ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する   作:天元突破クローズエボルハザード

70 / 105
ハジメ
「お待たせいたしました。今回のオープニングゲスト、ピッコロリン。」
真央
「ここ最近、私の天職のイメージが薄れている件について。」
ハジメ
「いや、付与術師も錬成師より幅が利くところもあるよ?
それに、生成魔法の適正ない人だっているし……。」
真央
「あぁ~、確かに。じゃあ職場紹介して。」
ハジメ
「ハングリーだな、おい。取り敢えず今回のバイトやっちゃおうや。」
真央
「りょーかいっと。前回は海底遺跡へ入ったんだよね?」
ハジメ
「そこで魔王探検隊が見たものとは!?」
真央
「答えはCMの後で!それじゃあ、第5章第12話」
ハジメ・真央
「「それでは、どうぞ!」」


59."悪食"

ハジメ「あれは……何だろ?」

俺達がその空間に入った途端、半透明でゼリー状の何かが通路へ続く入口を一瞬で塞いだ。

シア「私がやります!」

ハジメ「いや、ちょっと待って。」

咄嗟にその壁を壊そうとしたシアを制し、グレネードを数発放つ。すると……

 

ジュゥゥゥ……

何と、グレネードは不発になった上にどんどん溶かされていったのだ。

シア「えッ!?なんですかこれ!?」

ハジメ「気をつけろ!強力な分解作用があるみたいだぞ、コイツ!」

 

警戒してゼリーの壁から離れた直後、今度は頭上から無数の触手が襲いかかった。

先端が槍の様に鋭く尖っているが、見た目は出入り口を塞いだゼリーと同じようだ。

ってことは溶解作用付きか!面倒この上ないなオイ!

 

正面の触手を自然発火と炎、両側から迫る触手を雷と氷で迎撃する。

更にユエとミレディが氷を、ティオが炎を繰り出して触手を排除しにかかった。

すると、触手側に何かしらアクションがあると思ったが、ただ凍って焼かれてとやられるままだった。

……おかしい、ミレディ達があんなに焦るならこの程度じゃない筈だ。

きっと、まだ何かがあるに違いない。

 

ユエ「む?……ハジメ、このゼリー、魔法も溶かすみたい。」

ユエのその言葉に視線を向けてみれば、ユエ達の放った魔法が悉く直撃と同時に分解される様に消えていくのが分かった。

ティオ「ふむ、やはりか。先程から妙に炎が勢いを失うと思っておったのじゃ。

どうやら、炎に込められた魔力すらも溶かしているらしいの。」

ティオの言葉が正しければ、このゼリーは魔力そのものを溶かす事も出来るらしい。

中々に強力で厄介な能力だ。正に大迷宮の魔物に相応しい。

そんな感想を抱いていると、遂にその主が姿を現した。

 

天井の僅かな亀裂から染み出す様に現れたそれは、空中に留まり形を形成していく。

半透明で大雑把な人型、但し手足は鰭の様で全身に極小の赤いキラキラした斑点を持ち、頭部には触覚の様な物が2本生えている。

まるで宙を泳ぐ様に、鰭の手足をゆらりゆらりと動かすその姿はクリオネの様だ。

尤も、全長10mのクリオネはただの化け物だが。

 

ミレディ「やっぱりィ!悪食だぁ!」

ハジメ「やっぱ知っていたのか。それで、対処法は「ない!」……え゛?」

ミレディ「アイツ、魔法だろうと何だろうと溶かすんだよ!?それに強い魔力に惹かれる習性があるし!

今のハジメン達、絶好の餌だよ!?」

……/(^o^)\ナンテコッタイ。

 

ハジメ「オスカー、ナイズ。」

オスカー『僕等も酷い目に遭ったからね……。』

ナイズ『逃げるしかあるまいな……。』

ハジメ「……チクショウめ。」

嘘だと言ってくれという俺の言葉は、即座にかき消された。しかも目が死んでるから説得力が凄い。

他の皆も「噓でしょ……?」って顔しているし……

なんて思っていると、当の悪食が何の予備動作も無く全身から触手を飛び出させ、同時に頭部からシャワーの様にゼリーの飛沫を飛び散らせた。

 

ハジメ「ユエ!香織!合わせるぞ!」〈刃王必殺リード!既読十聖剣!刃王必殺読破!刃王クロス星烈斬!〉

ユエ「んっ!香織!」

香織「うんっ!」

「「"聖絶"!」」

 

香織とユエが"聖絶"を発動、俺も刃王剣十聖刃で結界を創り出す。

三重の巨大バリアにより、流石の溶解作用もこちらには届いていない。

ティオは火炎を繰り出し、シアもドリュッケンを砲撃モードに切り替え、焼夷弾を撃ち放つ。

折角なのである作戦を試す。片手間にある鉱石を加工してっと!

