ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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お待たせいたしました。
今回はティオ戦とウルの町防衛線の準備です。
後、ティオの過去とある人物が登場します!

黒竜と対峙するハジメ一行。
その中で、恐ろしい計画が明らかになっていく!
果たしてハジメ達は、無事に帰還できるのだろうか!?

怒涛の第三章第6話、それではどうぞ!


36.ハジメ、ドラゴンを拾い、現状を知る。

その竜の体長は7m程。

漆黒の鱗に全身を覆われ、長い前足には五本の鋭い爪がある。

背中からは大きな翼が生えており、薄らと輝いて見える事から魔力で纏われている様だ。

そのせいだろうか、空中で翼を羽搏かせる度に、翼の大きさからは考えられない程の風が渦巻く。

だが何より印象的なのは、やはり夜闇に浮かぶ月の如き黄金の瞳だろう。

爬虫類らしく縦に割れた瞳孔は、剣呑に細められていながら、なお美しさを感じさせる光を放っている。

 

その黄金の瞳が、スッと細められた。低い唸り声が、黒竜の喉から漏れ出している。その圧倒的な迫力は、かつて【ライセン大峡谷】の谷底で見たハイベリアの比ではない。

ハイベリアも、一般的な認識では厄介な事この上ない高レベルの魔物であるが、目の前の黒竜に比べればまるで小鳥だ。その偉容は、正に空の王者というに相応しい。

まぁ、俺の前では関係ないけどね。

 

その黒竜は、俺達の姿を確認するとギロリとその鋭い視線を向けた。

そして、その場にいる人間達を前に、徐に頭部を持ち上げ仰け反ると、鋭い牙の並ぶ顎門をガパッと開けてそこに魔力を集束しだした。

恐らくブレスを吐くつもりだろうが……行動が遅い!

 

黒竜「!?」

ハジメ「そういう攻撃はね、いつでも放てるように準備しておくのが道理だよ。」ドガァッ!

そう言って俺は、ちょっと強めのアッパーで、黒龍の顎をぶん殴った。

黒竜「グゥルァアアア!?」

いきなりの攻撃に驚いたのか、黒龍は悲鳴を上げて後退した。その影響か、ブレスは空に向かっていった。

だが、まだ俺のバトルフェイズは終了していないぜ!

 

黒竜「クルゥッ!?」

ハジメ「そのまま吹っ飛びなぁ!」ドッガァァン!!

そう言って、死なない程度に力と多めの魔力を込めた正拳突きを、竜のどてっ腹に向けて撃ちこんだ。

黒竜「グルゥウォォォオオオ!!??」バビューン!!

黒竜はそんな悲鳴を響かせながら、膨大な魔力に包まれて向こうの林に落っこちていった。

 

ハジメ「あ、やり過ぎた。」

実はもうちょい近くまで飛ばすつもりが、うっかり更に向こうの場所まで飛ばしてしまったようだ。

ハジメ「……取り敢えず、皆に説明お願い。俺はさっきの竜を見に行ってくる。」

ユエ「……ん、了解した。」

シア「ア、アハハ……。竜も倒しちゃうなんて、さっすがハジメさんですね!」

ハジメ「……シア、君から見た俺は一体どんな風に映っているんだ……。」

ミレディ「……ねぇ、ハジメン。私もちょっと確認したいこともあるから、一緒に行っていいかな?」

ハジメ「?あぁ、そういうことね。わかった。」

 

そんな訳で、黒龍が落ちたと思われる当たりの場所を訪れると、そこに黒竜の姿はなかった。

見間違いか?と思い、感知技能を使ってみると、同じものと思われる反応があった。

その場所を覗いてみると、黒髪の女性が倒れていた。

恐らく彼女が先程の黒龍であったのだろう。そのせいか周りにクレーターが出来ている。

見た目は二十代前半くらい、身長は百七十センチ近くあるだろう。見事なプロポーションを誇っており、黒い着物に対象で身を包んでいる。

……言っておくが、胸元は見ていない。だからミレディ!そんなニヤニヤした目でこっちを見るなぁ!

