ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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お待たせいたしました。
第二章第二話です。

今回は、ハジメさん初めての人殺し、フェアベルゲンへと入るの二本です。
卑劣な帝国兵に、魔王の裁きが下される!
そして、獣人達とのファーストコンタクトは、一体どうなる!?

それでは、どうぞ!


21.敵がいっぱい、危険な樹海!

???「シア、無事だったのか!」

シア「父様!」

初老の男性がシアに駆け寄ってきた。どうやら彼女の父親らしい。

シアと一言二言話をすると、俺の方に向き直った。

 

???「ハジメ殿で宜しいか?私は、カム・ハウリア。シアの父であり、ハウリアの族長をしております。

この度はシアのみならず我が一族の窮地をお助けいただき、何とお礼を言えばいいか。

しかも、脱出までご助力下さるとか……父として、族長として深く感謝いたします。」

そう言って、カムと名乗った族長は深々と頭を下げた。後ろにいた他の者達も同じように下げていた。

 

ハジメ「礼は受け取っておくよ。でも、樹海の案内は忘れないでよね?

後、簡単に信用する所は、直した方がいいと思うよ。その手で騙してくる奴もいるかもしれないから。

それに、亜人も人間もお互いに対して、あまりいい感情を持っていないみたいだし…。」

しかし、カムは苦笑いで返した。

 

カム「シアが信頼する相手です。ならば我らも信頼しなくてどうします。我らは家族なのですから……」

う~ん……これは、教育が必要だな。よし、とりあえず、フェアベルゲンとやらで、修行させるか。

というわけで、早速出発する俺達とハウリア42人。

道中の魔物は召喚したライダーに任せたり、俺自身の兵装で蹴散らしたりしていた。

魔物の素材はきっちり回収していくが。

 

兎人族の者達は唖然としながらも、俺に畏敬の視線を向けてくる。

悪い気はしないけど、もう少しフレンドリーにさぁ……魔王だから、仕方がないか。

子供たちはなんか、ヒーローを見るような視線だ。う~ん、これは流石に照れる。

シア「ふふふ、ハジメさん。ちびっ子たちが見つめていますよ~。手でも振ってあげたらどうですか?」

ハジメ「そういうのは慣れていないんだよ。というか……」

さっきからウザ絡みしてくるシアの頭を乱暴に撫でた。

どちらかというと、擦るような感じだけど。

シア「あわわわわわわわっ!?」

ハジメ「……構ってほしいからって、ウザ絡みしないの。」

それを見て呆れるユエとイナバ。カムは苦笑いしながらとんでもないことを言った。

 

カム「はっはっは、シアは随分とハジメ殿を気に入ったのだな。そんなに懐いて……

シアももうそんな年頃か、父様は少し寂しいよ。だが、ハジメ殿なら安心か……」

このおっさん、娘の嫁入り時みたいな感想言ってやがる。

ハジメ「……何でそうなるのさ。」

ユエ「……ズレてる。」

イナバ「(……阿保ちゃうんか?)」

他の奴らも同じような視線……ホントこの先、大丈夫かぁ?

 

そうこうしている内に、ようやく【ライセン大峡谷】の出口に着いたが……

いるよなぁ、帝国兵。絶対、待ち伏せしている。帝国は亜人奴隷が多いって聞いているし。

正直、行きたくない場所なんだよなぁ…無理矢理引き抜きしに来たら、帝国乗っ取るか。

シア「帝国兵はまだいるでしょうか?」

ハジメ「いようといまいと関係ないね。どちらにしろ蹴散らすだけだし。」

シア「あ、相手は同じ人間なんですが……」

ハジメ「一時的とはいえ、俺の民に手出しするんだ。

死ぬ覚悟もないなら、とっとと土に還るべきだろう。」

シア「……元の場所には、帰さないんですね…」

ハジメ「俺、魔王だからね。挑戦者は無に帰してくれるわ、って言ってみたかったんだ。」

シア「い、言ってみたかっただけって……」

 

