ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

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ハジメ
「お待たせいたしました!さて、今回のビックリドッキリオープニングゲスト、カモン!」
妙子
「どこのロボワンコ!?あ、どうも!趣味は鞭の手入れ、菅原妙子です!」
ハジメ
「何気に怖い情報入れるのは止めてくれ。」
妙子
「そう?南雲君もてっきりやっているのかと……。」
ハジメ
「する趣味もされる趣味もない!ホラ、さっさと前回のあらすじ!」
妙子
「ハイハイ、前回はアンカジで治療と浄化、だったよね?」
ハジメ
「ようやくスーパー戦隊の力を発揮できたよ。正直、ウルトラマンの力も使えそうで怖い。」
妙子
「へぇ……あ、第5章第3話」
ハジメ・妙子
「「それでは、どうぞ!」」


50.灼熱!脱水必死の大火山!

【グリューエン大火山】

それは【アンカジ公国】より北方に進んだ先、約100kmの位置に存在している。

見た目は直径約5km、標高3,000m程の巨石だ。

普通の成層火山の様な円錐状の山ではなく、所謂溶岩円頂丘の様に平べったい形をしており、山というより巨大な丘と表現する方が相応しい。

その標高と規模が並外れているだけで。

 

この【グリューエン大火山】は七大迷宮の一つとして周知されているが、【オルクス大迷宮】の様に冒険者が頻繁に訪れるという事は無い。

それは内部の危険性と厄介さ、そして【オルクス大迷宮】の魔物の様に魔石回収の旨みが少ないから……

というのもあるが、一番の理由は、まず入口に辿り着ける者が少ないからである。

その原因が……

 

ハジメ「これは……龍の巣か!」

香織「お父さんの言っていた通りだね!」

トシ「いや、この先にラ○ュタはねぇからな?」

余りの光景に、異世界出身の俺等にしか分からないトークをかました。他はポカンとしている。

 

そう。【グリューエン大火山】は巨大積乱雲の様に、巨大な渦巻く砂嵐に包まれているのだ。

その規模は【グリューエン大火山】をすっぽりと覆って完全に姿を隠す程で、砂嵐の竜巻というより流動する壁と行った方がしっくりくる。

しかも、この砂嵐の中にはサンドワームや他の魔物も多数潜んでおり、視界すら確保が難しい中で容赦なく奇襲を仕掛けてくるというのだ。

並みの実力では【グリューエン大火山】を包む砂嵐すら突破できないというのも頷ける話である。

 

シア「つくづく徒歩でなくて良かったですぅ。」

ユエ「……ん、お肌に悪い。」

ティオ「流石の妾も、生身でここは入りたくないのぉ。」

オスカー『ナイズを追いかけた時も、ここまでじゃなかったけどなぁ……。』

ミレディ「大丈夫!これもナッちゃんの迷宮のコンセプトの一つだからさ、多分!」

ミュウ「パパ~、お外ビュウビュウ言っているの!」

イナバ「きゅきゅう……(これは流石の自分も遠慮したいですわぁ……)。」

そんなことを言いながら、皆このビークルの存在にありがたみを感じているようだ。

 

そんな俺達が現在乗っているのは、キングライナー……ではなく、今回こんなこともあろうかと思って開発した装甲車、GトレーラーMAX type.99だ。

何故、キングライナーじゃないかというと、それは砂嵐に原因がある。

この砂嵐によって発生する乱気流が非常に厄介で、キングライナーがいくら線路を引いても、強風で車輪がズレてしまう恐れがあるからだ。

それに小回りも効かない上、上空への避難もできない状況だ。

 

その為、急遽別のビークルを製作したのだ。

このGトレーラーMAX type.99は原作のものとは違い、中にはメンテナンス工場だの司令部だのと言ったものはなく、大人数での移動を想定した仕様になっている。

内部には、キッチンやベッド、シャワー室といった簡素だが実用性のある設備が揃っている。

勿論武装も取り付けてあるため、サンドワーム程度ならどうってことない。

 

