ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
「お待たせいたしました。さて今回は……何故かまた並行世界に……。」
Bミュウ
「みゅ?パパ、どうかしたの?」
ハジメ
「いや、大丈夫だよミュウ。ただちょいと色々混乱していただけさ。」
Bミュウ
「大丈夫なの!ミュウもよくわかっていないの!」
ハジメ
「それでいいんだ……えっと取り敢えず前回のあらすじだな。」
Bミュウ
「パパ~、これに話しかければいいの?」
ハジメ
「あっ、ちょっ、ミュウストップ。
ええっと、前回は悪母倒した!トシが初変身した!クソ野郎がアフロになった!解説以上!
ミュウ、この台本通りにお願いね?」
Bミュウ
「みゅ!えっと……第5章15話?なの!」
ハジメ・Bミュウ
「「それでは、どうぞ(なの)!」」
ゆるりと肌を撫でる潮風と、優しいさざ波の音がする。
まるで時間すら遠慮して、そろりそろりと遅く歩いているかのような平穏。
そんな光景の中で、俺は溜息を零していた。何でかって?決まっているだろ。
ミュウとレミアと別れるのが寂しいからに決まってんだろォーがァ!!!
今日でもう4日だぞ!?予定じゃもう残り2日しかないんだぞ!?
これじゃあ海鮮丼作りに間に合わないじゃねぇか!……まぁ、理由はそれだけじゃないんだけどな。
オスカー『流石だね、ここまでくるともう圧巻だよ。』
ハジメ「いや、まだまだだ。俺一人で使うなら十分だが、量産型となると制御面で不安が残る。
いずれは王都の防衛にもいくつか回しておきたい。」
オスカー『出力を落とせば、いくらかは制御ができるんじゃないか?
そのアーティファクト、使徒の大群相手を想定しているんだろう?』
ハジメ「敵はそれだけじゃない。タイムジャッカーの妨害もある以上、ある程度の出力は保っておきたい。
まぁ、飛空艇は要試運転段階を踏むだけどね。ゲートは魂魄魔法を手に入れてからってことで。」
その理由は、オスカーと錬成談義しながら作っているアーティファクトの量産について、だ。
飛空艇に関しては、既にゲームエリアで開発を進めており、後は試運転で飛ばすだけなのだが……
魂魄魔法がない今、超長距離移動用のゲートの開発は一時中断されており、肝心の課題である太陽光収束レーザーを装填した、自立作動型衛星アーティファクトは、量産時の出力について難航している。
俺自身が使用する分なら、申し分ない威力で運用できるのだが、他の人に渡して使わせるとなると、制御や付与された機能に必要な魔力量が半端ないのだ。
一応、地上で撃つレーザー砲型の物も作っては見たのだが、その余りの威力のせいか、狙撃手が踏ん張りきれないという問題点が残っており、これもどうにかしないといけないのだ。
先程オスカーが出力を落とせばいいと言っていたのだが、そうなると何かしら別の機能も追加しなければいけない。
神結晶を使った魔力タンクを取り付けるのもいいが……それだとその部分が執拗に攻撃されそうなのだ。
折角の神結晶なんだし、どうせなら長く使ってもらいたいんだよなぁ……。
とまぁ、そんなこんなで難航しているという訳だ。とそんな時だった。
ミュウ「パパぁ~、お昼ご飯なの~!!」
ザバァッと海中からトビウオの様に、ミュウが飛びあがって来た。
胸元へ飛び込んできたので、しっかりと抱き留める。
そのままぐりぐりと顔まで押し付けているのが可愛いが……
ハジメ「ミュウ、ちゃんと乾かさないと、ダメでしょ?」
ミュウ「ごめんなさいなの~?」
まぁ、まだ4歳位なのでゆるんゆるんで叱る。ミュウもゆるんゆるんに返す。
オスカーが親バカを見るような眼で見てくるが……
お前もさっさとミレディ押し倒していれば……分かったからその怖い顔止めろ、ミュウが怖がるだろ。
ハジメ「そう言えば、ユエ達は?」
ミュウ「先に行ってるの。ミュウはパパを呼びに来る任務を受けました!」
ぐふぅ、この可愛さこそ宇宙最大のお宝なryyy!
