ありふれない錬成師は最高最善の魔王の力で世界最強を超越する 作:天元突破クローズエボルハザード
「お待たせいたしました。さて、今日でエリセン滞在編もお終いか……。」
Bレミア
「あらあら、やっぱり名残惜しいものですか?」
ハジメ
「そりゃあ奥さんと愛娘残して、自分の目的のために旅に出るんだもん。気持ちが落ち込んで当然さ。」
Bレミア
「うふふ、そちらの私も素敵な旦那様に会えたんですね、あ・な・た?」
ハジメ
「……う~///はっ、早く前回のあらすじ、行くよっ!」
Bレミア
「えぇ、たしかそちらとこちらの私たちが合流したところでしたね。」
ハジメ
「さて、今回で並行世界版のあらすじ予告は終わりだ。最後まで楽しんでいってくれ!」
Bレミア
「はい!それでは、第5章第18話」
ハジメ・Bレミア
「「それでは、どうぞ!」」
光のクジラから放たれた光は、まるで打ち上げ花火のように空を駆け上り、渦巻く暗雲を円状に消し飛ばし、光のシャワーを廃都中に降り注がせる。
――ア˝ァ˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ッ
怨嗟と憎悪、悪意と敵意の断末魔が響く。それとともに怪物共が塵となっていく。
廃都を覆っていた黒霧が渦を巻くようにして塔へと吸い込まれていき、怪物たちはその渦に捕まった。
轟轟と唸る烈風は凄まじく、ユエ達も全員、塔の上へ移動してきた。
俺はオスカーと共に、ミュウとレミアを抱えて身を低くする。と、その時。
ハジメ「!?こいつは……!」
なんと、目の前の画面上に謎の穴が開いた。ちょうど子供一人分くらいの。
ってことは、だ。別世界の俺等とはお別れってことか。
おそらくこの穴の先には、こちらにいるミュウの世界だろう。
違う世界だとしても、安全に元の世界に戻してあげなければ。
ミュウ「パパ――!ママ――!」
……安全確認もまだなのに。家の娘は何というか……色々凄いや。
ってこっちのミュウもいつの間にか入っていってる。どうやら向こうも無事なようだ。
なら後は、言いたいことだけ言って帰るか!
ハジメ「おい、向こうの俺!そろそろお別れだから、これだけ言っとく!」
Bハジメ『あん?』
俺は息を強く吸い込むと、向こうの俺に言った!
ハジメ「偶にはユエ以外の皆も大切にしろよ!全員押し倒す位の、度胸は持っておけ!」
Bハジメ『何の話だ。』
だって、向こうのシア達かわいそうじゃん。
すると、ユエ達も向こうの自分達に思い思いの言葉を向けた。
ユエ「……ん、そっちの私。叔父様を信じてあげて。答えはオルクスにある。」
Bユエ『!?どういうこと!?』
向こうのユエは知らなかったみたいだ。まぁいつか、きっとわかる筈だ。
シア「そっちの私!めげずに押しまくるんですよー!」
Bシア『勿論ですぅ!いつか処女を貰ってもらいますから!』
向こうのシアは通常運転みたいだな。てかなんてことを言いだすんでしょうか。
ティオ「……そっちの妾よ、妾は変態色には染まらぬからの。」
Bティオ『!?ハァハァッ!別の自分からの視線、プライスレス!』
……何も言わないよ、ティオ。
こっちのお前はそんなんじゃないってわかっているから。だから……涙拭きなよ。
後、向こうの俺とティオにはあとで説教な?
こら!こっち向いてハァハァするんじゃあない!
