが、何かを思いついたのか大きな声を出した。

 

「ちょっと、急に大きな声出さないでよ」

「何かわかったの?」

「クラスに霞と中学から一緒の友達がいるんだけど。

 その友達が昔の霞は、『ロボットみたいだった』って言ってたよ」

 

ロボット?いったいどういうことだろう。

 

「中学の時の霞は、まったく笑わないし、怒ったりもしなかったらしいよ。

 その様子がロボットみたいだってみんなから避けられてたって」

 

そんなことが…。

やっぱり、わたしが会ってないうちに、何かあったんだろう。

 

「今のあいつじゃあ考えられないけどね」

「…どうしよう、本人に聞いてみた方がいいかな」

「やめといたほうがいいんじゃない?霞も触れられたくないだろうし」

「……そうだね、ひとまずはここだけの話にしておこう」

 

話を切りあげると、ちょうど雪と霞が来たみたいだ。

―今は聞けないけど、いつかちゃんと聞いてみたいな。

 

 

星乃霞side

 

ファミレスに行く途中で偶然まふゆさんに出会ったので、

ふたりで行くことにした。

中に入ると、もう他のみんなは来ていた。

 

「…ごめん、お待たせ」

「昨日ぶり、みんな。待たせてごめんね」

「大丈夫だよ。皆まだ注文してないし」

「それはよかった。隣、座るね?」

「あ、うん……」

 

奏の隣に腰掛けると、俺の左隣にまふゆさんが座った。

…なんか距離が近い気がするけど、気にしないでおこう。

 

「じゃあ、まずは自己紹介タイムからだね!ボクは暁山瑞希だよ♪

 瑞希って呼んでね!はい次えななん!」

「はいはい…東雲絵名。……なんか、改まって名乗ると、変な感じだね」

 

確かに、セカイで自己紹介した後も、みんな名前で呼んでなかったしね。

 

「じゃあ、次は……」

「宵崎奏。…雪は?」

「……朝比奈まふゆ」

 

瑞希たちに続いて、奏とまふゆさんが自己紹介した。

遺ったのは俺だ。

 

「最後は俺だね。俺は―」

「あんたはいいでしょ。みんな知ってるんだし」

 

意気揚々と自己紹介しようとしたのに、絵名さんに邪魔されてしまった。

なんでや。

 

「ひどくないですか絵名さん。せっかくだし、俺もさせてくださいよ。

 それに、奏は『星乃霞』を知らないんですから」

「あ……」

 

?奏の表情が暗くなってしまった。

 

「どうかした?奏」

「えっと…そのことは触れられたくないんじゃないの?」

 

なるほど、そういうことか。

久しぶりに会った幼馴染の苗字が変わってたら、ちょっと気まずくなるのかな。

 

「まあ、あんまり聞かれたくないけど、奏たちなら大丈夫だよ。

 実際、まふゆさんは、このこと知ってるし」

「…!そうなの?」

「うん。お互いの環境を話すときに聞いたよ」

 

赤の他人なら絶対に言わないけど、奏たちはそれなりに信用できる。

だから、言ってしまっても構わないだろう。

 

「あれは…小学校の卒業式の時かな。交通事故で、両親が亡くなってね。

 それから、叔父さんの家に世話になってるんだ」

「え……」

 

奏の顔が青ざめた。

このことを知らない他のふたりも、驚いていた。

 

「といっても、あの時は大変だったけど、今は大丈夫だよ。

 それより、違うこと喋ろうか」

 

場の空気が重くなってきたので、話題を切り替える。

みんなも最初は、黙ってたけど、徐々に料理を注文しだした。

しばらく待ってると、俺の注文したピザが届いてきた。

 

「奏。タバスコ取ってもらっていい?」

「うん。…はい」

「ありがとう」

 

奏からタバスコを受け取ってピザに満遍なくかけていく。

 

「…って、ちょっと待ちなさい!あんた、いくらなんでもかけすぎでしょ!?」

 

突然絵名さんに止められてしまった。

…本日二度目である。

 

「絵名さんは、俺の邪魔をするのが好きなんですか?

 俺は濃いめの味付けが好きなんですよ」

「だからって…ああもう!とりあえず、その敬語辞めなさい!違和感がすごいから」

「いやあ…友達の姉にタメ口はちょっと…」

「…霞」

 

絵名さんからの要求に渋っているとまふゆさんに声をかけられた。

横を向くと、至近距離にまふゆさんの顔があった。

 

「私も、敬語はいらないよ」

「あ、あの…ちか「…いい?」…うん分かった」

 

圧に負けてしまった。

仕方ないので、まふゆさんと絵名さんに敬語はやめることにする。

そこから、話題は二転三転し、俺の話になる。

 

「霞って路上ライブをしてるんだよね」

「そうだね。友人と一緒にすることあるけど、最近はひとりが多いかな。

 まふゆと初めて会ったのも、そこでだよね」

「……うん」

 

よくよく考えてみれば、あの時まふゆに出会ってなかったら、

ここにはいなかったのかもね。

 

「へえ、彰人から聞いたけど、イベントにもたまに出てるんでしょ?」

「うん。今月も久々にイベントに出…る……あれ」

 

そういえば俺……

 

セトリ決めてなくね?

急いでスケジュールを見る。イベントまで、あと1週間といったとこか。

やっべ、セトリ決めてないし練習もしてないや。

 

「ど、どうしたの?汗すごいよ?」

「…だ、大丈夫。まだ焦るときじゃないよ」

 

……とりあえず、帰ったら、セトリ決めなきゃな




感想、誤字脱字あればお願いします!
アンケートなんですけど、思っていたよりも票が入っていて驚いてます…!
現状は他ユニットとの絡みを見たい方が多いみたいなんですけど、
やっぱり、それぞれのメインストーリーをみたい感じですかね?
後だしで申し訳ないのですが、モモジャンとワンダショは
メインストーリーに関われない可能性が高いです。
これから投票される方は、そちらも考慮していただけると、ありがたいです。
レオニは、メインストーリーに関わる予定です。

ビビバスストーリーの後に見たい話は?

  • 他ユニットとの絡み
  • ビビバスのイベントストーリー
  • ニーゴのイベントストーリー
  • 霞の過去回想
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