ハジメ「そうか~、ミュウは偉いね~、ありがとう~。」
そう言って優しく撫でる。ミュウも「うふふ~」とレミア遺伝のほわんほわんな笑顔を見せた。
……今思うと、レミアの子供時代もミュウみたいな感じだったんじゃないだろうか。
今度聞いてみるか、そう思っているといつの間にか立っていたミュウが、俺の手を引いた。
ミュウ「パパ、はやく!ママのごはんが冷めちゃうの!」
ハジメ「はいはい。抱っこ、する?」
ミュウ「……に、任務中なので!」
……ミュウもミュウなりに悩んでいるんだな。
これじゃあどうやって切り出せばいいのかがより分からなくなっちゃったなぁ……。
そんなことを思いながら、ミュウの小さな紅葉のような手に引かれながら、俺は食卓へと向かった。
そんな中での賑やかな昼食の一時。
何故か料理をやたらと露天風串焼きスタイルにしたがるミュウ。
あの時の串焼き、そんなに気に入ったのかな?今度、イルワさんと相談して幾つか取り寄せるか。
まぁ、割と口元を汚すのでそこらへん気を付けないとな。
ミュウの特等席は俺とレミアの間。
当然、レミアが「あらあら。」と困った表情で、俺が「よく噛んでから食べなよ。」と苦笑いして、交互にミュウの口元を拭っている。
何だか……こういうの、いい絵になるよね。微笑ましい三人家族の日常、って感じで。
香織「うぅ~、羨ましいなぁ。」
シア「むぅ。旅の間は、ほとんど私がレミアさんのポジションでしたのに……。」
ティオ「まぁ、それは仕方なかろう。幼子にとっては、肉親が一番じゃろうて。」
トシ「まぁ、向こう二人の光景がアレじゃあなぁ……。」
シア達が俺達の光景を羨ましがる中、トシが視線を向けた先には……
メイル『ハァハァ……ディーネが、二人……ハジメ君、そこチェンジで!』
ミレディ「メル姉、煩い。」
オスカー『その表情、子供の教育に悪いよ?』
ナイズ『二人が若干引いているぞ、正気に戻れ。』
メイル『メイルお姉さんはいつでも正気よ!』
オスカー・ナイズ『『手遅れだったか。』』
ミュウとレミアにハァハァしている、変態じみた
ユエ「子供欲しい子供欲しい子供欲しいハジメの赤ちゃん欲しい子供欲しい――」
イナバ『姐さん、落ち着いてくだせぇ!?』
願望が天元突破したが如しのユエ、それを慌てて介抱しようとするイナバ。
……吸血鬼に変人が多いっていうの、あながち間違っていないかもしれないな……。
レミア「あらあら……そう言えば皆さん。今日の冒険はどうでした?」
おぉ、流石は一時の母。これが幾つもの争いを止めたという"ゆるふわスマイル"か!
