ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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ハジメ
「今回からうp主に変わって、進行を務めさせていただきます。
うp主に変わって、お待たせいたしました。」
ユエ
「ん。私、参上!」
ハジメ
「おう、今日のオープニングゲストはユエだ。勿論、他の皆も出すよ。」
ユエ
「ん!それじゃあ、前回のあらすじ。」
ハジメ
「あぁ。
さて、前回の俺達は、ようやくフューレンについて、一息ついていたところだな。」
ユエ
「ん。ハジメの独占欲マシマシだった。だがそれがいい!」
ハジメ
「……そして、皆のステータスも開示されたね。さてこの後は……どうなるかな?」
ユエ
「ん!あの子が登場!」
ハジメ
「それじゃ、第4章第2話。」
ハジメ・ユエ「「それでは、どうぞ!」」


40.海人の娘ミュウ

シア「ふんふんふふ~ん、ふんふふ~ん♪いい天気ですねぇ~♪」

ミレディ「うん!今日は、絶好のデート日和だね♪」

【フューレン】の街の表通りを、上機嫌のシアとミレディがスキップしそうな勢いで歩いている。

 

シアの服装はいつも着ている丈夫で露出過多な冒険者風の服と異なり、可愛らしい乳白色のワンピースだ。肩紐は細めで胸元が大きく開いており、シアの豊かな胸が歩く度にプルンッ!プルンッ!と震えている。

腰には細めの黒いベルトが付いていて引き絞られており、シアのくびれの美しさを強調していた。

豊かなヒップラインと合わせて何とも魅惑的な曲線を描いている。

膝上15cmの裾からスラリと伸びる細く引き締まった脚線美は、弾む双丘と同じくらい男共の視線を集めていた。

 

ミレディも白いワンピースに身を包み、くるくる回りながら歩いていた。

シアほどではないとは言え、豊満なお餅がプルンッ!プルンッ!と激しく主張していた。

シアとお揃いのコーデにしたのか、それとも俺の"人"アピールをしに来たのか、どっちなのかは分からない。

 

尤も、何より魅力的なのはその纏う雰囲気と笑顔だろう。

頬を染めて「楽しくて仕方ありません!」という感情が僅かにも隠される事無く全身から溢れている。

亜人族であるとか、綺麗に装飾されているが一応首輪らしき物を付けている事とか、そんなのは些細な事だと言わんばかりに周囲の人々を尽く見惚れさせ、或いは微笑ましいものを見たという様にご年配方の頬を緩ませている。

ミレディも久しぶりにオスカーとのデートが出来るのが嬉しいのか、まるで昔からタイムスリップしてきた年頃の少女のような振る舞いだった。

オスカーが終始微笑みを浮かべているのがちょっと怖いが。

 

そんな二人に挟まれながら、俺"達"は街中を歩いていた。

なんだかんだで二人とも楽しみにしていたんだなぁ……。

オスカー「良かったのかい?別に僕自身、留守番していても良かったんだが……。」

ハジメ『それは流石に失礼でしょ。今日は折角なんだし、ダブルデートと洒落込もうじゃあないか。』

オスカー「……体は一つだから、実質二股状態だけどね。」

ハジメ『あ~んの時は交互に入れ替えればいい。体が一つでも、使いようでは2人分で味わえる。』

オスカー「……それもそうだね。」

 

そんな俺とオスカーの会話が聞こえていないのか、2人は初めてのフューレンにキャッキャッウフフしていた。まぁ、可愛いから許すけ、どぉ!

