ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
「お待たせいたしました!さぁて、今回のオープニングゲスト、どうぞ!」
リリィ
「初めまして、皆さま!リリアーナ・S・B・ハイリヒです!」
ハジメ
「異世界の王女リリアーナことリリィだ!さてこの世界の彼女は、社畜道を避けることが出来るのだろうか!?」
リリィ
「社畜道って……いやですねぇ、ハジメさん。私は唯……。」
ハジメ
「ハイ、横道逸れる前に、前回のあらすじ言っちゃおうか!」
リリィ
「……そうですね。前回は光輝さんと雫の問答でしたね。」
ハジメ
「裏でコソコソ動き回っていやがるウジ虫もいたみてぇだが……はてさてどうなることやら。」
リリィ
「フフッ、ハジメさんなら、"なんかいける気が"しますね。第4章第9話、」
ハジメ・リリィ
「「それでは、どうぞ!」」
愛子が帰ってきたのは、それから30分程してからだった。
廊下の奥からトボトボと、何だかしょげかえった様子で、それでも必死に頭を巡らせているとわかる深刻な表情をしながら前も見ずに歩いてくる。
そして、そのまま自分の部屋の扉とその横に立っている雫にも気づかず通り過ぎようとした。
雫は、一体何があったのだと訝しそうにしながら、愛子を呼び止めた。
雫「先生……先生!」
愛子「ほえっ!?」
奇怪な声を上げてビクリと体を震わせた愛子は、キョロキョロと辺りを見回し漸く雫の存在に気がつく。
そして雫の元気そうな姿にホッと安堵の吐息を漏らすと共に、嬉しそうに表情を綻ばせた。
愛子「八重樫さん!お久しぶりですね。元気でしたか?怪我はしていませんか?他の皆も無事ですか?」
今の今まで沈んでいたというのに、口から飛び出るのは生徒への心配事ばかり。
相変わらずの“愛ちゃん先生”の姿に、自然と雫の頬も綻び、同時に安心感が胸中を満たす。
暫し二人は再会と互いの無事を喜び、その後情報交換と相談事の為愛子の部屋へと入っていった。
雫「ハジメ君、そんなに日本食食べたかったんですね……。」
雫と愛子、二人っきりの部屋で、可愛らしい猫脚テーブルを挟んで紅茶を飲みながら互いに何があったのか情報を交換する。
そして、愛子から【ウルの町】であった事の次第を聞き、雫が最初に発した言葉がそれだった。
雫「それにしても、やっぱりハジメ君は凄いですね。
清水君や先生達だけじゃなく、ウルの町まで救っちゃうなんて……
彼には本当に感謝ですね。」
愛子は微笑みかけてくる雫に、同じく微笑みを返した。
愛子「そうですね。再会してからも皆を気にかけていましたし……。
八重樫さん達を助けに来てくれただけでなく、小さな子の保護まで……
ふふ、頼もしい限りです。」
そう言って遠い目をする愛子の頬は……何故か薄らと染まっている。
雫は「一生徒を思い出すにしては、何だか妙な雰囲気じゃない?」と訝しみ、「ふふっ」と時折思い出し笑いをする愛子を注視した。
その視線に気がついた愛子が「コホンッ!」と咳払いをして居住まいを正す。
しかし取り繕った感は消せなかったので、何となく感じる嫌な予感に頬を引き攣らせつつ、雫は少し踏み込んでみる事にした。
まさか、いくらなんでもそれはないだろうと半ば自分に言い聞かせながら。
雫「そう言えば先生、そのブローチ、綺麗ですね。誰かからの贈り物ですか?」
愛子「えっ!?えぇ、ハジメ君から……。」
愛子が首から下げていたブローチを見て、それが原因ではないかと当たりをつけていたが、あえて知らないフリをして聞いてみた。
すると、先程よりも一層、頬を赤らめ始めた愛子。
視線は泳ぎまくり、ゴニョゴニョと口ごもって中々話しだそうとしない。
……実に怪しい。
雫は剣士らしく、一気に切り込んだ。
雫「……先生。ハジメ君と……何かありました?」
愛子「あ、ありませんよ?な、何かって何ですか?