正直、他にも言ってみたい魔王あるあるなセリフはまだある。

「世界の半分をくれてやる」とかはまだ、無理だけど……

カム「はっはっは、分かりやすくていいですな。樹海の案内はお任せくだされ。」

快活に笑うなぁ。まぁ、信頼されているってことでいいか。

と、呑気に階段を上っていくと、崖の所に敵はいた。

 

帝国兵A「おいおい、マジかよ。生き残っていやがったのか。

隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ。こりゃあ、いい土産が出来そうだ。」

……全部で30人か。馬車は貰っていくとしよう。

帝国兵B「小隊長!白髪の兎人もいますよ!隊長が欲しがってましたよね?」

帝国兵A「おお、ますますついてるな。年寄りは別にいいが、あれは絶対殺すなよ?」

帝国兵C「小隊長ぉ、女も結構いますし、ちょっとくらい味見してもいいっすよねぇ?

こちとら何もない所で三日も待たされたんだ。役得の一つや二つあってもいいでしょう?」

帝国兵A「ったく。全部はやめとけ。二、三人なら好きにしろ。」

帝国兵D「ひゃっほ~、流石、小隊長!話が分かる!」

……下衆が。まぁ、これから死にゆく馬鹿に何言っても無駄か。

 

帝国兵A「あぁ?お前誰だ?兎人族……じゃあねぇよな?」

ハジメ「見て分かるでしょうに。人間だよ。」

帝国兵A「はぁ~?何で人間が兎人族と一緒にいるんだ?しかも峡谷から。

あぁ、もしかして奴隷商か?情報掴んで追っかけたとか?そいつぁ商売魂がたくましいねぇ。

まぁいいや、そいつら皆国で引き取るから、置いて行け?」

ハジメ「は?嫌に決まってんじゃん。」

俺のこの馬鹿どものあまりの無能さに、怒りすら通り越して呆れを感じながら即答した。

 

帝国兵A「……今、なんて言った?」

ハジメ「耳悪いの?いや、頭が悪いのか。嫌だって言ったんだよ。こいつらは一応とはいえ、俺の民だ。

勝手にもの扱いした挙句に、人を奴隷商だとか抜かす間抜け共に、民を渡す馬鹿なんていないでしょ。

諦めてさっさと国に帰れ。」

馬鹿の隊長が睨んでくるが、ベヒモスの方がまだ強い。

帝国兵A「……小僧、口の利き方には気を付けろ。俺達が誰だかわからないほど頭が悪いのか?」

ハジメ「いや、初対面の人にいきなり上から目線で、「置いていけ」とか言ってくるアンタらの神経の方が疑わしいんだけど。

てか、帝国っていうのは、他国の王族すら見分けられないほどの無能なの?

あぁ、皇帝が野蛮だから、下っ端風情まで山賊みたいななりなんだ。」

売り言葉に買い言葉。俺は口の進む限り、相手を罵倒しつくす。

後、後ろのユエをじろじろ見てきたのでその分も。

 

帝国兵A「あぁ~なるほど、よぉ~く分かった。てめぇが唯の世間知らずな糞ガキだってことがな。

ちょいと世の中の厳しさってやつを教えてやる。ククッ、そっちの嬢ちゃんえらい別嬪じゃねぇか。

テメェの四肢を切り落とした後、目の前で犯して、奴隷商に売っぱらってやるよ。」

その瞬間、俺は加速技能を発動した。

ハジメ「―<トライアル>―、―<フォーミュラー>―、―<リアライジング>―。」

帝国兵A「あぁ!?まだ状況が理解できてねぇのか!てめぇは、震えながら許しをこッ―――」

その言葉を言い切る前に、馬鹿どもの隊長の首が宙を舞った。

それを合図に、ものすごい速さで次々と首なし死体が出来上がっていった。

反撃しようとする者もいたが、あまりの速さに追いつけず、そのままやられた者もいた。

それもそうだろう。

まるで生き物のように動く雷光が、自分たちに襲い掛かってくると錯覚してしまう程なのだから。

30秒もしないうちに、帝国兵共は全滅した。

 

