ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
今回は地上組のお話。
第三人称からの開始です。
そしてなんと、前日譚で登場したあのキャラが登場します!
彼女から話を聞いた少年少女たちは、何を思うのか。
第一章第七話、それでは、どうぞ。
ハジメが奈落に落ちてから数日…
ハイリヒ王国王宮内、召喚者達に与えられた部屋の一室で、5人の男女が話し合っていた。
クラスのマドンナ、白崎香織。
皆のオカン兼姉、八重樫雫。
ハジメの妹、南雲恵理。
ハジメの大親友、清水幸利。
そして、影の薄い暗殺者、遠藤浩介である。
雫「そう、ハジメくんがそう言っていたの…。」
浩介「…あぁ。あいつ、珍しくマジな表情だったからさ。一目見て、ヤバいことを掴んだんじゃないかって。」
恵理「ねぇ、その携帯には何か手掛かりはない?」
浩介「いくつかはあった。ただ、場所を示すものばかりだったな。」
トシ「ってことはだ、そこに手がかりがあるってことか。」
香織「ハジメくん…そこまで、考えていたんだ…」
浩介は、以前部屋に集まっていた面子を秘密裏に集め、ハジメから事前に話されていたことを打ち明けた。
正直、最初は信じられなかったが、ハジメはこの状況に対する違和感に真っ先に反応しており、時には光輝に頼みながらも、状況の改善を図ろうとしていた。
また、メルドからもハジメの話について聞いており、彼が戦闘訓練に参加しなかった本当の理由を教えてもらった。
その理由とは、彼が無能だったからではない、彼が強すぎたからなのだ。
近接戦なら間違いなく、人間相手に勝てる者はいないだろう。
その証拠に、ロックマウントやベヒモスといった魔物をいとも簡単に圧倒して見せた。
また、魔法についても詳しく、個人的な用事の合間にも、各々の魔法についてもアドバイスを受け付けており、それによって魔法技術が上昇した者もいた。
本人に関しても、あらゆる属性の魔法を使い、お手玉を披露して見せたくらいなのだ。
治癒魔法だって使える彼のその才能には、何か恐怖を感じる者もいたほどだ。
しかし、ハジメはその力を決して私利私欲のために利用してはいなかった。
(本人は私欲たっぷりのつもりだったが)
むしろ他者を助け、手を差し伸べる程の聖人っぷりまで見せているのだ。
ハジメが密かに成した偉業だって、その秘密を知りたがる者までいる程だ。
だが、そのハジメがいなくなってしまったのだ。
既に大半が死んでしまったと思い込んでおり、原因である檜山に嫌悪の視線を向けている。
それ以外の少数は、きっとまだ生きている、と信じている者達だ。
香織達もそのグループである。
あの日、迷宮で死闘と喪失を味わった日から既に5日が過ぎた。
あの後、宿場町ホルアドで一泊し、早朝には高速馬車に乗って一行は王国へと戻った。
とても迷宮内で実戦訓練を続行できる雰囲気ではなかったし、無能扱いしていたとはいえ勇者の同胞が死んだ以上、国王にも教会にも報告は必要だった。
それに厳しくはあるが、こんな所で折れてしまっては困るという騎士団側の意図もあった。
致命的な障害が発生する前に、勇者一行のケアが必要だと判断されたのだ。
王国への帰還を果たし、ハジメの死亡が伝えられた時、王国側の人間は誰もが愕然とした。
何せハジメの優秀さは、メルドや宮廷魔術師、使用人やコック、果ては一部の貴族やリリアーナにまで称賛されていたのだから。
だが、錬成師という戦えない生産系職業に対する意識は低く、やれ「落ちたのは仕方がない」だの、「優秀なくせに使えない」だの、「神の使徒でありながら簡単に死ぬなんて、とんだ無能だ。」などと、言いたい放題に言っていた。