普通に、私と彼は教師と生徒ですのよ!」
雫「先生。落ち着いて下さい。口調がおかしくなってます。」
愛子「!?」
激しく動揺している愛子。必死に「私は教師、私は教師……」と呟いている。
本人は心の中だけで呟いているつもりなのだろうがダダ漏れだ。
雫は確信した、程度はまだ分からないが、愛子がハジメに対して他の生徒とは異なる特別な感情を抱き始めている事に!
雫(ハジメ君!貴方って人は!愛ちゃんに何をしたのよ!)
最早誰が見てもわかるくらい頬を引き攣らせた雫は、心の中で絶叫する。
もうハジメもフラグ建築については光輝の事を言えないレベルだ。
光輝と異なるのは、相手の好意に対して鈍感という訳ではなく、はっきり答えを出すところなのだろうが……愛子に関してはそれも微妙だろう。
というか、ハジメの場合は家臣や妹が増えたりと、ある意味光輝よりも酷いレベルだろう。
思わぬところに親友のライバルが潜んでいた事に、雫は引き攣る頬を手で隠しながら天を仰いだ。
何だか無性にハジメの事が憎らしくなり、いっそ何かしら間接的な仕返しをやろうかと危険な考えが過ぎったが……魔王の必至な叫びが聞こえたので、何とか思い止まる。
因みに当の本人は、「二つ名、もう嫌だ……。」と言って震えている。こんな魔王で大丈夫か?
愛子と雫は二人して咳払いを繰り返して気を取り直すと、先程のやり取りなど何も無かった様に話を続けた。
雫「それで、先生。陛下への報告の場で何があったのですか?随分と深刻そうでしたけど。」
雫の質問に愛子はハッとすると共に、苦虫を噛み潰した様な表情で憤りと不信感を露わにした。
愛子「……正式に、ハジメ君が異端者認定を受けました。」
雫「!?それは!……どういう事ですか?いえ、何となく予想は出来ますが……それは余りに浅慮な決定では?」
ハジメの力は強大だ。たった一人で六万以上の魔物の大群を殲滅した。
ハジメの仲間も、通常では有り得ない程の力を有している。
にも関わらず、聖教教会に非協力的で場合によっては敵対する事も厭わないというスタンス。
王国や聖教教会が危険視するのも頷ける。
しかしだからといって、直ちに異端者認定するなど浅慮が過ぎるというものだ。
異端者認定とは、聖教教会の教えに背く異端者を神敵と定めるもので、この認定を受けるという事は何時でも誰にでもハジメの討伐が法の下に許されるという事だ。
場合によっては、神殿騎士や王国軍が動く事もある。
そして、異端者認定を理由にハジメに襲いかかれば、それは同時にハジメからも敵対者認定を受けるという事であり、あの容赦無く苛烈で理解不能な攻撃が振るわれるという事だ。
その危険性が上層部に理解出来ない筈がない。
にも関わらず、愛子の報告を聞いて、その場で認定を下したというのだ。雫が驚くのも無理はない。
尤も、ハジメの実力からして「異端認定?上等だ、寧ろ大義名分じゃねぇか!」と言って、教会を殲滅する様子しか見えないだろう。
雫がそこまで察している事に、相変わらず頭の回転が早い子だと感心しながら愛子は頷く。
愛子「全くその通りです。
しかも、いくら教会に従わない大きな力とはいえ、結果的にウルの町を救っている上、私がいくら抗議をしてもまるで取り合ってもらえませんでした。
ハジメ君は、こういう事態も予想してウルの町で唯でさえ高い"豊穣の女神"の名声を更に格上げしたのに、です。」
愛子は一度言葉を切ると、悩まし気に頭を振った。
愛子「護衛隊の人に聞きましたが、"豊穣の女神"の名と"魔王陛下"の名は、既に相当な広がりを見せているそうです。
今彼を異端者認定する事は、自分達を救った"魔王陛下"と"豊穣の女神"そのものを否定するに等しい行為です。
私の抗議をそう簡単に無視する事など出来ない筈なのです。でも彼等は、強硬に決定を下しました。
明らかにおかしいです。
……今思えば、イシュタルさん達はともかく、陛下達王国側の人達の様子が少しおかしかった様な……。」
雫「……それは、気になりますね。彼等が何を考えているのか……