シア「わわっ!?」

ミレディ「おっととォ!?」

二人が服に足を引っかけて転びそうだったので、サッと両手で二人を抱きかかえる。

一応、圧も放っておいたので、変態共は視線を向けてはいないようだが。

 

ハジメ「2人とも、歩くときはしっかり前を見ようね?」

オスカー「もし君たちが怪我をしてしまったら、紳士の恥だからね。」

シア「な、なんでしょう……///。この、ドキドキする感じは……///。」

ミレディ「ふわぁ……///。何だか、恥ずかしい……///。」

咄嗟に抱きかかえられたせいか、2人とも頬を赤らめていた。

……周りが鬱陶しい。この際だから、もう一回強めの奴ぶっ放すか。

そんな物騒なことを思いながらも、俺達は周囲の視線を集めつつ、遂に観光区に入った。

 

観光区には、実に様々な娯楽施設が存在する。

例えば劇場や大道芸通り、サーカス、音楽ホール、水族館や闘技場、ゲームスタジオ、展望台、色とりどりの花畑や巨大な花壇迷路、美しい建築物に広場等様々である。

シア「ハジメさん、ハジメさん!まずはメアシュタットに行きましょう!

私、生きている海の生き物って見た事無いんです!」

 

ガイドブックを片手に、シアがウサミミを「早く!早く!」と言う様にぴょこぴょこ動かす。

【ハルツィナ樹海】出身なので海の生物というのを見た事が無いらしく、メアシュタットという【フューレン】観光区でも有名な水族館に見に行きたいらしい。

因みに樹海にも大きな湖や川はあるので、淡水魚なら見慣れているらしいのだが、海の生き物とは例えフォルムが同じ魚でも感じるものは違うらしい。

 

ミレディ「お~!好きな人と一緒に行くと、何だかいつもと違う感じがするね!」

ハジメ「そうだね。それにしても、内陸で海洋生物かぁ……。

管理・維持・輸送・費用・その他諸々大変そうだなぁ……。」

オスカー『……ハジメ君、そういうことではないと思うよ。まぁ、僕も水槽の材質が気になるけどね。』

ハジメ「いやぁ、つい……。でも異世界の水族館かぁ。なんか、面白そうな気がする!」

そんな感想を言いながら、俺達は手をつないで入り口から入場した。

 

途中の大道芸通りで、人間の限界に挑戦する様なアクロバティックな妙技に目を奪われつつ、辿り着いたメアシュタットはかなり大きな施設だった。

海をイメージしているのか全体的に青みがかった建物となっており、多くの人で賑わっている。

中の様子は地球の水族館に極めてよく似ていた。

ただ、地球程大質量の水の圧力に耐える透明の水槽を作る技術が無い様で、格子状の金属製の柵に分厚いガラスがタイルの様に埋め込まれており、若干の見難さはあった。

 

まぁ、二人はそこまで気にしてはいなかったみたい。

初めて見る海の生き物の泳いでいる姿に瞳をキラキラさせて、頻りに指を差しながら俺達に話しかけた。

すぐ隣で同じく瞳をキラキラさせている家族連れの幼女と仕草が同じだ。

不意に幼女の父親と思しき人と視線が合い、その目に生暖かさが含まれている気がしたから、何となく愛想笑いをしながら二人を促し、手を掴んでその場を離れた。

そんなこんなで一時間程水族館を楽しんでいると、突然シアとミレディがギョッとした様にとある水槽を二度見し、更に凝視し始めた。

 

そこにいたのは……シーマ○擬きだった。某ゲームの人面魚そっくりだった。

ハジメ「……まさか、ここでこんな場面に遭遇するなんてね。」

オスカー『おや?知っているのかい?』

ハジメ「似たような未確認生命体がいてね……。」

そう言うと、水槽の傍に貼り付けられている解説に目をやった。

ハジメ「何々……へぇ、会話が出来るんだ?」

 

それによると、このシー○ンは水棲系の歴とした魔物なのだが、固有魔術"念話"により、なんと会話が成立するらしい。

確認されている中では唯一意思疎通の出来る魔物として有名な様だ。

ただ、物凄い面倒臭がりの様で滅多に話そうとしない上に、仮に会話出来たとしてもやる気の欠片も無い返答しかなく、話している内に相手の人間まで無気力になっていくという副作用の様なものまであるので注意が必要との事だ。

序にお酒が大好きらしく、飲むと饒舌になるらしい。

但し、一方的に説教臭い事を話し続けるだけで会話は成立しなくなるらしいが……

因みに、名称はリーマンだった。

 

