ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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お待たせいたしました。
今回でライセン編はおしまいです。
それと、色々原作のネタバレもあるので、なろう原作を見ていない人はブラウザバックを推奨いたします。
それと、今話は小説13巻発売前に投降したものなので、そちらをご覧になっている方はごゆっくりどうぞ!

迫る神の使徒に対し、ハジメさんが出た行動は!?
また、ミレディの隠れ家にて語られる真実とミレディの夢、その意外な展開とは!?
そして、ハジメさんが知った真実とは一体!?

驚愕の第二章第11話、それではどうぞ!


30.リスタート・フリーダム

空に穴が開いた。それを成したのは他でもない、私だ。

それをただポカンと見つめているユエとシア。

そして、私を見ながらも、空を睨みつける少女、ミレディ・ライセン。

そんな空気の中、空から耳障りな怒声が響いてきた。

 

???「い、イレギュラァァァァァ!!!」

ハジメ「ほう、どうやら打ち抜いたのは空ではなく、奴の逆鱗であったようだな。」

シア「ブッ!」

ユエ「ククッ!?」

ミレディ『アーハハハッ!ちょ、それ、面白すぎっ!』

三者三様の笑いようであった。我ながらうまくいったものだ。

 

ミレディ『イーヒヒヒッ!聞いた?あのクソ野郎の怒りよう。

あんなの聞いたの初めてだよ!前までミレディさん達にデカい顔晒していたくせにさぁ!あの慌てようだよ!?あ~、今すぐ目の前に言って挑発しまくりたいなぁ!あ~、お腹痛い。』

ハジメ「気持ちは分かるな。なぁ、今どんな気持ちだ?

届かないと思っていた攻撃が届いた時の気持ちは?とでも聞いてやるとするか。」

ミレディ『おぉ!さっすがハジメン!メル姉並みのドSセンスだよ!』

ハジメ「褒めても試作アーティファクトしかやれんぞ。

まぁ、お前の気が晴れたならいいが。」

と、先程までの涙が引っ込んだくらいの笑顔になったミレディを見て、ようやく上を向いたか、と思う私であった。

 

ミレディ『それにしても、さっきの奴がミレディさんに撃ちこまれていたとしたら、ぞっとしちゃうなぁ……。』

ハジメ「安心しろ。迷宮に撃ったのは単なる突貫工事が目的だ。

先程のは魔力に加えて、怒気と殺意を乗せた必ず殺す一撃、必殺撃であったからな。

あの程度の壁、破ることなぞ容易いことよ。まぁ、いつでも開くのは無理だが。」

そう、先程の一撃は貯めこまれた怒りを一気に爆発させたものなのだ。

何度も打てるわけではない。何時かは直ぐに乗り込めるようにして見せるが。

 

ミレディ『フフッ、確かにこれはいいもの見ちゃったかもね。

ありがと、ハジメン♪』

ハジメ「まぁ、先程の挑発の詫びも込めてな。

本心を聞きたかったとはいえ、心にもないことを言ってすまなかった。」

そう言って私は頭を下げた。ミレディは一瞬驚いたが、直ぐに表情を戻した。

ミレディ『いいよ。

私も本当は、自分の本心を誰かに聞いてもらいたかったのかもしれないから。

それに、色々吐き出したおかげで、何だか前よりもすっきりしちゃったかも!』

 

そういって嬉しそうに、私の周りで回っているミレディ。

先程から蚊帳の外だった二人も、笑いが収まったのかこちらに近づいてきた。しかし、その時だった。

ハジメ「!上だ!避けろ!」ササッ!

突然飛んできた殺意に対し、一同は咄嗟に回避した。

その直後、全員がさっきまでいた場所に銀翼が刺さっており、地面を崩落させていた。

ハジメ「まるで、分解でもしたようなものだなぁ?」

???「ご名答です、イレギュラー。」

ただの独り言に耳障りな声音が上から返ってくる。その声の主の方を忌々しく見上げると、そこには……。

 

???「……今のを避けるとは。やはりあなたは危険すぎる。我らが主が敵として認識しただけはあります。」

まるで戦乙女の仮装でもしたような、銀髪碧眼の女が立っていた。背中には一対の銀翼が生えている。

先程の攻撃は、あの羽を飛ばしたようだ。

人形のような目をしながら、両手に大剣を携え、こちらを見下ろしている。……不遜よなぁ。

ミレディ「!コイツは!」

ハジメ「さしずめ、神の使徒とやらか?」

ミレディ「そう!あのクソ野郎の駒だよ!」

???「お久しぶりですね、ミレディ・ライセン。そして、初めまして、イレギュラー。

"神の使徒"が一人、エーアストと申します。主の命により、あなた方をここで排除いたします。」

 

……は?