でも取り敢えず考えないといけないのは、唯でさえ強いハジメ君に"誰を"差し向けるつもりなのか?という点ではないでしょうか。」
愛子「……そうですね。恐らくは……。」
雫「ええ。私達でしょう……まっぴらゴメンですよ?私は、まだ死にたくありません。
ハジメ君と敵対するとか……想像するのも嫌です。」
雫がぶるりと体を震わせ、愛子はその気持ちは分かると苦笑いする。
尤も、ハジメさんからすれば当身で十分な気がするが。
そして、国と教会側からいい様に言いくるめられてハジメと敵対する前に、愛子は光輝達にハジメから聞いた狂った神の話を話す決意をした。証拠は何もないので、光輝達が信じるかは分からない。
なにせ今まで、魔人族との戦争に勝利すれば神が元の世界に戻してくれると信じて頑張ってきたのだ。
実はその神は愉快犯で、帰してくれる可能性は極めて低く、だから昔神に反逆した者達の住処を探して自力で帰る方法を探そう!等といきなり言われても信じられるものではないだろう。
光輝達が話を聞いた後、戯言だと切って捨てて今まで通り戦うか、それとも信じて別の方針をとるか……
それは愛子にも分からないが、とにかく教会を信じすぎない様に釘を刺す必要はある。
愛子は今回の事で、それを確信した。
愛子「八重樫さん。ハジメ君は、自分が話しても信じないどころか、天之河君辺りから反感を買うだろうと予想して、私にだけ話してくれた事があります。」
雫「狂った神の話、ですね?」
愛子「!知っていたのですか!?」
雫「えぇ、清水君から聞きました。光輝には言わないようにと、ハジメ君が言っていたようです。」
愛子「そうですか……。」
愛子はこれから話そうとしていたことを、雫が知っていたことに驚いたのと同時に、ハジメ本人が光輝に言わないよう、釘を刺していたことに疑問を感じた。
これにはちゃんとした理由がある。まず、信じなかった場合はハジメさんとの敵対が予測されるだろう。
そこに関しては、ハジメさんは死なない程度にやり過ごせるので問題はないだろう。
しかし、その逆で信じてしまったり、そのことを教会関係者に聞きに行ったりする方が、余程問題なのだ。
もしそうなれば、教会関係者又は神の使徒によって、彼等に危害が及ぶかもしれない。
そう考えた結果、ハジメはこの話を光輝達に秘密にしたのだ。彼らを守るために。
愛子「確かに、証拠は何も無い話ですが……とても大事な話なので今晩……
いえ夕方、全員が揃ったら先生からお話したいと思います。」
雫「それは……いえ、分かりました。なんなら今から全員招集しますか?」
愛子「いえ、あまり教会側には知られたくない話なので自然に皆が集まる時、夕食の席で話したいと思います。
久しぶりに生徒達と水入らずで、といえば私達だけで話せるでしょう。」
雫「成程……分かりました。では、夕食の時に。」
その後、雫と愛子は雑談を交わし、程よい時間で分かれた。夕食の約束は守られないと知る由も無く……
時刻は夕方。
鮮やかな橙色をその日一日の置き土産に太陽が地平の彼方へと沈む頃、愛子は一人誰もいない廊下を歩いていた。
廊下に面した窓から差し込む夕日が、反対側の壁と床に見事なコントラストを描いている。
夕日の美しさに目を奪われながら夕食に向かう愛子だったが、ふと何者かの気配を感じて足を止めた。
前方を見れば、丁度影になっている部分に女性らしき姿が見える。
廊下のど真ん中で、背筋をスっと伸ばし足を揃えて優雅に佇んでいる。服装は、聖教教会の修道服の様だ。
その女性が美しく、しかしどこか機械的な冷たさのある声音で愛子に話しかけた。
???「はじめまして、畑山愛子。あなたを迎えに来ました。」
愛子はその声に何故か背筋に氷塊でも放り込まれた様な気持ちを味わいながらも、初対面の相手に失礼は出来ないと平静を装う。
愛子「えっと、はじめまして。迎えに来たというのは……これから生徒達と夕食なのですが。」
???「いいえ、あなたの行き先は本山です。」
愛子「えっ?」
有無を言わせぬ物言いに、思わず愛子が問い返す。
そこで、女性が影から夕日の当たる場所へ進み出てきた。その人物を見て、愛子は息を呑む。