これは不可抗力なんだよ!だから無効だよ!無効!それにしても……

 

ハジメ「やっぱり彼女は竜人族のようだね。」

ミレディ「うん、昔、ヴァンちゃんも氷の竜を従えていたし、竜人の血もあるって言っていたからね。」

ハジメ「……そうか。」

まぁ、細かいことはさておいて、俺はその美女を抱えると、ミレディと一緒に皆の元へ戻っていった。

最初は見知らぬ美女を連れていたことに驚いていたが、「ボロボロな状態で近くに倒れていた。」とだけ説明して納得させた。

 

「なんてこった……こいつは凶悪だ。」

「これが、これがふぁんたずぃ~かっ。」

「くそっ、起きろよ!起きてくれよ俺のスマホっ!」

……この阿保共。てか騎士さん達もかい!あんた等、女神愛は何所行ったァ!?

思春期真っ只中とはいえ、今はふざけている場合じゃn……ウィル、お前もかいィ!?

あぁ、もう女性陣の目がゴキブリを見るような目だよ。後、ユエ達にはミレディが事情を説明してくれた。

 

その一方で、俺は彼女の記憶に触れていたので、事態の詳細について考察していた。

彼女はティオ・クラルスという名前で、予想通り竜人族でクラルス一族というところのお姫様らしい。

その記憶の中は壮絶だった。各地に上がった炎と、犠牲になってしまった者達ので赤く染まる彼女の故郷。

かつて木と水に囲まれた美しい王国、その光景は見る影もなかった。

幼い彼女は血が出る程唇をかみしめていた。

己の無力さと未熟さ、そして何もできない事への悔しさが伝わってきた。

 

そして、何より俺が怒りを覚えたのが、彼女の両親についてだった。

彼女の母親は見せしめの如く(はりつけ)にされ、父親はもう既にボロボロでありながらも、娘のことをずっと気にかけていた。

ティオは母親の無残な姿を見た時、怒りで我を忘れそうになっていた。

それを止めたのは他でもない彼女の父親だった。

小さくも透き通るような声で彼女に竜人族の教えを語り継ぎ、彼女を憤怒の渦から解き放った。

 

『――我等、己の損ずる意味を知らず。』

『この身は獣か、あるいは人か。世界の全てに意味あるものとするならば、その答えは何処に……。』

『答えなく幾星霜。なればこそ、人か獣か、我らは決意もて魂を掲げる。』

『竜の目は一路の真実を見抜き、欺瞞と猜疑を打ち破る。』

『竜の爪は鉄の城壁を切り裂き、巣くう悪意を打ち砕く。』

『竜の牙は己の弱さを嚙み砕き、憎悪と憤怒を押し流す。』

『仁、失いし時、我等は唯の獣なり。されど、理性の剣を振るい続ける限り――我等は竜人である!』

強く、優しく、高潔であれ、か。真に尊敬に値する者とは、こういう人たちのことを言うのだろう。

そして、戦場に愛する女性を残していけないという彼女の父親に、少し憧れを感じた。

 

そんな彼女も成長したある日、彼女の祖父がカルトゥスという人物に呼び出されたらしい。

何でも、教会が異質な存在――恐らく俺達のことだろう――その者達を呼び込んだことを認識したとのことだった。

その中でも一際大きな力を持つ者は、稀代の"錬成師"とのことだ。しかももう一つ、天職があるらしい。

…………思いっきり俺じゃねぇか!?ここに来た時から既にロックオンされていたってことかよ!?

他にも"勇者"という聞いたこともない称号を持つ者(光輝の事だろうな)もいたので、調査することになったらしい。

ティオは世界が動く予感を感じ取り、その調査を自ら名乗り出たそうだ。

まぁ、神域に風穴開けてきた奴がここにいるからなぁ。後、樹海で色々やらかしたし。

特にバーサークラビット共を量産してしまったことかな?