取り敢えず、話しかけてみることにした。

ただ、普通に会話しても滅多に返してくれないらしいので同じく"念話"を使ってみる。

ハジメ『えぇっと、アンタ、念話が使えるんだっけ?その、言葉とかは分かる?』

突然の念話に、リーマンの目元が一瞬ピクリと反応し、俺の方を見返した。

 

リーマン『……チッ、初対面だろ。まず名乗れよ。それが礼儀ってもんだろうが。

全く、これだから最近の若者は……。』

……おっさん顔の魚に礼儀を説かれてしまった。正論っちゃあ正論だけどね。

俺は苦笑しながら再度会話を試みた。

 

ハジメ『ごめんごめん、俺はハジメ。それにしても、本当に会話ができるんだ……。

リーマンって一体なぁに?』

リーマン『……お前さん。人間ってのは何なんだ?と聞かれてどう答える気だ?

そんなもんわかるわけないだろうが。まぁ、敢えて言うなら俺は俺だ。それ以上でもそれ以下でもねぇ。

あと名はねぇから、呼びたきゃ好きに呼んでくれ。』

……何だろう、このイケおじ風のリーマンは。

何か、セリフがいちいち常識的で、しかも少しカッコイイ。

そんなことを思っていると、リーさん(リーマンのままじゃなんかダメかと思ったから。)の方から質問が来た。

 

リーさん『こっちも一つ聞きてぇ。お前さん、なぜ念話が出来る?

人間の魔法を使っている気配もねぇのに……まるで俺と同じみてぇだ。』

ハジメ『う~ん、やっぱり魔物肉食ったからかな?

念話が使える魔物を喰って奪い取ったっていうのはダメかな?』

そんな説明をすると……。

リーさん『……若ぇのに苦労してんだな。よし、聞きてぇことがあるなら言ってみな。

おっちゃんが分かることなら教えてやるよ』

 

……同情されたよ、なんでさ。どうやら、魔物を喰うしかないほど貧乏だとでも思われたようだ。

今のそれなりにいい服を着ていて、女性二人を侍らせている姿を見て、「頑張ったんだなぁ、てやんでぇ!泣かせるじゃねぇか。」とヒレで鼻をすする仕草をしている。

実際、苦労したことは間違いないので特に訂正はしないけど、人面魚に同情される人生って……と若干ヘコんだ。

まぁ、気を取り直しつつ、色々聞いてみた。

 

例えば、魔物には明確な意思があるのか、魔物はどうやって生まれるのか、他にも意思疎通できる魔物はいるのか……

リーさん曰く、ほとんどの魔物は本能的で明確な意思はないらしい。

言語を理解して意思疎通できる魔物など自分の種族しか知らないようだ。

また、魔物が生まれる方法も知らないらしい。

他にも色々と話しているとそれなりの時間が経っていた。

傍目には若い男とおっさん顔の人面魚が見つめ合っているという果てしなくシュールな光景なせいか、人目につき始めていた。

 

シア「うぅ、ハジメさん。皆見てますよぉ。

私達とのデート中に何故おっさん顔の魔物と見つめあってるんですかぁ?

それをする相手は私やミレディさんじゃないですか?」

シアがウサミミをペタンと折り畳み、何だか恥ずかしそうにそわそわしながら服の裾をちょいちょい引っ張るので、会話を切り上げた。

実を言うと、正直会話が楽しかったので、出来ればもう少し話していたかったところなんだけどなぁ……。

 

リーさんも『おっと、デートの邪魔だったな。不粋なことをしちまった。』と空気の読める発言をしていた。

……なんだろう。このものすごく身に覚えのある既視感は。

そういえば、イナバは元気にしているのだろうか。

今頃、香織達と合流して意思疎通が出来ているのだろうか。

その後、「リーさん」「ハー坊」と互いに呼び合う仲になっていた俺は、最後にリーさんが何故こんなところにいるのか聞いてみた。

そして、返ってきた答えは……

 