今回は悠長な攻略をしていられない。

ミレディとオスカー曰く、表層部分では静因石はそれ程採れない為、手付かずの深部まで行き大量に手に入れなければならないらしい。

だが、深部まで行ってしまえば、今迄と同じ様に外へのショートカットが有る様だ。

それで一気に脱出してアンカジに戻る算段だ。早速、巨大砂嵐に突入した。

 

砂嵐の内部は、正しく赤銅一色に塗り潰された閉じた世界だった。

【ハルツィナ樹海】の霧の様に殆ど先が見えない。物理的影響力がある分、霧より厄介かもしれない。

ここを魔法の障壁なり体を覆う布なりで魔物を警戒しながら突破するのは、確かに至難の業だろう。

 

太陽の光も殆ど届かない薄暗い中を、ヘッドライトが切り裂いていく。

時速は120km程度、事前の情報からすれば約15秒で突破出来る筈だ。

無駄な戦闘を避けるため、クロックアップも発動してあるおかげか、サンドワームの襲撃も軽々避け、速攻で返り討ちにした俺達は、数多の冒険者達を阻んできた巨大砂嵐を易々と突破したのだった。

 

「ボバッ!」とそんな音を立てて砂嵐を抜け出た俺達の目に、まるでエアーズロックを何倍にも巨大化させた様な岩山が飛び込んできた。

砂嵐を抜けた先は静かなもので、周囲は砂嵐の壁で囲まれており直上には青空が見える。

まるで竜巻の目にいる様だ。

 

【グリューエン大火山】の入口は頂上にあるとの事だったので、進める所まで坂道を上がっていく。

露出した岩肌は赤黒い色をしており、あちこちから蒸気が噴出していた。

活火山であるにも関わらず一度も噴火した事が無いという点も、大迷宮らしい不思議さだ。

やがて傾斜角的にトレーラーでは厳しくなってきたところで、俺達は徒歩で山頂を目指す事になった。

 

シア「うわぅ……あ、暑いですぅ。」

ユエ「ん~……。」

香織「うぅ……ちょっとキツイ……。」

ミレディ「ナッちゃん、ハードル上げ過ぎだよぉ~……。」

イナバ「きゅ…きゅぅ……(これはあかんわ……このままじゃ自分、蒸し焼きになってまう……。)」

既にイナバと女性陣がティオ以外ピンチだ。ミュウは大丈夫なのかって?

心配することはない。何故なら……。

 

ミュウ「パパ~、ミュウのお洋服、お姉ちゃん達にあげるの……。」

ハジメ「大丈夫だ、ミュウ。ユエ達の心配はいいから、自分の体調を大事にしてくれ。」

トシ「お前ホント過保護だよなぁ……まぁ、仕方がないけどさ。」

オスカー『僕は眼魂だから大丈夫だけどね。』

そう、ミュウにはとあるライダーのスーツ素材に似た服を着せている。

若干、コスプレ感漂う見た目だが、性能は抜群だ。

 

ティオ「ふむ、妾は寧ろ適温なのじゃが……

それにしてもご主人様は流石じゃのぉ、汗一つ掻いておらん。」

ハジメ「こう見えて、灼熱の中トレーニングを続けた経験があるからな。

それに、この鎧ならマグマの中だろうと、耐えることなんてわけないさ。」

そう、奇襲を警戒しているので、俺は既に変身済みだ。

 

時間が無いので暑い暑いと文句を言う女性陣を急かしながら素早く山頂を目指し、岩場をひょいひょいと重さを感じさせずどんどん登っていく。

結局俺達は、10分もかからずに山頂に辿り着いた。

頂上は無造作に乱立した、大小様々な岩石で埋め尽くされた煩雑な場所だった。

 