 

ハジメ「トシ!これを撃ってくれ!」

トシ「分かった!」

早速できたそれをトシに渡し、ブラックシューターで悪食に撃ってもらう。

当然、奴はそれを取り込むが……

 

ドカァン!

炎に着弾し、普通の炎よりも多めに爆散した。

ハジメ「ビンゴ!やっぱり分解作用にも限界はあるみたいだな!」

トシ「タールでも凝縮したのかって位の威力になったなオイ。」

折角なので圧裂弾でも追加しようかなと思ったその時であった。

 

なんと四散した筈の悪食が1/10サイズではあるが瞬く間に再生した。

しかも、よく見ればその腹の中に先程まで散発的に倒していた海星擬きや海蛇がいて、ジュワー……と音を立てながら溶かされていた。

野郎、舐めやがって……。

 

ハジメ「メイルってドSだって聞いたけど、ここまで苛烈なの!?」

ミレディ「うぅ~、メル姉のドS!がさつ!そんなんだから生涯独身だったんだよぉ!」

オスカー『ちょっ!?ミレディ、それを言ったら大変なことになるぞ!?

もしかしたらあの物体Xが飛んでくるかもしれないんだぞ!?』

ナイズ『オスカー、お前も人のことは言えんぞ。

というか、謎の物体の毒味をさせられたことが余程のトラウマなのか?』

あんた等余裕だなオイ!?てか、メイルって料理という名の劇物(ダークマター)生成者だったんかい!?

 

オスカー『因みに、彼女は吸血鬼の血も交じっている。』

ハジメ「その情報は今聞きたくなかった!てか、何故今言ったァ!?」

ユエがなぜ料理で不器用を発揮したのか、その理由があまりにも悲惨すぎるので何とか忘れようとした。

が、本人には聞こえていたようで……。

 

ユエ「フフフ……私はユエ、料理において兵器を鋳造する者ッ!」

香織「ユエ!?大丈夫!?目が死んでいるんだけど!?」

ホラこうなるじゃん!何なんだこのカオス!

ティオ「ふむ、どうやら弱いと思っておった魔物は本当に唯の魔物で、此奴の食料だった様じゃな……

ご主人様よ、無限に再生されては敵わん。魔石はどこじゃ?」

ハジメ「冷静だなオイ!てか、コイツに魔石があったら、とっくの昔にオスカー達は攻略しているよ!」

 

こんな状況の最中、冷静に推測するティオにツッコミつつも、魔石がないことは確認済みだということを告げる。

そんな中、今度は触手とゼリーの豪雨だけでなく、足元の海水を伝って魚雷の様に体の一部を飛ばしてきてもいる。

 

ハジメ「いやらしいことこの上ないなオイ!」

そう悪態をつきながらも、咄嗟に時間停止で奴の動きを止める。

ハジメ「そんなに腹が減ったなら、これでも食っていやがれ!」

そう言って作戦を開始する。

 

まず、悪食本体や触手・飛沫には火炎系攻撃、周囲の"壁"には威力重視の熱・炎系以外の攻撃を、それぞれ仕掛けた。

しかも野郎、擬態能力まであるのか、何の変哲もないと思っていた壁にもいやがった。

まぁ、止まった時の中じゃ溶解作用も働かないから無駄だけどな。

壁そのものが悪食じゃないだけでも良しとするか。が、どうやら本体はまだまだ大きくなるようだ。

その証拠に、燃やしても燃やしても壁の隙間や割れ目から際限なく出現し、遂には足元からも湧き出した。

 

靴底がジューッと焼ける様な音を立てる。

悪食も愈々本気になってきたのか壁全体から凄まじい勢いで湧き出してきた。

しかもいつの間にか水位まで上がってきており、最初は膝辺りまでだったのが、今や腰辺りまで増水してきている。

ユエに至っては、既に胸元付近まで水に浸かっていた。チィッ、こうなったら!