リーさん『ん?いやな、さっきも話した通り、自由気ままな旅をしていたんだが……

少し前に地下水脈を泳いでいたらいきなり地上に噴き飛ばされてな……。

気がついたら地上の泉の傍の草むらに投げ出されていたんだよ。

別に、水中じゃなくても死にはしないが、流石に身動きは取れなくてな。

念話で助けを求めたら……まぁ、ここに連れてこられたってわけだ。』

ハジメ『へぇ~、それは災難だったね。それにしても何で吹っ飛ばされたんだろ?』

そんなことを話していると、ミレディが何故か冷や汗をかいていた。

ちょっと気になったので、オスカーに聞いてもらうことにした。

 

オスカー「ミレディ、どうかしたのかい?」

ミレディ「……えぇ~とね、あそこのリーさんが投げ出された原因、ミレディさんかもしれないんだ。」

オスカー「……はい?」

ミレディ「わざとじゃないの!ただ、挑戦者が池から吹き上がる罠の試運転をしていただけなんだよ……。

えっと、その……ごめんなさい。」

……幸いにも、俺が念話で会話しているせいか、2人の会話は聞こえてはいないようだった。

仕方が無いなぁ……。

 

ハジメ『リーさん、ここから出たい?』

『?そりゃあ、出てぇよ。俺にゃあ、宛もない気ままな旅が性に合ってる。

生き物ってのは自然に生まれて自然に還るのが一番なんだ。

こんな檻の中じゃなく、大海の中で死にてぇてもんだよ。』

……一々言葉に含蓄があるなぁ。ホント、どうなってんだろ?

 

ハジメ『じゃあ俺が近くの川に送り届けるよ。

どうやら、この状況は俺達の事情に巻き込んじゃったせいみたいだし。

突然景色が変わるから混乱するだろうけど、まぁそこは我慢してね?』

リーさん『ハー坊……へっ、若造が、気ぃ遣いやがって……

何をする気かは知らねぇが、てめぇの力になろうって奴を信用できないほど落ちぶれちゃいねぇよ。

ハー坊を信じてるぜ。』

これは正しく、漢と書いて(おとこ)と読むべきだろう。

オスカーまで「なんてハードボイルドなんだ……!」って言っているし。

 

そして俺達が水槽から動いた途端、その中からリーマンがいなくなっているという珍事が発生した。

リーマンの隠された能力かと【フューレン】の行政も巻き込んだ大騒ぎになったらしいけど……

まぁ良いか!

 


 

メアシュタット水族館を出て昼食も食べた後、俺達は迷路花壇や大道芸通りを散策していた。

シアの腕には、露店で買った食べ物が入った包みが幾つも抱えられていて、今はバニラっぽいアイスクリームを攻略中だ。

ミレディもクレープ擬きを美味しそうにパクついている。こういう笑顔、実は結構大好きなんだよなぁ。

オスカー『おや?ハジメ君、いっぱい食べる子は好きなのかい?』

ハジメ『いや、どちらかと言うと、笑顔で美味しそうに食べている子が好きかな?

俺、料理は結構大好きだし。元の世界でも、料理の手伝いはしていたからさ。』

オスカー『なるほどね、それは確かにいいことだ。』

そんな男二人の念話をしていると……

 

ハジメ「!」

シア「どうかしましたか、ハジメさん?」

ミレディ「どうしたの、ハジメン?」

ハジメ「……下に人の気配を感じる。しかも随分と小さい上に弱い……。

まさか子供か?しかも弱っているみたいだ!」

シア「えぇ!?」

ミレディ「それはマズいよ!」

ハジメ「二人とも、捕まっていて!」

 

そう言って二人を抱え、時を止めた状態で「ディメンションキャブ」の通り抜け能力で一気に下に出る。

そのまま水路の両サイドにある通路に着地し、水路に目を向けると、流されかけている子供の姿があった。

ミレディが重力魔法でその子を引き上げた。

シア「この子は……。」

ハジメ「まだ息はあるみたい……取り敢えずここから離れよう。

こんな場所に子供を、それも衰弱している子を長居させられない。」

 