が、それを聞いて真っ先に飛び出した光輝や、ハジメの努力を良く知っている香織達が激しく怒り、罵った人物に対して抗議した上、勇者一行の中に犯人がいたことを攻めようとしない無能さをついて、一触即発の状態にまで陥ってしまったのだ。
流石に、悪い印象を持たれるのはマズいと思った王国側も、罵った人物達に処分を下し、ハジメに対するイメージ改善を図った上、主犯の檜山に対する判決を有罪とした。
最も、敢えて無罪にすることこそ罰になる、というトシの妙案によって、それも変更されるのだが。
そして現在、ハジメの部屋に再び集合した香織達。
彼の荷物は自分たちが整理しておく、と使用人たちに伝えた彼らは、早速捜索を開始した。
すると…
恵理「!これ見て!」
トシ「どうした!?」
ベッドの下に張り付けてあった紙に、こう書いてあった。
「今日
回帰
煮出汁」
雫「これって…」
浩介「なにかの暗号か?」
香織「…!これもそうかも!」
そういって香織が広げた紙には、こう書いてあった。
「起床
汚名
津々浦々」
香織「引き出しの裏にあったの!これも同じかな?」
恵理「…共通点は、なさそう。」
トシ「これも併せて読んでみるか。」
そういって幸利が取り出した紙には、こう書いてあった。
「経由
濾過
ハ↓
ジ
メ 」
トシ「アイツ、椅子の裏にまで張り付けていたよ…いつの間に…」
雫「これ、縦に読むのかしら?」
浩介「えぇ~と、きょう、かい、に、き、お、つ、けい、ろく?なんだこれ?」
試しに浩介が読んでみた。すると、
恵理「!教会!教会だよ!」
香織「えぇ!?分かったの⁉」
恵理「うん、兄さんはきっと、教会に何か裏があるって感づいたんだよ。」
トシ「なるほどな、確かに胡散臭いもんな。あの爺さんとか。」
雫「えぇ、でも気を付けた方がいいわ。どこかで聞いているかもしれないのだから。」
浩介「どうやら、それだけじゃないみたいだぜ。」
雫「!?」
そう言って、浩介が引き出しを開けると、こんな紙が入っていた。
『時間がないので、端的に述べる。
俺はしばらく単独行動をする。
皆といれば、教会のジジィ共が嗅ぎつけてくるに違いない。
俺に緊急の連絡がある場合、555でダイヤルをかけてくれ。
幸運を祈る ハジメ』
浩介「ハジメは最初から、一人で調べ物をした方が気づかれない、と考えたんだろう。それに、番号まで残しているってことはだ。」
香織「ハジメ君は、無事ってこと?」
浩介「おそらくな。にしてもアイツ、他にも隠していそうだな。」
恵理「ねぇ、浩介。どうやってそれを?」
恵理は、浩介が手紙を見つけたことを不思議に思って聞いてみると、
浩介「さっきのと同じだよ。これ全部、上から読んだ場所に隠している。」
トシ「!ってことは、次は、しょう、めい、つ?」
雫「分かったわ!きっと、照明裏よ!」
そういって照明裏から見つかった手紙を見ると、
『この前、がっぽり稼いだと言ったな。あれは嘘だ。
全部ギャンブルで使ってしまったよ。
まさか、相手がイカサマしてくるなんて…
愛ちゃん先生に、醬油を作ってくれるよう、伝えてくれ。
世の中回るは飯と金だからな。
繁盛を祈る ハジメ』
香織「フフッ、照れくさくて嘘ついてる。」
恵理「兄さん、醤油で荒稼ぎって…」
浩介「その内、サウスクラウド商会って名前で店出しているかもな。」
雫「あ~、やりそうよね。彼、ああ見えて博識だし。」
トシ「なんでも、王様に必要な知識全部を一気に詰め込んだとか…ホントすげぇわ、アイツ。」
そう言いながら、彼の生存が現実的に感じられてきた一行。
最後の手紙に着いても見てみると…
トシ「最後のは…ゆ、か、だけか?」
恵理「床って言っても、一体どこの…?」
と最後の場所を探そうとすると、
香織「ここだよ!」ガララッ!