香織「そっちの私!ユエの悪戯に負けないように!」
B香織『うん!全力でやり返すから!少なくとも筋力で拮抗できるようになるから!』
おい、向こうのユエさんや。アンタ、どんだけ大人げないんだ。
ミュウ「そっちのミュウ!お元気で、なの!」
Bミュウ『みゅ!そっちもお元気で、なの!』
……何だろう。
ミュウの無邪気さのせいか、向こうの自分達への言葉、もうちょっと考えておけばよかったって思う。
Bレミア『……そちらのミュウも、しっかりしているみたいで安心しました。』
レミア「あらあら、うふふ。夫との英才教育の賜物ですから、ね?あなた?」
いや、教育に関してはレミアの方が上手だと思う。
俺、こっちの世界来てから、若干はっちゃけている感が否めないから。
オスカー「そっちの僕!こっちの世界は大丈夫だ!」
Bオスカー『!そうか……。』
ミレディ「私たちも今、自由の意思の下に、生きているから!」
Bミレディ『!そっか…よかった。』
未来の自分からのメッセージ、か……。
ナイズ「そっちの俺!二人にはしっかり愛を伝えるように!」
Bナイズ『勿論だ!後ろから刺されないように心掛けている!』
メイル「そっちの私!森の変態には気をつけなさい!」
Bメイル『どういうことかしら!?』
……さっきまでの感動を返してほしい。雰囲気が台無しじゃねぇか。
ほら、向こうの俺達も呆れ顔だし。
Bハジメ『そっちの俺!便所には流されなかったか!?』
ハジメ「お前もかい。こっちは迷宮ごとやっちゃったから、それはなかったよ。」
Bハジメ『よくやった!』
ハジメ「何がだ。」
そっちの俺、ミレディに何の恨みがあるんだよ……。
Bハジメ『ミレディ――っ、便所流しの恨みは必ず晴らすからなぁ!』
Bミレディ『また便所の話――――――!?』
Bハジメ『オスカーッ!てめぇ、ヒュドラはやり過ぎだろうがっ。
ちっとは自重しろ馬鹿野郎!』
Bオスカー『意味が分からない!?』
……もう色々カオスだよ。
オスカー「違うんだ!あれはヴァンへの嫌がらせも兼ねてやったんだ!
そっちの僕、今度会うマフラー野郎は遠慮なく殴り飛ばせ!」
ハジメ「十分大人げなさ過ぎるわ。てか余計なこと言わんでええ。」
Bオスカー『了解した!』
ハジメ「するな!」
全く……これじゃあおちおち別れも言えねぇじゃねぇか。
まぁいい。これだけでも言うか。
ハジメ「そっちの俺!帰る前に一回、クソ野郎ぶん殴って来い!
俺は奴をぶちのめした上で、帰ってみせるからよ!」
俺の力強い言葉に、向こうの俺は力強く頷いて返した。
Bハジメ『前に立ちふさがるってんなら、神だろうと蹴散らしてやるよ。
そっちもなってみせろよ、最高最善の魔王って奴に!』
互いの言葉に、俺達は同時に力強く返した。
(A・B両方)ハジメ「『当たり前だ、誰に物言ってやがる!』」
その言葉を聞いて、互いに不敵な笑みを浮かべる。
どんな世界だろうと、俺は、俺達は折れない。そうじゃなきゃ、自分じゃないだろ?
と、だんだん映像が途切れていった。どうやら時間切れのようだ。
すると、俺達の体も光の粒子が纏わりついていった。塔を中心とした光の渦から発せられているようだ。
同時に、強い眠気が意識を霞ませていく。あの時と同じ感覚だ。
……そうか、あの時俺を呼んだのは、あのクジラだったんだな。ようやく理解できた瞬間だった。
あの時の声は、この海の主からのメッセージだったということに。
そうして俺達は、意識が落ちる感覚と共に光に包まれていった。
ハジメ「ぅ、う~ん……んぁ?」
ふと目を覚ますと、俺達は「ビリオンスターズ号Mark-Ⅱ」の甲板上にいた。
ハジメ「元の世界、だな……。」
両手にミュウとレミアを抱きしめながら、俺は呟いた。
すると、皆も目が覚めたようだ。しかし……どうやらあの時の記憶がないみたいだ。
これはおかしいな?俺はしっかり覚えているのに……もう一つの世界の俺とも会ったし。
ティオ「むっ、ご主人様よ!見よ!」
不意に、ティオの驚愕の声に目を傾けると、海が燦然と輝き始めていた。
それも見渡す限り、大海原の全てが、水平線まで輝きに満ちていく。
ハジメ「これって……そうか!これが"輝く海の意思"か!」
ミュウ「みゅ!?」
俺は思わず大声を上げた。他の皆も突然のことに驚いているようだ。
それはそうだろう。俺だけしか覚えていないのだから。
すると、光の海が現出した。キラキラと輝く粒子が踊り、ふわりふわりと天に昇っていく。
それはまるで黄金の世界。或いは、星の海のようだ。
ミュウ「あ、パパ!お魚さんなの!」
ミュウの指さす先で、光の粒子が小さな魚へと形を成した。
その魚が輝く世界で宙を泳ぎ、瞬く間に大海原全てに広がっていく。
それこそ星の数ほどの多種多様な"光でできた海の生き物"が、気持ちよさそうに宙を泳ぐ。
俺達の体に当たっては、パッと弾けて、また形を作って、ふわふわと泳いでいく。
その光景はとても幻想的で、神秘的で、胸がいっぱいになりそうな光景だった。
――ォオオオオオオオンッ!