尖った岩肌や、逆につるりとした光沢のある表面の岩もあり、奇怪なオブジェの展示場の様な有様だ。

砂嵐の頂上がとても近くに感じる。そんな奇怪な形の岩石群の中でも群を抜いて大きな岩石があった。

歪にアーチを形作る全長10m程の岩石である。

俺達はその場所に辿り着くと、アーチ状の岩石の下に【グリューエン大火山】内部へと続く大きな階段を発見した。

 

俺は階段の手前で立ち止まると、肩越しに背後に控える仲間の顔を順番に見やり、澄ました表情で大迷宮挑戦の号令をかけた。

ハジメ「よし、行くぞ!」

ユエ「んっ!」

シア「はいです!」

ミレディ「うん!」

ティオ「うむっ!」

トシ「おう!」

ミュウ「はいなの!」

香織「うん!」

イナバ「きゅう!」

 

【グリューエン大火山】の内部は、【オルクス大迷宮】や【ライセン大迷宮】以上にとんでもない場所だった。

難易度の話ではなく、内部の構造が、だ。まず、マグマが宙を流れている。

亜人族の国【フェアベルゲン】の様に空中に水路を作って水を流しているのではなく、マグマが宙に浮いてそのまま川のような流れを作っているのだ。

空中をうねりながら真っ赤に赤熱化したマグマが流れていく様は、まるで巨大な龍が飛び交っている様だ。

また当然、通路や広間のいたる所にマグマが流れており、迷宮に挑む者は地面のマグマと頭上のマグマの両方に注意する必要があった。

しかも……

 

シア「うきゃ!」

ハジメ「大丈夫?」

シア「はぅ、有難うございますハジメさん。いきなりマグマが噴き出してくるなんて……

察知出来ませんでした。」

シアが言う様に、壁のいたる所から唐突にマグマが噴き出してくるのである。

本当に突然な上に、事前の兆候も無いので察知が難しい。正に天然のブービートラップだった。

 

俺自身、未来視が使えるとはいえ、ここまで厄介なものはなかった。

ノベルゲーマーの能力を使っても良かったが、それでは味気が無い。

それに神代魔法を手に入れるのは当たり前なので、そこまで頼る物じゃないからなぁ。

 

そして何より面倒なのが、茹だる様な暑さ──基熱さだ。

通路や広間のいたる所にマグマが流れているのだから当たり前ではあるのだが、まるでサウナの中にでもいる様な、或いは熱したフライパンの上にでもいる様な気分である。

【グリューエン大火山】の最大限に厄介な要素だった。

 

ユエ達がダラダラと汗をかきながら天井付近を流れるマグマから滴り落ちてくる雫や噴き出すマグマを躱しつつ進んでいると、とある広間であちこち人為的に削られている場所を発見した。

ツルハシか何かで砕きでもしたのかボロボロと削れているのだが、その壁の一部から薄い桃色の小さな鉱石が覗いている。

どうやら砂嵐を突破して【グリューエン大火山】に入れる冒険者の発掘場所の様だ。

 

ハジメ「オスカー、あれが静因石?」

オスカー『あぁ、間違いないが……。』

ユエ「……小さい。」

シア「他の場所も小石サイズばっかりですね……。」

ユエの言う通り、残されている静因石は殆どが小指の先以下の物ばかりだった。

殆ど採られ尽くしたというのもあるのだろうが、サイズそのものも小さい。

やはり表層部分では回収効率が悪すぎる様で、一気に大量に手に入れるには深部に行く必要がある様だ。

 

二人曰く、ナイズがいた時にはもっと巨大なものがあったらしい。

それも、50年に一度起こる噴火を防ぐことが出来る要石レベルの。

尤もそれは、空間魔法を使用できるナイズだからこその神業だが。

ミレディの魔法も中々ぶっ壊れだが、この空間魔法に至ってはチートの域を逸脱していると思う。

そう思いながら俺は、一応他の静因石の有無を調べ、簡単に採取できるものだけ"宝物庫"に収納するとユエ達を促して先を急いだ。

 