ハジメ「貴様、今何といった?私の排除、といったのか?」

エーアスト「そういったのですが、何か?」

神の木偶は顔色を変えずに言った。その言葉に思わず私は笑いを堪え切れなかった。

ハジメ「クッ、クッフッフッフッ、ハーハッハッハァ!」

急に私が笑い出したことに、不思議がるユエ達。目の前の人形風情も同様だ。

エーアスト「……何がおかしいのですか。」

ハジメ「いやぁ、すまないすまない。何せ、そんな冗談を聞いたのは久しぶりなのでなぁ。」

そう言葉を発した瞬間、私の姿が掻き消えた。逃げたわけではない。何故なら―――

 

エーアスト「ガハッ!?」グチャッ!

私の腕は既に、奴の心臓をぶち抜いているのだから。

ハジメ「―――私を倒したいのであれば、せめてもう一人、私を連れてくるべきだったなぁ?」

エーアスト「ッ!い、いつの間に……!」

人形が大剣を横薙ぎにふるうが、無駄だ。即座に裏拳で粉砕する。

エーアスト「!?」ガキィンッ!

ハジメ「この程度か?よもや私に鎧を着せておいて、この様とは……。

貴様らの崇める主とやらは余程の役立たずなのであったのだなぁ。」

エーアスト「ッ!主の侮辱は許しませんよ!イレギュラー!」

 

そういって、銀翼をこちらに向けてくるが、それも無駄だ。

ハジメ「この世で絶対なる物を、お前は知っているか?」

エーアスト「……急に何をッ!?」ドゥンッ!

人形が我に返ると、見る見るうちに地面に落下していった。その理由は私の手の中にある。

エーアスト「ッ!?羽が!?」

ハジメ「技能を発動していなければ、所詮は唯の羽よ。あの程度一瞬で消せる。」

時を止め、奴の背後に回った私は、削いだ羽をブラックホールに飲み込ませて、再び時を動かしたのだ。

そうして落ちていく人形を見下しながら、私は続けた。

 

ハジメ「それと、先程の質問の答えだが、それは"須臾"だ。

尤も、それが何なのかを理解できるかは、お前達の知能次第だが……。

あの程度の腰抜けが主であるならば、結果は知れたことか。」

エーアスト「ッ!!イレギュラー!」

ハジメ「それとだが、先程の会話はよく聞こえていたぞ?

どうやら貴様の同胞の大半を消し飛ばしてしまったようだなぁ?いやぁ、すまない。本当にすまない。」

そう言いながら、わざとらしく謝罪をする私。尤も、奴が気を付けるべきは下なのだが。

 

ミレディ「"禍天"。」ドゴォンッ!

エーアスト「ッ!?ミレディ・ライセンッ!」

ミレディが重力魔法によって木偶を叩き落とす。だがそれだけではない。

シア「シャオラァァ!!」ドガシャァッン!!

ドリュッケンを構えたシアが跳躍し、木偶に向けて叩き落す。

エーアスト「ガッ!?この威力は、一体!?」

ミレディの魔法の威力と合わさったのか、更に威力が上がっているようだ。

ユエ「"破断"。」ズパァン!

ユエの魔法により、腰から真っ二つになる木偶。その頭部に対し、私はドンナーXを構え、こう言った。

 

ハジメ「他の木偶に言い残しておけ。私達には勝てない、と。」

エーアスト「ッ…!」

ハジメ「それともう一つ、貴様等の主とやらの命、近いうちに取り立てに行く、ともな。」パァンッ!