引き上げられたその子供を見て、シアが驚きに目を見開く。

俺もその容姿を見て知識だけはあったので、内心では少し驚いていた。

しかし場所が場所だけに、肉体的にも精神的にも衛生上良くないと場所を移動する事にする。

子供の素性的に唯の事故で流されたとは思えないので、そのまま下水通路に錬成で横穴を開けた。

そして"宝物庫"から毛布を取り出すと小さな子供を包み、抱きかかえて移動を開始した。

 

とある裏路地の突き当たりに、俺達は移動していた。

俺は、改めて自らが抱きかかえる子供に視線を向けた。

その子供は、エメラルドグリーンの長い髪と、幼い上に汚れているにも関わずわかるくらい整った可愛らしい顔立ちをした、見た目3、4歳ぐらいの女の子だった。

そして何より特徴的なのは、その耳だ。通常の人間の耳の代わりに扇状の鰭が付いているのだ。

しかも、毛布からちょこんと覗く紅葉の様な小さな手には、指の股に折り畳まれる様にして薄い膜が存在していた。

 

ミレディ「この子、海人族の子だよね……どうして、こんな所に……。」

ハジメ「……恐らくは人身売買か何かだろうね。全くもって、腹立たしい……。」

海人族は、亜人族としてはかなり特殊な地位にある種族だ。

西大陸の果て、【グリューエン大砂漠】を超えた先の海、その沖合にある【海上の町エリセン】で生活している。

彼等はその種族の特性を生かして、大陸に出回る海産物の八割を採って送り出しているのだ。

その為亜人族でありながら【ハイリヒ王国】から公に保護されている種族なのである。

差別しておきながら使えるから保護するという何とも現金な話だ。

因みに、解放者の一人、「メイル・メルジーネ」も海人族の出身らしい。

 

そんな保護されている筈の海人族、それも子供が内陸にある大都市の下水を流れている等ありえない事だ。この事態は臭ぇ!ゲロ以下の犯罪臭がプンプンしているぜぇ!

とその時、海人族の幼女の小さな可愛らしい鼻がピクピクと動き始め、直後その目がパチクリと目を開いた。

最初は困惑した様に視線を泳がせていた海人族の幼女は、やがてその大きく真ん丸な瞳を俺にロックオンした。

無言で、只管ジィーッと俺を見つめ始める。

俺も何となく目が合ったまま逸らさずジーと見つめ返した。

見つめ合う。まだ見つめ合う。まだまだ見つめ合う。

 

シア「二人供、一体何をしているんですか……。」

ハジメ「いやぁ~、何でか見つめられているから、つい……。」

そんな会話をしていると、海人族の幼女のお腹がクゥ~と可愛らしい音を立てる。

どうやらお腹がすいていたようだ。

シアが露店で買った串焼きを右に左にと動かすと、まるで磁石の様に幼女の視線も左右に揺れる。

 

ハジメ「あ~、えっと、俺は南雲ハジメ。君、名前は言えるかい?」

地面をコンコンとつつき、彼女の注意をこっちに向けると、俺は名前を聞いた。

すると彼女は、突如地面が動き出し、四角い箱状の物がせり上がってくる光景に驚いた様に身を竦めた。

そして、俺から名前を聞かれて視線を彷徨わせた後、ポツリと囁く様な声で自身の名前を告げた。

 

???「……ミュウ。」

「そっか。じゃあミュウ、まずは体を洗おうか?

そのままだと病気になるし、ご飯はその後にお腹一杯上げるから、ね?」

ミュウ「……分かったの。」

俺は完成した簡易の浴槽に魔法で生成した清水を貯め、更に水温を調整し即席の風呂を用意した。

下水で汚れた体のまま食事を取るのは非常に危険だ。

幾分か飲んでしまっているだろうから、解毒作用や殺菌作用のある術も掛けておく必要がある。

 

俺はシアとミレディに薬やタオル、石鹸等を渡しミュウの世話を任せ、自らはミュウの衣服を買いに袋小路を出て行った。

……正直、変な目で見られないかが心配だったものの、時代を駆け抜けた先輩方のとある力を使わせてもらったおかげで、何とかなった。

それと同時に、思わぬ収穫もあったが、今はミュウの方が先決だ。

 