ハジメ「ふん、所詮は下級兵士。この程度か。」

俺は屍の山の上に立ち、愚者共の骸を見下ろしていた。

シア「あ、あのっ、……今のは、全員殺す必要はなかったのでは?」

俺はその能天気すぎる発言に溜息をつくと、「うっ」と唸るシア。

が、その時……

ユエ「……一度、剣を抜いた者が、結果、相手の方が強かったからといって見逃して貰おうなんて都合が良すぎ。」

シア「そ、それは……」

ユエ「……そもそも、守られているだけのあなた達がそんな目をハジメに向けるのはお門違い。」

シア「……」

ユエ、気持ちは嬉しいけど、セリフ取らないで……。

 

イナバ「(姐さんの言う通りや。そも、王様の道を塞いだ奴らが悪い。

それに、姐さんに下卑た視線向けていたことも、王様にとっちゃあ大罪やで。)」

イナバ、ちょい辛辣すぎ…、後罪状としては「俺の民に手を出そうとした」がいいと思う。

カム「ふむ、ハジメ殿、申し訳ない。別に、貴方に含むところがあるわけではないのだ。

ただ、こういう争いに、我等は慣れておらんのでな……少々、驚いただけなのだ。」

シア「ハジメさん、すみません。」

ハジメ「あ~、気にすんな。最初っから殺しに慣れろって強制はしないからさ。」

俺は早速、無傷の馬車や馬の所へ行き、ハウリア達を馬に乗る者と馬車に乗る者に分けることにした。

ストライカーで馬車をけん引し、樹海へと進むことにした俺達であった。

帝国兵共は……イナバが残らず食い尽くした。アイツ、段々たくましくなってんなぁ……。

 


 

少しずつ【ハルツィナ樹海】に近づいていることが分かってきた。

若干不機嫌なユエと上機嫌なシアに挟まれながら、俺はストライカーで馬車をけん引していた。

ユエ「……ハジメ、どうして一人で戦ったの?」

イナバ「(あ~確かに。一応同族でしたが……よかったんですかい?)」

ハジメ「別にそれは大丈夫。理由としては、ムカついて体が直ぐ動いちゃったからかな。

まぁ、初人殺しとはいえ、もうちょい手加減するべきだったか。

本当は銃撃実験もしてみたかったけど……。」

ユエ「……そう……大丈夫?」

ハジメ「あぁ、別に収穫がなかったわけじゃあない。拳の威力も測ることが出来たし。」

と、他愛のない話をしていると……

 

シア「あの、あの!ハジメさん達のこと、教えてくれませんか?」

ハジメ「?俺らの生い立ちとか?」

シア「はい、能力とかは先程聞かせてもらったので……だ、ダメですか?」

ユエ「それを聞いて、どうするの?」

ユエがそう聞くと、シアはちょっぴり恥ずかしそうに答えた。

シア「どうするというわけではなく、ただ知りたいだけです。

……私、この体質のせいで家族には沢山迷惑をかけました。小さい時はそれがすごく嫌で……

もちろん、皆はそんな事ないって言ってくれましたし、今は、自分を嫌ってはいませんが……

それでも、やっぱり、この世界のはみ出し者のような気がして……だから、私、嬉しかったのです。

ハジメさん達に出会って、私みたいな存在は他にもいるのだと知って、

一人じゃない、はみ出し者なんかじゃないって思えて……

勝手ながら、そ、その、な、仲間みたいに思えて……

だから、その、もっとハジメさん達のことを知りたいといいますか……何といいますか……。」

……なるほど、たしかにまぁ、言っていなかったしなぁ。

そういう訳で暇つぶしがてら語り始めた。すると……

 