暑さに辟易するユエ達を促しながら、7階層程下に降りる。

記録に残っている冒険者達が降りた最高階層だそうだ。

そこから先に進んだ者で生きて戻った者はいないらしい。

気を引き締めつつ、8階層へ続く階段を降りきった。

その瞬間。強烈な熱風に煽られたかと思うと、突如俺達の眼前に巨大な火炎が襲いかかった。

オレンジ色の壁が螺旋を描きながら突き進んでくる。

 

ハジメ「炎はマグマの下位互換じゃけぇ。」

トシ「どこの海軍元帥だ。」

そんなコント挟みつつ、太陽レベルの高温を持った熱線を放つ。

すると、迫りくる炎は一瞬にして蒸発した。序にその奥にいた牛ごと溶けていった。

 

その後、階層を下げる毎に魔物のバリエーションは増えていった。

マグマを翼から撒き散らす蝙蝠型の魔物や壁を溶かして飛び出てくる赤熱化したウツボ擬き、

炎の針を無数に飛ばしてくる針鼠型の魔物、

マグマの中から顔だけ出し、マグマを纏った舌を鞭の様に振るうカメレオン型の魔物、

頭上の重力を無視したマグマの川を泳ぐやはり赤熱化した蛇等……。

 

生半可な魔法では纏うマグマか赤熱化した肉体で無効化してしまう上に、そこかしこに流れるマグマを隠れ蓑に奇襲を仕掛けてくる魔物はユエ達にとっては厄介極まりなかっただろう。

何せ、魔物の方は体当りするだけでも人相手なら致命傷を負わせる事が出来る上に、周囲のマグマを利用した攻撃も多く、武器は無限大と言っていい状況。

更に、いざとなればマグマに逃げ込んでしまえばそれだけで安全を確保出来てしまうのだ。

 

たとえ砂嵐を突破できるだけの力をもった冒険者でも、魔物が出る8階層以降に降りて戻れなかったというのも頷ける。

しかもそれらの魔物は、倒しても魔石の大きさや質自体は【オルクス大迷宮】の40層レベルの魔物のそれと対して変わりがなく、貴重な鉱物である静因石も表層の物と殆ど変わらないとあっては、挑戦しようという者がいないのも頷ける話だ。

そして何より厄介なのは、刻一刻と増していく暑さだ。

 

シア「はぁはぁ……暑いですぅ。」

ユエ「……シア、暑いと思うから暑い。流れているのは唯の水……ほら、涼しい、フフ。」

香織「そうだね……折角だし水浴びでもしようか……フフフ。」

ミレディ「ワァ、大変!?ユエ姉とカオリンが壊れかけちゃってる!」

ティオ「これはマズいのぅ。目が虚ろになっておる!」

とうとう女性陣にも限界が来たか……こちらもイナバがもう限界そうだ。

 

トシ「イナバァ!気をしっかり持てェ!そっちは唯のマグマだ!」

イナバ「きゅっふっふっ……(ヘへッ、自分はもう、手遅れなんでさぁ……。)」

オスカー『ダメだ、正気じゃない。』

ミュウ「パパッ!皆が大変なの!」

よし、休憩しよう。

 

広間に出ると、マグマから比較的に離れている壁に〝錬成〟を行い横穴を空けた。

そこへユエ達を招き入れると、マグマの熱気が直接届かないよう入口を最小限まで閉じた。

更に、部屋の壁を"鉱物分離"と"圧縮錬成"を使って表面だけ硬い金属でコーティングし、ウツボモドキやマグマの噴射に襲われないよう安全を確保する。

 

ハジメ「後はこれで良しっと。しばらく、休憩しよう。まずは暑さに体を慣らさないと。」

鎧の能力でフィールドを展開・温度を調整する俺の言葉に、皆が一斉に頷く。

シア「はぅあ~~、涼しいですぅ~、生き返りますぅ~。」

ユエ「……ふみゅ~。」

香織「ふぅ~、死ぬかと思ったよぉ~。」

タレ女子3人組の出来上がりか。

そんな彼女たちを見ながら、俺は"宝物庫"からタオルを取り出すと全員に配った。

 