香織がまさかの隠し扉を見つけていた。
雫「!?何で!?」
香織「え?だって普通に、床、下、じゃないの?」
浩介「あの矢印かぁ!」
早速最後の手紙を見ると…
『今朝、見た夢をここに書き記す。
奈落の結晶、谷底の鉄人、火山の蛇、海の暴食、山の人形、大樹の虫、雪原の龍。
これらを見ている間、とある声が聞こえてきた。』
香織「声?」
『声は言った。「全ての試練を踏破したその先に、大いなる願いの道は開かれる。同時に、神代に終末の楔を打つ者とならん。」』
恵理「大いなる、願い…」
トシ「神代に…終末の楔ィ?」
『「邪なる者討ち果たせし時、世界に平穏が訪れん。自由の先導者、或いは彼らが残せし場所を探せ。」と。』
雫「邪なる者?これが黒幕ってことかしら?」
浩介「自由の…先導者?」
『これはおそらく、俺達チート軍団に向けた挑戦状だろう。だから俺はそこを辿る。
もし、お前たちが俺を追うならば、知識の宝物庫を辿れ。その中に答えがある。
これらの手紙は読んだ後、直ぐに焼却してくれ。頼んだぞ、みんな。 ハジメ』
香織「知識の宝物庫…きっと、図書館だよ!ハジメくん、図書館で何かを見つけたんだ!」
雫「落ち着きなさい、香織。でも意外ね、まさか身近なところに答えがあるなんて。」
恵理「でも、なんでこの手紙を燃やすのかな?見られちゃマズいのは分かるけど…」
トシ「盗まれるって可能性もあり得るな。しかし、奈落ねぇ…」
浩介「!まさかアイツ、わざと落っこちたっていうのか!?」
???「それはないわ。あれは別の誰かの妨害によるものよ。」
恵理「そうだよ!きっと、誰かがあのクズに加担したんだよ!」
トシ「なるほどな、たしかにその可能性はある。」
浩介「候補としては、奴と一緒にいた三人だな。」
雫「そうね、もしかしたら、しらを切っていた可能性だって…」
香織「一体、誰がハジメ君を…」
そこまで言って、全員違う誰かの声を聞いて、ギギギと振り返った。
???「あら、ごめんなさい。お気になさらず。」カチャ
そこには、呑気に紅茶もどきを飲んでいる見知らぬ女性がいた。
雫「!?だ、誰!?」
敵襲と判断した全員が、咄嗟に戦闘態勢に入ろうとするが、
???「シッ!騒がないの。私が結界張っているから、教会の犬や犯人たちに盗み聞きされなくて済んでいるんだから。」
そういって、自分には戦闘意思はないと両手を広げる謎の女性。
浩介「そ、そんな証拠…」
???「そうね、証明するには術を解かなくてはいけないわね。」
こちらから手を出すわけにもいかず、かといってこのままにも出来ない状況の中、恵理が切り出した。
恵理「…兄さんを、知っているの?」
トシ「!?恵理!?」
???「…そうね、自己紹介が遅れたわ。
私はミライ、魔王に妻として仕えるために、ここにやってきた女神よ。」
香織「め、女神様!?」
まさか相手が女神様とは思わず、敵意を持ってしまったことに焦りを感じるが、ミライ本人はいたって気にしていない様子で言った。
ミライ「そう気を張り詰めないで。出来れば、フレンドリーにしてもらいたいなぁ~って、私は思うの。」
雫「ふ、フレンドリー?」
ミライ「そうねぇ…あ!コイバナはどう?さっきのハジメ君って人との思い出とか聞きたいわ!」
香織「えぇ!?ちょっ、いきなりですか!?」
なんというか、本当に敵なのかわからなさそうな感じの女性であった。
浩介「えぇっと、ミライさんは「ミライちゃん。」…ミライちゃんは、何が目的なんですか?」
ミライ「言ったはずよ。私は魔王に仕える女と。だから…」
そういって香織を見つめる。
香織「?私が何か?」
ミライ「ちょぉ~っと、お邪魔しまぁーす!」ニュルン
彼女の中に幽霊のように入り込んだ。
「「「「「えぇっ!?」」」」」
ミライ「わぁっ、凄いわ、あなたの深層世界!あの人の写真でいっぱいじゃない!」
香織「ちょっ、ちょっと!何を勝手に…」
焦る香織、しかし、浩介はある言葉が気になった。
浩介「ん?あの人?白崎さんの好きな奴って言ったら…」
ミライ「!そう、彼が…。」
ミライはそれを聞くと、黙り込んでしまった。
恵理「えぇっと、ミライちゃんは、兄さんを知っているの?」
ミライ「……いいえ、彼とは面識すらないわ。でも…」
トシ「でも?」
ミライ「あの顔は…私が仕えた王様に、瓜二つなの。」
「「「「「!?」」」」」