同性の愛子から見ても、思わず見蕩れてしまうくらい美しい女性だったからだ。
夕日に反射してキラキラと輝く銀髪に、大きく切れ長の碧眼、少女にも大人の女にも見える不思議で神秘的な顔立ち、全てのパーツが完璧な位置で整っている。
身長は女性にしては高い方で170cmくらいあり、愛子では軽く見上げなければならい。
白磁の様に滑らかで白い肌に、スラリと伸びた手足。
胸は大きすぎず小さすぎず、全体のバランスを考えれば正に絶妙な大きさ。
ただ残念なのは、表情が全くない事だ。無表情というより、能面という表現がしっくりくる。
著名な美術作家による最高傑作の彫像だと言われても、疑う者はいないだろう。
それくらい、人間味のない美術品めいた美しさをもった女だった。
その女は、息を呑む愛子ににこりともせず淡々と言葉を続けた。
???「あなたが今からしようとしている事を、主は不都合だと感じております。
あなたの生徒がしようとしている事の方が"面白そうだ"と。
なので時が来るまで、あなたには一時的に退場していただきます。」
愛子「な、何を言って……。」
ゆっくり足音も立てずに近寄ってくる美貌の修道女に、愛子は無意識に後退る。
刹那、修道女の碧眼が一瞬輝いた様に見えた。途端、愛子の意識に霞が掛かる。
思わず本能的な危機感から、魔法を使う時の様に集中すると弾かれた様に霞が霧散した。
???「……成程、流石は主を差し置いて"神"を名乗るだけはあります。私の"魅了"を弾くとは。
仕方ありません、物理的に連れて行く事にしましょう。」
愛子「こ、来ないで!も、求めるはっ……うっ!?」
得体の知れない威圧感に、愛子は咄嗟に魔法を使おうとする。
しかし、詠唱を唱え終わるより早く、一瞬で距離を詰めてきた修道女が迫る。と、その時だった。
ボゥンッ!モワモワ~
???「!?」スカッ!
突如、謎の煙幕が辺り一面を包み、愛子の鳩尾に撃ちこまれるはずだった、修道女の拳は空を切った。
それと同時に、どこからか現れた複数の気配が、彼女に組み付いて地面に固定した。
???「ッ!このっ!」
すぐさま振り払い、どこからか出した大剣によって一刀両断するものの、そこからは何も飛び出してこなかった。
血飛沫とか、臓物とかといったものもなく、斬られた遺体はそのまま煙になって消えていった。
???「クッ……。何者ですか?」
体勢を立て直した修道女がそう問うものの、返事は煙の中からは帰ってこない。
すると、修道女は魔法で煙を払った。そこには、誰もいなかった。
???「……逃げられましたか。一生の不覚です。」
すると、ふと廊下の先に意識を向けて探る様に視線を這わせた。
暫くじっと観察していた修道女は、徐に廊下の先にある客室の扉を開く。
そして中に入り部屋全体を見回すと、わざとらしく足音を立てながらクローゼットに近寄り、勢いよく扉を開けた。
しかし中には何もなく、修道女は再度首を傾げると再び周囲を見渡し、あちこち見て回った。
やがて、開いていた窓からどこかへ逃げたのではと結論づけたのか、踵を返して部屋を出て行った。
部屋の中には誰もいない。
しかし、何処かに遠ざかる足音がほんの僅かに響き、やがて、完全に静寂を取り戻した。
数分後、そんな静寂の戻った部屋の中、その部屋の一角にて誰かが出て来た。
先程誘拐されかけた、愛子本人だ。その後ろからは……。
浩介「……どうやら、危機一髪みたいだったな。」(小声)
愛子「……はい、助かりました。遠藤君、ありがとうございます。」(小声)
そう、我等が陰の立役者、遠藤浩介である。
実はというと、雫が愛子に話をしに行った時、一緒に来たものの存在を忘れ去られていたのだ。
その悲しさのあまり、泣きそうになったものの、ハジメからとある任務を課せられていることを思い出した。
それは"愛子の緊急時の護衛"である。
もし愛子が攫われそうになった場合、上手く逃げるか、最悪の場合時間稼ぎをハジメに頼まれたのだ。
結果は、相手の攪乱に成功はした。
しかしその後どうしたものかと考えていた時、近くの部屋の主に導かれ、この部屋にあった隠し通路に、愛子共々上手く逃げ込んだのだ。