ハジメ「皆、汗くらいは拭いておくように。冷えすぎると動きが鈍るし、風邪ひくからね。」

ユエ「……ん~。」

シア「了解ですぅ~。」

香織「はぁ~い。」

間延びした声で、のろのろとタオルを広げる3人。イナバはミュウにつつかれている。汗を拭きなさい。

 

ティオ「ご主人様は、まだ余裕そうじゃの?」

ハジメ「心頭滅却すれば火もまた涼しっていうからね。これも鍛錬の一つに加えてみようかな?」

トシ「死人が出るからやめておけ。てかそんなんで生き残れるのは俺等ぐらいだからな?」

ミレディ「確かに……今思えば火山に住んでいたナッちゃんって……。」

オスカー『ミレディ、それ以上はいけない。』

まぁ、これも大迷宮のコンセプトの1つなのだろう。

 

俺達が最初に行った、オスカーの【オルクス大迷宮】は、数多の魔物とのバリエーション豊かな戦闘を経て経験を積む事。

ミレディの【ライセン大迷宮】は魔法という強力な力を抜きに、あらゆる攻撃への対応力を磨く事。

そして、この【グリューエン大火山】は暑さによる集中力の阻害と、その状況下での奇襲への対応といったところだと思われる。

しかし……目のやり場に困るな。主に女性陣の。

俺等男性陣は密かに、ここでも試練を課されることとなったのだった。

 

【グリューエン大火山】、恐らく50層辺り。それが現在、俺達のいる階層だ。何故"恐らく"かって?

宙を流れる大河の如きマグマの上を、赫鉄色の逢魔鉱石で出来た小舟の様な物に乗ってドン!ドン!ドン!ドンブラコ!と流されているからだ。

 

ハジメ「気分は暴太郎だな。これでこの火山とも縁が出来たな!」

トシ「こんな危ないとこにくる桃太郎があってたまるか。そこはルパン三世だろ、あばよとっつぁ~ん!」

香織「えぇ!?そこはインディさんじゃないかな……?」

ここでも意見が分かれる模様だ。何でこんな状況になっているかというと……ちょっとした冒険だ。

 

というのも、少し前の階層で攻略しながらも静因石を探していた俺達は、相変わらず自分達を炙り続けるマグマが時々不自然な動きを見せている事に気がついた。

具体的には、岩等で流れを邪魔されている訳でも無いのに大きく流れが変わっていたり、何も無いのに流れが急激に遅くなっていたり、宙を流れるマグマでは一部だけ大量にマグマが滴り落ちていたりというものだ。

 

大抵それは通路から離れたマグマの対岸だったり、攻略の障害にはならなかったので気にも止めていなかったのだが、偶々探知の効果範囲にその場所が入り、その不自然な動きが静因石を原因としている事が判明したのだ。

マグマそのものに宿っているらしい魔力が静因石により鎮静されて、流れが阻害された結果だった。

 

俺達は、「ならばマグマの動きが強く阻害されている場所に"静因石"は大量にある筈」と推測し探した結果、確かに大量の静因石が埋まっている場所を多数発見した。

マグマの動きに注意しながら相当な量の静因石を集めた俺達は、予備用にもう少しだけ集めておこうととある場所に向かった。

 

そこは宙に流れるマグマが、大きく壁を迂回する様に流れている場所だった。

俺が錬成を使って即席の階段を作成して近寄り、探ってみれば充分な量の静因石が埋まっている事が分かった。

早速分解系の技能を使い静因石だけを回収する俺だったが、余裕からか壁の向こう側の様子というものに注意を向けていなかった。

 

静因石を宝物庫に収納しその効力が失われた瞬間、静因石が取り除かれた壁の奥からマグマが勢いよく噴き出した。

咄嗟に飛び退いた俺だったが噴き出すマグマの勢いは激しく、まるで亀裂の入ったダムから水が噴出し決壊する様に穴を押し広げて一気になだれ込んできた。

 