これ、帝国が攻めた時にどうなっているのか、全然分からないや……。

 

里を出る時も多くの人達に引き留められていた。それだけ彼女は愛されていたのだろう。

周りはまるで、両親を失った彼女の悲しみを、少しだけでも和らげようとしていたのだろう。

その温かさは記憶を読んでいる俺にも伝わってきた。

それにしても、自分よりも強い人を伴侶にする、かぁ……。……俺は範囲外だよね?

何かが変わる、そう感じた彼女は育った故郷を旅立ち、この北の山脈地帯まで来たらしい。

 

本来なら山脈を越えた後は人型で市井に紛れ込み、竜人族である事を秘匿して情報収集に励むつもりだったようだが、その前に一度しっかり休息をと思いこの【北の山脈地帯】の一つ目の山脈と二つ目の山脈の中間辺りで休んでいたらしい。

当然周囲には魔物もいるので、竜人族の代名詞たる固有魔術"竜化"により黒竜状態になって。

暫くして。睡眠状態に入ったティオの前に、黒いローブを頭からすっぽりと被った一人の男が現れた。

その男を見て、俺は息を飲んだ。何故なら……

 

 

――――――その男は、トシだったからだ。

 

 

だが、どこか様子がおかしかった。

目に生気がないようで、今までの明るかった雰囲気が微塵も感じられなかった。

まるで、誰かに操られているような……ッ!?まさか……!そんなことがあるのか?

驚く俺を横目に、トシは眠るティオに洗脳や暗示等の闇系魔術を多用し、徐々にその思考と精神を蝕んでいった。

 

当然、そんな事をされれば起きて反撃するのが普通だ。だが、ここで竜人族の悪癖が出る。

そう。例の諺の元にもなった様に、竜化して睡眠状態に入った竜人族は、まず起きないのだ。

それこそ尻を蹴り飛ばされでもしない限り。

それでも竜人族は精神力においても強靭なタフネスを誇るので、そう簡単に操られたりはしないそうだ。

では何故、ああも完璧に操られたのか。

それは恐らく……トシが闇系統の魔法のエキスパートだったからだ。

 

丸一日もかけて、アイツはティオを洗脳下に置くことに成功していた。

まぁ、海を越えて飛んできたせいか割と消耗していたのと、任務の事もあり短時間での回復を図る為に普段より深い眠りに入っていたことも、一つの要因でもあるようだ。

そして、何故丸一日かけたと知っているのかという事については、洗脳が完了した後も意識自体はあるし記憶も残っていたところ、トシが「丸一日もかかるなんて……。」と愚痴を零していたのを聞いていたからだそうだ。

 

その後トシに従い、二つ目の山脈以降で魔物の洗脳を手伝わされていたのだという。

そしてある日、一つ目の山脈に移動させていたブルタールの群れが山に調査依頼で訪れていたウィル達と遭遇し、目撃者は消せという命令を受けていた為これを追いかけた。

だがここで、トシが急に苦しみだし、命令を躊躇っているように見えた。

……間違いない、トシを操っている誰かがいる。候補を上げるとすれば、魔人族か使徒共あたりか。

だが、それも収まったのか、淡々と命令を下していった。

うち一匹が報告に向かい、万一自分が魔物を洗脳して数を集めていると知られるのは不味いと万全を期してティオを差し向けたらしい。

そうしてウィルを探していたら、思わぬ存在──俺にぶっ飛ばされてしまったということだ。

 

そんな彼女の記憶を見て入手した情報を基に、二つ目の山脈より向こうを偵察部隊で見る。

彼女の記憶では、トシは魔物を洗脳して大群を作り出し町を襲う気らしい。

その数は、既に3000~4000に届く程の数だという。

何でも、二つ目の山脈の向こう側から、魔物の群れの主にのみ洗脳を施す事で、効率良く群れを配下に置いているのだとか。

魔物を操ると言えば、容疑者の一人である魔人族の新たな力が思い浮かぶ。

 