これには頭が上がらないな……母は強し、魔王以上に。
ミュウ「みゅう~、なんにもなかったの。」
ワイルドに串の魚肉を食い千切ったミュウは、いかにもがっかりした様子を見せる。
連日、ミュウ率いるユエ達冒険者パーティは、エリセン近海で冒険ごっこをしているのだが、今日も今日とて成果はなかったらしい。
ユエ「……ん。"エリセン建設時の隠し資金"は見つからなかった。」
ティオ「小さな洞窟は、幾つも見つけたんじゃがなぁ。」
香織「海底洞窟とか鍾乳洞とかは幻想的で良かったんだけどね。」
シア「これで"エリセン七大伝説"は六つ目まで空振りですね~。」
"エリセン七大伝説"とは!所謂《いわゆる》、地方の都市伝説だ。
今回の隠し資金の他にも、そういった都市伝説が幾つかあるのだ。
トシ「"幸福もたらす人面魚"は、絶対リーさんのことだよなぁ。」
メイル『お姉さんならワンチャン、"海賊王の遺産"あったと思うのだけどねぇ~。』
ナイズ『海底都市も恐らくはアンディカのことなのだろうが……もう数千年前程だからな。』
オスカー『海の亡霊に関しては、僕等も人のこと言えないからねぇ。実質、幽霊みたいな感じだし。』
ミレディ「ゴーストシップも見つからなかったよね。ミレディさん、悔しいなぁ……。」
まぁ、あくまで伝説。本職でも何も見つけていないんだ、空振りするのは当然だ。
ミュウ「みゅう~現実はいつだって非情なの。」
……今度からミュウの前では標準語だけを使っていこう、そう思う俺であった。
ハジメ「そんなに気を落とさないでよ、ミュウ。まだ後一つ、最後に残っているんでしょ?」
ミュウ「みゅ。"輝く海の意思"が残ってるの。」
"輝く海の意思"、いつ誰が言い始めたのかも、どこから伝わったのかもわからない、最古にして最も内容がはっきりしない海の伝説、らしい。
何でも、光の海が現れるらしい。
時間も場所も不明で、水平線の彼方まで光に溢れ、そこには"何か"がいて、その"何か"に遭遇したものの願いが叶うらしい、とのことだ。
如何にもロマンチックな光景だろう、出来る事なら写真も撮りたいが……見つかるといいなぁ。
ハジメ「午前中は一緒に行ってあげられなかったけど、午後からは大丈夫だよ。
折角の冒険だし、今回は思い切って夜の海にお泊りで行こうか!」
ミュウ「みゅ!お泊りで冒険!行きたいの!」
一瞬、何かを我慢するみたいに眉をキュッと寄せつつも、直ぐに満面の笑みを浮かべて賛同するミュウ。
レミアが愛おしそうに目を細めてミュウの頭を撫でる。
ハジメ「良ければ、レミアもどう?偶には家族サービスで、旅行にも連れて行ってあげたいんだけど……。」
レミア「勿論、是非お願いします。うふふ、家族旅行ですね、あなた?」
ハジメ「そうだね、初めての家族旅行!なんてね。」
レミア「あらあら、うふふ。」
俺が笑みを返すと、レミアもうふふスマイルで返す。さてと、護身用アーティファクトも出しておくか。
その夜。どよりと黒い雲が、無数に千切られた綿菓子のように浮かぶ夜空の下、俺達は緩やかに進んでいた。
今回の「ビリオンスターズ号MarkⅡ」には、自己修復機能や再生魔法付きシャワーが付いているので、以前よりも快適な航海を続けることが可能だ。
ハジメ「う~ん、何だろうな?」
ユエ「ハジメ?」
トングを片手に肉奉行しながら、ふと思った疑問を浮かべる俺に、ユエが聞いてくる。
ハジメ「いやなに、今回の冒険は飛空艇の試運転でも兼ねようかなと思ったんだけどね。
なんか……この先は潜水艇じゃないとダメな予感がして……。」
トシ「まぁた嫌~な予感か。流石にこれ以上の面倒は勘弁してくれよ?」
ハジメ「わぁ~ってらぁ。まぁ、雲海の旅は帰りにやるとするか。」
そんなことを呟いていると、飛空艇に関心を持ったのか、ミュウが聞いてきた。
ミュウ「パパ、"ひくうてい"ってなぁに?」
ハジメ「空を飛ぶ乗り物だよ。それにたっくさんの人や物が運べるんだ。」
ミュウ「町の人達みたいにお空を飛ぶの!?」
ハジメ「ミュウ、アレは飛んだんじゃあない。飛ばされたの間違いだよ。」
ティオ「綺麗な放物線を描いておったのぅ。」
俺がミュウの言葉に訂正をすると、ティオがしみじみと思い出した。