まぁ、時間を止めて何とかなったが、もしかしたら川の道中にもあるかもしれないと思った俺は、生成魔法で熱に強いVer逢魔鉱石を使用した小舟を作り、皆でそれに乗り込んだわけだ。

そして流されるままにマグマの上を漂っていると、いつの間にか宙を流れるマグマに乗って階段とは異なるルートで【グリューエン大火山】の深部へと時に灼熱の急流滑りを味わいながら流されていき現在に至るという訳だ。

 

オスカー『う~ん、ナイズもこう来るとは思ってもいなかっただろうねぇ……。』

ミレディ「まぁ、ハジメン達は異世界人だし、仕方がないよね!」

……後ろで解放者たちの呟きが聞こえる。大丈夫、ここはライセンの二の舞にはならない筈だ……。

ミュウはというとアトラクション気分で楽しんでいる。将来大物になること間違いなしだな、こりゃ。

 

シア「あっ、ハジメさん。またトンネルですよ!」

ティオ「そろそろ標高的には麓辺りじゃ、何かあるかもしれんぞ?」

シアが指差した方向を見れば、流されているマグマが壁に空いた大穴の中に続いていた。

マグマ自体に照らされて下方へと続いている事が分かる。

今までも洞窟に入る度に階層を下げてきたので、普通に階段を使って降りるよりショートカットになっている筈だ。

 

ティオの忠告に頷きながら、いざ洞窟内に突入する。

マグマの空中ロードは、広々とした洞窟の中央を蛇の様にくねりながら続いている。

すると暫く順調に高度を下げていたマグマの空中ロードだが、カーブを曲がった先でいきなり途切れていた。

否、正確には滝といっても過言ではないくらい急激に下っていたのだ。

 

ハジメ「また!?全員しっかり掴まって!」

俺の言葉にユエ達も頷き、小舟の縁や俺の腰にしがみ付く。ミュウは中心でヒシっと抱き着いている。

ジェットコースターが最初の落下ポイントに登るまでのあのジワジワとした緊張感が漂う中、遂に小舟が落下を開始した。

 

轟々と風の吹き荒れる音がする。

途轍もない速度で激流と化したマグマを、重力魔法で制御しながら下っていく。

マグマの粘性など存在しないとばかりに、速度は刻一刻と増していった。

勿論、直ぐに迎撃できるよう警戒済みだ。何故ならこういう時に限って……

 

ハジメ「チィッ、面倒な時に来やがって!」

俺は舌打ちすると同時にドンナーXを抜き、躊躇いなく引き金を引いた。周囲に轟く炸裂音。

それが3度響くと共に3条の閃光が空を切り裂いて目標を違わず撃破する。

俺達に、襲いかかってきたのは翼からマグマを撒き散らすコウモリだった。

 

このマグマコウモリは、一体一体の脅威度はそれ程高くない。

かなりの速度で飛べる事とマグマ混じりの炎弾を飛ばす位しか出来ない。正直、雑魚以下の強さだ。

だがマグマコウモリの厄介なところは、群れで襲って来るところだ。

「1匹見つけたら30匹はいると思え」というゴキブリの様な魔物で、岩壁の隙間等からわらわらと現れるのである。

 

今も3羽のマグマコウモリを瞬殺した俺だったが、案の定激流を下る際の猛スピードが齎す風音に紛れて、夥しい数の翼が羽搏く音が聞こえ始めた。

ハジメ「俺は正面と制御をやる。他、頼めるか?」

ユエ「……ん、後ろと左、任せて。香織、防御は任せた。」

香織「勿論!エンチャントもしておくから!」

トシ「なら俺は相手へのデバフだな。右はどうする?」

ミレディ「ならここはミレディさんに任せてもらおうかな!」

ハジメ「助かる。シア、ティオ、イナバ、ミュウをお願い。」

シア「はいです!」

ティオ「うむ。」

イナバ「きゅ!」

作戦決定直後、マグマコウモリの群れがその姿を見せた。

 