そうして光の海から飛び出すように現れたのは、あの時の"光のクジラ"だった。
春に差す木漏れ日のように温かい光が降り注ぐ。
それと同時に、言葉はなくとも深い感謝の念が伝わってきた。
ハジメ「……うん?なんだろ、頭に何か……。」
俺がそう言うと、大量の情報が頭の中に流れ込んできた。
見たこともない筈なのに、あたかも知っていたものを思い出したような感覚になった。
流石に少し動揺したが、「お礼なの。」というミュウの声で理解した。
ハジメ「……全く、やってくれるねぇ。
おかげで、サテライトレーザーや飛空艇の改良計画、一から見直さないといけないじゃないか。」
そう言いながらも、俺の表情は晴れやかだった。寧ろこれからのことにわくわくが止まらなかった。
すると、どうやら俺だけじゃなかったらしく、ユエ達も自分達を確認していた。
ティオ「む?何故か、魔力量が増えておらんかのぅ?」
香織「あぁっ!言われてみれば!」
シア「あの、魔力量以外にも、私、"未来視"の熟練度が上がった気がします。」
ユエ「……ん。そう言えば、私も魔法技能が上がった気がする。」
トシ「俺も属性魔法の技術が上がった気がする。」
イナバ『自分はもう一段階強くなれた気がしやす!』
ミレディ「ミレディさんも……なんか懐かしい雰囲気になった気がする。」
オスカー『僕は変身していた記憶があったような……。』
ナイズ『自分も、久々に戦っていた感覚がするな……。』
メイル『お姉さんは天国にいた気がするわ。』
……う~ん見事にバラバラだな。
ミュウ「でも、なんだかとっても良いことがあった気がするの!素敵な人達と出会ったみたいに!」
素敵な人達、か……向こうの俺、絶対に生きて帰れよ。大切な人達と一緒に。
――魔王、か。悪くないかもな。
そんな声が返ってきた気がした。木霊かな?
そんな俺達を慈しむように、光のクジラは柔らかな鳴き声を上げて、優雅に身を翻した。
本物のクジラがそうするように背中から光の海へ。
キラキラ、キラキラ。光の海は舞い上がり、輝く海の生き物達が楽しげに踊る。
ミュウ「そうなの!パパ!お願いしないと!」
――輝く海の意思に、遭遇した者の願いは叶う。そう言えばそうだったな。
ミュウ「パパ達とずっと一緒にいられますように。」
可愛らしい願いだね……さてと、願わくば皆の願いが叶いますように。
俺個人としては、そうだな……ミュウに誇れる父親で、レミアに誇れる夫でありますように、かなぁ。
ミュウ「パパー!朝なのー!起きるのー!」
【海上の町エリセン】の一角にある家の二階、愛娘の声が響き渡る。
時刻はそろそろ早朝を過ぎて、日の温かみを感じ始める頃だ。
窓から本日もいい天気になる事を予報する様に、朝日が燦々と差し込んでいる。
ハジメ「ミュウ、朝から元気だね~。」
そんな朝日に照らされるベッドに腰掛けながら、俺は読書に耽っていた。
先日の冒険から帰った俺達は、一時の休息に身を預けていた。
まぁ、俺は帰った後即座に錬成しまくって、抱えていた仕事を片付けたんだけどね!