シア「うぇ、ぐすっ……ひどい、ひどすぎまずぅ~、ユエさんががわいぞうですぅ~。

そ、それに比べたら、私はなんで恵まれて……うぅ~、自分がなざけないですぅ~。」

案の定、号泣した。

凄い量の涙を流しながら、「私は、甘ちゃんですぅ」とか「もう、弱音は吐かないですぅ」とか言ってる。

後、さりげなく俺の服で顔を拭こうとしたので、宝物庫から取り出したタオルで拭いてもらうことにした。

まぁ、ユエの境遇はめっちゃ大変だったからなぁ……後、あのクソ野郎はぜってぇ潰す。

暫くメソメソしていたシアだが、突然決然とした表情でがばっと顔を上げると拳を握り元気よく宣言した。

 

シア「ハジメさん!ユエさん!イナバさん!私決めました!皆さんの旅に着いていきます!

これからは、このシア・ハウリアが陰に日向に皆さんを助けて差し上げます!

遠慮なんて必要ありませんよ。

私たちはたった四人の仲間。共に苦難を乗り越え、望みを果たしましょう!」

……おいおい、現在進行形で守られている奴のセリフじゃないぞ、それ。

ハジメ「それはいいけど……想像以上に厳しいよ?場合によっては死ぬことだってあり得るし。」

シア「うっ、で、でもハジメさんがいれば……」

ハジメ「……もしかして、単純に一人旅が嫌なの?」

シア「!?」

驚くシアを横目に、俺は続けた。

 

ハジメ「一族の安全さえ確保できれば、離れる気だったんでしょ?

そこに上手い具合に"同類"の俺達が現れたから、これ幸いに一緒に行くってことかい?

そんな珍しい髪色の兎人族なんて、一人旅できるとは思えないだろうし。」

シア「……あの、それは、それだけでは……私は本当にハジメさん達を……」

図星か、まぁ、家族を思う気持ちはわかる。俺が一緒なら一族の説得は出来るだろうし。

それでも、彼女はこの旅には向いていない。

 

ハジメ「別に、責めているわけじゃあない。

ただ、さっきも言った通り、七大迷宮の攻略はとてつもなく険しい。

化け物揃いのそんな場所に行っても、君だとすぐに瞬殺される。だから、同行許可は出来ない。」

シア「……」

…少し言い過ぎたか。まぁ、後でフォローを入れるとしよう。

 

そんなこんなで進んでいき、【ハルツィナ樹海】と平原の間に着いた俺達。

カム「それでは、ハジメ殿、ユエ殿、イナバ殿。中に入ったら決して我等から離れないで下さい。

御三方を中心にして進みますが、万が一逸れると厄介ですからな。

それと、行先は森の深部、大樹の下で宜しいのですな?」

ハジメ「あぁ、それで構わない。聞いた通りじゃ、そこが本当の大迷宮と関係していそうだし。」

"大樹ウーア・アルト"、それが俺達の最終目的地である。

すると、周囲のハウリア達が俺達の周りを固めた。

 

カム「ハジメ殿、出来る限り気配は消してもらえますかな。

大樹は、神聖な場所とされておりますから、あまり近づく者はおりませんが、特別禁止されているわけでもないので、フェアベルゲンや、他の集落の者達と遭遇してしまうかもしれません。

我々は、お尋ね者なので見つかると厄介です。」

ハジメ「分かった。幸いにも、全員隠密行動は可能だ。」

そう言って、"気配遮断"を使う俺。ユエとイナバも俺が教えた方法で気配を薄くした。

 

カム「ッ!?これは、また……ハジメ殿、出来ればユエ殿やイナバ殿くらいにしてもらえますかな?」

ハジメ「すまん、ミスった。知り合いにとんでもなく気配の薄い暗殺者がいたものでな……」

シア「その人、一体何者なんですか!?」

ハジメ「分からん。だが、俺を殺せる可能性を持っている最強の暗殺者だ。」

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

……そんなに驚くことか?アイツ、全然気づいてもらえないっていう致命的な弱点があるんだが……

 