そう言って引き金を引いた。

それにより打ち出された弾丸は、木偶の頭部を撃ち抜き、その機能を停止させた。

 


 

ハジメ「さて、余計な邪魔が入ったけど、ゆっくりお話ししようか。」

俺がそう言うと、ユエ・シア・ミレディは頷いた。

因みに今、迷宮内部(俺が直しました。)の最深部の部屋に、俺達はいた。

あの後、うっとおしい視線に対して散々挑発した後、こと切れた木偶を回収した俺達は、神代魔法の獲得がまだだったので、もう一度さっきの部屋に移動したのだ。

 

ミレディ「それじゃ、これがクリアの証だよ!」

ハジメ「おぉ、二つ目の証か。」

ライセンの指輪は、上下の楕円を一本の杭が貫いているデザインだった。

どっかの釘メーカーのロゴみたいだと思ったことは言わないでおいた。

だって、折角のファンタジーにいきなり現代チックなものを混ぜたらダメでしょ?

 

ミレディ「そしてこれこそが、ミレディさん秘伝の神代魔法だよ!」

ハジメ「ほぉ~、さっき見せていた"重力魔法"って奴かな?」

ミレディ「ピンポ~ン、だいせいかぁ~い!シアちゃんは体重の増減くらいなら使えるんじゃないかな?

ユエ姉は修練すれば十全に使いこなせるようになるよ。

ハジメンは……うん、論外だね。」

ハジメ「どういう意味かな!?」

ユエは頷き、シアは打ちひしがれ、俺だけ論外って何!?とミレディに迫った。

 

ミレディ「だって、自在にブラックホールやマグマを作り出せる時点で、とっくに使いこなしているようなものじゃん。」

ハジメ「それはそうだけどね!?せめて言い方は変えてほしかった!」

オーマジオウの力がまさかここまで影響を及ぼすなんて……。

ハジメ「まぁいいや。それでミレディ、何かやりたいことは見つかった?」

ミレディ「うん!たった今見つかったよ!私、前に進むよ!」

その目はさっきまでの涙と後悔に満ちた目ではなかった。

むしろ真逆の、希望と期待に満ちていた目だった。

 

ハジメ「そっか。それはよかった。」

ミレディ「だから私、ハジメン達に付いていくからね!」

ハジメ「………え!?」

ユエ「んん!?」

シア「ハイ!?」

まさかの予想外な方向だった。何とミレディは、何故か俺達と一緒に行くと言い出したのだ。

 

ハジメ「えぇ~と、訳を聞いてもいいかな?俺は構わないけど……二人の判断もあるし。」

ユエ「……私は構わない。」

シア「私も賛成ですぅ!あんな酷い奴らがいるのに、ミレディさんを一人残してなんて行けません!」

ハジメ「そう……それでミレディ、訳だけ聞かせてもらってもいい?」

そう聞くと、ミレディは少し頬を赤らめてこう言った。

 

ミレディ「………実を言うと、さっきのハジメンの行動を見て、私も見たくなっちゃったんだよ。

かつて望んでいた、自由の意思の下にある世界っていうのをさ。」

そう語る彼女の姿は、ちょっぴり恥ずかしがり屋な、大きな夢を語る少女だった。

ハジメ「そうか、なら連れて行かない理由は無いな!行こう、ミレディ!神殺し、第二ラウンドだ!」

ミレディ「うん!オーちゃんたちの分まで、あのクソ野郎の面、思いっきりぶん殴ってやるんだから!」ガチャッ

そう言うと、ミレディは旅立ちの準備をするのか、自分の住処らしき場所の入り口を開けた。

 

部屋の中は殺風景というほどではないが、あまり生活感を感じさせない様相だった。

人の生活であれば本来必要なものが欠如していることが、余計にその印象を与えるのだろう。

一番目に付くのは書棚だ。

壁そのものをくり抜いて作られた天井までの書棚に、ぎっしりと古めかしい書物が収まっている。

朽ちた様子がないのは、魔法で保護しているからか。

ハジメ「天然の本棚かぁ、ちょっとロマンチック。」

ミレディ「ふっふっふっ、これぞミレディさんとオーちゃんの愛の結晶だよ!」

 