でもおかげで、ミュウとレミアとの時間を多く残せたから問題無し!
俺を呼びに来たミュウはベッドの直前で重さを感じさせない見事な跳躍を決めると、そのまま俺の膝の上に100点満点の着地を決めた。
ミュウ「パパ、おはようなの。ごはんなの。」
ハジメ「そっか。じゃあそろそろ行こうか。」
ニコニコと笑みを溢しながら、ミュウはその小さな紅葉の様な手で俺の頬をペチペチと叩く。
俺は本を閉じミュウに目を向け、優しくそのエメラルドグリーンの髪を梳いた。
気持ちよさそうに目を細めるミュウ。う~ん、これこそ至福の
あの奇妙な冒険から2日、俺達は現在もレミアとミュウの家に世話になっている。
エリセンという町は、木で編まれた巨大な人工の浮島だ。
広大な海そのものが無限の土地となっているので、町中は、通りにしろ建築物にしろ基本的にゆとりのある作りになっている。
レミアとミュウの家も、二人暮らしの家にしては十分以上の大きさがあり、俺達が寝泊りしても何の不自由も感じない程度には快適な生活空間だった。
エリセンは海鮮系料理が充実しており波風も心地良く、中々に居心地のいい場所だったので半分はバカンス気分でもあった。
まぁ、醤油が無かったから海鮮丼とかは無理だったけどね……。
ただ、【メルジーネ海底遺跡】攻略からもう6日も滞在しているからねぇ……。
流石にそろそろと行きたいんだけど……辛いよぉ。
ミュウを、この先の旅に連れて行く事は出来ない。
幾ら可愛い愛娘とはいえ、4歳の何の力も無い幼女を東の果ての大迷宮に連れて行くなど以ての外だ。
まして、【ハルツィナ樹海】を除く残り二つの大迷宮は更に面倒な場所にある。
一つは魔人族の領土にある【シュネー雪原】の【氷結洞窟】。
しかもクソ野郎の配下が管轄していやがる場所だ。面倒なことこの上ない。
そしてもう一つの【神山】も、クソ野郎のお膝元ともいえる。絶対面倒ごとだらけ間違いなし。
そんな場所にミュウを連れて行くなど絶対に出来ない。
そういう訳でこの町で二人とお別れをしなければならないのだが、何となくそれを察しているのか俺達がその話を出そうとすると、ミュウは決まって超甘えん坊モードで「必殺!幼女の無言の懇願!」を発動するので中々言い出せずにいた。
ハジメ「それでも、いい加減行かないとダメだよね……。
何て言えばいいんだろう……泣かれるかな、泣かれるよね……憂鬱だよぉ~。」
俺は桟橋に腰掛けて海を眺めていた。こういう時どう言えと言うんだ……。
俺だって別れたくないし、正直バカンス気分でここにいたい。
でもなぁ……ハァ……行かないとなぁ……嫌だなぁ……うぅ……(泣)
ここ最近やってる、ストレス発散も兼ねた【神域】狙いの破壊光線乱れ撃ちも、最近気が乗らないし……。
視線を向ければ、海人族の特性を十全に発揮して、チートの権化達(ユエ、シア、ティオ、香織、ミレディ)から華麗に逃げ回る変則的な鬼ごっこ(ミュウ以外全員鬼役)を全力で楽しんでいるミュウがいる。
その屈託無い笑顔に、別れを切り出せばあの笑顔が泣き顔になるかと思うと自然と溜息が漏れる。