出発の際、家族旅行だとはしゃぐミュウに、微笑ましそうに次々と声をかける町の人々、ミュウのお友達、レミアのママ友達……そこまでは良かったんだけどねぇ。
俺への嫉妬に狂い、出発を阻止しようと襲い掛かってきた奴等がいたのだ。
しかも全員俺が懲らしめた筈の、密かにレミアを狙っていたハイエナ共だ。
ただでさえこっちは数少ない時間を家族サービスに割いているのに……
二人との思い出に水を差すとはなぁ……あまりに不遜だったので、今回は情けも容赦も遠慮も捨てた。
筆頭だった町長(王国貴族の人間の中年)や幹部勢は、全員ボコボコにして野晒しの刑にした。
特別に下げてあげた看板には、レミアとミュウに文字を書いてもらった。
『このおじさんたちはダメなひとたちなの!――ミュウ』
『ごめんなさい――レミア』
文章に関してはミュウのは俺がほぼ考えたが……レミアのは申し訳なさがあった。
まぁ、堂々とハイエナ行為するような奴とはいえ、家族同然に心配してもらっていたからなぁ……。
が、他の奴等にはメイルが担当、レミアの体を借りたせいか、鞭のキレが凄かった。
メイル「人の妹達に、汚い手で触るんじゃないわよ!この〈ピー〉共!!!」
……中身メイルだけど、レミアの見た目でそんなこと言われたらどうなるかなんて決まっている。
当然の如く、全員心がめちゃくちゃにへし折られて逝った。数人かは何かに目覚めたみたいだが……。
まぁ、一番のトドメはレミアの本心からの一言だろうな。
レミア「私は、ハジメさんのことを心から愛しています。あの人は私の全てを受け止めてくれました。
悲しみも怒りも恐怖も弱さも、全部優しくて暖かい気持ちで包み込んでくれたんです。
それだけじゃない、あの人は私のことを"強いお母さん"だと言ってくれました。
ミュウが今日まで笑っていられたのは、私のおかげなんだって、背中を押してくれたんです。
皆さんには今まで感謝しています。だから……
ハジメさんを、私の旦那様を悪く言わないでください。
どうか、笑顔で見送ってください。」
この一言でほとんどの奴等がノックアウトされたが、逆上した奴もいたので重力魔法で押さえつけた。
するとレミアが愚者の一人に近づき、往復ビンタをかましていった。それも襲おうとした奴等全員。
冷徹な目でビンタされたせいか、全員真っ白通り越して灰になりかけていやがった。
愚者共を連行しようとしていたサルゼさんが、思わず引き気味になっていたそうな。
この日からレミアを怒らせてはいけないというルールが、エリセンに追加されたらしい。
俺も正直ちょっと怖いと感じたが、お仕置きが終わって戻ってきたレミアが抱き着いてきた。
そして上目遣いの涙目で「怖かったです…。」と言ってきたので、「じゃあ仕方がないな。」と納得することにした。
てか、身内にしかこんな可愛い姿見せないとか、ズル過ぎんだろ。まぁ、可愛いから許すけどね!
だって俺、旦那さんだし!嫁のうっかりは笑って誤魔化すのが出来る夫の秘訣だからね!
とまぁ、そんな訳で男共はあっという間に懲らしめられていった。
今回はミュウにも「ダメなひとたちなの。」と真顔で言われたせいか、ゾンビみたいに去っていったなぁ……。
これでもう二度とこなきゃいいんだけどねぇ……懲りないならぶちのめすまでだし。
香織「レミアさんとミュウちゃんって、なんていうか街の人達から愛されてるよね……。」
シア「ハジメさんへの嫉妬の念が渦巻いていましたからねぇ……。
レミアさん、私と同じ亜人ですのに、人間族の殿方からもモテモテでしたし。」
ユエ「……ん。レミアは魔性の女。」
レミア「あ、あの、ユエさん?その言葉は少し語弊が……
お仕事柄、色々な人と接する機会が多いだけで……。」
まぁ、レミアは人間族と海人族にとっての緩衝材みたいなものだったしなぁ……。
でもレミアはあくまで平社員、もっと言えばパート位の立場なんだからさぁ……
あんまり負担増やすなって。まぁ、家族内紛争に関しては俺も文句は言えないが。
ハジメ「"一家に一人レミアちゃん"かぁ……まぁ、俺の奥さんだから他にはやらんが。」
レミア「ハ、ハジメさん。それは、その、恥ずかしいので言わないでください……。」
頬を染めつつも困った表情になるレミア。お前、一体幾つの可愛いの引き出しを隠し持っているんだ?