そんなことを思い出しながら、偵察部隊から送られてきた映像を見ると、その数はとんでもないものになっていた。

ハジメ「これはマズいね。一気に魔物が増えている。多分5万は行くと思う。」

「「「「「「「5万!?」」」」」」」

皆目を見開いて驚く。無理もないだろう。しかもこっちに向かってきているみたい。

……このまま折角のお米地帯を潰させるわけにはいかない。

 

ハジメ「あっちから魔物の大群が迫ってきている。皆、直ぐに戻るから一か所に集まって!」

そう言って皆を集めると、オーロラカーテンで直ぐに北門の近くに移動した。

とても近い距離だったので、走ったら皆すぐについた。俺はジャンプ一回で着いたけどね。

っとそういえば、このロケットペンダントについても聞かなくちゃ。

 

ハジメ「そういえばウィル、これ誰の持ち物か知らない?」

そう言って、取り出したロケットペンダントをウィルに放り投げた。

ウィルはそれを受け取ると、マジマジと見つめ嬉しそうに相好を崩す。

ウィル「これ、僕のロケットじゃないですか!失くしたと思ってたのに、拾ってくれてたんですね。

ありがとうございます!」

ハジメ「え?君の?」

ウィル「はい、ママの写真が入っているので間違いありません!」

ハジメ「…マ、ママ?」

まさかのマザコンかよぉ……。

 

写真の女性は二十代前半と言ったところなので、疑問に思いその旨を聞くと、「折角のママの写真なのですから若い頃の一番写りのいいものがいいじゃないですか。」と、まるで自然の摂理を説くが如く素で答えられた。

その場の全員が「あぁ、マザコンか。」と物凄く微妙な表情をした。女性陣はドン引きしていたが……。

正直、折角戦の準備をするのにこのままじゃ雰囲気が崩れる……。

 

後、余談ではあるが、犠牲になってしまった護衛の冒険者の名前はそれぞれ、ゲイル、ナバル、レント、ワスリー、クルト、とのことだ。

しかもゲイルという男は、「この仕事が終わったらプロポーズするんだ。」なんていう如何にもフラグじみたセリフをかましていたらしい。

……死因、もしかしたらティオ関係なくねぇか?

その上何と、ゲイルとやらの相手は"男"らしい。

そして、ゲイルのフルネームはゲイル・ホモルカというそうだ。

名は体を表すとはよく言ったものだが……ここまでくるといっそ恐怖を感じる。

 


 

早速町に着いた俺達は、この町の防衛作戦会議をすることにした。

デビッド「早くするんだ、ハジメ!ここで悠長に作戦会議なんてしている場合じゃないぞ!」

ウィル「そうですよ!一刻も早くみんなに知らせないと!」

ハジメ「気持ちは分かる。だがな、行き当たりばったりで凌げるほど、事態は楽じゃないんだよ。

それにだ、腹が減っては何とやらだ。正直ウィルをさっさと避難させたいが、時間がない。

俺達も手を貸すから、少しは落ち着け。」

そう言って逸る奴等を落ち着かせる。俺達は今、"水妖精の宿"で再び食事をしていた。

正直、作戦会議が出来る場所がここ意外に思いつかなかったからだ。

場所を提供してくれたオーナーには感謝してもしきれない位だ。

 

愛子「南雲君、貴方達ならどうにかできるんですか?」

ハジメ「出来るよ。だけどよりスムーズに済ませるためには、皆の助けが必要になってくる。

だから、協力してくれる?」

そういう俺の言葉に、頷かない者はいなかった。

ハジメ「よし、取り敢えず先生と騎士さん達は町民の皆に説明を。

それが済んだら他の皆は避難経路への誘導を頼む。

俺は外壁を立てて、迎撃準備を済ませてくるよ。折角だ、今回はド派手にいくぜ!」

「「「「「「「はい!(うん!)(応!)」」」」」」」

早速作戦を立てた俺達は、腹を満たしつつ英気を養った。

 