因みにイナバとトシは、ライセン大迷宮の一部を使って、療養後のメルドさんと模擬戦をしているらしい。
トシは変身無しでも戦える技術を勉強中だ。因みにメルドさんにも例の特訓は受けてもらった。
強くなっておくことに損はないだろうし……だからトシ、そんな目で俺を見ないでおくれ。
オスカー達パーカー組はというと、メイルが暴走しないかオスカーとナイズの二人体制で見張っている、らしい……。
とまぁ、そんな訳で悩みまくっているこの頃、という訳さ。
と、そんな俺の悩みを察した様に、桟橋から投げ出した両足の間から突然人影がザバッと音を立てて現れた。
海中から水を滴らせて現れたのは、ミュウの母親であり、俺の奥さんでもあるレミアだ。
レミアはエメラルドグリーンの長い髪を背中で一本の緩い三つ編みにしていて、ライトグリーンの結構際どいビキニを身に付けている。
ミュウと再会した当初は相当やつれていたけど、今は以前の健康体を完全に取り戻していて、一児の母とは思えない……いや、だからこその色気を纏っている。
町の男連中がこぞって彼女の再婚相手を狙っていたり、母子セットで妙なファンクラブがあるのも頷ける位のおっとり系美人だ。
ティオとタメを張る程見事なスタイルを誇っているし、体の表面を流れる水滴が実に艶かしい。
正直、前の旦那さんを尊敬するわな。こんなに綺麗で強い女性と相思相愛になったんだから。
そんなタダでさえ魅力的なレミアが、いきなり自分の股の間に出てきたのだ。
ミュウのことで頭を悩ます俺は、うっかり不意をつかれてしまった。
てかこの位置はアカン!しかもレミアは、俺の膝に手を掛けて体を支えている。これは拙い……。
しかし、肉体の放つ色気とは裏腹にレミアの表情は優しげで、寧ろ俺を気遣う様な色を宿していた。
レミア「有難うございます。ハジメさん。」
ハジメ「うん?何の事?」
いきなりお礼を述べたレミアに、思わずとぼける。
レミア「うふふ、娘の為にこんなにも悩んで下さるのですもの……
母親としてはお礼の一つも言いたくなります。」
ハジメ「"父親として"当然さ。それに、ミュウだけじゃなく、レミアとも離れたくないから。」
レミア「あらあら……ミュウは本当に素敵な人達と出会えましたね。」
レミアは肩越しに振り返って、ミュウの悪戯で水着を剥ぎ取られたシアが手ブラをしながら必死にミュウを追いかけている姿を見つつ笑みを溢す。
そして再度俺に視線を転じると、今度は少し真面目な表情で口を開いた。
レミア「ハジメさん。もう十分です。皆さんは、十分過ぎる程して下さいました。
ですから、どうか悩まずに、すべき事の為にお進み下さい。」
ハジメ「レミア……。」
レミア「皆さんと出会って、あの子は大きく成長しました。
甘えてばかりだったのに、自分より他の誰かを気遣える様になった……あの子も分かっています。
ハジメさん達が行かなければならない事を……まだまだ幼いですからついつい甘えてしまいますけれど……
それでも、一度も"行かないで"とは口にしていないでしょう?