ミュウ「パパ、パパ。あと、"鉄壁のレミアちゃん"もあるの!」
レミア「ミュウ!?」
ハジメ「そういうミュウも"鉄壁のミュウちゃん"で、二人合わせて"鉄壁母娘"って呼ばれているじゃん。」
ミュウ「みゅ!?」
娘からの追撃を喰らうレミアと、俺からの追撃を喰らうミュウ。
あだ名に関してはまぁ、相手のアプローチの仕方が十中八九欲望駄々洩れだったからだと思う。
そんなこんなで、和やかに進む食事兼探索開始から数時間。そろそろ深夜に差し掛かる頃合いだ。
途中で何度か転移もしたし、【メルジーネ海底遺跡】は通り過ぎちゃったし、そこから北西へ100kmは行ったと思う。
大海原のど真ん中にて甲板で適当にくつろいで探索するものの……不可思議な現象は見当たらず。
その上、満腹感に心地いい揺れ、ゆるりとした涼風に穏やかな時間。ミュウの瞼が重くなっていった。
ハジメ「……ミュウ、そろそろ――「やっ、なの。」……。」
「絶対に最後の伝説を見つけたい」という一心で起きているようだが、体は既に睡眠を催促している様だ。
レミア「ミュウ?」
ミュウ「やっ。」
ハァ……こいつは困ったなぁ。絶対に寝たがらないなこれは。無理に寝かせたら絶対嫌われるし……。
かと言ってなぁ、幼いころから寝不足気味なのは親として心配だし……ホントどうしようか。
ハジメ「ミュウ、どうしてもダメなの?ダメならダメで、何がダメか教えてくれないか?」
ミュウ「……眠ったら、朝が来ちゃうの。」
ハジメ「……。」
ミュウ「最後の冒険、直ぐに終わっちゃうの。」
……そういうことか。
甲板の上で膝を抱え、月明かりだけの暗い海をじっと見つめ続けるミュウ。
その横顔に浮かんでいたのは、冒険のわくわくではなく、何かを繫ぎ止めようとする必死さだった。
ハジメ「ミュウ……。」
俺はミュウの柔らかなエメラルドグリーンの髪を優しく撫でた。
そしてレミアにちらりと目を向けると、「お任せします。」と微笑み返してきた。
ユエ達も悩んでいるからなぁ……今ここで、俺が言うしかないか。
ハジメ「ミュウ。」
ミュウは、ビクッと震えた。声音から何かを察したのか、恐る恐るといった様子で俺を見上げる。
同時に、拒否するかのように瞳を潤ませ始めた。……本当に聡いな、ミュウ。
俺はミュウを抱っこして膝の上に乗せ、遥か海へ視線を向けた。
ハジメ「綺麗だよね……。」
ミュウ「みゅ?」
ハジメ「ほら、月明かりが反射して、雲も海もキラキラだよ?」
ミュウ「……綺麗なの。」
中央に昇った月が、少し疎らになった雲を幻想的に照らし、或いは雲の隙間から月光の梯子を下ろして大海原を彩っている。
ハジメ「こんな綺麗な海、見たことがない。」
ミュウ「そうなの?」
意外そうな表情で俺を見上げるミュウ。
海で生まれ育ったミュウからすれば、見慣れた光景なのかもしれない。
でも俺達異世界人の世界、地球じゃ海関連の仕事をしている人位だろう。
それこそ、ただの高校生だった頃の俺であれば、滅多にお目にはかかれない筈だ。
ハジメ「ミュウのおかげだね。」
ミュウ「ミュウの?」
ハジメ「あぁ。ミュウが冒険に誘ってくれたから、こんなに綺麗な光景を見ることが出来たんだよ。」
ミュウ「……えへへ。」
もじもじと照れるミュウ。可愛い。
ハジメ「だから約束する。パパのやるべきこと全部終わったら、また一緒に見に行こう。」
ミュウ「……。」
再び、ミュウの表情は硬くなった。
嬉しい言葉の筈なのに、その聡明さが、言葉に含まれた意味を察してしまうから。