俺がミュウの服を揃えて袋小路に戻ってくると、ミュウは既に湯船から上がっており、新しい毛布に包まれてシアに抱っこされているところだった。

抱っこされながら、ミレディが「あ~ん。」する串焼きをはぐはぐと小さな口を一生懸命動かして食べている。

うん、やっぱり、子供は元気においしいものを笑顔で頬張る姿が良く似合う。

薄汚れていた髪は、本来のエメラルドグリーンの輝きを取り戻し、光を反射して天使の輪を作っていた。

 

シア「あっ、ハジメさん。お帰りなさい。素人判断ですけど、ミュウちゃんは問題ないみたいですよ。」

ミレディ「それにしても、色々買ってきたよね?そんな荷物で大丈夫?」

ハジメ「まぁ、収納するものは作っておくよ。それよりも、ミュウは元気そうだね。」

俺が帰ってきた事に気がついたシアが、ミュウのまだ湿り気のある髪を撫でながら報告してきた。

ミュウもそれで俺の存在に気がついたのか、はぐはぐと口を動かしながら、再びジーッと見つめ始めた。

良い人か悪い人かの判断中なのだろう。

俺は買ってきた服を取り出した。シアの今着ている服に良く似た乳白色のフェミニンなワンピースだ。

それにグラディエーターサンダルっぽい履物、それと下着だ。

もしそのまま行っていたら、子供用とは言え、店で買う時は店員の目が不審なものになっただろう。

 

俺はミュウの下へ歩み寄ると、毛布を剥ぎ取りポスッと上からワンピースを着せた。

序に下着もさっさと履かせる。そして、ミュウの前に跪いて片方ずつ靴を履かせていった。

更にドライヤー擬きを"宝物庫"から取り出し、湿り気のあるミュウの髪を撫でて乾かしていく。

ミュウはされるがままで未だにジーッと俺を見ているが、温かい手の気持ちよさに次第に目を細めていった。

 

ミレディ「……何気に、ハジメンって面倒見いいよね♪」

ハジメ「こう見えて、育児代行サービスもやっていたからね。

人生、どこで何が役に立つか分からないものだね。」

オスカー『……そうか。』

……ミレディからオスカーの生い立ちは大体聞いてはいる。

彼は出身の孤児院の皆を救い、守ろうとしていたのだ。

それを嘲笑い、踏みにじろうとしていた奴だけは、何が何でも滅さなければ。

 

ハジメ「それで、今後の事なんだけど……。」

シア「ミュウちゃんをどうするかですね……。」

俺達が自分の事を話していると分かっている様で、上目遣いで俺達を見るミュウ。

取り敢えず、ミュウの事情を聞いてみることにした。

結果、たどたどしいながらも話された内容は、俺が予想したものに近かった。

 

即ちある日、海岸線の近くを母親と泳いでいたら逸れてしまい、彷徨っているところを人間族の男に捕らえられたらしいという事だ。

そして砂漠越え等の幾日もの辛い道程を経て【フューレン】に連れて来られたミュウは、薄暗い牢屋の様な場所に入れられたのだという。

そこには、他にも人間族の幼子たちが多くいたのだとか。

そこで幾日か過ごす内、一緒にいた子供達は毎日数人ずつ連れ出され、戻ってくる事は無かったという。

少し年齢が上の少年が見世物になって客に値段をつけられて売られるのだと言っていたらしい。

 

愈々ミュウの番になったところで、その日偶々下水施設の整備でもしていたのか地下水路へと続く穴が開いており、懐かしき水音を聞いたミュウは咄嗟にそこへ飛び込んだ。

3,4歳の幼女に何か出来る筈が無いと思われていたのか、枷を付けられていなかったのは幸いだった。ミュウは汚水への不快感を我慢して懸命に泳いだ。幼いとは言え海人族の子だ。