 

ハジメ「オスカー!正規ルートは一旦諦める!まずは下の空洞へ逃げ込むけどいいよね!?」

オスカー『それしかないだろう!寧ろこの状況じゃ皆きついからね!』

ハジメ「皆聞いたな!?そんな訳で、下へ避難するぞぉ!」

即断即決、早速下への入り口を作る準備をする。

 

ユエ「んっ!」

シア「はいですぅ!」

ティオ「承知じゃ!」

香織「わかったよ!」

トシ「了解した!」

イナバ『ヘイッ!』

ミレディ「うぅ~、仕方がないけど潜水艇はまた今度!」

全員の返事を受け取り、襲い来るゼリーを焼き払いながら、ドリルで渦巻く亀裂に風穴を開ける。

 

次の瞬間、貫通した縦穴へ途轍もない勢いで水が流れ込んでいった。

腰元まで上がってきていた海水がいきなり勢いよく流れ始めたので、シャウタのタコ足吸盤で皆をキャッチする。

オスカーとナイズは宝物庫に避難済みだ。

 

ハジメ「あばよ悪食ィ!俺のプレゼント、せいぜいしっかり喰らっておけい!」

そういうと俺は秘蔵兵器"圧裂弾"をぶっ放す。

時間経過とともに、体内にばらまかれたタールがヤツを黒く染める。後はもう、わかるよな!?

 

ズガガガガガァァァン!!!!!

ハジメ「ひゅ~いい音鳴ったなぁおい!」

トシ「言ってるセリフはマッドサイエンティストのそれだけどな。」

トシの冷静なツッコミをよそに、背後でくぐもった爆音が響き、悪食の追撃が無くなった事を確認すると、下の様子を確認する。

 

落ちた場所は巨大な球体状の空間で何十箇所にも穴が空いており、その全てから凄まじい勢いで海水が噴き出し、或いは流れ込んでいて、まるで嵐の様な滅茶苦茶な潮流となっている場所だった。

その激流を時間停止でやり過ごし、皆を一か所にまとめる。

序に、流されて離れないようルナメモリの能力で左腕を伸ばし、皆を抱えた。

流されている間、右手で岩壁やら流れる障害物やらをやり過ごし、流が弱まったところで上方に光が見えたので、一気に浮上した。

 

そこには真っ白な砂浜が映っていた。

周囲にはそれ以外何もなく、ずっと遠くに木々が鬱蒼と茂った雑木林の様な場所が見えていて、頭上一面には水面が揺蕩っていた。

広い空間だなぁ……。

 

ハジメ「皆~生きてる?」

ユエ「ん………なんとか。」

シア「し……死ぬかと思いました……。」

ティオ「……一瞬、父上が慌てて手を振る光景が見えた気がしたのじゃ……。」

香織「それ確実に三途の川渡りかけてるよね!?大丈夫!?」

トシ「あ、危うく迷宮の養分になるところだった……。」

ミレディ「うぅ~、メル姉の馬鹿ぁ……。」

イナバ『じ、自分はもう、限界でふ……。』

……若干一名、溺れかけたせいで真ん丸になってしまっているが……まぁ、大丈夫だろう。

 

少し休憩して。

真っ白な砂浜をシャクシャクと踏み鳴らしながら暫く進み、俺達は密林に入る。

鬱蒼と茂った木々や草を、バッサバッサと切り裂いて進む。

途中、手の平にすっぽり収まる程度の大きさで、合計12本の足をわしゃわしゃと動かし紫の液体を滴らせている蜘蛛に遭遇した。

足は通常のものと背中から生えているものがあって、「両面どちらでもいけます!」と言いたげな構造で激しく気持ち悪かった。

まぁ、直ぐに消し炭になったので問題はないが。

 

そんな密林地帯を抜けると、その先は……

ハジメ「こいつぁ……船の墓場か?」

ユエ「……すごい。」

シア「いっぱいありますね……。」

ティオ「うぅむ、今では見られぬ大きさじゃのう……。」

香織「なんか……こういった光景をどこかで見たような……?」

トシ「白崎さん、その光景は多分船が沈んだやつだ。」

イナバ『帆船ってやつぁ、こんなデカいんすか…?』

ミレディ・オスカー・ナイズ「『『……。』』」

 

密林を抜けた先は岩石地帯となっており、そこには夥しい数の帆船が半ば朽ちた状態で横たわっていた。

そのどれもが、最低でも100mはありそうな帆船ばかりで、遠目に見える一際大きな船は300m位ありそうだ。

思わず足を止めてその一種異様な光景に見入ってしまった。ただ、オスカー達はどこか複雑げだ。

十中八九アレの仕業だな。よし、迷宮攻略したら、景気づけに一発ぶち込むか。

そんなことを考える俺であった。

 