ミュウの言葉を、俺は少し待った。
「行かないで。」あるいは「連れて行って。」というミュウの気持ちを、しっかり受け止めてあげたくて。
受け止めた上で、言葉を返してあげたくて。
しかし、ミュウは何も言わなかった。
ただ、口元をぎゅっと引き結んで、目元に溜まった涙すら流さずに堪えている。
静かで、胸が締め付けられるような切ない時間が流れた。
俺は大きく息を吐き、己の気持ちを整理すると、その言葉を口に――しようとした、その瞬間。
ハジメ「――ッ!?今のは!?」
突如、謎の光景が頭に映ったかと思えば、何かの強大な気配を感じた。
その気配は皆も感じていたようで、全員が一瞬硬直する。
シア「ハジメさん!空が!」
シアの声に視線を上げれば、空が急速に閉じていく。否、そう錯覚する程に、急速に雲が溢れ出した。
月が吞み込まれていくように消えていく。
ハジメ「ミュウ、レミア、俺達の傍を離れないで。何かはわからないけど、何かが来る!」
二人は不安に瞳を揺らしつつも、しっかり頷いて俺の傍に近づいた。
香織「霧が凄い勢いで……これ、自然の物じゃないよね?」
ミレディ「ミレディさん達もこんな現象、初めてだよ。
でも自然現象じゃないってことは確かなんじゃないかな?」
ユエ「……ハジメの勘は?」
ハジメ「意図的なもの、の筈なんだけどねェ……。」
イナバ『どうかしたんですかい?』
ハジメ「なんか、潜水艇か飛空艇かで迷っていた時の感覚に、似ている気がするんだ。」
トシ「じゃあこの現象の原因も、悪い予感が関係しているってことか?」
ハジメ「今のところ、断定も否定も出来ないけどね。」
「ビリオンスターズ号」が濃霧に包まれた。
甲板上ですら、端と端では互いの姿が確認出来ないだろう深い霧だ。まるで【ハルツィナ樹海】の様だ。
全員でレミアとミュウを守るように円陣を組む。
シア「伝説のお出ましです?」
ハジメ「絶対違うと思う。輝いているように見えないもん。」
ティオ「ご主人様よ、見よ。来るぞ。」
ティオの目線の先に注目すると、"それ"は姿を見せた。
ハジメ「なんじゃこりゃあ!?」
濃霧の向こう側を横切っていく巨大な影。シルエットから判断するに体長は30m以上だろう。
にも関わらず、波音一つどころか、風も濃霧の乱れも無く、まるで"何もいない"ような感覚だ。
閉ざされた世界はただ静謐で、自分達の息遣いだけがいやに響いている。
香織「クジ、ラ?」
香織が掠れる声で呟いた。確かにそのシルエットには、見覚えのある尾びれのような部分がある。
静謐であっても、放たれる気配の強大さは確かであり、皆慄然とせずにはいられなかった。
まさかコイツがあの時の……考えすぎか。そう思ったその時、「ビリオンスターズ号」が激しく揺れた。
シア「ッ、ハジメさん!?着水させました!?流されてますよ!」
ハジメ「いや、どちらかというと引きずり込まれているみたい。」
轟ッと、遂に静寂が破られた。
穏やかだった海が突如牙を剝き、恐ろしいほど急速かつ強力な海流が発生する。
更に正体不明の"何か"に合わせて霧が竜巻の如く渦を巻き始める。
ハジメ「くっ!」
ミュウ「パ、パパ!ダメなの!」
ハジメ「!?」
迎撃しようと思ったその時、ミュウが抱き着くようにして制止した。
ハジメ「ミュウ、何かわかるの!?」
ミュウ「みゅ……えっと、上手く言えないけど……悪い子じゃないの!」
ハジメ「!そんな気がする、ってことか……。」