ベッドは簡素だ。人の身を包むものではないから、布団もない。ゴーレムの体を横たえる場所なのだろう。

するとシアが、声を上げた。

シア「ミレディさん、この写真って……。」

ミレディ「うん。昔のミレディさんと皆だよ。」

せり出した壁の棚に写真立てが並んでいた。

どの写真も笑顔ばかりだ。大勢の人達と、いろんな場所で、とびっきりの笑顔と共に映っている。

そしてその中心には、必ず一人の少女がいた。

ユエと同じ綺麗な金髪に、シアそっくりの蒼穹の瞳を持つ少女が。

 

 

ハジメ「おぉ~、中々の別嬪さんじゃないか。こりゃあオスカーがメイド趣味に目覚めるわけだ。」

ミレディ「オーちゃんがメイド趣味なのは知っていたけど、何でそこでミレディさんが出てくるの?」

ハジメ「工房に有った作りかけのメイドゴーレムがそっくりだったから。」

ミレディ「オーちゃん!?」

そう、写真の中の少女、ミレディによく似ていたのだ。

アイツ、嫁をメイドにするという欲張りセットを考え付くとは……やりおる。

 

ユエ「……ハジメ、あそこの写真。」

ハジメ「うん?あぁ、あれは……」

その中に、一際輝いて見える一枚があった。七人が集まった集合写真だ。

真ん中で、眼鏡の青年――オスカーが、ミレディに腕を引かれて慌てている。

その二人を包み込むように、無表情の赤錆髪の青年、不敵な笑みを浮かべるエメラルドグリーンの髪の女性、呆れた表情の魔人族らしき青年、厳めしい顔付きの聖職者らしき男性、妖艶な雰囲気の森人族の女性が映っていた。

てんでばらばらの表情で、種族も生まれも別々なのに……見れば分かった。

誰もがどこか楽しげで、誰もがミレディに温かな心を向けていて、心が彼女を中心に一つだということが。

 

ハジメ「……会って見たかったなぁ。」

ミレディ「……そうだね。ミレディさんもハジメン達を紹介したかったなぁ……。」

そんな感傷に浸っていた時、ふと別の写真を目にした。そこには幼いミレディと謎の女性がいた。

ハジメ「ミレディ、あの女性は君のお姉さん?」

ミレディ「ううん、彼女はベル。私の家庭教師で、とっても大切な人なんだ……。」

そういうミレディの顔は、どこか寂しそうだった。

 

ハジメ「……良かったら聞かせてくれない?そのベルさんのお話。」

ミレディ「!うん!ハジメン達だけに特別に教えちゃうよ~!」

そう言って俺達は話を聞いていた。すると……

シア「え!?ミレディさんのウザさって、ベルさん譲りなんですかぁ!?」

ユエ「……しかも、そのウザさに参っていたなんて……!」

ハジメ「二人とも、そこは置いておこうよ……。」

ミレディ「アハハ、ミレディさんも当時は他のことは知らなかったし、当然と言えば当然かな?」

何というか、締まらない感じだった。だが、ベルという女性のことには正直驚いた。

 

ハジメ「まさか、教会のシスターだったけど、クズ野郎に殺されかけたから、"解放者"を結成したって……ベルさん、メンタル強靭過ぎない?」

ミレディ「アハハ、そうかもしれない。

あ!でも、ベルが盗み食いしていたスイーツを、目の前で食べてやった時は絶望していたなぁ。」

ハジメ「……元から素質があったんじゃない?」

そう、彼女こそが全ての始まり。

"解放者"を創設し、処刑以外頭になかったミレディを変え、自由を求めた人物だったのだ。

 

ハジメ「……でも確かに、強い女性だったんだね。」

ミレディ「うん!私にとって自慢の家族だもん!」

そう言って胸を張るミレディ。ベルさんが彼女に残したものが、今の時代まで時を紡いだのだ。

ハジメ「……ん?」キィィン、キィィン、

ミレディ「どうしたの、ハジメン?」

ハジメ「いや、懐が何か強く光っているよう気がしてね……。」

そう言って、コネクトでその何かを取り出してみると、それはオスカーの眼魂であった。

 