しかしいつまでも見入っている訳にも行かない。気を取り直し、船の墓場へと足を踏み入れた。

岩場の隙間を通り抜け、或いは乗り越えて、時折船の上も歩いて先へと進む。

どの船も朽ちてはいるが触っただけで崩壊する程では無く、一体何時からあるのか判断が難しかった。

ハジメ「それにしても……戦艦ばかりだな。重巡や軽巡も無いって……製作費ケチったんか?」

トシ「お前は何を言っとるんだ。大体、ここには深海生物も宇宙からの敵もいないだろ。」

香織「あ、アハハ……でも、あの一番大きな船だけは客船っぽいよね。装飾とか見ても豪華だし……。」

 

墓場にある船には、どれも地球の戦艦(15,6世紀、所謂大航海時代のそれ)の様に横腹に砲門が付いている訳では無かった。

しかし、それでも戦艦と断定したのは、どの船も激しい戦闘跡が残っていたからだ。

見た目から言って、魔法による攻撃を受けたものだろう。

スッパリ切断されたマストや焼け焦げた甲板、石化したロープや網等が残っていた。

大砲という物が無いのなら、遠隔の敵を倒すには魔法しかなく、それらの跡から昔の戦闘方法が想像出来た。

 

そしてその推測は、俺達が船の墓場の丁度中腹に来たあたりで事実であると証明された。

──うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!

──ワァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

ハジメ「うるさいな。」

トシ「言っとる場合か!?」

香織「ハジメくん!周りがっ!」

 

突然大勢の人間の雄叫びが聞こえたかと思うと、周囲の風景がぐにゃりと歪み始めた。

俺達が何事かと周囲を見渡すが、そうしている間にも風景の歪みは一層激しくなり──

気が付けば、大海原の上に浮かぶ船の甲板に立っていた。

そして周囲に視線を巡らせば、そこには船の墓場などなく、何百隻という帆船が二組に分かれて相対し、その上で武器を手に雄叫びを上げる人々の姿があった。

 

ハジメ「はぁ……そういうことかよ。」

俺はあることを察した。道理でミレディ達の顔が浮かないわけだ。

そうこうしている内に大きな火花が上空に上がり、花火の様に大きな音と共に弾けると何百隻という船が一斉に進み出した。ハジメ達が乗る船と相対している側の船団も花火を打ち上げると一斉に進み出す。

そして一定の距離まで近づくと、そのまま体当たりでもする勢いで突貫しながら、両者とも魔法を撃ち合いだした。

 

ハジメ「アブねっ!?」

轟音と共に火炎弾が飛び交い船体に穴を穿ち、巨大な竜巻がマストを狙って突き進み、海面が凍りついて航行を止め、着弾した灰色の球が即座に帆を石化させていく。

俺達の乗る船の甲板にも炎弾が着弾し、盛大に燃え上がり始めた。

船員が直ちに魔法を使って海水を汲み上げ消火にかかる。

 

戦場──文字通り、この夥しい船団と人々は戦争をしている。

放たれる魔法に込められた殺意の風が、ぬるりと肌を撫でていく。

まぁ、俺等にとっては見慣れた光景だけどね。

その様子を呆然と見ていると、背後から再び炎弾が飛来した。放っておけば直撃コースだ。

 

最初はそのまま打ち返そうと思ったが、何か嫌な予感を感じ、咄嗟によけた。

同時に、後ろ手に通り過ぎた魔法に銃弾を放つが……そのまま通り過ぎた。

ハジメ「嫌な予感の正体はこれか……ってことは。」

次に飛んでくる魔法に、魔力を込めた鉄拳で応戦する。すると今度は、あっさりと弾け飛んだ。

 

ハジメ「成程、魔力が籠っていれば大丈夫ってわけか。」

そんな考察をしていると、すぐ後ろで「ぐぁああっ!」と苦悶の声が上がった。

何事かと振り返ると、年若い男がカットラスを片手に腹部を抑えて蹲っていた。

見れば足元に血溜りが出来ており、傍らには血濡れの氷柱が転がっている。恐らく被弾したのだろう。

 