兎にも角にも、俺達は気配を消しながら進むことにした。

道中で出てきた魔物どもは纏めて始末していった。対して強くもなかったが。

しかし、樹海に入って数時間後…今までにない無数の気配に囲まれ、歩みを止めざるを得なくなった。

数も殺気も、連携の練度も、今までの魔物とは比べ物にならない。

突然、忙しくなくウサミミを動かしながら索敵していたカム達が、苦虫を噛み潰したような顔になった。

シアに至っては、顔を蒼褪めさせている。その相手の正体とは……

 

???「お前たち……何故人間といる!種族と族名を名乗れ!」

虎の獣人か。しかも、周りに数十人くらいはいる。

カム「あ、あの私達は……」

カム、言っても無駄だ。こういう奴らは直ぐ実力行使に出てくる。

???「白い髪の兎人族…だと?……貴様等、報告にあったハウリア族か!亜人族の面汚し共めっ!

長年、同胞を騙し続け、忌み子を匿うだけでなく、今度は人間族を招き入れるとはっ!反逆罪だ!

もはや弁明など聞く必要もない!全員、この場で処刑する!総員「長いわ!」かッ!?」

あまりのセリフの長さに突っ込みながら、速攻で取り出したドンナーXで虎男の頬近くを撃ち抜く。

さて、落ち着いたようなので、話でもするとしよう。"威圧"を放ちながら、俺は話しかけた。

 

ハジメ「今の攻撃は、刹那の間に数百単位で連射可能だ。周囲を囲んでいる奴らも全員把握済みだ。

アンタ等がいる場所全て、俺の間合いの一部にすぎん。」

虎男「な、なっ……詠唱がっ……」

動揺しているようだが、これだけではない。俺はクラックを開き、無数の武器を展開した。

その先には、虎男の同胞と思わしき者達がいる場所だった。

ハジメ「戦うのなら容赦はしない。一時契約とはいえ、こいつ等は俺の民だ。

それだけで守る理由は十分だ。たとえ相手が誰であろうとも、俺の民に手出しはさせない。

もしやるというのなら、生きて帰れるとは思わないことだ。」

獣人達はものすごく動揺しているようだが、俺には関係ない。そのまま、一歩を踏み出す。

ハジメ「まぁ、大人しく引くなら何もしないけど。敵対しないなら無闇に殺す必要はないし。

さぁ、どっちにする?大人しく家に帰るか、敵対して全員ここで死ぬか。」

するとしばらくして、手前にいた虎男が口を開いた。

 

虎男「……その前に一つ聞きたい。……何が目的だ?」

……それを一番に聞いてほしかったんだけどなぁ。

ハジメ「樹海の深部、大樹ウーア・アルトの下へ行きたい。」

虎男「大樹の下へ……だと?なんのために?」

あれ?もしかして……

ハジメ「そこに、本当の大迷宮への入り口があるかもしれないからね。

俺達は七大迷宮の攻略を目指して旅をしている。ハウリアは案内のために契約を結んだ。」

虎男「本当の大迷宮?何を言っている?七大迷宮とは、この樹海そのものだ。

一度踏み込んだが最後、亜人以外には決して進む事も帰る事も叶わない天然の迷宮だ。」

……やっぱりな。

ハジメ「それは違うよ。」

虎男「何だと?」

 

ハジメ「まず、大迷宮というには、ここの魔物は弱すぎる。

少なくとも、【オルクス大迷宮】の魔物の方が強い。」

虎男「……弱い?」

ハジメ「それに、大迷宮っていうのは、"解放者"達が残した試練なんだ。

亜人族が簡単に深部へ行けるのなら、試練にはなっていない。

だから樹海自体が大迷宮っていうのは間違っている。」

虎男「……」

……"解放者"も知らないみたいだな。さて、どうするべきか。と、その時…

 

虎男「お前が、国や同胞に危害を加えないというのなら、大樹の下へ行く位は構わないと、私は判断する。

部下の命を無意味に散らす訳には行かないからな。」

ホッ、どうやら話の分かる者だったらしい。良かったぁ…

虎男「だが、一警備隊長の私如きが独断で下していい判断ではない。本国に指示を仰ぐ。

お前の話も、長老方なら知っているお方がおられるかもしれない。

お前に、本当に含む所が無いというのなら、伝令を見逃し、私たちとこの場で待機しろ。」

なるほどそう来たか。中々いい判断だ。是非とも引き抜きたい人材だなぁ。

 