ハジメ「……共鳴している?」

ミレディ「?ハジメン、なんかミレディさんも光っているような感じがするんだけど?」

ハジメ「!?てことは、まさか……?」パァァァァァァ

俺がミレディの方へ手をかざすと、ミレディの眼魂らしきものが飛び出してきた。

それ、ミニ・ミレディゴーレムがその場に倒れた。

シア「!?ミレディさん!?」

ユエ「!?ミレディ!?」

ハジメ「待って。」

 

慌てる二人を制止させると、俺はコネクトであるものを取り出した。

シア「……あの~、ハジメさん?つかぬことをお聞きしますが……それは?」

ハジメ「?さっきぶっ殺した木偶人形だけど?」

ユエ「……それをどうするつもり?」

ハジメ「取り敢えず、ミレディの眼魂ぶち込んで、こっちに移し替えようかな?って。」

シア「やっぱりィ!」

だって、手っ取り早いじゃん。ミレディも戦える肉体の方が都合がいいだろうし。

 

ユエ「……でも、出来るの?」

ハジメ「分からん。まぁ、コアになんかの石が使われていたっぽいし、物は試し様だよ。」

シア「それは……そうですけど……。」

ハジメ「人生とは命を掛け金とした、ギャンブルなんだよ!やるなら度胸!」カチャリ

そう言って、外面だけ治しておいた木偶人形に、ミレディの眼魂を格納し、しっかり塞いだ。

 

ハジメ「……お~い、ミレディさんや~い。」

ミレディ「……う、う~ん?」

一応生存確認のために声をかけると、目が覚めたようだ。

ミレディ「ん~、ハジメン?」

ハジメ「お、気がついたか。新しい体の調子はどうだい?」

ミレディ「?新しい体ァ?ミレディさんはミレディさんだけどぉ?」

どうやら寝ぼけているようなので、コネクトで鏡を取り出し、彼女の前に翳した。

 

ミレディ「!?な、何これェ!?」

シア「ホラ!やっぱりいきなり肉体が変わったから混乱して―――」

ミレディ「胸がッ……重いっ!?」ドォン!

シア「そっちぃ!?」

……この手の問題は流石に触れられない。だからユエ、そんな目で俺を見ないでくれ。

 

ミレディ「ふっふ~ん♪しかも背が高いし、見た目のわりに結構軽いから動きやすいね~♪」

ユエ「……。」

シア「あ、あのユエさん?」

ユエ「……何?」ズズズ…

シア「ヒッ!?な、何にもありません!」

……これは流石に止めねばなるまい。おそらくここが、最終決戦になり得る可能性がある。

 

ハジメ「ミレディ、何か肉体に作用する魔法とかないのか?髪色を変えるとか、身長を伸ばすとか。」

ミレディ「えへへ~、そうだねぇ~。あるよ!」

ユエ「……どこにあるの?」

ミレディ「え、あの、ちょっとユエ姉近くない?あと何でそんなに怒って―――」

ユエ「どこに、あるの?ねぇ、ねぇ?」ドドドドド

ミレディ「ヒッ!?調子に乗ってごめんなさい!相手が男性だったから私も頼めなかったの!」

……頼めなかった?するってぇと、つまり……

 

ハジメ「ユエ、その辺にしてあげて。ミレディ、それは神代魔法なのか?」

ユエ「……ミレディの裏切り者。」

ミレディ「うぅ……ごめんってばぁ!その魔法は変成魔法っていうの!」

ハジメ「変成魔法……ん!?ちょっと待て!それって、ユエのおやっさんが使っていた奴じゃねぇか!」

ユエ「!?そ、そういえば!」

そう、かつてユエのおやっさんが使っていたとされる変成魔法、それがまさかこんな形で知ることになるとは。

 

ハジメ「ミレディ、俺達が今のところ目星をつけていたのは、【グリューエン大火山】、【氷雪洞窟】、【ハルツィナ樹海】の三つだったんだが……、後の二つはどこにあるんだ?

それと、変成魔法の場所についても知っていたら聞きたいんだが……。」

ミレディ「そうだねぇ……。後は【神山】と【メルジーネ海域】かな?変成魔法はヴァン君の所かな?」

ハジメ「ヴァン……ヴァンドゥル・シュネーか。となると……魔人領に近い【氷雪洞窟】か。

やれやれ、とんでもないことになりそうだ。」

どうやら、迷宮攻略は道中も危険なようだ。特に【神山】と【氷雪洞窟】は一番の難関だろう。

戦争中の魔人族の領地と、邪神崇拝の総本山なのだ。正直、行きたくはないが……行くしかないか。

 

ハジメ「所でミレディ、一応治しては見たが、どこか不備はないか?