浩介「俺が出来たのは、精々時間稼ぎだけだよ。俺よりもリリィに感謝してくれ。」
リリィ「いえ……愛子さんが無事だったのは、間違いなく浩介さんのおかげですよ。」
その部屋の主は、この国の王女リリアーナであった。
実は彼女も、王宮の異変について相談するべく、悄然と出て行った愛子を追いかけ自らの懸念を伝えた。
すると愛子から、ハジメが奈落の底で知った神の事や旅の目的を夕食時に生徒達に話すので、リリアーナも同席して欲しいと頼まれたのだそうだ。
愛子の部屋を辞したリリアーナは、夕刻になり愛子達が食事をとる部屋に向かい、その途中、廊下の曲がり角の向こうから愛子と何者かが言い争うのを耳にした。
何事かと壁から覗き見れば、愛子を連れた浩介が、銀髪の教会修道服を着た女から逃げている様子が見えた。
それに気づいたリリアーナは慌てて二人に手招きし、すぐ近くの客室に3人で入り込むと、王族のみが知る隠し通路に入り込み息を潜めた。
銀髪の女が探しに来たが、結局、隠し通路自体に気配隠蔽のアーティファクトが使用されていたことに加え、浩介の自前の影の薄さもあり気がつかなかったようで、3人を見つけることなく去っていった。
そうして現在、難を逃れた3人は、今後について相談した。
浩介「リリィ、先生、俺はこの通路から王都を出ようと思う。」
リリィ「ハジメさんに会うんですか?」
浩介「現状それしかない。商隊に紛れ込めば、追跡は躱せると思うが……二人はどうする?」
浩介の頭には、先程の修道女すら軽く圧倒するであろう、最高最善の魔王が浮かんでいる。
愛子「ここはもう危険ですしね……生徒を置いていくのは心苦しいですが、仕方がありません。」
リリィ「私も同感です。それでは、急ぎましょう。」
浩介「おぅ、さっさと離れるか。また奴が戻ってこないとも限らないし。」
そうして、彼らは王都から脱出した。その商隊がハジメに縁のある者の所とは知らずに……。
荘厳な往生の広い廊下を、一人の男が歩いていた。
カッ、カッ、と乱暴に踏み鳴らされる足音と男の険しい表情に、すれ違った者達はギョッとした表情をしている。
???「フリード様ッ!」
荒れ狂う内心を自覚無く垂れ流していた男に、張り詰めた様な声が掛かった。
フリード「ミハイルか。」
ミハイル「フリード様ッ!カトレアが……カトレアがやられたと!
任務から戻ったら、他の連中が話していて!……嘘ですよね?
カトレアが死んだなんて、そんなのある訳が無い!
だって、アイツにはフリード様のアハトドだってついて───」
フリードと呼ばれた男は取り乱した様子の部下──ミハイルの肩に手を置いた。
ぐっと、何かを堪える様な力強さで。それだけでミハイルは悟った。
【オルクス大迷宮】への任務に旅立った大切な存在が、永遠に帰らぬ人になったという事を。
ミハイル「何故……そんな。勇者は、それ程に強力だったのですか?
あれ程の魔物を従えても歯が立たない程に?そんな事が……。」
フリード「落ち着けミハイル、事前の調査に間違いは無い。
今の勇者にカトレアを退ける程の力は無い筈だ。」
ミハイル「ではっ、では何故ッ!」
瞳に絶望を映し、フリードへ掴みかからんばかりの勢いで尋ねるミハイル。
フリードは頭を振ると、徐に関係無さそうな、されど重大な問題を口にした。
フリード「ウルの町での任務が、失敗に終わった。」
ミハイル「なッ!?……それはやはり、対象の力が未熟だったと?」
フリード「いや、そうではない。
作戦は成功し、6万の魔物がウルの町ごと豊穣の女神を蹂躙する筈だった。
だが──イレギュラーに潰されたのだ。」
ミハイル「イレ、ギュラー?」
何の事だと首を傾げるミハイルに、フリードはまるで見えない敵を睨みつけるが如く、虚空へ鋭い視線を向けた。
フリード「たった一人に、魔物の軍勢を殲滅されたのだ。
おまけに、任務に当たっていたレイスも、堂々と処刑された。」
ミハイル「馬鹿な、レイスまで……。
それにフリード様の強化を受けていない魔物とはいえ、その数をたった一人で?