通路をドタドタと走るしかない人間では流れに乗って逃げたミュウに追いつく事は出来なかった。

 

だが慣れない長旅に、誘拐されるという過度のストレス、慣れていない不味い食料しか与えられず下水に長く浸かるという悪環境に、遂にミュウは肉体的にも精神的にも限界を迎え意識を喪失した。

そして身を包む暖かさに意識を薄ら取り戻し、気がつけば俺の腕の中だったという訳だ。

ハジメ「……本当に胸糞悪い話だな。しかも、裏のオークションなんてな。ひでぇ話だ。」

シア「ハジメさん、どうしますか?」

ハジメ「そんなの、とっくに決まっている。」

シアのその言葉に応えるように、俺は立ち上がり、腰に手を翳した。

 

ハジメ「"変身"。」

 

ゴォーン!!!

 

『祝福の刻!』

 

『オーマジオウ!』

 

俺はオーマジオウに変身すると、オーロラカーテンを発動させた。

ハジメ「シア、ミレディ。二人は取り敢えず、ミュウの傍にいてあげて。俺は一仕事してくるから。」

シア「は、はぁ……。その姿で、ですか?」

ハジメ「?何か問題でも?」

ミレディ「えぇっと、一応、目星は突いているんだよね?」

ミレディにそう尋ねられた俺は、いくつか印のついている地図を取り出した。

 

ハジメ「実を言うと、さっき服を買いに行ったとき、偶然人身売買の連中と鉢合わせしてしまってね。

どうやらシア達のことも狙っていたみたい。しかも、ミュウのことも探しているようだから、ね?」

シア・ミレディ「「あっ……。」」

オスカー『行こう、ハジメ君。腐れ外道共蹂躙大会が、僕らを待っている。』

ハジメ「Yeah!ここはヒーローらしく、人海戦術と行こうじゃあないか!

まぁ、司令塔(ブレイン)役を一体、ギルドに置くつもりだけどね。

そういう訳で、だ。ミュウ、お姉ちゃん達と一緒にお留守番できるかい?」

俺はミュウにそう聞くと、ミュウは戸惑いながらも、ゆっくり頷いた。

 

ハジメ「よし、じゃあトシたちにも連絡するか。皆でミュウの護衛お願いね?」

オスカー『さぁ、正義を執行しよう。』

そういう俺達の姿を見たシアとミレディは、後にこう言った。

シア「これ、誘拐犯たちは無事じゃすまないですね……。」

ミレディ「オーちゃんの貴族嫌いが、再燃しちゃった……。」




ハジメ
「ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
さぁて、今回のゲストは?」
ミュウ
「みゅ!ミュウなの~!」
ハジメ
「今回から登場の、不思議少女ミュウちゃんです!」
ミュウ
「ぱ……お兄ちゃん、ミュウはそろそろ本当の呼び方がしたいの!」
ハジメ
「ミュウ……ちゃん、気持ちは分かるけど、もう少し我慢できたら、ぱ……お兄ちゃん、嬉しいんだけどなぁ~。」
ミュウ
「お兄ちゃん、無理している感があるの。」
ハジメ
「コフッ!?さ、さぁて、気を取り直して次回予告だ!」
ミュウ
「ごまかさないの~!」
次回予告
ハジメ
「次回はとにかく大暴れするぜ!」
ミュウ
「一方的に蹂躙するの!」
ハジメ
「イルワさんのフォローもしっかりするよ!」
ミュウ
「保安局のおじちゃんにもなの!」
ハジメ
「そして俺がまさかの、」
ミュウ
「パパになるの~!」
ハジメ
「ミュウ―!?セリフ取らないでくれ!?」
ミュウ
「次回も見てくれると、嬉しいの!」
ハジメ
「決め台詞取られた!?」 

追記:リースティアさん、誤字報告ありがとうございました!

もし今作品のハジメさんが、少しの間だけ別世界に飛ばされてしまったとしたら、どの世界に行くと思いますか?

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  • ONEPIECE
  • アカメが斬る!
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  • 他の原作ライダーの世界
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