香織が「大丈夫ですか?」と声を掛けながら近寄り、回復魔法を行使した。

彼女の放つ白菫の光が青年を包み込む。香織の"治癒師"としての腕なら瞬く間に治る……

こともなく、淡い光となって霧散してしまった。

香織「え?どうして?」

ユエ「……バカオリ。魔力が籠っているから、回復も攻撃判定に入る。」

ユエの説明が入ると、香織も「あッ!」と気づき、そのまま回復を続けた。

 

他の皆もサクサク魔力攻撃で倒して言ってるので、大丈夫かな?と思ったその時。

不穏な気配を感じて周囲を見渡せば、いつの間にかかなりの数の男達が暗く澱んだ目で俺達の方を見ていた。

その直後、俺達に向かって一斉に襲いかかってきた。

 

「全ては神の御為にぃ!」

「エヒト様ぁ!万歳ぃ!」

「異教徒めぇ!我が神の為に死ねぇ!」

うわぁ……狂気マシマシに充血オメメ、唾液を撒き散らしながら絶叫を上げる口元。

どっちがバケモンかわからねぇなオイ。

 

圧倒的な狂気に気圧される……訳でもなく全員鬱陶しそうに攻撃を続けていた。

オスカーとナイズまで攻撃に加わっているし……あいつ等、ここでは攻撃できるんかい。

そして人間ですらないイナバに至っては、霧散する前に喰らいつくしている。完全にホラーだなオイ!?

ただ、このままだと取り囲まれそうなので、重力操作で全員を浮かび上がらせる。

 

下方で、狂気に彩られた兵士達が血走った眼でこちらを見上げている。

今の今まで敵国同士で殺意を向け合っていたというのに、どういう訳か一部の人間達が俺達を標的にしている様だった。

しかも、こっちを狙う場合に限って敵味方の区別なく襲ってくる。

その数も、まるで質の悪い病原菌に感染でもしているかの様に次々と増加していく。

 

一瞬前まで目の前の敵と相対していたというのに、突然動きを止めるとグリンッ!と首を捻ってこっちを凝視し、直後に群がって来る光景は軽くホラーだ。

現にホラーが大の苦手な香織は、俺にヒシッとしがみついたままだ。手も少し震えている。

落ち着かせようと手を握ると、一瞬ビクッとなってから顔を上げ、俺を見て安心したような顔になる。

 

ハジメ「そういえば香織、この手のお化け屋敷とか苦手だったよね。よく俺や雫の手を握っていたし。」

香織「そ、それは今別にいいよね!?よね!?」

ハジメ「そう?でもあの時の香織も可愛くて俺は好きだよ?」

香織「そ、そんなこと言って誤魔化さないの!もう、ハジメ君ったら!」

怒っても可愛い香織を少し弄って和むと、周囲を見回し出口を探る。

 

ハジメ「船は見た感じ、大体600隻かな?一つ一つ探すのは面倒だし、戦争ごと終わらせるか。」

トシ「本音は?」

ハジメ「すっげぇ暴れてぇ!」

トシ「だと思った。」

そんなコントを繰り広げつつ、俺は戦場を見下ろしつつ、オーマジオウのとある能力を発動する事にした。

 

下ではそこかしこで相手の船に乗り込み敵味方混じり合って殺し合いが行われていた。

甲板の上には誰の物とも知れない臓物や欠損した手足、或いは頭部が撒き散らされ、かなりスプラッタな状態になっていた。

誰も彼も、「神の為」「異教徒」「神罰」を連呼し、眼に狂気を宿して殺意を撒き散らしていた。

正直気持ち悪かったので、ササッとお掃除(殲滅)するか。

 

そう思って発動した能力は、"絶対境界波動「セパレートサージ」"。

半径4km圏内の物を任意で異次元に送る、オーマジオウが最強と呼ばれる由縁の一つだ。

ユエ達以外の兵士達を、異次元へと葬り去る。それでも4kmより外にいる敵は無傷なので、もう一つ能力を解放した。

 

"視覚装置「エクスプレッシブフレイムアイ」"。

この目は視野角270°のセンサーが付いている上に、常に1000~1200℃で赤熱しているので、出力次第では目からビームを出せるのだ。、

なので遠慮なく熱線を放ち、周囲の船諸共爆発四散させた。

 

ハジメ「そして、誰もいなくなった……。」

トシ「お前が消し飛ばしたんやろがい。」

あっさりと片付いたので少し拍子抜けしてしまった。

すると再び周囲の景色がぐにゃりと歪み、気が付けば元の場所に戻っていた。

 