あの子もこれ以上、ハジメさん達を引き止めていてはいけないと分かっているのです。だから……」
ハジメ「……敵わないなぁ……二人には。しかし…………ねぇ、レミア。」
レミア「はい、何でしょう?」
ハジメ「子供の成長って早いね。
俺が言うのも難だけど……いつの間にか、ミュウが少し遠くにいるような気分だよ。」
レミア「ふふっ。えぇ、まったくです。」
ミュウの無言の訴えが、行って欲しくないけれど、それを言ってハジメ達を困らせたくないという気遣いの表れだったと改めて言われ、ハジメは眩しいものを見る目でしみじみと呟く。
そんなハジメに、レミアは再び優しげな眼差しを向けた。
レミア「では、今晩はご馳走にしましょう。ハジメさん達のお別れ会ですからね。」
ハジメ「そうだね、楽しみにしているよ。」
レミア「うふふ、はい。期待していて下さいね、あ・な・た♡」
ハジメ「勿論!愛妻料理、楽しみにしているから!」
どこかイタズラっぽい笑みを浮かべるレミアに、俺も笑顔で返す。
そこへ、ブリザードの様な冷たさを含んだ声音が割り込んだ。
ユエ「……レミア、いい度胸。」
香織「レミアさん、いつの間に……油断も隙もないよ。」
ティオ「ふむ、見る角度によっては、ご主人様にご奉仕している様にも見えるのぅ。」
シア「あの、ミュウちゃん?お姉ちゃんの水着、そろそろ返してくれませんか?さっきから人目が……」
ミレディ「ハジメン、そろそろメル姉が暴走しそうだから何とかして。」
いつの間にか戻ってきていたユエ達が、半眼でレミアを睨んでいた。
てかミレディ、シスコンを今更どうしろというんだ。
あれは雫の
尚、4歳の幼女に水着を取られて半泣きのウサミミはスルーする。
一方、睨まれている方のレミアはというと、「あらあら、うふふ。」と微笑むばかりで特に引いた様子は見られない。
強かだねぇ……。それにしても皆、水着がよく似合っているなぁ。
ユエは黒のビキニタイプだ。紐で結ぶタイプなので結構際どい。
ユエの肌の白さと相まってコントラストがとても美しい。
珍しく髪をツインテールにしており、それが普段より幼さを感じさせるのに、水着は大人っぽさを感じさせるというギャップが、何とも……。
香織は恥ずかしいのか耳まで赤く染めながらも白のビキニから覗く胸の谷間に俺の腕をムニュと押し付けている。
この反応が可愛いからかな?ユエが香織をいじるのは。
更に、背後からはシアが、その自慢の双丘を俺の背中に押し付けながらもたれかかった。
未だ、ミュウに水着を取られたままなので、体を隠す意図もあるようだ。
ただ、これは流石に拙い……生理現象が。
ちょっと、レミアさん!?何故股間に近づいてくるのですか!?やめなされやめなされ!
ティオ、お前も何押し付けようとしてんの!?えっ、何この包囲網!?
ミレディ!お前は俺を弄るんじゃ……メイルを止めていたのか、疑ってゴメン。
そんな、美女・美少女に囲まれた俺のもとへ、ミュウが海中から浮かび上がってきた。
レミアと俺の間に割り込むように現れたミュウは、そのまま正面から俺に飛びつく。
咄嗟に抱きとめた俺に、ミュウは「戦利品とったどー!」とばかりにシアの水着を掲げ、それをパサッと俺の頭に乗せた。
娘からの贈り物は嬉しいが……何故にこれを選んだ!?
シア「ミ、ミュウちゃん!?なぜ、こんな事を……はっ!?まさか……ハジメさんに頼まれて?」
ハジメ「いや、違うからね!?下着泥棒じゃあるまいし!」
ミレディ「わぁ……///は、ハジメンったらもう!変態さんなんだから!」
顔赤らめても説得力無いぞ、むっつりミレディ!
シア「も、もうっ!ハジメさんたら、私の水着が気になるなら、そう言ってくれれば……いくらでも……。」
ハジメ「いや、そうじゃな「……ハジメ、私のもあげる。」「わ、私だって!ハジメくんが欲しいなら……あ、でもここで脱ぐのは恥ずかしいから……あとで部屋で、ね?」「妾のも、あげるのじゃ。ご主人様、待ってておくれ。」……全然聞いてくれねぇ。」
レミア「あらあら、じゃあ、私も……上と下どちらがいいですか?それとも両方?」
ハジメ「勘弁してくれー!!!」
頭に女物の水着を乗せ、四方から女に水着を献上される俺。
ポタポタとシアの水着から滴る水が、頬を引きつらせる俺の表情と相まって何ともシュールだった、とはトシの感想だった。
やかましいわ!こちとら好きで女物水着を頭に乗せてるわけじゃねぇ!
因みに、その光景を目撃して血の涙を滴らせた男共がとんでもない噂を広めてくれたので、後でO☆H☆A☆N☆A☆S☆H☆Iした。
誰の好物が脱ぎたての水着だゴルァ!?頭から被る事に至上の喜びを見出す変態だぁ!?
テメェ等にだけは言われたくねぇんだよこのすっとこどっこい!