ハジメ「賢明な判断だ、いいだろう。その代わり、さっきの言葉を一文字でも曲解して伝えたら……」

虎男「無論だ。ザム!聞こえていたな!長老方に余さず伝えろ!」

???「了解!」

気配が一つ遠のくと、俺は威圧を解き、展開していた武器を収めた。空気が一気に弛緩した。

ハジメ「今なら殺せると思っているなら、全員まとめて相手してやろうか?」

虎男「……いや、だが下手な動きはするなよ。我等も動かざるを得ない。」

ハジメ「もちろん。」

 

そうして、一時間後……

右でユエを、左でシアを愛でていると、急速に複数の気配が近づいてきた。場に緊張が走る。

現れたのは複数の亜人たちであった。中心には長老と思わしき森人族がいた。

???「ふむ、お前さんが問題の人間族かね?名は何という?」

基本的に名を名乗るのは自分からなんだけど…まぁ、いいか。

ハジメ「南雲ハジメ、最高最善の魔王だよ。」

周りが憤っているが…いきなり殺気を向けておいてその態度はどうかと思うよ?

???「私は、アルフレリック・ハイピスト。フェアベルゲンの長老の座を一つ預からせてもらっている。

さて、お前さんの要求は聞いているのだが……その前に聞かせてもらいたい。"解放者"とは何処で知った?」

ハジメ「オルクス大迷宮の奈落の最奥、解放者の一人、オスカー・オルクスの隠れ家で知った。

そうだね……論より証拠か。この指輪や魔石を見てもらった方が早いな。」

そう言って俺は、オルクスで取れた魔石や、オスカーの指輪を見せた。

 

アルフレリック「こ、これは……こんな純度の魔石、見たことが無いぞ……それに、この紋章は…!」

どうやら、彼は"解放者"について知っているらしい。

アルフレリック「成程……、確かにお前さんはオスカー・オルクスの隠れ家にたどり着いたようだ。

他にも色々気になるところはあるが……よかろう、とりあえずフェアベルゲンに来るがいい。

私の名で滞在を許そう。ああ、もちろんハウリアも一緒にな。」

……周りは猛然と抗議しているが。

アルフレリック「彼等は、客人として扱わなねばならん。その資格を持っているのでな。

それが、長老の座に就いた者にのみ伝えられる掟の一つなのだ。」

……泊まる方向で話が進んでいるので、一旦止めさせてもらう。

 

ハジメ「え~と、アルフレリック、さん?でよかったかな?

俺等、大樹に行きたいだけで、フェアベルゲンに用はないんだけど……」

アルフレリック「いや、お前さん。それは無理だ。」

ハジメ「?どゆこと?」

邪魔するならば、と考えたが、返ってきたのは意外な答えだった。

 

アルフレリック「大樹の周囲は特に霧が濃くてな、亜人族でも方角を見失う。

一定周期で霧が弱まるから、大樹の下へ行くにはその時でなければならん。

次に行けるようになるのは三月半後だ。……亜人族なら誰でも知っている筈だが……」

……初耳なんだが?そう思ってカムの方を向くと……

カム「あっ。」

あっ、じゃねぇよ。忘れんな、そんな重要なことぉ!