その夜遅く、俺は未だに眠っているティオの部屋に来ていた。

未だに目が覚めない彼女の様子を見に来たのだ。すると……。

ティオ「ん……う、むぅ~。」

どうやらちょうど今起きたようだ。何所か艶めかしい声であったが、今はそれに構っている場合じゃない。

取り敢えず寝ぼけているであろう彼女に声をかけてみた。

 

ハジメ「え~と、今起きたのかな?」

ティオ「む?ここは……?」

ハジメ「俺達が泊っている宿だよ。安心して。」

ティオ「お主はあの時の……。」

ハジメ「俺はハジメ。南雲ハジメだ。いきなりだけど……少し話さない?」

ティオ「うむ、どうやら助けられた様じゃの。礼を言う。」

ハジメ「今はいい、あのクズ野郎を消した後でいいよ。竜人族のティオ・クラルスさん。」

ティオ「!?」

 

どうやら意識ははっきりしてきたようだ。なので、話を続けさせてもらう。

ハジメ「あんたを運んでいる間、少しだけ記憶に触れたんだ。だから全部、知っているんだ……。」

ティオ「……そうか。ならば話は早いのう。」

そう言っているティオの眼差しは、どこか悲しみを帯びていた。

恐らく、辛い過去を今も覚えているのだろう。

 

ハジメ「まぁ、勝手に記憶を覗いたことは謝るよ。断りもなく人の記憶を覗いちゃったし。」

ティオ「……それは構わんよ。それより、お主は見たのじゃな?あの光景を。」

ハジメ「……あぁ、正直(はらわた)が今も熱を抑えようとしている。

俺の仲間にも、故郷と家族、それに仲間を滅ぼされた子が二人いるからね。」

ティオ「!そうか……。」

ハジメ「それに……俺自身あのクズが気に入らないんだよ。

人の思いを平然と踏みにじり、何でもかんでも思い通りにしようとする、あの虫ケラが。」

 

俺の神をも恐れぬその発言に、ティオが思わず目を見開いた。

ティオ「お主、本気で神とやりあうつもりか……?」

ハジメ「元からそのつもりさ。この前だって、奴のいる場所に風穴を開けてきたからな。」

ティオ「!?お主、今何と言った!?神のいる場所を攻撃したのか!?」

?そこまで驚くことか?俺としては、普通にムカついたから全力ブッパしてやっただけだが……?

ハジメ「そうだねぇ……あの場にいたらアイツの無様な叫びが聞こえて来たんだけどね。

録音しておけばよかったかな?」

ティオ「む、そうか……。」

落ち着いて呟きつつも、その顔には薄っすら笑みを浮かべていた。

どうやら、少しは見所があると思ってくれているみたいだ。

 

ハジメ「……まぁ、なんだ。取り敢えず、さっきの悲しそうな表情じゃなくなって良かったよ。

正直、アンタみたいな別嬪さんに、そんな顔は似合わなかったし。」

ティオ「フフフ、世辞が上手いな、ハジメ殿は。」

ハジメ「ハジメで良い。敬語はあんま慣れていないんだ。」

ティオ「ふむ、そうか。では、よろしく頼むぞ。ハジメよ。」

ハジメ「こちらこそ、よろしくね?ティオ。」

そう言ってお互いに握手をする俺達であった。

 

ハジメ「さて、今この町に起ころうとしている事は分かっているんだよね?」

ティオ「うむ。お主はあの魔物の大群を止めるつもりじゃな?」

ハジメ「……一人じゃないよ。俺には頼れる仲間がいるから。まぁ、その一人がちょっと危ういけど。」

ティオ「フフフ、それは頼もしいのぉ。」

そういって微笑みを浮かべるティオ。何故だろう。月夜のせいだろうか?