その日の晩、夕食前に俺達はミュウに一時のお別れを告げた。
それを聞いたミュウは、着ているワンピースの裾を両手でギュッと握り締め、懸命に泣くのを堪えていた。暫く沈黙が続く中、それを破ったのはミュウだった。
ミュウ「……もう、会えないの?」
ハジメ「まさか。やること全部終えたら一番先にここに帰ってくるさ。」
ミュウの不安そうな言葉を、俺は優しく返す。
正直、いつ日本に帰れるかは不安だが、それでも二人には何度でも会いに行くさ。
ミュウ「……パパは、ずっとミュウのパパでいてくれる?」
ハジメ「勿論!ミュウがそれを望むなら、いつだってパパはパパだよ。」
そう答えるとミュウは、涙を堪えて食いしばっていた口元を緩めてニッと笑みを作る。
ミュウ「なら、いってらっしゃいするの。それで今度は、ミュウがパパを迎えに行くの!」
ハジメ「お~、ミュウから迎えに来てくれるのか?」
ミュウ「うん、パパが行けるなら、ミュウも行けるの。だって……ミュウはパパの娘だから!」
俺の娘たる自分が、出来ない事など無い。自信有りげに胸を張り、自分から会いに行くと宣言するミュウ。勿論ミュウは、俺達が世界を越えて自分の故郷に帰ろうとしていることを正確に理解しているわけではない。
まして、ミュウが迷宮を攻略して全ての神代魔法を手に入れ、世界を超えてくるなど有り得ない。
それ故に、それは幼子の拙い発想から出た、凡そ実現不可能な目標だ。
だが一体誰が、その力強い宣言を笑えるというのだろう。
一体誰が、彼女の意志を馬鹿馬鹿しいと切り捨てられるのだろう。出来はしない。してはならない。
何故ならそれは、他の誰でもない俺自身を否定する事になるからだ。
夢を掲げ、不可能を可能にしてきた俺にはわかる。
ミュウの瞳に確かな『覚悟』がある。その覚悟にこそ、凄味がある!
ハジメ「分かった。それじゃあミュウ、パパとの約束だ。」
ミュウ「みゅ?」
そう言って俺は、ミュウのために作っておいたあるものを取り出す。
それは、何の変哲もないライドウォッチだった。特別な力がある訳でもないが……まぁ、ただの願掛けさ。
ハジメ「このウォッチを、ミュウに預ける。
いつか、全部の神代魔法を手に入れたら、これを返しに来てほしい。」
俺の言葉と共にウォッチを受け取り、わなわなと瞼を揺らすミュウ。
俺は、そんなミュウの髪を優しく撫でる。
ハジメ「その時は、俺の故郷に連れて行ってあげるよ。
ビックリ箱みたいなところだからね、きっと驚くよ。」
ミュウ「!パパの生まれたところ?みたいの!」
ハジメ「楽しみ?」
ミュウ「すっごく!」
ピョンピョンと飛び跳ねながら喜びを表現するミュウ。やはり強いな、ミュウは。
俺とまた会えるという事に不安を吹き飛ばされ満面の笑みを浮かべるミュウは、飛び跳ねる勢いそのままに、俺に飛びついた。
しっかり抱きとめ、そのままミュウを抱っこする。
ハジメ「なら、いい子でママといるんだよ?