それはもう、一つの生き物といっても過言ではない。

夥しい数のマグマコウモリは、まるで鳥類の一糸乱れぬ集団行動の様に一塊となって波打つ様に動き回る。その姿は、傍から見れば一匹の龍の様だ。

翼がマグマを纏い赤く赤熱化しているので、さながら炎龍といったところだろう。

 

一塊となって俺達に迫ってきたマグマコウモリは途中で二手に分かれると、前方と後方から挟撃を仕掛けてきた。

いくら一体一体が弱くとも、一つの巨大な生き物を形取れる程の数では、普通は物量で押し切られるだろう。

だが、残念だったな。ここにいるのはチート集団。

単純な物量で押し切れる程甘い相手でない事は、【ウルの町】で俺に喰われた魔物達が証明済みだ。

 

ハジメ「炎には、熱と水、そして氷だ!」

俺は、一気に複数のライドウォッチを起動、その力を行使する。

〈タテガミ!〉〈バッシャー!〉〈ウォータードラゴン!〉〈コズミック!〉〈ブリザード!〉〈プトティラ!〉

まず、"タテガミ氷獣戦記"を読み込んだ"水勢剣流水"が振るわれ、氷属性が付与されたバッシャーマグナムとランチャーモジュールの射撃が放たれる。

更にそこへ、氷で出来た機械の豪腕と、欲望すら凍てつかす氷の吐息が迫っていった。

その結果、木っ端微塵に砕かれたマグマコウモリの群れは、その体の破片を以て一時のスコールとなった。

 

後方から迫っていたマグマコウモリも同じ様なものだ。

香織「エンチャント〈氷属性付与〉〈水属性付与〉〈魔法強化〉!」

トシ「デバフ付与〈混乱〉〈筋力低下〉〈体力低下〉」

ユエ「"嵐龍"!」

ミレディ「"凍龍"!」

香織が三つのエンチャントをユエとミレディに、トシが敵に対して3つのデバフ付与をし終わると同時に、二人の魔法が発動した。

ユエは緑色の豪風を、ミレディは水色の氷塊を、それぞれ球体にして、一匹の龍へと変貌させた。

緑色の風で編まれた"嵐龍"と、水色の氷で編まれた"凍龍"は、マグマコウモリの群れを一睨みするとその顎門を開いて哀れな獲物を喰らい尽くさんと飛びかかった。

 

当然マグマコウモリ達は炎弾を放ちつつも、二匹の龍を避ける様に更に二手に分かれて迂回しようとした。

しかしこの"龍"は、その全てが重力魔法との複合魔法。作成者と基礎の理解者の腕は伊達じゃない。

ユエの"嵐龍"は唯の風で編まれただけの龍ではなく、風刃で構成され自らに引き寄せる重力を纏った龍であり、一度発動すれば逃れる事は至難だ。

ミレディの"凍龍"も、ユエの"龍"をヒントに編み出したものであり、僅かに風魔法も組み込まれているので、相手を凍てつかせ、鈍った所を仕留めることが出来るのだ。

 

マグマコウモリ達はいつか見た"雷龍"や"蒼龍"の餌食となった魔物達の様に、抗う事も許されず二匹の龍へと引き寄せられ、風刃の嵐に肉体を切り刻まれて血肉を撒き散らしたり、凍える風に動きを止められそのまま氷の牙で噛み砕かれたりされて、四散した。

因みにユエが"雷龍"や"蒼龍"を使わなかったのは、マグマコウモリが熱に強そうだった事と、翼を切り裂けば事足りると判断した為である。

最後に二匹の龍は群れのど真ん中で弾け飛ぶと、その体を構成していた幾百幾千の風刃と、身を凍てつかせるほどの冷気を全方向に撒き散らし、マグマコウモリの殲滅を完了した。