ちょっと精神的疲労に来そうな光景だったので、少し休憩することに。

"宝物庫"から取り出したリンゴジュースの様な飲み物を全員で飲みながら、談笑することで心身の疲れを癒していった。

それにしても、あれが昔ミレディ達が死闘を繰り広げた奴等かぁ……俺もまだまだだな。

 

ハジメ「"クズ野郎の所業を知れ"か……。」

香織「?」

そんなことを呟きながら、先程までの光景――狂信者共の言動を思い出し……

気持ち悪いと思ったので即座に辞めた。

 

だってアレ異常の塊だぞ!?

狂気の宿った瞳で体中から血を噴き出しながらも哄笑し続ける奴、

死期を悟ったからか自らの心臓を抉り出し神に捧げようと天に掲げる馬鹿、

俺達を殺す為に弟ごと刺し貫こうとしたクソ兄と、それを誇らしげに笑うゲス弟。

戦争っていうのはいつもこんな感じだとはわかっているけど……ここまではねぇだろ、普通。

 

そんなことを思いつつ、気を取り直す。

そして全員のコンディションが万全なことを確認し、一番遠くに鎮座する最大級の帆船へと歩みを進めた。

俺達が見上げる帆船は、地球でもそうそうお目にかかれない規模の本当に巨大な船だった。

 

全長300m以上、地上に見える部分だけでも10階建て構造。

そこかしこに荘厳な装飾が施してあり、朽ちて尚見る者に感動を与える程の豪華客船。

"木造の船でよくもまぁ、これ程の船を仕上げたものだ"と、半分感心しつつも、"見た目だけのハリボテで、暗殺現場には如何にもって位、あってそうな場所だな。"と半分呆れていた。

 

俺達は一旦飛び上がり、豪華客船の最上部にあるテラスへと降り立った。

すると案の定、周囲の空間が歪み始める。

ハジメ「またかよ……まぁ、碌な光景じゃないってことは分かっているんだ。皆、気をしっかりね。」

俺の警告に皆が頷くと同時に、周囲の景色がまた変化していった。




ハジメ
「ここまで読んでいただき、ありがとうございます!それじゃ、今回のゲストを呼びまして。」
サミーア
「どうも。サミーア・ユンケルと申します。」
ハジメ
「さて、今回はどの商品について話したいのかな?」
サミーア
「えぇ、今回は"たぴおかみるくてぃー"なるものについてご相談が。」
ハジメ
「まさかこっちでも女性人気が出るとはねぇ……恐るるべきはインスタ映え、というやつだね。」
サミーア
「?よく分かりませんが、問題がおありでしたか?」
ハジメ
「いや、こっちの話。まずは次回予告済ませちゃおうか。」
サミーア
「かしこまりました。」

次回予告
ハジメ
「次回は前半がちょっときついかも。まぁ、次の次もヤバかったけどね。」
サミーア
「例の"怪物"でございましたか……
今のロード「その呼びはまだやめて。」ハジメ殿であれば勝算は幾らおありでしょうか?」
ハジメ
「う~ん、またやるとすれば10割かな。そんなことより新作スイーツについてだったよね。」
サミーア
「ハッ、試食・試飲は我々にお任せを!」
ハジメ
「切り替え早ッ!まぁ、タピオカは喉に詰まらせないよう、注意書きが必要だけどね。」
サミーア
「そうですね。そう言えば、菫先生の新作はいつ頃こちらに?」
ハジメ
「母さん、最近時間の許す限り書いているからねぇ……。多分、あと数日で来ると思うよ。」
サミーア
「ありがとうございます!それでは皆様、また次回。」

リースティアさん、誤字報告ありがとうございました!

もしこの中の他作品の女性キャラで、ハジメさんに絡ませるとしたら?

  • 星野アイ
  • 篠ノ之束
  • ラキュース(オーバーロード)
  • ヤマト(ONEPIECE)
  • 歌住サクラコ
  • シェーレ
  • 白織
  • イーディス(SAO)
  • エキドナ(リゼロ)
  • 八重巫女
  • 東堂刀華
  • 大好真々子
  • 森ノゾミ
  • スヤリス姫
  • ロード・ディアーチェ
  • 鬼龍院皐月
  • 湾内絹保
  • 安心院なじみ
  • ネプテューヌ
  • ウィズ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。