先ずは、ママの言うことをよく聞いて、お手伝いを頑張るんだよ?冒険はそこから始まりなんだから。」
ミュウ「はいなの!」
俺はそんな二人のやり取りを微笑みながら見つめていたレミアに視線で謝罪する。
「勝手に決めて済まない」と。
それに対し、レミアはゆっくり首を振ると、確りと視線を合わせて頷いた。
「気にしないで下さい。」と。
その暖かな眼差しには責める様な色は微塵もなく、寧ろ感謝の念が含まれていた。
そんな俺とレミアのアイコンタクトに気がついたのか、ミュウが俺とレミアを交互に見つつ、ウォッチを宝物庫に入れ俺の服をクイクイと引っ張る。
ミュウ「パパ、ママも?ママも一緒?」
ハジメ「勿論構わないけど……どう?」
レミア「はい。勿論、私だけ仲間はずれなんて言いませんよね?」
ハジメ「そっか、もう決めたんだね。」
レミア「あらあら。娘と旦那様が行く場所に、付いていかないわけないじゃないですか。うふふ。」
娘の頭を撫でる俺と、それに寄り添うレミアの図。傍から見れば、普通に夫婦だねぇ。
その後、それに嫉妬したのか香織達が割り込んで喧騒が広がった。
最初のしんみりした空気は何処に行ったのか。
香織達とレミアが女性陣トークを繰り広げていると、いつの間にか蚊帳の外に置かれた俺に、ユエがトコトコと歩み寄った。
ユエ「……連れて行くの?」
ハジメ「ダメ?俺としては、大切な人達に素敵なものを見せたいって思ったんだけど……。」
ユエの質問に俺がそう返すと首を振り、どこか優しげな眼差しで俺を見つめ返した。
ユエ「……それがハジメの決めた事なら。」
ハジメ「そっか、ありがとう。」
ユエ「……でも、タイミングを選べなかったら?」
ハジメ「出来るよ、なんかいける気がする。何度失敗しても、絶対に会える。そう思うから。」
ユエ「……ん。ハジメなら行ける気がする。」
そんなやり取りをしていると、ミュウは俺に再度抱っこを要求した。
再会の約束をしたとはいえ、暫くのお別れである事に変わりは無い。
最後の夜は精一杯甘える事にした様だ。
その翌日、俺達はミュウとレミアに見送られ、遂に【海上の町エリセン】を旅立った。
なんだか、数日いただけなのに、50日間いたような気分だなぁ……。
そして、二人の姿が見えなくなった後、恥も外聞も捨てて盛大に泣いた俺であった。
皆の慰めが余計に辛かった。後、メイルも同じくらい泣いていた。
ハジメ
「ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
さて今回のエンディングは豪華に4人のゲストでお送りするぞ!」
Bオスカー
「どうも、オスカー・オルクスだよ。」
Bナイズ
「……ナイズ・グリューエンだ、よろしく頼む。」
Bメイル
「メイル・メルジーネお姉さんよ。よろしくね、まだ見ぬ妹の皆!」
Bミレディ
「そして天才美少女、ミレディ・ライセンさんだよっ!」
ハジメ
「もはやここまでくると壮観だなぁ……。
さて、今回はゲストも多いから一言ずつしかできないけど……感想をどうぞ!」
Bオスカー
「そうだね……向こうの僕たちも、笑顔で旅を送っているのは嬉しかったなぁ……。」
Bミレディ
「うん!ミレディさんもナイスバディになっていたし!」
Bナイズ
「いや、あの顔でいきなり現れたら驚くと思うぞ?まさか洗脳されたのか!?と。」
Bメイル
「お姉さんはあの時もっと二人にお近づきになりたかったわね~、
向こうの私が羨ましいわ……。」
ハジメ
「うん、見事にバラバラだな。でも、なんかいい感じだから、このまま次回予告で!」
次回予告
ハジメ
「またもやアンカジへと戻った俺達。そこでは、教会の犬どもが待ち受けていた!
ランズィ公等アンカジの意思や如何に!?」(光の粒子に包まれる)
Bオスカー
「おや、もう行くんだね。」
ハジメ
「おう、そろそろミュウが心配するだろうからね。次は家族でそっちにも合えたらいいね。」
Bナイズ
「……そうだな。それはそれで面白そうだ。」
Bメイル
「お姉さんはいつでもウェルカムよ!
ハジメ
「ぶれないな~、さてと……ミレディ。クソ野郎の"神言"には、気をつけてな。」
Bミレディ
「!うん!ありがとう!未来の後輩君!そっちの私達にもよろしくね!」
ハジメ
「おう、そんじゃ!またな!」(手を振りながら空に消えた)
リースティアさん、誤字報告ありがとうございました!
もしこの中の他作品の女性キャラで、ハジメさんに絡ませるとしたら?
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星野アイ
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