レディの体とはいえ、元は機械じみた人形だ。ミスがあっては命取りになる。」

ミレディ「う~ん、そうだねぇ。今のところは絶好調だ…よ……。」

?急に顔が青ざめているが、一体どうしたんだ?

ミレディ「お、オーちゃん……!?」

ハジメ「?」

不思議に思い、後ろを振り返ると……

 

オスカー『やぁ。』

ハジメ「!?」

何故かオスカーがそこにいた。いや、正しくはオスカーの魂が乗ったパーカーだが。

ハジメ「……ここでも出てくるのかよ……。」

ユエ「?ハジメ?ミレディ?」

シア「え~と、お二人とも?一体どうしたんですか?」

どうやら二人には見えていないようなので、クモランタンを生成し、二人に渡した。

 

シア「わっ!?この人誰ですかぁ!?」

ユエ「……オスカー……オルクス!?」

オスカー『おや、どうやら覚えていてもらえたようだね。初めまして、というべきかな?』

ハジメ「……できればもう少し早いタイミングが良かった。てかいつから意識があったんだ?」

オスカー『もちろん、最初からだよ。それと、君たちの活躍も見させてもらっていたから。』

おいおい、ってことは全部知っていて黙っていたってことか。……うん?

 

ハジメ「オスカー、あんたはどこら辺まで覗いていたんだ?

まさかとは思うが風呂の時も覗いていたりはしていないよなぁ?」

オスカー『心外だ!僕だって紳士さ。そう易々と女性の裸体を見るなんてこと「オーちゃん、ミレディさんのセクシーボディ見ていたよね?事故とはいえ。」……。』

おっと、コイツ自身にも女難の相ありと見た。

 

ハジメ「まぁいい。この際細かいことは置いておくが……どうだった?あの能無しの怒り様は。」

オスカー『……そうだね。とってもすっきりしたよ。

叶うことなら自分の拳で奴に一発かましてやりたいが、それが出来ないのが残念かな?』

ハジメ「根性あるなぁ……やっぱり神殺し企てただけあって、メンタルが強靭なんだなぁ。」

オスカー『ハハハ、ミレディに付き合っていたらいつの間にか慣れていたよ。』

ミレディ「ちょっとオーちゃん!?今のは聞き捨てならないよ!

私がトラブルメーカーとでも言いたげなようだけど!?」

オスカー『……自分の行動を振り返ってみたら?』

ミレディ「ちょっ、折角の再会なのに辛辣すぎィ!」

 

なんて、いがみ合いつつもどこか楽しそうな二人を見つめながら、俺はとあるドライバーを生成していた。

恐らくではあるが、二人とも感動の再会が出来たはいいが、そのままの空気だと湿っぽいので、わざと明るくふるまっているのだろう。

そんな先達の微笑ましい姿を見ているユエとシアも、何所か嬉しそうだった。

ハジメ「よし、ミレディ。これ、プレゼント。」

ミレディ「?これなぁに?ハジメンの使っていたベルトっぽい奴に似ているけど?」

 

ハジメ「それはゴーストドライバー。

君の持っている眼魂を使って変身、特殊な鎧を纏う感じかな?それによって戦えるようになるアーティファクト的なものだよ。

まぁ、先達からの貰いもんだよ。このクモランタンも、それと同じ先達から譲り受けたんだ。」

ミレディ「ハジメンの……先達……。」

まぁ、これ以上は流石に頭がこんがらがるだろうし、説明はこれくらいでいいk…

 

オスカー『ハジメ君と言ったかい?君の使っている鉱石について詳しく教えてもらえると嬉しいんだけど……ダメかな?』ズイッ!