ミライ「私、決めたわ。私は彼に、南雲ハジメに仕えるわ。それも、一人の女として。」
「「「「「!?!?!?」」」」」
次々と衝撃発言をするミライ。驚きのあまり、固まってしまう一行。
ミライ「その上でお願いがあるわ。彼を、南雲ハジメくんを、助けてあげて。お願いします!」
そう言って頭を下げるミライ。それを見た香織が、彼女に近づきながら言った。
香織「…言われなくても、分かってます。」
ミライ「!」
香織「でも!ハジメくんはただ守ってもらうのは性に合わないって言ってました。だからお願いがあります。」
ミライ「!?な、何?」
お願いした方からお願いが来るとは思っていなかったミライは、驚きながらも内容を聞いた。
香織「私たちを、鍛えて貰えませんか?」
雫「!?ちょっ、香織!?」
ミライ「!それは構わないわ。あなた達は彼にとって大切な存在だもの。いきなり死んでしまっては困ります。」
トシ「いいのか?」
ミライ「えぇ。ただし、私が鍛えられるのは精神世界の中だけよ。それ以外は、敵の目も合って出来ないわ。」
恵理「?どういうこと?」
ミライ「要するに、あなた達が全員寝ている間じゃないと、修行を付けられないってこと。」
浩介「ってことは、夢の中で修行するってことですか?」
ミライ「えぇ、それとそろそろ敬語はやめてほしいわ。私のことも呼び捨てでいいから。」
香織「は…うん!分かったよ、ミライちゃん!」
困惑しつつも、ミライに修行を付けて貰うことにした一同であった。
ミライ「それじゃあ早速、敵の目を欺くためにも、誰かの深層世界に入らせてもらいまーす!」
雫「!?ふ、普通に香織深層世界のでいいんじゃないかしら!?」
ミライ「ふっふっふっ、よいではないかー!」ニュルン
雫「ちょっ!?や、やめてぇー!」
ミライ「!?い、意外に乙女チック!?しかも、ハジメくんの写真もいっぱいあるし!」
雫「イヤァー!?」
香織「し、雫ちゃん落ち着いてぇ!」
雫「殺してぇー!いっそのこと、殺してよぉー!」ブンブンッ!
恵理「え~と…そうだ!誰か来る前に、手紙を早く燃やさないと!」ボオッ!
香織「ちょっ、恵理ちゃん!?」
その後なんとかミライを説得し、香織の深層世界に押し込めた雫であった。
トシ「…ハジメも十分、罪な男だよなぁ…」
浩介「アイツ、将来干からびるかも知れないなぁ…」
親友はおそらく、ミイラになって帰ってくるんじゃないかと、気が気でない男二人であった。
しかし、その数日後…
恵理「え!?先生についていく!?」
トシ「あぁ、急で悪いが、さっき話を聞いてな…。俺は良いから、修行は皆で進めてくれ。」
なんと、幸利は愛子の護衛として、旅立つことを決意したのだ。
ミライ「あなたがそう決めたなら、私は何も言わないわ。」
トシ「そうか。悪いな、もしかしたら、護衛先でハジメに会えるんじゃないかって思ったらさ…」
香織「!そ、そうだよね!それなら仕方ないね!」
雫「香織…あなたねぇ…。」
浩介「まぁ、確かにその可能性は高いかもな。トシ、頼んだぞ。」
トシ「おう、任せとけ!ミライも良かったら、何か…」
ミライ「私はいいわ。ただ、これだけは伝えておいて。」
真剣な表情で、ミライは言った。
ミライ「奴らが、動き出したと。」
トシ「奴ら?まぁいい。しっかり伝えておくよ。それと浩介、今俺以外に男子はお前だけなんだ。しっかり守れよ。」
浩介「オイオイ、そりゃあ光輝とかの役目だろうに。まぁ、出来るだけやるさ。」
その後は軽く談笑しながらも、残りの時間を過ごしていった。
そして数日後、トシ含む愛子とその護衛を乗せた馬車が、早朝に王都を旅立ったのであった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
まさかの再登場を果たしたミライちゃん。
なんと、素直になれないサムライガールの秘密を暴露しちゃいました。
香織は彼女の気持ちにも気が付いており、一緒になら貰われても大丈夫と思っている模様。
ハジメさん、将来は夜の生活で苦労する模様。
さぁて、次回はとうとうあのキャラの登場です!
彼女との出会いは一体どうなるのでしょうか!?
待て次回!
宜しければ、高評価・コメント宜しくお願い致します!
追記:晶彦さん、誤字報告ありがとうございました!
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