 

ティオ「う~む、ご主人様とユエ、それにミレディの殲滅力は、いつ見ても恐ろしいものがあるのぉ。」

シア「流石ですぅ。」

ミレディ「カオリンとトッシーのおかげでもあるよ!流石にあれは焦ったからね!」

トシ「俺、この世界で初めて闇魔法が役に立ったと思う。今まで使ってなかったし……。」

ユエ「……それ無しで無双するハジメ、カッコよし!」

香織「甘いよ、ユエ!ハジメ君はいつでもカッコイイんだから!」

いや君たち、まだ終わった訳じゃないからね?確かに凄かったけれども。 

 

オスカー『!ハジメ君、また来るぞ!』

ハジメ「またァ!?」

わちゃわちゃしている間に、今まで下り続けていたマグマが突然上方へと向かい始めた。

勢いよく数十mを登ると、その先に光が見えた。洞窟の出口だ。

だが問題なのは、今度こそ本当にマグマが途切れている事だ。

 

ハジメ「掴まれ!」

俺の号令に再び小舟にしがみつくユエ達。

イナバ「きゅ、きゅきゅう!(お嬢、ご無事でしょうか!?)」

ミュウ「みゅ!ぶっちぎっていくの!」

……ミュウ、お前メンタル強すぎひん?パパ、日に日に心配なんだが……。

 

小舟は激流を下ってきた勢いそのままに猛烈な勢いで洞窟の外へと放り出された。

襲い来る浮遊感に、即座に小舟の造形を変えながら素早く周囲の状況を把握する。

すると、俺達が飛び出した空間は、嘗て見た【ライセン大迷宮】の最終試練の部屋よりも尚広大な空間だった。




ハジメ
「ここまで読んでいただき、ありがとうございます!さて、今回のゲストは……こちら!」
アイリ―
「初めまして、アンカジ公国公女、アイリ―・フォウワード・ゼンゲンです。」
ハジメ
「しっかり者の公女さんだねぇ。まぁ、お兄さんがあれだからかなぁ……。」
アイリ―
「魔王陛下、ハッキリと仰ってください。兄が異常だと。」
ハジメ
「ハッキリ言うなぁ……でもね、俺も諦めかけてんだよ。ああいうタイプの矯正。」
アイリ―
「では、洗脳道具を幾つか。私が立派に調きょ、んんっ、矯正いたしますので。」
ハジメ
「今調教って……まぁいいや。それじゃ早速、次回予告といこうか。」
アイリ―
「はい!読者の皆様、ありがとうございます。それでは、次のお話です。」

次回予告
ハジメ
「次回はいよいよ、火山の最終試練だ。いやぁ~、腕が鳴るねぇ。」
アイリ―
「まさか、こんなにも過酷だったとは……魔王陛下と皆さまはお強いのですね。」
ハジメ
「俺等は基準にしちゃダメ。そもそも鍛え方がヤバいから。」
アイリ―
「はぁ……所でミュウは無事なのですよね?」
ハジメ
「一応襲撃もあったけど、万事オールライトだよ?」
アイリ―
「……そう言えば、そうでした。ミュウのことが心配でつい……。」
ハジメ
「妹が出来たからって気持ちは分かる。まぁ、これからも仲良くね?」
アイリ―
「……はい///それでは、また次回!」

もしこの中の他作品の女性キャラで、ハジメさんに絡ませるとしたら?

  • 星野アイ
  • 篠ノ之束
  • ラキュース(オーバーロード)
  • ヤマト(ONEPIECE)
  • 歌住サクラコ
  • シェーレ
  • 白織
  • イーディス(SAO)
  • エキドナ(リゼロ)
  • 八重巫女
  • 東堂刀華
  • 大好真々子
  • 森ノゾミ
  • スヤリス姫
  • ロード・ディアーチェ
  • 鬼龍院皐月
  • 湾内絹保
  • 安心院なじみ
  • ネプテューヌ
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