ハジメ「……構わないけど……触れないよ?」

オスカー『グッ!?しまったァ!こんなことなら僕もゴーレムに魂を移しておけばァ!』

……この前までのイメージを返して欲しい。

ミレディ「ハジメン、オーちゃんはいつもこんな感じだよ。」

ハジメ「……まじかぁ。まぁ、それは置いといて、だ。」

 

俺はブランクの眼魂を生成し、ミレディに渡した。

すると、それはミレディの瞳と同じ色の眼魂に変わった。

ハジメ「それを使えば、君自身の眼魂を取り出さなくても、変身が可能になるよ。

武器も自動生成されるから、遠近両方バッチこいだよ!」

ミレディ「ふっふ~ん♪ねぇ、オーちゃん、今どんな気持ちィ?」

オスカー『……野郎、ぶっ殺してやるぅ!』

ハジメ「少しは聞いてくれ……」

とまぁ、なんともしまらない結果にはなったが、二人の解放者を加え、俺達は旅を続けることにしたのだった。

 

旅立ち前夜……

シア「へぇ~!じゃあそのキアラちゃんって子も兎人族だったんですね!何だか親近感を感じますぅ!」

ミレディ「アハハ、ミレディさんは今のウサギさんにびっくりしているなぁ……。

まさか、たったの10日で暗殺者顔負けの殺戮集団に変貌するなんて……。」

ユエ「……宿屋のむっつりさんに、そっくり。」

ミレディ「……覗かれないよね?」

女性陣は寝る前のガールズトークに花を咲かせていた。因みに、オスカーは既にぐっすりしている。

 

その頃、俺は一人、地球の本棚にて、ある調べ物をしていた。

ハジメ「……それにしても、まさかブルックにミレディたちの関係者がいたなんてな。

上手い具合に生き残って、解放者の存在を隠したんだなぁ………。」

誰に語るでもない独り言が、真っ白な空間に響き渡った。

俺自身、解放者についての情報を自身でも調べており、その痕跡が現世でも残っているのでは?と思い、調査を始めた次第だ。

 

「それにしても、」と呟きながら、俺は最も分厚い一冊を手に取った。

ハジメ「これは……本当なのか?」

その本にはこう書かれていた。「トータス創成記」と。

この本には、何故トータスという世界が生まれたのかについて書かれており、その中にはエヒトが何故神として崇められていたかについても書かれていた。

 

ハジメ「まさか……奴も異世界人だったとはな……。

しかも一人ではなく複数人で移動している辺り、ここへ来たのは偶然だろうな。」

そう独りごちながらも、俺は更にページを進めていた。

ハジメ「しかも……今使われている魔法も、異世界から伝えられた技術が変化したものであって、伝えた奴等は皆、神として崇められていた、と。

まぁ、当時の状況がより過酷だったとはいえ、まさかこうなるとはなぁ……。」

 

そう、かつてのトータスは、特殊な力を持った強大な生物が蔓延る世界であり、人類は穴蔵のような自然の影に隠れながら細々と生活していたのだという。

そんな中、エヒトを含めた"到達者"というグループが現れ、太古の怪物共を駆逐し、原住民達に叡智を与えたのだ。

そうして国が出来た頃、彼等は既に神として崇められており、信仰心を力に変換し、魂魄の強化・昇華を行ったらしい。

それから数千年、この世界はよく発展し、"到達者"達は自らの役目を終えたかのように一人、また一人とこの世を去っていったらしい。

だが、エヒトは自らの死を恐れたのか、一人だけ死を超越した状態を維持していた。

他の者達と一緒に逝ってしまえばよかったものを……。

 

しかし、これだけでも衝撃的であったが、さらに衝撃的なことが書かれていた。

ハジメ「それに加えて、魔人族や亜人族、龍人族や海人族までもが元人間だったなんてな……。

それらを生み出したのがよりにもよってアイツとは……心底腹立たしいものだ。」

なんと、今ある人間族以外の人種は、エヒトが暇つぶしがために作り出した生物であったことが書かれていた。

恐らくではあるが、自身が下界に降りるための依代を必要としていたのだろう。

しかし、300年前にその策は潰えた。それ故にアヴァタールという国が存在しないのだろう。

 

ハジメ「……ユエの国についても知ることが出来たが……この事実は伝えない方がいいな。

もし今伝えたら、皆正気を失ってしまうだろう。」

そういう訳で、トータスの真実については、己の胸の内にしまっておくことにした。

序に、もう一つのことも……。

 