有り得ない……、それは一体の冗談ですか?」
慄く様にふらついたミハイルへ、フリードは視線を戻す。
フリード「冗談であれば良かったのだがな……。
どうやらその怪物、ウルの町を去った後オルクス大迷宮に駆け込んだらしい。
丁度、カトレアが勇者と接触する頃だ。」
ミハイル「ッ!では、カトレアはソイツに……!」
ポタリと、廊下に真っ赤な水滴が落ちた。それは、ミハイルが握り締めた拳より流れ落ちたもの。
湧き上がる憤怒の発露。
フリードはミハイルの肩に手を置きつつ、鋭い声音で口を開いた。
フリード「敵は想像以上に強大だ。私はこれより、大火山に向かう。
新たな神代魔法を手に入れ、更に力をつける。何としてもだ。」
ミハイル「フリード様……。」
自分達が信頼する最強の将が、そこまで言う相手。
戦慄を隠せないミハイルに、フリードは味方をして心胆寒からしめる眼差しを向けた。
フリード「全ては我等が陛下の為、そして我等の信ずる神の為。
留守を任せるぞミハイル、決戦の時は近い。私がいない間、憤怒を以て牙を研ぎ澄ませておけ。」
ミハイル「ッ、了解です。カトレアの仇は必ず討ちます。」
決然と頷くミハイルに頷き返したフリードは、サッと踵を返した。
背後でミハイルが敬礼するのを感じながら、相棒が待機している場所へと向かう。
部下の前故に、抑えられていた感情が徐々に溢れ出す。
その表情は既に、狂気を感じさせる程に歪んでいる。
フリード「我が神より賜った崇高な使命の悉くを潰してくれた代償──高くつくぞ、まだ見ぬ敵よ。
私と相対したその時が、貴様等の終わりだ。異教徒共に、この世界で生きる資格は無い。」
憎悪と憤怒に彩られたフリードは怨嗟にも似た呟きを残し、一刻後夥しい数の魔物を従えて国を後にした。
魔人族の王国──魔国ガーランドを。
人間と魔人の戦力的均衡をたった一人で崩した最強の魔人。
奇しくも向かった先は、最高最善の魔王と同じ場所。
果たしてフリードは、無常なる王の裁きを逃れることは出来るのだろうか……。
ハジメ
「ここまで読んでいただき、ありがとうございます!さて、今回のゲストは、もちら!」
鈴
「どうも!皆のアイドル、鈴ちゃんだよ~☆」
ハジメ
「小さいおっさん、谷村鈴さんね。」
鈴
「……南雲君は鈴のこと嫌いなのかな?」
ハジメ
「アイドルはミュウしか勝たん。」
鈴
「……あ、相変わらずの親バカだね。」
ハジメ
「当然だ、ミュウは俺より強い奴にしか嫁にやらんつもりだ。」
鈴
「絶対無理な条件だよ!それよりもほら、次回予告行っちゃうよ!」
次回予告
ハジメ
「アニメ第2クール、グリューエンでの道のりだな。」
鈴
「ところでこの作品、R-18とかないの?」
ハジメ
「ありません!」
鈴
「そんなスペシャルウィーク並に凄まなくても……。」
ハジメ
「因みにうp主はウマ娘やっていないが、バクシン、ダイス、ベガ、キタサン、ネイチャが推しらしい。」
鈴
「次回予告と微塵も関係ないよね!?」
ハジメ
「アズレンもやっていたみたいだけど、一番キャラ覚えやすかったのはFGOらしい。記憶力ねぇなコイツ。」
鈴
「南雲君、もう止めて!?うp主のライフはもう0だよ!えぇ~と、次回もお楽しみに!」
リースティアさん、誤字報告ありがとうございました!
もし今作品のハジメさんが、少しの間だけ別世界に飛ばされてしまったとしたら、どの世界に行くと思いますか?
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