正体を知っている訳ではないが、ミュウはその"何か"から敵意を感じなかったようだ。
幼子の勘には、大人に見抜けない何かを感じ取る性質があると聞いたことがある。恐らくミュウもそれだ。
そうしている間にも、事態は加速度的に変化していく。
気が付いた時には濃霧が巨大な渦巻く壁を形成していて、まるで台風の目の中にいるような状況になっていた。
ただし、直上に空は見えず濃霧の天蓋で覆われていて、海水は巻き上げられるどころか逆に巨大クレーターを彷彿とさせる大渦を発生させている。
ティオ「海底に引き込む気かのぅ。」
ユエ「……変な感覚だけど、海と濃霧全体から魔力を感じる。」
シア「ハジメさん。一応、死ぬような未来は視えませんでしたよ!」
トシ「悪意とかそういった物とかは感じないな……。」
イナバ『あのクジラ擬き、なんか言ってるような気がしやす。』
ふぅむ、取り敢えずここはミュウの判断を仰ごうか。
ハジメ「ミュウ、あの子はなんて?」
ミュウ「助けてって言ってるの!」
?それって「――ォォオオオオオオオンッ」!?
突如、"何か"が吠えた。
それも獣の威嚇のような唸り声ではなく、もっと澄んだ管楽器の奏でる音色のような鳴き声で、だ。
同時に、俺達の体に光が纏わりつき、意識が一瞬で霞む。
ハジメ「取り敢えず皆、逸れない様しっかり掴まって!」
俺の号令で、ミュウとレミアを中心に全員が抱き合うように固まった直後、「ビリオンスターズ号」諸共、俺達の意識は海底へと沈んでいった。
ハジメ
「ここまで読んでいただき、ありがとうございます!今回は並行世界からお送りしまーす!」
Bハジメ
「いや、お前本当に俺か?どう見てもただの陽キャにしか見えないんだが……。」
ハジメ
「眼帯に義手付けたアンタに言われても「それは言うなッ!」必死過ぎるわ。」
Bハジメ
「てか何でそっちは自分から魔王名乗ってんだよ。絶対めんどくさくなるぞ。」
ハジメ
「なりたいと思ったから。」
Bハジメ
「ぶれないな……そっちのミュウが心配だな。」
ハジメ
「ほぅ?ならこっちは、ユエ第一主義に加えてティオの変態化について説教してもいいかな?」
Bハジメ
「……さぁて、次回予告だったな。」
ハジメ
「次回はミュウとレミアがまた離れ離れに……怪生物共マジ殺すべし。」
Bハジメ
「そう思うなら、これ(膝の上にある重り)外したりとかは「ダメ。」……デスヨネー。」
ハジメ
「全く……せめてシアと香織にはかまってあげなさい。後、いきなりのケツパイルは二度とやるな。
いいな?」
Bハジメ
「……ハイ、ハンセイシテイマス。」
ハジメ
「それと……雫に愛子、リリィのこともしっかり見るように!いいね?」
Bハジメ
「分かった分かったから!ったく、お前は近所のおばちゃんか!?」
ハジメ
「フッ、俺がどれだけ商店街でご婦人方のおもちゃにされたことか……お前にわかるか?」
Bハジメ
「……ドンマイ。それじゃ、また次回。」
リースティアさん、誤字報告ありがとうございました!
もしこの中の他作品の女性キャラで、ハジメさんに絡ませるとしたら?
-
星野アイ
-
篠ノ之束
-
ラキュース(オーバーロード)
-
ヤマト(ONEPIECE)
-
歌住サクラコ
-
シェーレ
-
白織
-
イーディス(SAO)
-
エキドナ(リゼロ)
-
八重巫女
-
東堂刀華
-
大好真々子
-
森ノゾミ
-
スヤリス姫
-
ロード・ディアーチェ
-
鬼龍院皐月
-
湾内絹保
-
安心院なじみ
-
ネプテューヌ
-
ウィズ