ハジメ「……ユエが知ったら、悲しむだろうな。」

そう、ユエのおやっさん、吸血鬼の国アヴァタール王国の宰相であった、ディンリード・ガルディア・ウェスペリティリオ・アヴァタールは、その肉体をアイツの眷属に乗っ取られているのだ。

その眷属であるアルヴという神は、魔人族に崇拝されている神らしく、人間族と魔人族が戦争を続けるきっかけは、この二人が作っているのだろう。

盛大なマッチポンプという奴だ。道理で長年、戦争が続いているわけだ。

それに加えて、この者は、その肉体を利用して、魔人族の国【ガーランド】の現魔王の座についているらしい。

 

ハジメ「……もし奴を下した後、時間さえあれば作ってみようかな、俺の国。」

俺は手にしていた本を本棚にしまい、意識ごと現実世界に戻っていった。

この先の旅路は、恐らく険しいものになるだろう。

いくらオーマジオウの力が万能だとはいえ、流石に限度がある。

一刻も早く神代魔法を手にし、その修練を行わなければならない。

だが、余計な焦りは要らぬ面倒を生むだろう。なので敢えて奴の思惑通りに進んでやる。

 

恐らくではあるが、全ての神代魔法を獲得した時に、奴はユエの体を狙ってくるだろう。

その時までに、俺も仲間たちも強くなればいいのだ。

俺達の歩みを止めるということは、ユエを強化させることが出来なくなることと同義であるのだ。

いくら奴が阿保とはいえ、そこまでは考えていないとは限らないだろう。

それに、あの時使徒の大半を消し去ったとはいえ、恐らく奴はまだ使徒を作り出す手段を遺している。

それを突き止めた上での対策を行わなければなるまい。やることがいっぱいで目が回りそうだ。

 

ハジメ「やれやれ。

この戦い、どれだけ多くの味方を残し、相手戦力をどれだけ削れるかにかかっているな。

そのためにも、奴の思惑の裏を突いた作戦も考えなきゃな。」

そう呟きながら、俺は仲間たちの元へ戻った。それにしても、ユエの本名って結構長いんだなぁ。

 

そして翌日、薄っすらと輝く夜明け頃、皆既に出立の支度を終えていた。

ハジメ「よし、それじゃ行くか!自由を取り戻す旅に!」

ユエ「んっ!エヒト死すべし、慈悲はない!」

シア「ハイ!遠慮なくウッサウサにしてやるですぅ!」

ミレディ「うん!今ならなんか、行ける気がする!」

オスカー『あぁ!ここまで楽しい旅立ちはいつ以来だろうなぁ!』

各々の思いを掲げ、俺達は【ライセン大峡谷】を後にした。




ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

ミレディさんとオスカー君がまさかの仲間入り。
しかもミレディさんはナイスバディの使徒ボディにチェンジしちゃいました。
この先、ハジメさん達はクズ野郎の計画を真っ向から叩き潰すために、様々な出来事に巻き込まれていきます。
まぁ、相手が誰であろうと関係なくぶっ飛ばしていきますが。

ハジメさん、世界の真実を知ってしまう。
その結果またもや、フラストレーションがたまっていっている模様。
各地方の明日は何処か!?

そして、次回からは新章突入です!
果たしてハジメさんは、駄龍さんに対してどのようなお仕置きをするのか!?

宜しければ、高評価・コメント宜しくお願い致します。

追記:晶彦さん、誤字報告ありがとうございました!

次回予告

新たな仲間を迎えたハジメ一行。
神殺しの準備をするため、一同は大都市フューレンへ向かうことに。
その道中、護衛任務を受けたハジメは、自身の異名について知ることになる。
一方、愛子等を乗せた馬車は湖畔の町ウルへとたどり着く。
しかしその裏で、恐ろしい計画が始まろうとしていたのだった!

次回「はたらく王様」
この次も、サービスサービス!

もし今作品のハジメさんが、少しの間だけ別世界に飛ばされてしまったとしたら、どの世界に行くと思いますか?

  • FGO
  • ONEPIECE
  • アカメが斬る!
  • 進撃の巨人
  • アズールレーン
  • 鬼滅の刃
  • コードギアス
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