 

ハジメ「オイオイ、色々あったからって、報連相は忘れちゃダメだろ……」

カム「も、申し訳ありません…。」

何というか、残念なものを見るような視線が彼らに集中していた。

殺気も薄れているし……ある意味一種の才能かもしれない。

ホラ、さっきの虎男(後に教えてもらったが、ギルという名前らしい。AUOかな?)も疲れたような感じだし。

とまぁ、そんなグダグダな空気の中、進む事にした俺達であった。

後、ザムっていう人、すんごい急いでいたんだなぁ。結構遠い。

 

そうしてまた一時間ほどが経過……

突如霧が晴れた場所に出た。なんか霧のトンネルっぽいな。

それに、霧の侵入を防ぐ鉱石を使用しているみたい。

アルフレリック「あれはフェアドレン水晶というものだ。

あれの周囲には、何故か霧や魔物が寄り付かない。

フェアベルゲンも近辺の集落も、この水晶で囲んでいる。まぁ、魔物の方は"比較的"という程度だが。」

ハジメ「確かに。流石に霧ばっかりは嫌だろうなぁ。なんか、ありがとね。助かるよ。」

流石の俺も、霧の中を三ヶ月は無理だ。正直、泊まれるのは嬉しい誤算だ。

 

そうこうしている内に、目の前に巨大な門が見えてきた。

太い樹同士が絡み合ってアーチを作っていて、そこに10mの木製両開き扉があった。

天然の樹で作られた防壁は高さが最低でも30mはありそうだ。

亜人の"国"というに相応しい威容を感じる。

ギルが門番らしき亜人に合図を送ると、ゴゴゴと重そうな音を立てて、門が開いていった。

視線が鬱陶しいが我慢我慢。そして、門をくぐると……!

 

ハジメ「これが、フェアベルゲン……!」

正にそこは別世界だった。

直径数十m級の巨大な樹がいっぱいあり、その樹の中に住居があるようだ。

ランプの明かりが、樹の幹に空いた窓と思しき場所から溢れている。

人が優に数十人規模で渡れるであろう極太の樹の枝が絡み合い空中回廊を形成している。

樹の蔓と重なり、滑車を利用したエレベーターのような物や、樹と樹の間を縫う様に設置された木製の巨大な空中水路まである。

樹の高さはどれも二十階くらいありそうだ。

 

俺達がその光景に見蕩れていると、咳払いが聞こえた。つい、立ち止まってしまったようだ。

アルフレリック「ふふ、どうやら我らの故郷、フェアベルゲンを気に入ってくれたようだな。」

皆嬉しそうだなぁ。まぁ、確かにそうだが。

ハジメ「あぁ、こんなに綺麗な街を見たのは初めてだ。空気もうまいし、自然と調和した見事な町だね。」

ユエ「ん……綺麗。」

イナバ「(こらたまげた。森ってこんなに綺麗なものやったんや。)」

……皆、そっぽ向いていても、尻尾でバレバレだよ。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

イナバさんがとんでもない位野性的になってしまった…
これは私の責任だ……だが、私は謝らない。
そして、知らないところで株が上がる遠藤君…

さて、次回は長老方との対話です!
それでは、次回予告をどうぞ!

宜しければ、高評価、コメント宜しくお願い致します。

次回予告

ハジメ「私は民を、絶対に見捨てない。」
ハジメ、決意表明!

???「大樹の下への案内を拒否させてもらう。」
長老たちとまさかの衝突!?

ハジメ「俺の民を傷つけたな?なら戦争だ。」
ハジメ、二度目のブチ切れ!?

ブレイブ22「大噴火!?荒れる樹海の大魔王」
荒れるぜ、止めてみな…!

エヒトの処刑法は?

  • 勿論、終焉の時! 逢魔時王必殺撃!
  • GER(無駄無駄ラッシュで死に続き)
  • 汚物は消毒だァ!
  • 闇遊戯「闇の扉が開かれた」
  • 毛根絶滅
  • G地獄
  • 身体を引きちぎっては治すの繰り返し
  • やらないか♂
  • 金的ブレイク
  • バックトラックでひき殺す
  • ブロリーMAD名物による血祭り
  • これまでの被害者たちによる私刑執行
  • モノクマによるお仕置き執行
  • ダーウィン賞を片っ端から執行
  • ヤバいものを色々体内にぶち込む
  • 汚泥、糞尿まみれ
  • 世界の拷問一気にやる
  • 鬼灯様による理不尽のフルコース
  • 存在ごとエネルギー変換
  • 激辛地獄
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