そういえば、ユエと出会った時の空はどんな月だっただろうか?満月ならロマンチックなんだが。

 

ハジメ「まぁ、見ていてよ。俺があのクズを天から墜とす様を。」

ティオ「ほぅ、それはそれは、この戦いが楽しみになってきたの。」

ハジメ「この戦いだけじゃない。これからの道にも、意味はあるさ。」

ティオ「フフフ、随分と自信家なんじゃな。」

そんな軽口を叩き合いつつ、やるべきことの説明をした。

 


 

そして翌日……

北に【山脈地帯】、西に【ウルディア湖】を持つ資源豊富な【ウルの町】は現在、つい昨夜までは存在しなかった"外壁"に囲まれて、異様な雰囲気に包まれていた。

勿論、製作者は俺だ。

ガタキリバのブレンチシェイドや4コマ忍法刀といった分身技能を使い、土系統や錬成の技能を使用しながら、表面を逢魔鉱石でコーティングした。

更に、モーフィングパワーによる材質変換も行っているので、そう簡単に傷がつくとは思えない。

 

町の住人達には、既に数万単位の魔物の大群が迫っている事が伝えられている。

魔物の移動速度を考えると、夕方になる前位には先陣が到着するだろうと。

当然、住人はパニックになった。

町長を始めとする町の顔役たちに罵詈雑言を浴びせる者、泣いて崩れ落ちる者、隣にいる者と抱きしめ合う者、我先にと逃げ出そうとした者同士でぶつかり、罵り合って喧嘩を始める者。

明日には、故郷が滅び、留まれば自分達の命も奪われると知って冷静でいられる者などそうはいない。

彼等の行動も仕方の無い事だ。

 

だが、そんな彼等に心を取り戻させた者がいた。そう、我らが愛ちゃん先生だ。

漸く町に戻り、事情説明を受けた護衛騎士達を従えて、高台から声を張り上げる"豊穣の女神"。

恐れるものなど無いと言わんばかりの凛とした姿と、元から高かった知名度により、人々は一先ずの冷静さを取り戻した。

愛ちゃん先生、アンタ光輝よりも勇者していない?終いにゃ、アイツ泣くぞ?

 

冷静さを取り戻した人々は、二つに分かれた。

即ち、故郷は捨てられない、場合によっては町と運命を共にするという居残り組と、当初の予定通り、救援が駆けつけるまで逃げ延びる避難組だ。

居残り組の中でも、女子供だけは避難させるという者も多くいる。

愛ちゃん先生の魔物を撃退するという言葉を信じて、手伝える事は何かないだろうかと居残りを決意した男手と万一に備えて避難する妻子等だ。

深夜をとうに過ぎた時間にも拘らず、町は煌々とした光に包まれ、いたる所で抱きしめ合い別れに涙する人々の姿が見られた。

 

避難組は、夜が明ける前には荷物を纏めて町を出た。

現在は日も高く上がり、せっせと戦いの準備をしている者と仮眠をとっている者とに分かれている。

居残り組の多くは"豊穣の女神"一行が何とかしてくれると信じてはいるが、それでも自分達の町は自分達で守るのだ!出来る事をするのだ!という気概に満ちていた。

何というか、ホントに愛されてんなぁ……。

この人のためにも、俺はアイツと話を付けなければならない。

そう、これは俺自身が行かなければいけない問題だ。友として、王として。




ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

今回のティオ戦は拳ですっ飛ばしました。
まさかのゴーストの能力で、記憶を読み取ることに成功してしまいました。
香織達サイドは次回載せます。

そして遂にトシの行方が明らかに!
はたして彼を操っているのは一体!?
詳しくは次回をお楽しみに!

宜しければ、高評価・コメント宜しくお願い致します。

追記:エンダー・ニルさん、N.jpさん、誤字報告ありがとうございました!

次回予告
オーマジオウ「ウルの町に迫る魔物の大群。
友の真意を聞くため、ハジメ達の戦いが、遂に始まる。
次回「爆誕、湖畔の魔王!ウルの町防衛線!」爆鎮完了で楽しみにな。」

もし今作品のハジメさんが、少しの間だけ別世界に飛ばされてしまったとしたら、どの世界に行くと思いますか?

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